遊戯王ではない!デュエルモンスターズだ!! 作:なにかの波動に目覚めたトマト
こんな小説に評価をしてくださった方達、本当にありがとう。
「……!……よかった」
目を覚ますと遊矢は直ぐ側で寝ていた。
その姿を見て、何時も通りに今日がやって来たと一安心をする。
「起きて、遊矢。もう朝よ」
「大丈夫、後数分はいける」
「それは一時間更に寝る為の言い訳でしょ!ほら、起きなさい……起きろ!!」
「布団をセットしてターンエンドしたい」
遊矢から布団を引き剥がす。
「って、スゴい隈。
デッキに悩むのは良いけど、睡眠不足は体に良くないわよ?」
「誰のせいだと思ってんだ」
「え?」
「お前、普段から俺が使っているベッドで寝たんだぞ。
隣に柚子が俺の普段使っているベッドで寝ているんだぞ!!」
「……」
昨日、おばさんに誘われてそのまま泊まった。
空いている部屋に通されたんじゃなくて、遊矢の部屋で寝なさいってなって、遊矢は敷いた布団を、私は遊矢のベッドで寝た。
「この布団にも遊矢の匂い」
「MA☆TTE!それ以上は越えちゃいけない一線!」
「さ、流石にそこまでするわけないでしょ!そんな事をする変態じゃないわよ!」
布団に遊矢の熱が籠っているのを確かめながらも、遊矢の布団を畳み着替える。
流石にそこまではしない。確かに暖かさはあるけれども、そこまではしない……多分。
「遊矢、行きましょう」
「ああ……手でも繋ぐか?」
「それ良いわね」
手を繋いでいれば、遊矢は離れない。
私は遊矢と手を繋ぎストロング石島が待ち受けるスタジアムへと向かった。
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「むぅ……」
場所と時間は変わり、ここは舞網市でも特に大きなスタジアム。
生真面目な権現坂は遊勝塾の面々よりも早く観客席についたが緊張を隠せない。
「あ、権現坂!もう来てたんだ」
「さんをつけろと言っておるだろう!」
1人で不安で居るとやって来た遊勝塾所属の
権現坂より年下な小学生なのだがなんの迷いもなく呼び捨てにされており、権現坂も一応は怒るのだが半ば諦めている。ゴツい漢の彼だが、子供と仲良くは出来ている。
「スッゲエ、こんな所で遊矢兄ちゃんデュエルをするんだ。痺れる~!!」
「呑気な事を言っている場合ではないぞ」
「えぇ、どうして?
こんな大きなところでデュエル出来て、相手はストロング石島なんだよ?」
デュエリストとして、デュエルをする上でこの上ない場所。
幼い二人は羨ましいと思っていたりはするものの、権現坂は少しだけ焦っている。
「周りをよく見てみろ」
「周り?」
権現坂にそう言われたので、周りを確認する。
フィールドではファン達にサービスをしているストロング石島がおり、観客席にはストロング石島の熱狂的なファンやデュエルが大好きな人達が盛り上がっていた。
「ここに来ている者達はストロング石島のデュエルを見に来た、遊矢のデュエルを見に来たのではない。
実力を疑いはしないが、遊矢はこうした大舞台に立ったことはない。緊張の余り、ミスをしなければ良いのだが……」
「ファンなら此処に居るぞ、権現坂!!」
「っむ、柊塾長ではないか!!」
圧倒的なアウェイのフィールドでプレミをしないか心配な権現坂。
そんな中、塾長がやって来た。
「俺に柚子に洋子さんにアユにフトシ、それに権現坂!
俺達6人は遊矢を応援しにやって来たんだ。だったら、この会場のストロング石島ファンを上回る熱血パワーで、俺1人で100人分の応援をして見せる!!熱血だぁあああ!!」
「そうか……そうであったな。
この男、権現坂!危うく大事な事を忘れるところだった。大事なのは数ではない、心だ!100人分の漢気を持って、遊矢を応援する!!」
尚、スタジアムは5万人ぐらい入るので焼け石に水である。
「ところで、柚子は?」
「ん、おお、柚子は昨晩遊矢の家に泊まったよ」
「な、なにぃ!?」
一緒に来ていないことを疑問に思ったので聞いてみるととんでもない答えが帰って来た。
「柚子が遊矢と一晩同じ屋根の下で……けしからん、けしからんぞぉ!!」
「なに変な事を想像してるのよ!!」
顔を真っ赤にし、あれやこれやと想像して煙を出す権現坂。
観客席に到着した柚子はむっつりな権現坂をハリセンで叩いた。
「そんなんじゃなくて、遊矢が心配だったから行っただけよ!!」
そう、柚子が遊矢の家に行ったのはあくまでも遊矢が心配だからであり、それ以上もそれ以下も無い。
とまぁ、否定するもののちょっとぐらいはそういう感じのイベントがあった方が良かったとは思ってもいる。一緒の布団で寝るというイベントを逃した罪は重いかもしれないぞ!!
「え~ホントなの?」
「本当は遊矢お兄ちゃんが何処かに行っちゃうのが怖かったからじゃないの?」
「なんですって?」
「うっ……痺れるぐらいに怖いぜ、柚子姉ちゃん」
「柚子、お前が此処に居るってことは遊矢は」
「ちゃんと一緒に来たわよ」
「あの子なら控え室にいるわ」
遅れながら到着する洋子おばさん。
遊矢は無事会場入りすることが出来た事を聞き、一先ずはホッとする一同だった。
「今日の遊矢は、スゴいわよ」
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「やっと最近、eスポーツが認められたり地上波で放送されたりするレベルになったのにあの観客数」
柚子と恋人手を繋ぎ、スタジアムの控え室にやって来た。
原作通りピエロの格好をするのは面倒なのでしない。そもそもやる必要性は無いと思う。
「あ~胃が痛い」
完全にアウェイのフィールドで戦わなければならない。
こういうときにプロは凄いと思う(ダメ親父は別)。アウェイでもフェアウェイのフィールドでも戦い抜いているんだから。OCG次元でもあのレベルの客はいないぞ……セ■■ンさんは毎年、世界と戦っていて周りからの期待に応えてたり驚かせたりしてたんだよな、やってんの遊戯王じゃなくてポケモンだけども。
「間もなくスペシャルマッチです。アップの方をお願いします」
「デッキの確認をしておくか」
試合前のアップをしろと係員に言われたので、俺はデッキケースからデッキを取り出す。
今回持ってきたのは全盛期のEMEmとアークペンデュラムとか猿が投獄されて以降に作られたカードを搭載したデッキ……なんてエグいものでなく、ペンデュラムデッキだ。
まぁ、マスタールール3の時点でペンデュラムはエグい動きをするんだが。
「このデッキ、使ったこと無いんだよな」
デッキに入れているカードを見る。
転生特典でカードを沢山貰ってはいるものの、使ったことの無いテーマが割と多い。炎星とか竜星とかインフェルノイドとかシャドールとかヴェルズとか。
今回使うデッキはペンデュラムデッキで、比較的安価で作ることが出来るのだが作りたいと思っていなかったので作っていなかった。OCG基準じゃそんなに強くないデッキである。
「数年間まともに使ってなくてリンク召喚当たり前でエレクトラム前提のデッキ多かったからミスしないかどうか」
デッキを作ったはいいが使う機会が無いので使ってないデッキも多数ある。
それに加えて前世でも見たことの無い型のデッキ。EMEmとか影霊HEROとか何処の大会に行っても見る感じのデッキだったら回し方は分かるんだが、これ本当に見たこと無い型だからな。
「お時間です」
「さて、遊戯王をしにいくか」
ポケットに入れているハーモニカを取り出し、俺はフィールドに向かう。
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『時を遡ること三年前!
現チャンピオンであるストロング石島がまだチャンピオンでなく、前チャンピオンである榊遊勝に挑戦権を得て、タイトルマッチに挑んだ!』
「徹底的に遊矢を使うつもりね……遊矢、絶対に勝ちなさい!!」
話題性を盛り上げる為にもと三年前の事を出すMCニコ・スマイリー。
洋子さんはそれに苛立ち、そちらがそのつもりならばとまだ出てきてない遊矢を応援する。
『しかし、皆様御存知の通りそのタイトルマッチは行われなかった。
榊遊勝が姿を消し、スタジアムに来なかった為に……しかしその時、1人のデュエリストが現れました!』
「あ、出てきたわ!」
「遊矢、絶対に勝ってくれええええ……って、いつもと違う?」
控え室からフィールドに出てくる遊矢。
その手にはハーモニカが握られており、Future Fighterを吹きながら出てきた。
『その名は榊遊矢!!榊遊勝の』
「ニコ・スマイリー!」
『え、あ、はい?』
「此処に居るのは、榊遊勝でも榊遊勝の代わりでも、榊遊勝の息子でもない!1人のデュエリストだ!!それ以上はよせ!!」
『わ、分かりました』
盛り上げようとしたニコに切れるストロング石島。
遊矢を1人のデュエリストとして見ており、背負っているものは関係無いと扱う男気を見せつけ、会場を沸きだたせる。
「すまないな」
「あんたは悪くはない。巡りめぐって父さんが悪い」
「いや、オレはあの時、お前とのデュエルを怒りに身を任せて断るだけでなく会場から追い出してしまった。
榊遊勝との決戦を挑むことは出来なかった。望まぬ形とはいえチャンピオンとなってしまったオレはチャンピオンとしての責務を、デュエリストとして挑まれたデュエルを拒んでしまった!!その時の事を謝らせてもらいたい」
「お、おぅ……」
ストロング石島の良い人っぷりに、遊矢は引いてしまう。
デュエリストとして当然のことをしなかったのだから仕方ないのである。本当に榊遊勝が作った罪や傷は大きい。
「今日はファン感謝デーで、何時もならばファンを楽しませるデュエルをする。
だが、今日は違う!榊遊矢、お前を1人のデュエリストとしてチャンピオンとして倒す!!」
「そうか……」
長々と言ったものの、真剣勝負するぞである。
「あの時、あんたに挑んだ時とはかなりデッキの構成は異なっているが、文句は言うなよ」
「そんなこと、構わない。
デュエリストとは一分一秒、常に進化し続けるものだ!」
「……」
やっぱこういうノリは苦手である。
「もう、良いか?」
「ああ、もう良いぞ」
私情を挟んで遊矢を指名したもの今日はファン感謝デー。
カッコいい事を言ったりカッコつけたりしないといけない。そして場は盛り上がり、気付けば遊矢が卑怯者の息子云々をハッキリと言う奴は出てこず、遊矢とのデュエルはまだかとウズウズしている。
『さて、先ずはアクションフィールドを!
本来ならばファンの方に選んで貰いますが、今回ストロング石島は真剣勝負を望みますので文字通りランダムに!先攻、後攻もランダムとさせていただきます!』
司会のニコの声と共に起動するリアルソリッドビジョンシステム。
無数のアクションフィールドカードがランダムに動いていく。
今と全く関係無い事で、凄くどうでも良いことだが沢渡がペンデュラムカードをパクって遊矢にアクションデュエルを仕掛けた際のアクションフィールドが選ばれるシーンでダークゾーンとかがあり、アクションフィールドとしての効果以外にもフィールド魔法と同じ効果も持ってたりしたが、そんなもんは最初から無かったと無かった事にされてたりする!!
『フィールドは辺境の牙王城!』
選ばれたフィールドは辺境の牙王城。
原作通りであり、リアルソリッドビジョンが展開されてゆき巨大な城を中心に大量の森林が出現していく。
「え~と……」
塾生が少ないのと本人がアクションデュエル嫌いなのであんましていない遊矢。
とりあえずはフィールドを覚えるついでに手頃な場所は無いかと辺りを見回す。
「おいおい、アクションカードはまだないぞ」
アクションカードの場所を探していると思うストロング石島は一言言うが、そうではない。
互いにデュエルディスクを取り出し、電源を入れるとデッキケースからデッキを取り出してセットする。
『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!!』
「「「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い!!」」」
『フィールド内を駆け巡る!!』
「「「見よ、これぞデュエルの最強進化系、アクショ~ン!!」」」
「「デュエル!!」」
ニコと観客達の口上が開幕の狼煙となり、遊矢とストロング石島の決闘の言葉と同時にアクションカードが散りばめられる。
「え~と……あ~、うん」
先攻はストロング石島に決まり、手札を確認する遊矢。
割と微妙な手札でなんとも言えず、ドローカード次第では停滞したデュエルをしてしまうんじゃないかと残念そうな顔をし
「よっこいしょっと」
直ぐ近くにあった岩に座った……
ルールとマナーを守って、楽しくデュエル!!
OMKフェイズ(ギャグなので特に気にしない)
遊矢「う~ん、ストロング石島があんな格好だし、こっちもなんか衣装を用意した方が良いんじゃないかな」
権現坂「成る程、形から入るのも1つの手だ」
遊矢「なんか良い衣装とかある?」
権現坂「自身が使うモンスターやそれに関連する衣装はどうだ?」
遊矢「俺、デッキコロコロと変えるし服装でバレるのはちょっと」
権現坂「では、浪人風の衣装はどうだろう?果てしないデュエルの道を突き進むとして」
遊矢「それ沢渡と被ってて噛ませ犬臭がするから嫌だ」
権現坂「ならば、父である榊遊勝と同じマジシャンの衣装を!」
遊矢「俺、あの格好に良い思い出は無いんだよ。父さん、授業参観とかプライベートでもあの格好だったし……」
権現坂「あの格好の何処に問題があると言うのだ?」
遊矢「そうだった……遊戯王世界で奇抜な格好とか見た目は別になんでもないんだった……」
次回予告。
カードゲームは立ってするもんじゃないと座り込んだ遊矢。
遊戯王の世界で、その行動は余りにも予想外の代物なもののプレイングには一切関係無い。
手札がなんとも言えないが、それでも負けるつもりはない。
試合に勝った時のギャラで遊勝塾を支援する為にも、遊矢は振り子を大きく揺らし、燃やす。
次回、遊戯王ARC-V【燃えろ魂のペンデュラム!】にガッチャビングデュエルアクセラレーション!!