とある森の中を歩く集団がいた。その集団の多くの人間が紫色のフードを被っている。そして、それを率いるのは、
「ふふふ……もうすぐデスよ皆さん」
緑髪のおかっぱ頭、魔女教大罪司教怠惰担当ペテルギウス・ロマネコンティ。
「あの半魔の少女がいる場所に……試練を遂行する為の場所に……もうすぐ着きます」
彼が半魔と呼ぶ人物。それは、エミリア。彼が言う試練、それは、
「あの半魔の少女の命を奪う私達の試練、魔女の意思……それに応えなければならないことを分かっていますね?」
エミリアを、殺すこと。
立ち止まり、振り返って教徒に問うペテルギウス。それに教徒達は、唸り声を上げながら頷く。
「ふふふ……勤勉でよろしい……さあ、一刻も早く向かわなくては」
そう言って、再びペテルギウスは教徒達を引き連れて行こうとする。
が、その時。
ガサッ!
「?」
茂みから何か音がした。音がした方を見るが、何もいない。
野生動物か、もしくは襲撃者か。二つの考えがよぎったペテルギウスは、音のした方へ近づく。そして、その時。
ガサアッ!
茂みから何かが思いっきり飛び出して来た。それはペテルギウスの頭の上を飛び越して地面へと転がる。
何かが飛び出してきたことに驚きながらも、ペテルギウスはその地面に転がった飛んできたものへ駆け寄る。
「!これは……」
ペテルギウスはその地面に転がったものを見て驚愕の表情を浮かべた。
「村に忍ばせた指先の魔女教徒……!?」
諜報員として忍ばせた筈の魔女教徒。目を閉じて気絶した状態。何故、この者がここにいるのか? その疑問が頭に浮かんだ瞬間。
「まさか、村に小鼠を忍ばせていたとはね」
声がした方を振り向く。するとそこには、
「きさ、まらは……!」
常磐ソウゴとウォズ。二人が茂みから現れた。
「用意周到に準備していたようだが、君たちの計画は既にこちらに筒抜けだよ。そちらの方にも、小鼠が潜り込んでいたらしいからね」
「なん、だと……!?」
ウォズの発言に驚愕の表情を浮かべるペテルギウス。
「門矢士……私達の知り合いが君達のアジトに潜伏して情報を得たらしくてね。3日後、つまり今日ここに君達が襲撃に来ると。それで、巡り巡って私達が知った、と言う訳さ」
「なっ…………!小癪な真似を…………っ!」
歯を食いしばり、目を見開いて二人を睨むペテルギウス。
「俺の民に手出しはさせない。ペテルギウス、アンタを倒す」
『ジオウ!』
ソウゴはウォッチのベゼルを回し、リューズを押して起動する。
『ウォズ!』
ウォズもミライドウォッチを取り出し、リューズを押して起動する。
二人はウォッチをベルトにセットし、操作をして変身。
「「変身!!」」
『ライダー、ターイム!仮面ライダー!ジ・オーウ!』
『スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』
二人は仮面ライダージオウ、仮面ライダーウォズへと変身した。
「ぐぅぅぅぅぅ………………!やってしまいなさい我が教徒達!」
ペテルギウスは指を血が流れるくらい噛み、激昂した様子で魔女教徒達に指示を出す。指示を出された魔女教徒はジオウとウォズに襲いかかった。ジオウとウォズの二人はそれを迎撃する。
「はあっ!おりゃぁっ!」
「ふぅん!はあっ!」
二人は徒手空拳で目の前にいる教徒達と戦う。
戦いの最中、二人の教徒がジオウとウォズを後ろから不意打ちをしようと火炎弾を生成し、撃とうとする。
が、
「ぐふっ!?」
「があっ!」
何者からかの攻撃を受けて、軽く悲鳴を上げながら吹っ飛んだ。
「まさか、本当に魔女教がここに来るなんて。ラムに見つかったことを後悔すると良いわ」
声を発した人物はラムであった。そして、彼女の他にも、もう一人。
「あなた達が魔女教ね?悪いけど、ここから先には一歩も通さないんだから」
それは、エミリアであった。彼女は魔女教徒達に向かって凛とした声でそう放つ。
そんな中で、ペテルギウスは彼女を見て、目を見開いた。
「……ああ、まさかぁ、貴方のほうから来てくれるとは。これはこれはこれはこれはこれは、とても好都合ですねぇ……!でッ、あればッ!!」
何処からか出てきた紫色の手の群れ、ペテルギウスの権能である『見えざる手』が、エミリアを殺さんと一斉に彼女の下へ突き進む。が、
「俺がそれ見えてるの、忘れてない?」
『ギリギリスラッシュ!』
マゼンタの斬撃が見えざる手を全て切り落とした。
その切り落とされた手を見て目を見開いた後、声の主を見て、ペテルギウスは目を鋭くして睨みつける。
「……ああ、そうでしたね。憎々しい貴方がいましたね。……な・ら・ばッ!貴方をさっさとこの手で殺すまで・デスッ!」
再び何処からか生やした見えざる手を今度はジオウに向かって放つ。
「俺がペテルギウスの相手をするから、皆はそいつらを!」
ジオウがこの場にいるウォズとエミリアとラムに向かってそう言い、3人はそれに頷く。
「さ〜ぁて、一気に蹴散らしちゃおうか。行くよ、リア」
「ええ、分かってるわ、パック」
エミリアの肩の上にパックが出現し、ふわふわと浮遊する。
とても戦闘中とは思えないのんびりとした口調でそう言い、エミリアはそれに軽く頷いた。
「とりあえず、不法侵入しようとした罰だ。これくらい許しておくれよ?」
そう言った直後、エミリアとパックから鋭利な氷柱が発射され、魔女教徒達に直撃する。
「フーラッ!」
ラムが杖を振り叫ぶと、風の斬撃が放たれ、それが魔女教徒の体に切り刻まれる。それを連続で放ち、複数の教徒達を倒していく。
「はああっ!」
『ダレジャッ!?オレジャ!ニンジャ!フューチャーリングシノビ!シノビ!』
フューチャーリング・シノビに変身した仮面ライダーウォズは空中を飛び高速で教徒達にキックを放つ。
『カマシスギ!フィニッシュタイム!』
ジカンデスピアのタッチパネルのカマアイコンを押してカメンのアイコンを押し、上下して擦る。
『イチゲキカマーン!!』
「はあっ!」
ウォズが振るうジカンデスピアから緑の斬撃が放たれ、教徒達を一掃する。
「はあっ!でやっ!」
ジオウは次々と見えざる手から繰り出される攻撃を避けながら、手を切り裂いてゆく。
「おのれぇ、ちょこまかと…………!」
「ペテルギウス、何でアンタはエミリア達に危害を加えようとするんだ!?」
「何で、ですか…………」
ペテルギウスはジオウのその問いに一度、見えざる手の攻撃を制止する。
「決まっていまス。それは、愛の為」
「愛?」
「そうデスッ!私達はあの方に等しく愛された存在!だからこそ、その愛にッ!私達は報いなければならないのデスッ!…………貴方も、その愛に本来報いなければならない筈なのですが、ねぇ…………貴方はその愛を否定した。怠惰なのデス、だから貴方を、殺すのデス…………!」
「別に俺は否定したつもりなんてないんだけどな。それに、その愛に報いたいなら、こんなことするより別の方法が…………」
「黙りなさいッ!」
ペテルギウスは再び見えざる手をジオウに向かって放つ。ジオウもジカンギレードを構えて、それを迎え撃たんとする。
「そろそろ終わりにしようか」
『ビヨンド・ザ・タイム!』
そう言いながらベルトの操作をするウォズ。
その後、片手で簡単な印を結ぶ。
「分け身の術!」
するとウォズが10体に分身した。分身したウォズは、ジカンデスピアを構える。
『忍法!時間縛りの術!』
構えていたジカンデスピアを一斉に振り、複数の緑光が魔女教徒達を襲う。
「一気に行くよぉ!」
パックはエミリアと共に大量の氷柱を出現させて、魔女教徒達に向けてシャワーのように降り注がせて一斉掃射をする。
「エル・フーラッ!」
ラムが杖を振ると、先程より更に大きな風が魔女教徒達に襲いかかり、その体をまもなく切り刻んだ。
「ッ!教徒達が全滅…………!?誠に遺憾でしかないですが、ここは撤退とするのですッ!ウル・ドーナ!」
自身が引き連れていた魔女教徒達が全滅してしまったのを見て、ペテルギウスは魔法を詠唱する。すると地面から巨大な土の障壁が発生し、ジオウとペテルギウスを阻んだ。
「おわっ!?」
その障壁にジオウは思わず後ろへ飛び跳ねる。
その時、上を見ると複数の見えざる手が何かを包んだような状態で、空の向こうへ飛んでいった。
「あの男、丸まって空を飛ぶなんて。随分と変な飛び方をするのね」
ラムの発言からして見えざる手の中にいるのは恐らくペテルギウスなのだろう。
「とりあえず、これで村の人達を守ることが出来たね」
「それにしても、ロズワール様が外出をしている時に来るなんて、相変わらず迷惑ね、魔女教は」
「………………」
ラムが魔女教への不満を漏らしていると、エミリアが不安そうな表情で下を向き、胸に手を添えていた。そんな様子のエミリアにソウゴが気付く。
「エミリア、どうかした?」
「えっ?…………ううん、何でもない」
ソウゴの問いに、首を軽く横に振る。その顔は先程のような不安そうな顔では無く、微笑んだ表情。
「…………そっか、なら良いんだけど。それじゃあ、帰ろうか」
そう言ってソウゴが歩き出し、彼を先頭にこの場に居た3人が歩き出す。
「リア、余り自分を責めない方が良いよ」
肩の上で浮遊するパックがエミリアに話しかける。
「えっ…………」
その言葉に、エミリアが軽く動揺する。
「魔女教がここに来たのは、自分がハーフエルフだからだ、って思ってるでしょ?」
「………………」
「……悪いのは、君じゃなくてアイツらだ。気にする必要は無いよ」
「…………うん、ありがとう、パック」
エミリアはパックに礼を言ったが、その顔は再び、不安げな表情へと戻った。
数日後
「我が魔王」
「うん?何、ウォズ」
「門矢士は、本当に魔女教の襲撃を伝えるためだけに私達の下を訪れたのだろうか?」
ソウゴとウォズが食器洗いをしている時に、ウォズはソウゴに突如そんなことを言った。
「どういうこと?」
「彼が魔女教の襲撃について教えてくれた。が、彼がそれだけの為に私達の下へ訪れたとは思えない」
「別の目的があるってこと?」
「ああ、これは推測だが…………実は前から感じてた時空の……」
「ソウゴ」
ウォズが言おうとした瞬間、扉が開く音がしてソウゴの名を呼ぶ声がした。
「?ああ、ラム」
その声の主はラムであった。
「どうかした?」
「お客様が来たから、一緒に来なさい」
「お客様って?」
「クルシュ・カルステン様よ」
ラムがロズワールの執務室の扉を開けると、応接用の椅子にとある人物が座っていた。
「久しいな、トキワ・ソウゴ」
「クルシュ!」
それはクルシュ・カルステンであった。後ろには、彼女の従者であるヴィルヘルムとフェリスがいる。
そして見れば、奥には何やら執務をしているらしいロズワールが。
「あれからどうだ?特に変わりは?」
「最近ちょっとトラブルがあったけど…………まぁ、いつも通りかな」
「……そうか、ならば良いが」
「それで、クルシュは何しにここへ?」
「少し、エミリアに用があってな」
ふとその時、扉が開く音がした。
「おや、噂をすれば影とやら、か」
そう言ったウォズの目線には、エミリアがいた。
「あっ、クルシュ様…………こんにちはっ」
そう言ってエミリアはクルシュに頭を下げてお辞儀をする。その後、彼女は再び顔を上げる。
「さーぁて、さーぁて。全員揃ったことですし、始めましょうか」
そう言ってロズワールは執務の手を止め、椅子から立ち上がった。
エミリアがクルシュの前にある椅子に座り、その隣にある席にロズワールが座る。そして、その後ろにソウゴとウォズとラムの三人が立った。
「それでは、クルシュ・カルステン公爵様。貴方の本日のご用件をお聞かせ願えますでしょうか」
ロズワールが普段の間延びしたような口調とは打って変わり、真面目な口調でクルシュに問う。
「ああ、私達がここに来た用件、それはーーーー」
何が来るのか。緊張していたエミリアは、思わず息を呑む。
「我らクルシュ陣営がエミリア陣営と同盟を結ぶことだ」
交渉シーンどうしようかなー!