遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!! 作:なにかの波動に目覚めたトマト
『見事!1ショットキルを決めた榊遊矢選手!本来ならば1ターンキルで終わるところを防いだ沢渡選手!共に見事なデュエルでした』
「いやいや……」
「遊矢兄ちゃん、痺れるぐらいにエグいコンボだぜ」
「でも、抜け出せる瞬間はあったよ。バリアンが効果を使う時はノーガード状態だから効果を無効にして破壊するタイプのカードを沢渡がドローをしていたら展開が違ってたかもしれないよ」
相変わらずというかなんというか遊矢のデュエルはエグかった。
1キルを決める事が出来たのを防いだ沢渡は遊矢のライバルを自称しているだけの事はある……けど、1ターン延命しただけに過ぎなかった。アユ、フトシ、タツヤの3人は冷静に今のデュエルを考察している……前から思ってたけど遊勝塾のデュエリスト、下手なアカデミアの兵隊より強いよね。
「どうして……」
「……」
遊矢のエグいデュエルは幕を引いた。手も足も出ない、出せない状況に一瞬で持っていった遊矢に観客達は圧倒される。
何度も何度も遊矢に挑んで負けた僕にとって遊矢のエグいデュエルは日常と化しているから驚くことはしない。ちょっとだけ引いちゃうぐらい……でも、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
「ハートランド……」
遊矢と沢渡がデュエルをしたアクションフィールド、未来都市ハートランド。そこは紛れもなく僕達アカデミアが襲撃したエクシーズ次元、ハートランドそのものだった。
この次元のデュエリストの調査を僕は依頼されている。各召喚が発展途上と言ったところでホントに強いデュエリストは遊矢達ぐらいで殆ど雑魚だ。遊矢に負けて気晴らしにデュエルした柚子にも負けて心が折れそうになった時に遊勝塾以外のデュエル塾は雑魚、デュエル塾の大手中の大手らしいLDSの首席も遊矢達の前には歯が立たない。
「ねぇ、柚子」
「……どうしたの?」
「この大会って何処の誰が運営をしてるの?」
「レオ・コーポレーション……LDSの親会社よ。ほら、この前やってきた赤馬零児の会社の」
「そう……ちょっと用事を思い出したよ」
「え?」
「ハートランド……LDSに乗り込まないと」
「ちょ、ちょっと素良」
僕の使命はこの次元のデュエリストの強さを測る事だ。
アカデミアが危険視していた遊矢やその周りは極力手を出さない方がいい、それだけレベルが違うのが僕の結論だ。遊矢達以外は雑魚でアカデミアの精鋭達が挑めば余裕で勝つことが出来る……ただし例外がある。
LDSはハートランドを知っている。偶然に似たような街が出来たとかそんなんじゃない。ハートランドが出たのは遊矢を試す為だ。遊矢は滅多な事じゃ口にしないけど遊矢はアカデミアやハートランドについて知っている。レオ・コーポレーションは遊矢が何処まで知っているのか試した。
露骨に反応をしていないのは流石だけど柚子や瑠璃が動揺してる。きっとこの2人も次元戦争について遊矢から聞いたんだと思う。
「素良」
観客席を後にして会場から出ていこうとすると遊矢と鉢合わせになる。
なにか言いたそうな顔をしている遊矢だけど語る言葉は少ない。僕から言える事なんて極々僅かだ。
「遊矢、僕はアカデミアの人間だ……ここでの暮らしもデュエルも悪くはなかったけど僕には使命があるんだ」
「……お前はアカデミアがやってる事が本当に正しい事だと思っているのか?」
「っ……それは……」
「先に答えだけを言っておく。瑠璃はエクシーズ次元の、ハートランドの住人だ」
「!!」
瑠璃が、ハートランドの住人……遊勝塾でエクシーズ召喚の講師をしているって聞いてたけど。
「なんで……」
「なんだ?」
「なんで遊矢は何もしようとしていないわけ?ハートランドの事を知ってるなら僕に敵意を向けてくるでしょ、普通」
「確かにハートランドをあんな目に合わせたアカデミアは憎んで当然だ……だがな、素良。俺は知っているんだ」
「なにを?」
「この次元戦争の全ての原因を……俺はなにもかも知っている。情報の出どころに関しては秘密だが」
この次元戦争は全ての次元を統一する為に行っているって聞いているけど違うの?
遊矢は少しだけ悲しそうな顔をして目を細める。
「止めにしないか?……俺はデュエリストじゃない、本気で次元戦争をするなら慈悲を捨てて対戦相手をカード化する。俺は自分の事を最強デュエリストなんて思っていないが負ける事は先ず無いと思っている……正直に言おう、お前とデュエルはしたくても戦いたくない」
遊矢にとってのデュエルは殺意の波動に満ちているものだけど、楽しいものである事に変わりは無い。
遊矢は僕とのデュエルは楽しいものだと思ってくれて次元戦争として戦いたくないと言ってくれている……
「もう、遅いよ」
ハートランドはとっくの昔に壊滅寸前にまで追い詰められている。
アカデミアに対抗しようとレジスタンスを組織しているけど時期にアカデミアの兵士達がレジスタンスをジワジワと嬲り殺す。もう後戻りする事は出来ない程に。
「僕はアカデミアの人間で……後戻りは出来ない」
僕は口に咥えていたキャンディを噛み砕いた。
どうして……なんでだろう。ここでは勝った回数よりも負けた回数の方が多い、けど不思議と楽しい時間は過ごす事が出来ていた……僕ってホントに甘いな。アカデミアからスタンダードのデュエリストの強さを測って来いって命令だってのにこの次元に情が移っちゃった。
僕はアカデミアの精鋭なんだ……もう後戻りする事は出来ない、そんなところまで来ている。今更ごめんなさいの一言で終わる事じゃないんだよ。
「そうか……瑠璃達に手を出すなよ。手を出すなら俺が出てくる」
「遊勝塾や権ちゃんには手は出さないようにするよ……僕でも苦戦する相手とのデュエルはキツいからね」
僕は足を止める事はしない。遊矢は何処か悲しそうな顔をしている……。おかしいよね、遊矢にとってアカデミアは敵なのに情けをかけてるなんて。スタジアムを完全に後にする。まだ試合は残っているからスタジアムから歓声が鳴り響いているけど、僕は耳を向けずにLDSに足を運んだ。
今、大きな大会が行われてる……気のせいかな?レオ・コーポレーションの傘下であるLDSの警備が手薄だ。なにか妙な違和感がある……その違和感はなにか分からないけど、警備が手薄なら好都合だ。
LDSの本社に乗り込む。このデュエルを観客席で見物していないのならば社長室かなにかの一室でこの大会を見ている筈だ。監視カメラに映らない様にコッソリと裏口から潜入して奥へ奥へと進んでいくとモニターの明かり以外が灯っていない一室に辿り着いた
「流石はエクシーズ次元の住人、彼はLDSの総合コース首席だがものともしないか」
気配を消し、姿を消していると赤馬零児の声がした。
赤馬零児はエクシーズ次元とハッキリと言った……モニターには細身だけど大柄なコートの男が映っている。しまった、大会の方にレジスタンスが居たのか。
「……榊遊矢についてなにか分かったのか?」
アレは、遊矢?……いや、遊矢に似た人だ。モニターを眺めている彼は遊矢について赤馬零児に尋ねている。
「彼については……わざわざフィールドをハートランドに指定したが表情一つ変えずにデュエルをしていた。次元戦争については知っているが……そこまでなのだろう」
遊矢の謎について迫っているけれども赤馬零児も遊矢の謎は解明出来ていない。
遊矢自身も情報の出どころを秘密にしているけどもこの戦争のホントの目的を遊矢は知っている……
「社長、よろしいでしょうか?」
「どうした中島」
「日影達から連絡が入りました。遊勝塾の面々と共にいた紫雲院素良がスタジアムを出ていったそうです」
「……中島!モニターを停止しろ。狙いはこの管制室だ!!」
「っ!!」
バレた、バレちゃった。
赤馬零児は秘書と思わしきスーツ姿の男性に僕が遊勝塾から離れた報告を受けるとモニターの画面を停止してデュエルディスクを腕に嵌める……
「なんだバレちゃってたか」
何処まで僕の事を知っているのか知らないけれど僕がここに潜んでいる事はバレちゃってるってこと。
デュエルディスクにデッキをセットし、腕に装着をして僕は赤馬零児達の前に出た。
「お前が素良……アカデミアの尖兵か?」
「だったらどうするつもり?」
「アカデミアは……許すわけにはいかない!!」
「僕とやろうって言うの?いいよ、やってやるよ!!」
「よせ、ユート」
「止めるな!コレはオレ達の問題でもあるんだ!!」
レジスタンスの手先には負けない。デュエルディスクを構える。
「先攻は僕からだ!僕のターン、僕は
「早速来るか!」
「ファーニマル・キャットとエッジインプ・シザーを融合!融合召喚!現れ出ちゃえ!すべてを引き裂く密林の魔獣!デストーイ・シザー・タイガー!」
デストーイ・シザー・タイガー
融合 レベル6 闇属性 悪魔族 エッジインプ・シザー+ファーニマルモンスター 攻撃力1900→2500
「ファーニマル・キャットの効果を発動、このカードが融合素材になった時、墓地から融合を手札に加える!」
まだまだ僕の融合は止まらないよ!
「回収した融合を発動!手札のファーニマル・ドルフィンとエッジインプ・チェーンを融合!魔物の爪よ!悪魔の使徒と1つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ!自由を奪い闇に引き込む海の悪魔!デストーイ・ハーケン・クラーケン!」
デストーイ・ハーケン・クラーケン
融合 レベル8 水属性 悪魔族 エッジインプモンスター+ファーニマルモンスター 攻撃力2200→3100
「融合素材として墓地に送ったエッジインプ・チェーンの効果を発動!このカードが手札またはフィールドから墓地に送られた時、デッキからデストーイカードを手札に加える!
さぁ、僕の融合を堪能してよ。
「魔玩具融合を発動!墓地にいるエッジインプ・チェーンとフィールドのファーニマル・ドッグを融合!融合召喚!現われろ、デストーイ・クルーエル・ホエール!」
デストーイ・クルーエル・ホエール
融合 レベル9 水属性 悪魔族 エッジインプモンスター+ファーニマルモンスター 攻撃力2600→3200
「僕はコレでターンエンドだ」
「攻撃力3000以上の融合モンスターを一度に3体もだと!?」
遊矢からすれば驚くことじゃないけど、社長の秘書を務めている人は驚いている。これぐらいは日常茶飯事だよ。
相手がハートランドの住民ならこれをどうにかする方法ぐらい見つけてるだろうけど、だからといって負けるつもりはないよ。
「オレのターン、ドロー!オレはカードをセットし、カードをオープン!幻影騎士団シェード・ブリガンダイン」
「罠カードをセットしたターンに発動だって?」
「このカードは墓地に罠カードが無い場合、セットしたターンに発動する事が出来る!」
「厄介な効果……だけど、僕のフィールドを崩す事が出来るのかな?」
チラッと見たけど永続罠じゃない通常罠カードだから宮廷のしきたりと組み合わせる事は出来ない。
「手札を一枚捨てて幻影騎士団ティアースケイルの効果を発動!幻影騎士団モンスターまたはファントム罠・魔法カードを1枚墓地に送る。オレは幻影剣を墓地に送り、更にコストとして墓地に送った幻影騎士団ステンドグリーブを除外し効果を発動!手札より幻影騎士団モンスターを特殊召喚しレベルを1上げる!オレが呼び出すのは幻影騎士団ラギッドグローブ!」
「ラギッドグローブのレベルは4……来るね」
来てもらわないと困るんだけどね。あまりにもあっさりと倒したらそれこそ拍子抜けだよ。
「オレはレベル4となった幻影騎士団ラギッドグローブと幻影騎士団シェード・ブリガンダインでオーバーレイ!舞い降りろ!漆黒の翼はばたかせ反逆の牙を持つ龍!反逆の時!現れろ、ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
エクシーズ ランク4 闇属性 ドラゴン族 ORU×2 攻撃力2500
「幻影騎士団ラギッドグローブの効果!このモンスターを闇属性のエクシーズモンスターの素材にした時、そのエクシーズモンスターは攻撃力が1000ポイントアップする!」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
攻撃力2500→3500
「っ、3500」
ランク4の見た目じゃないドラゴンのパワーはエグい。
エクシーズモンスターだからなにか厄介な効果を持っている可能性が高い……
「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を発動!オーバーレイユニットを2つ使うことで相手モンスター1体の攻撃力を半減し、半減した攻撃力分ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの攻撃力をアップする!」
「っ、フォースと同じ効果!?」
案の定、えげつない効果を秘めていた。
遊矢によく似た男はデストーイ・クルーエル・ホエールを指差した。
「トリーズン、ディスチャージ!」
デストーイ・クルーエル・ホエール
攻撃力3200→1600
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン
攻撃力3500→5100
「っく……でも、この一撃さえ耐えれば」
ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果はフォースと一緒だ。
見たところ破壊耐性は持っていない。所詮はエクシーズ、エクシーズ素材が無くなれば丸裸も同然の召喚法だ。
「……お前はアカデミアの人間か?」
「なにを今更な事を聞いてくるかと思えば……そうだよ、僕はアカデミアの人間だ」
遊矢によく似た男、ユートは今更な事を聞いてくる。
僕はキャンディを取り出して思いっきり囓るとキャンディは噛み砕かれる。
「僕の目的はこのスタンダードのデュエリストの実力の調査さ……エクシーズの残党が紛れ込んでるのはいい意味で予想外だったよ」
「お前達は……お前達はこの次元すらもハートランドの様に地獄に変えるつもりか!!」
「っ…………ああ、そうだよ」
遊矢達との日々を思い出す。負けの数の方が多いけれどもとっても楽しかった。アカデミア以上に厳しいデュエルをしていた筈なのにとても楽しく充実した日々を過ごしていた……僕はそれを破壊しようとしている。心の何処かで破壊したくないと思っている自分がいる。
「……アカデミアは許すわけにはいかない!」
「許されるだとか思ってないよ。コレは戦争なんだ、勝った者が正しくて敗者の言葉はただの戯言だよ!」
第一、ここからどうやって逆転をしようっていうの?
今はまだメインフェイズだけども、後はバトルフェイズに向かってバトルするだけ。デストーイ・クルーエル・ホエールを攻撃したとしてもライフは500残る。ライフが1でも残っていたらこっちのもんだ。次のターンで逆転をする手札は揃ってるんだ。
「オレはRUM-幻影騎士団ラウンチを発動!その自分のモンスターよりランクが1つ高い闇属性エクシーズモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする」
「ここからのランクアップっ!」
「煉獄の底より、いまだ鎮まらぬ魂に捧げる反逆の歌!永久に響かせ現れよ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!出でよ、ランク5!ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン!」
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン
エクシーズ 闇属性 ランク5 ドラゴン族 ORU×2 攻撃力3000
「ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴンはダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを素材としている時、1ターンに1度オーバーレイユニットを1つ取り除く事で相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分このカードの攻撃力をアップする!オレはデストーイ・クルーエル・ホエールを対象に発動する!レクイエム・サルベーション!」
デストーイ・クルーエル・ホエール
攻撃力 1600→0
ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン
攻撃力 3000→5600
「コレで終わりだ!ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴンでデストーイ・クルーエル・ホエールに攻撃!鎮魂のディザスター・ディスオベイ!!」
「そんな、こんな事が……僕が、アカデミアがレジスタンス如きにぃいいい!!」
素良
LP4000→0
1発で一撃でワンターンで僕は敗北した。
「く……そ……」
遊矢に瓜二つで遊矢程じゃないけどもデュエルの腕も確かにたつ。
アカデミアの侵攻を手間取らせるだけあって強い……
「中島、直ちに彼を捕縛せよ」
「はっ!!」
赤馬零児の秘書だと思う人が僕に近付いてくる……すると僕のデュエルディスクが光を放つ。
「嘘だ、これは!」
「っ、中島離れろ!!」
強制的に次元転移する装置が作動した。
嫌だ……僕はまだ終わってない……まだ戦える。もう一度戦えばエクシーズ使いにつけられた黒星を取り戻せる。
「……ぁあ……楽しかったな……」
次元転移の光が放たれる最後の最後に僕の頭には遊矢達と過ごした日々が浮かんでいた。
榊遊矢、お前は一体なんなんだ?
俺は俺でそれ以上でもそれ以下でもない……時折自分が何者なのか分からなくなるがな
……どういう意味だ?
さて、それは俺にも分からない事だ……俺になにか用事があって来たんだろ?
お前はアカデミアなのか?
俺は俺だって言ってるだろう……アカデミアもハートランドの現状も色々と知ってるよ
っ……何故
知らないほうがいいことだって世の中にはあるんだ。例えばこの次元戦争の発端とかな
次回遊戯王ARC-V【覇王の児】にガッチャビングデュエルアクセラレーション !
お前の知っていること全てを教えろ!
嫌だね
モコミチ達とデュエル
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する
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しない