Re:ゼロから始める魔王の異世界生活   作:きゃぷてん

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音速超えてもまだまだ足りねぇので初投稿です。


2019:Next New Stage ①

「つまり、私達が白鯨との戦いでいつ帰ってくるかも分からない以上、抜けを埋める為にラムくんが君を呼び戻した、と」

 

「そういうことになりますわね」

 

 客間のソファーに座っているウォズが、目の前にいる女性、フレデリカ・バウマンに言った。

 彼女は、ソウゴ達がロズワール邸に来る前に在籍していたメイドだ。本人曰く、一身上の都合でお暇をいただいていてしばらく居なかった、とのこと。

 

「それと、わたくしが屋敷に帰ってきた時に、旦那様の置き手紙がありましたわ。曰く、アーラム村が魔女教に襲撃された為、村人は緊急避難の為に聖域へと向かった、と」

 

「えぇっ、そうだったの?」

 

 ソウゴが驚嘆の声を上げる。

 

「それと、もう一つ。———— その聖域に、エミリア様とソウゴ様、ウォズ様も来てもらいたい、とのことです」

 

「聖域に? どうして?」

 

 疑問に思うエミリアが聞いた。

 

「理由は書かれてありません。来るようにと、それだけ」

 

 

来る理由が書かれていない。それにどうも怪しさを感じたのか、ソウゴは訝しげな顔をしていた。ウォズも同様だ。

 

「どういうことなんだろう……」

 

 不安の声を漏らすエミリア。

 

「……とりあえず、その聖域って所に行ってみよう。何か分かるかもしれない。フレデリカ、聖域はどこにあるの?」

 

 ソウゴはフレデリカに問いかける。

 

「……それに関してお答えするつもりですが、まずお聞かせください。旦那様は、皆様に聖域のことを皆様になんとお話に?」

 

「いや、全然聞かされたことない。初めて聞いた」

 

「私もだ」

 

「私は……いつか、私にとって必要になる場所って、前に一度、ロズワールに……」

 

 ソウゴとウォズが初耳の中、エミリアだけは知っている模様。だが、どうも漠然とした表現だ。

 

「いつか必要になる場所……? それって……」

 

「旦那様らしい物言いですわね」

 

 ソウゴが問いただすより前に、フレデリカは微かに笑みを孕んだ口調で言って、目を閉じた。それから彼女はその場でスカートを摘まみ、深々とカーテシーする。そして──、

 

「これよりお話ししますのは、口外無用の『クレマルディの聖域』の場所と入り方。そしてその『聖域』へ行くにあたって、忘れてはならない名前。

 ———— ガーフィール、という人物にお気を付けください。『聖域』において、エミリア様たちが最も注意して接しなければならないのが、その人物ですわ」

 

 開いた翠の瞳に複雑な感情を宿し、フレデリカはその名前を口にしたのだった。

 

 

 

 フレデリカとの話し合いの結果、ソウゴ達の聖域への出発は二日後の早朝とされた。

 

彼女曰く、『クレマルディの迷い森……『聖域』はそこで特殊な結界に守られていますの。結界は部外者の存在を遠ざけ、道を誤らせる。それ故の迷い森の通称ですわね。その結界の影響を無力化するために、準備に二日いただきますわ』、とのこと。

 

 そして、聖域という場所は、曰く付きの亜人族の受け入れ先である。

 

「あっ、ベアトリス」

 

出発当日。聖域に行く為にウォズと玄関に向かっていたソウゴは、廊下の途中でベアトリスと鉢合わせる。

 

「オマエたち、話があるかしら」

 

そう言ってベアトリスは側にあった扉を開けて中に入る。ソウゴとウォズは顔を合わせた後、ベアトリスに続いて部屋に入った。

 

「君から話があるとは、珍しいこともあるものだね。それで、何の用なんだい?」

 

「…………オマエが、この前連れて帰ってきた男についてなのよ」

 

「ペテルギウスのこと?」

 

ウォズの問いに答えたベアトリスにソウゴは反応する。

 

「あの男は……ジュースは————」

 

ベアトリスの口から、ペテルギウス・ロマネコンティについて語られ始める。

 

彼女曰く、彼は今から100年前の人物で、ベアトリスとも親交があったこと、魔女教の設立者の一人ではあるが、穏健派というべき人物で、エリオール大森林のハーフエルフたちを支援していたこと。そして、エリオール大森林を襲撃した魔女教の過激派との戦闘の最中、魔女因子を取り込んで狂人と化したこと。

 

そして、そのエリオール大森林は、エミリアにとっての故郷でもあることを。

 

「………………ジュースの体からは、魔女因子が消えていた。一体どういうことなのよ」

 

「それは我が魔王が召喚した仮面ライダービルド、・ジーニアスフォームの力だ。ビルドジーニアスフォームは、人や星に悪影響をもたらす物を中和できる。そして、我が魔王が召喚したビルドは、ハザードトリガーをつけたジーニアス。アレなら、中和どころか浄化すら可能だ。ペテルギウスとの戦闘中に、地球の本棚にアクセスして魔女因子の記述を読んでそれを思いついたんだ」

 

信じられないベアトリスだが、事実ジュースからは魔女因子が消えている。証拠がここにある以上、彼女はそれを認めざるを得なかった。

 

「それで、ペテルギウスの状態は?」

 

ソウゴがベアトリスに問う。

 

「…………今のところ命に別状はないけれど、意識は全く無い状態なのよ」

 

「そっか。とりあえず、ペテルギウスはベアトリスが預かってくれない?」

 

「………………分かったのよ」

 

ソウゴがベアトリスに告げる。彼女は、少し考えたのち、渋々それを承諾した。

 

「ありがとう。それじゃあ、俺たちそろそろ行くね。エミリアとフレデリカを待たせてるからさ」

 

その後、ソウゴとウォズは屋敷の玄関へ向かう為、部屋から出ていった。

 

ソウゴ達が去った後、ベアトリスは、脚立の反対側の足掛けに乗せていた黒い装丁の本を持ち上げ、その頁を開いた。

 

それは————福音書であった。魔女教の者達は誰しもが持つ、所有者の未来を記す本。それはペテルギウスも例外では無い。だが、彼女は魔女教では無いのにその本を持っている。それは、彼女の持つ本はある者に与えられた特別な一冊であるからだ。

 

「お母様……」

 

完全に沈黙した福音書。彼女の時間は、既に400年前に止まっていた。

 

—————— お母様も、ロズワールも、ジュースも、そしてスバルさえもみんな去っていった。…………はずなのに、ジュースがこんな形だけれど、帰ってきた。

 

—————— あの男は—————— トキワ・ソウゴは、精霊だってできないことを覆して見せた。

 

——————ひょっとしたらあの男は、トキワ・ソウゴは私の…………『その人』、なのだろうか?

 

そう思ったそのとき、ベアトリスは驚愕した。沈黙した福音書に一瞬だけですぐ消えたとはいえ、文字が現れたのだ。

 

ジオウのライダーズクレスト——————『カメン』のマークが。

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