とある少年が、全女性ジムリーダーのおっぱいを揉むという夢を抱いたそうです   作:フロンサワー

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エピローグ

 僕が旅を止めてから、もうどれくらいの月日が経ったのだろうか。

 季節は夏。日は既に沈み、辺りは闇に覆われている。コロトックの鳴き声が何処からか聴こえてくる。消え入るような小さな鳴き声で、少し寂びしい気分になる。

 縁側に座り、夜空の星を見上げる。心なしか、いつも以上に煌びやかに瞬いているような気がした。

 

「退け、親父。そこは俺の特等席だ」

 

 聞き覚えのある声に後ろを振り返ると、仏頂面の息子がいた。

 名前はユズ。例に漏れず、女の子の髪の毛に魅入られた変態紳士だ。それにしても、お尻や太腿ならともかく、髪の毛好きとかマニアック過ぎる。歴代でも随一のフェチに違いない。

 

「ったく、しょうがないなぁ」

 

 腰を浮かし、横にズレる。

 ユズは空いた場所にドカリと座る。

 

「……なぁ、やっぱり旅に出るのか?」

「当たり前だ。親父も俺と同じくらいの歳で旅に出たんだろ? 親父にできて俺にできない道理は無え」

 

 昨日、テレビを見ていたユズが突然「俺、明日から旅に出る」と言い出したのだ。

 テレビに目を移すと、サラサラとした髪をなびかせる女の子のジムリーダーが映っていた。血の繋がりを実感する。

 

「止めても無駄だよね。僕もそうだったし」

「ハッ! 分かってんじゃねえか」

 

 だけど、正直言って心配で堪らない。親父もこんな気持ちだったのかなぁ……。

 ふと、ユズの相棒にピッタリのポケモンがいるのを思い出した。今はまだ弱いけど、強くなるのは確実だ。旅のお供をさされば、幾分か安心できる。

 

「おーい、サッちゃん」

『どうしましたライムさん!』

 

 サッちゃんがテレポートして現れた。

 割と日常茶飯事なので、ユズは気にせず空に浮かぶ月を眺めていた。

 

「実はさ…… ゴニョゴニョ」

『ふむふむ…… 素敵な提案ですね。今呼んできます!』

 

 サッちゃんはテレポートを使い、一瞬しない内にまたテレポートで戻ってきた。

 サッちゃんの手にはラルトスが抱かれていた。この子はサッちゃんの愛息子。ニックネームはナイトだ。

 

「なんのつもりだ、親父?」

 

 今まで静観していたユズが、訝しげな表情で聞いてきた。

 

「ユズ、旅にナイトを連れて行きな」

「へぇ、ナイトをね……」

 

 ニヤリ、と口の端を吊り上げる。プリティーな僕に似つかわしくない凶暴な表情だった。母方に似ちゃったのかなぁ。

 

「という訳で、ナイトは大丈夫かい?」

『異存はありません。ユズ殿と旅に出るとしましょう。私の助けを待っている姫がいるかもしれませんからね』

『……ホント、どうしてパッパラ王子みたいに育ったのかしら』

「なら、今日からお前は俺の相棒だ。これからよろしくな」

 

 ユズはモンスターボールを手に持ち、ポンとナイトに投げた。

 ナイトはモンスターボールに吸い込まれ、そのまま捕獲完了した。

 

「そういや、ナイトってどことなく親父の面影がーー」

「この世には知らなくてもいい事もある。いいね?」

「アッハイ」

 

 変な事を口走るのは止めてほしいものだ。

 

『ふぁぁ…… なんだか、眠くなってきちゃいました』

 

 テレポートをして疲れたのか、サッちゃんは僕の膝を枕にして眠ってしまった。

 サッちゃんの頭を撫でる。こうしていると、旅をしていたあの頃を思い出す。辛い事も沢山あったけど、それ以上に楽しい事がおっぱい…… じゃなかった、いっぱいある旅だった。

 昔を思い出してセンチメンタルになってしまったのか、少しユズと話したい気分になってしたった。

 

「……なぁ、ユズ」

「なんだ、親父?」

 

 ユズの声には、いつも僕を邪険にするような調子が無かった。

 

「変態紳士ってのは期間限定でさ。大人になると、名乗るのが難しくなるんだ」

「……あんた、週一でジュンサーさんのお世話になってるだろうが」

「いやいや、これでも昔に比べれば自重しているから」

 

 こほん、と咳払いする。このままでは話題が逸れそうだ。具体的に言えば、おっぱいと髪のどちらかが素晴らしいか、とか。

 

「とにかくさ、僕くらいの歳になると女の子のおっぱいばかり追いかけていられない。僕の人生は、もう僕のものだけじゃないから」

「……」

「今だけなんだよ。ユズみたいに全力で変態紳士をやれるのは。だから、自分に嘘をついて生きるなよ。人生は一度きりなんだ」

「分かってる、分かってるさ」

「そっか。なら、安心した」

 

 僕とユズは、ただただ月に浮かぶ夜空を見上げた。

 

「ねえ、何やってんの?」

「おっぱい! おっぱい!」

「銀髪モフモフ! 銀髪モフモフ!」

「あっ、んぅ…… ちょっ、やめなさいこのバカ!」

 

 

 

 

FIN

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 





ユズファミリーは
①突然変異のガチ紳士、女性を守ら盾となる! ユルレイドこと「ナイト」
②速さが全ての最速の兄貴、お前には速さが足りない! テッカニンこと「イダテン」
③バトルなんて下らねえ! 俺の歌を聴けぇぇぇぇぇぇ!!!!! ペラップこと「バサラ」
④狂気の沙汰ほど面白い! 神域の男! ズルズキンこと「アカギ」
⑤甘い顔してガチピンクの悪魔! 吐かれる言葉はほぼ毒舌! ハピナスこと「マリア」
⑥首置いてけ! なぁ、大将首だ!! 大将首だろう!? なあ、大将首だろうおまえ !! カモネギこと「サムライ」
の予定です。CVは言わずとも分かるでしょう。

 もうこれで本当に終わりです!
 いつまでも終わる終わる詐欺してすみませんでした!
 思えば、本当に沢山沢山書きました。ここまで頑張れたのも、きっと皆さんのおかげです!

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