TS美少女は双子の妹と幼馴染の勇者を溺愛したい ~甘やかすのは姉の特権なのです~   作:こびとのまち

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この回、がっつりと目新しい情報を詰め込んでいますが、そういう仕様です。
現時点では、唐突な情報は「ふーん」くらいの感覚で読んでいただいて、たぶん大丈夫です。



TS美少女は天使の寝息に癒される

 生まれ育ったシンイット村から旅立って早三日。

 初日にはあれほど手こずった野営の準備も卒なく終わらせ、ボクたち双子は暫しの休憩を取っていた。

 

 ロルフが食料を調達するべく周辺を散策してくれている間、妹のリアは旅の緊張を少し緩めてボクに甘えてくる。

 こういう場面こそ、姉としての包容力の見せどころである。

 

「今日もお疲れ様なのです。リアの風読みのおかげで、ここまで順調に進めているのですよ」

 

 リアには、風の流れを読む才能がある。周辺の魔物や人の存在を、ある程度把握することができるのだ。リア曰く、風の流れが周辺の状況に関する情報を伝えてくれるのだとか。

 数十メートル程度の範囲しか分からないし、風下はカバーできないから。とリアは謙遜するけれど、おかげで余計なトラブルを避けることができている。本当に頼もしい。

 

「お姉ちゃんこそ、いつもありがとうね。お姉ちゃんがいるから、わたしもロルフも頑張れているんだよ?」

 

 いつの間にか立場は逆転し、甘えさせていたはずのボクがリアの膝の上に乗せられていた。こんなはずでは……と思うものの、何気に疲れが溜まっていたらしいボクの身体からは、みるみると力が抜けていく。ああダメだ、やっぱりリアの温もりには抗えない。ボクの自慢の妹は、なかなかに手強い。

 

 そもそも、風読みの他にも攻撃系の魔法に長けているリアや、勇者に選ばれるほど才に恵まれたロルフとは違って、凡人のボクなんかは全然役に立ってないのだけど。リアが口にした感謝の言葉に対し、少しネガティブな感情が過る。せめて姉として、二人の支えにならないとね。

 お姉ちゃん、頑張ります。

 

 

 

 

 大前提として、ボクたちの旅は、明確な目標がないままに始まっている。

 考えてもみてほしい。あの日、女神様から告げられた内容は、まもなく目覚めようとしているナニカをうち滅ぼさなければならないという、その一点のみなのだ。

 ナニカ、なんて漠然なものを相手に立ち向かわねばならない状況を作った女神様には、少し反省していただきたい。

 

 ボクたちには圧倒的に情報が足りない。ならば、まずは王都に訪れて情報を仕入れるべきだろう。当然のように導き出された結論が、それだった。

 

 

 

 この世界は、ユースフィラ帝国という大国が事実上の覇権を握っている。強大な軍事力を誇り、帝王ロイストフ12世が統治するこの国は、実に世界の三分の一にあたる国家を属国としていた。

 

 その中でも最古参の属国と言われているのが、アマネクス王国だ。十数年前まではすっかり力を弱めてしまっていたこの国だが、国王のシルヴィオ = カネパが弱冠15歳で王位について以降は、徐々にかつての栄光を取り戻しつつあるという。

 

もっとも、これらの知識はどれも村長の息子、ニコラおじさんから教わった話にすぎないのだが。おじさん自身が村から出ている姿を見た記憶がないので、ぶっちゃけ半信半疑なところはある。

 

 そして、ボクたちの生まれ育ったシンイット村は、アマネクス王国の中でも最も西の辺境に位置している。

 というわけで、まずは距離的にも向かいやすいアマネクスの王都ヴァルンダを目指そうと決まるのも必然だった。

 

 けっして、幼い頃にニコラおじさんから教わった王都名物の海鮮グルメを食べてみたいなどと、ボクが駄々をこねたからではない。

 いやまあ、駄々自体は少しだけ、すこーしだけこねちゃったんだけど……それが理由じゃないからね?ホントだよ?!

 

閑話休題

 

 王都に向かえば何かしら有益な情報が得られる、ボクたちがそう考えた根拠は一応、ある。

 アマネクス王国を含め、ユースフィラ帝国とその属国は女神ソフィアを信仰し、そのお告げを絶対としている。そして、その女神のお告げを直接代弁できるとされているのが、三聖女と呼ばれる乙女たちである。その三聖女のひとりが、王都ヴァルンダの教会にいらっしゃるのだとか。

 女神様のお告げによって旅へ出ることになったのだから、その女神様に関係がある聖女様に話を聞くのが手っ取り早いよね。というわけだ。

 

 そんなわけで、ボクたちは今、王都ヴァルンダに向かって旅を続けている。

 

 

 

 

 どうやらボクは、リアの膝の上で少し眠ってしまっていたらしい。目が覚めると、いつの間にか散策から戻ってきていたロルフが目に入る。

 

「さすがに2人とも歩き疲れたんだろう。リアの為にも、そのままもう少しゆっくりしているといい」

 

 ロルフは、まるで小動物を愛でているような穏やかな表情で、ボクたち双子を眺めて言う。

 

「……たしかに、それが良さそうなのです」

 

 ボクを膝の上に乗せたまま、リアは静かに寝息を立てていた、今、動くべきではないだろう。

 すっかりロルフと同じような穏やかな表情になったボクは、天使のように可愛い妹を見つめながら微笑んだ。




本来は、この後に起こるちょっとした出来事も3話で書き切る予定でしたが……
せっかくリアが気持ちよさそうに眠っているので、続きは次話に回しますね。

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並行して『転生したら悪役令嬢……の取り巻きだったけど、自由気ままに生きてます』という作品も連載始めましたので、宜しければ併せてぜひ。
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