Re:ゼロから始める魔王の異世界生活   作:きゃぷてん

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2019:KING BET

「君たちに、消えてもらわなければならない理由が出来てねーぇ」

 

 空から降り立ったロズワールはソウゴ達に向けてそう告げると、一冊のハードカバーの本を取り出した。

 

「この本は福音書。この世で2冊しか存在しない未来を記す書だ。魔女教が持っているような劣化品ではなく、本物の、ね」

 

 ウォズは、私の逢魔降臨歴のようなものか、と解釈しながら、

 


「では、その本に私たちを殺せと記されたのかい?」

 


 と問い返す。しかし、それにロズワールは首を横に振り、

 

「いいや、何も書かれていないよ、ここに私がくることも含めてね」


「ならば何故?」

 

 ウォズは怪訝な顔をして再び問う。

 


「だからだよ。この本は所有者の未来を示す。その過程で私に関わる者の未来や能力も記される。なのに、君達のことは一切記されていない、スバル君とやって来たあの日から、ね。

 福音書に記されないなんて今まで一度もなかった。全てが不足無く書かれていて、その誤差もほとんど無い。まさに異常だ。そして最近、新たな問題が起こった。この本に、次々と新たな未来が書き込まれ出した」

 

 ロズワールが本を開くと、そこには、今も新たな未来を記し続けているのか、数多の文字が次々と現れ、頁の中で蠢いているようだった。

 


「さっきも言ったけれど、この本の記す未来にはほぼ誤差がない。なのに数多の未来が記されるということは、未来を正確に予知できなくなっているということだ。


 正確に予知できないなんて今まで無かった。そんなの、あってはならないことだ、私の敬愛する師が作り上げたこの本に。


 結果として、スバル君とレムがカララギへ旅立った。それも当然書かれていない。最大の想定外だ。

 私は君達を殺す。私の望みを叶える未来を阻害する君たちを。私の福音を狂わせ、妨げる君たちを……!」

 

 いつものような間延びしている口調ではなく、ドスの効いた、迫るような低い声。

 

 その紺碧と琥珀色の両目は、ソウゴとウォズを鋭く睨みつけ、憎悪、そして殺意を滾らせる。

 

「そう」

 


 ソウゴは、ただ一言そう呟く。

 


 戦闘は避けられない、そのとき、ウォズのストールが突如伸びて、ソウゴ達の後ろから迫る風の刃を弾いた。そこにいたのはラムだった。彼女の魔法攻撃だったようだ。

 



「謝りはしないわ、ロズワール様のためだもの。それに、レムのことには思うところがあるから」



 

 ウォズがビヨンドライバーをつけようとするとソウゴがそれに対して、

 


「ウォズは下がってて」

 

 手で制し、そう告げる。

 

 ジクウドライバーを装着し、ジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチを起動。

 

『Zi-O!』『GRAND Zi-O!』

 

 そしてソウゴは、ウォズにアイコンタクトをとり、

 


「承知した、我が魔王」

 


 何かを察して一礼し、下がるウォズ。

 

 ソウゴは、起動したジオウライドウォッチとグランドジオウライドウォッチをジクウドライバーに装着し、ロックを解除する。

 

 すると、ソウゴの背後に巨大な黄金の時計塔が出現し、祝福するかの如く、周囲に時計状の金の紙吹雪が舞い始める。

 

 更に、左右には平成ライダー達の石像が現れる。左がクウガからディケイドまでの平成1期、右がダブルからジオウまでの平成2期。

 

 そして石像のベールが剥がれることにより、本来の色を取り戻し始める。

 

『ギュィィィィン! ブォォォォォン! アドベント! Complete! ターンアップ! キィィィィィン! CHANGE BEETLE! SWORD FORM! ウェイクアップ! KAMEN RIDE!』

 

 2000、そして2009。

 

『サイクロン! ジョーカー! タカ! トラ! バッタ! 3! 2! 1! シャバドゥビタッチヘンシーン! ソイヤッ! DRIVE! カイガン! レベルアップ! ベストマッチ! ライダータイム!』

 

 2009、そして2018。

 

「変身」

 

 ソウゴはその一言を皮切りに、ジクウドライバーを360°、回転させた。

 

『グランドタイム!』

 

 前奏。

 

 さぁ、祝福の時。

 

『クウガ! アギト! 龍騎! ファイズ! ブレ・イィィィィィド! 響鬼! カブト! 電王! キバ! ディケ・イィィィィィド!』

 

 高らかに叫ばれる戦士達の名前。

 

 歴史を刻んだ、彼らの名前。

 

『ダァァァブゥゥゥゥゥル! オォォォォォズ! フォォォォォォゼ! ウィザァァァァァド! 鎧武! ド・ラ・イ・ブゥゥゥゥゥ! ゴーストォ! エグゼェイドッ! ビィルドォォォォォ!』

 

 そして、彼らの力を、意志を、受け継ぐ者。

 

 その名は————。

 

『祝えッ! 仮面ライダーァァァァァァッ! グ・ラ・ン・ドッ! ジ・オォォォォォォウッ!』

 

 19人の平成ライダー達の力を宿す黄金の鎧の戦士、その名も、仮面ライダーグランドジオウ。

 

「さて、君を相手に手加減はできないからね、全力で行くよ」

 

 ソウゴがグランドジオウに変身したのを見たロズワールとラムは詠唱をし、それぞれ炎の球と風の刃を放つ。

 

『エグゼイド!』

 

 ジオウがレリーフに触れると、赤い2016の電子数字と共に、黄金のゲートが出現。開かれると、そこから仮面ライダーエグゼイド・ムテキゲーマーが。

 

 エグゼイドは頭部に付いているハイパーライドヘアーを振ってロズワールの火球を防ぎ、ラムの風の刃は腕を振るい掻き消す。

 

 そしてエグゼイドはショートワープを使用し、ラムの目前まで一気に接近。

 

「ハアッ!」

 

「ぐうっ!」

 

 そのままラムを平手で吹っ飛ばし、彼女は軽く呻き声を上げる。

 

『ウィザード! ゴーゥスト!』

 

 2012と2015の赤い電子数字。そしてゲート。そこから、仮面ライダーウィザード・オールドラゴンと、仮面ライダーゴースト・グレイトフル魂が。

 

「アル・ヒューマ!」

 

 空中に浮かんでいたロズワールが詠唱すると、約5メートルはあるであろう氷柱を4本放つ。

 

「魔法の力、見せてやるよ」

 

「命、燃やすぜ!」

 

 ウィザードは飛んでくる2つの氷柱をオールドラゴヘルクローで切り裂く。

 

 甲高い音を立てて砕けた氷を、ウィザードはグラビティの重力操作能力でロズワールに向けて飛ばす。

 

 ゴーストは、右腕部を保護する鎧、ノブナガードに宿るノブナガゴーストの力によって、大量に複製されたガンガンハンドが背後に浮遊していた。

 

 そして自身もガンガンハンドを構えて、一斉掃射して迫る2本の氷柱を砕く。

 

 ロズワールはゴーアで飛んできた氷を掻き消すと、目前にはゴーストが迫ってきており、そのまま格闘戦に入る。

 

 ロズワールは格闘術の実力も高いが、ゴーストは左腰部の鎧のベンケプレートに宿るベンケイゴーストの力で攻撃力と防御力の強化により互角に戦えていた。

 

 そしてロズワールは、後ろから熱気が迫っていることに気付いた。

 

 ウィザードは胸部のウィザードラゴンの頭部を模した鎧、オールドラゴスカルから火炎放射が放たれ、目前まで迫っていた。

 

 ゴーストに気を取られていて気づかなかったが、間一髪避けることに成功する。

 

「アル・フーラッ!」

 

 避けた直後、ロズワールは翡翠色の竜巻をウィザードとゴーストに向けて放つ。

 

 だがそれをウィザードが風のエレメントを身に纏い、自身が竜巻となりぶつかっていくことで相殺する。

 

「アル・ゴーアッ!」

 

叫び、小規模の太陽を思わせる火球を放つ。が、それはゴーストのニュートニックショルダーに宿るニュートンゴーストの斥力の力によって跳ね返される。

 

 そのまま続け様にゴーストがエジソニックショルダーに宿るエジソンゴーストの力でスパーク攻撃を仕掛け、ロズワールも手から火炎を放ち、電撃と炎のぶつかり合いとなる。

 

 その間にゴーストはベルトの左にあるレバーを押し、右の赤いボタンを押す。

 

『ビリー・ザ・キット! デルデルデ〜ロ! ラッシャイ‼︎』

 

 瞬間、ゴーストのアイコンドライバーGからビリー・ザ・キットのパーカーゴーストを纏う黒い人影、偉人ゴーストが出現する。

 

 ビリー・ザ・キットの偉人ゴーストは、その手にガンガンセイバー・ガンモードとバットクロック・ガンモードを構え、ロズワールに向けてトリガーを引く。

 

 迫りくるエネルギー弾の嵐をロズワールは片手で氷柱を放って対応する。

 

 しかしゴーストは左脛部を保護するロビングリーブに宿るロビンゴーストの力で5体の分身を召喚。

 

 分身のゴーストは、ガンガンセイバー・アローモードのエネルギーで生成された弦を引いて、一斉にロズワールに向けて放つ。

 

 当たりそうになった瞬間、ロズワールは上へ飛び立ち、それを避ける。

 

「成る程ねぇ…………。これが白鯨を倒した力か…………」

 


 ロズワールは表向きは冷静に語るものの、内心では驚愕を隠せなかった。

 

 ソウゴが強いことは知っていた、白鯨を倒したことも知っている。とはいえ、ここまで差があるとは。それも、ウォズを下がらせた上で、だ。


 完全に手を抜かれている。なのにこちらは彼に傷一つつけられていない。おまけに彼は一歩も動いていない。その場で身体のレリーフに触れるだけだ。屈辱以外の何者でもない。

 

「だが、高見の見物も程々にしておくといい!」

 

ロズワールはジオウに向けて炎で作られた巨大な龍を放つ。

 

「はあっ!」

 

 だがそれは瞬間移動により出現したエグゼイドがガシャコンキースラッシャーで切り裂かれた。

 

「くっ……かはあっ……」

 

 ラムとエグゼイドの戦闘は終了していたのだ。ラムの攻撃は一切効かず、おまけに瞬間移動で間合いを詰められ、何度も殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ。


 まるでボールのごとく遊ばれたラムは、意識こそ残っているが、マナも含めて完全に戦闘不能で地面に伏している。


 

「こっちのマナが無くなるのも時間の問題か…………」

 

 仮に目の前にいる3人のライダーを乗り越えられたとして、次にジオウがどんな手を使ってくるか分からない。それではジリ貧で負けてしまう可能性もある。

 

「ならばこれだ」

 

 そう言ったロズワールの手には炎が収束する。

 

 ロズワールの掌で迸る炎は先程放った小規模の太陽よりも大きなサイズであった。

 

「燃えるがいい、トキワ・ソウゴッ!」

 

 最大出力の火魔法がジオウに放たれる。だが、ジオウは冷静にレリーフに触れた。

 

『カブト!』

 

 2006の赤い電子数字とゲート。開かれると仮面ライダーカブト・ハイパーフォームが。

 

 カブトはその手に持っていたパーフェクトゼクターをガンモードに変形し、ボタンを押していく。

 

『KABUTO POWER. THEBEE POWER. DRAKE POWER. SASWORD POWER. ALL ZECTOR CONBINE!』

 

 パーフェクトゼクターの先端にタキオン粒子のエネルギーが収束を始める。

 

『MAXIMUM HYPER CYCLONE!!』

 

 引き金が引かれ、前代未聞の火力が無慈悲に放たれる。

 竜巻状の巨大エネルギーはロズワールの最大の火魔法は一瞬で原始の塵と化した。


 マキシマムハイパーサイクロンを間一髪回避したロズワール。だが、ジオウは追撃の手を緩めない。

 



『時間よ、止まれ!』

 


 グランドジオウの頭部にあるジオウのレリーフが叫ぶと、ロズワールも含めて周囲の時間が停止する。

 

(なんだ…………っ、これは…………!?)

 

(時間を止めた…………!? いやっ、そもそもっ! ソウゴは魔法が使えないと聞いて…………っ!)



 

 時間は止まったが意識はあるロズワールとラムは、最大の驚愕をしていた。魔法が使えないはずのソウゴが時間を止めたのだから。



 

『フィニッシュタイム! グランド! ジオウ!』


 

 ベルトの操作をするグランドジオウ。

 


『オールトゥエンティ! タァァァァァァイムブレェェェィィィクッ!』

 

『ONE TWO THREE. RIDER KICK!』

 

『グレイトフル! オメガドライブ!』

 

『ハイパァァァァァァァァ! クリティカルスパァァァァァキィィィィィグ!』

 


ジオウ、カブト、ウィザード、ゴースト、エグゼイド。

 

 5人のライダーの色取り取りのキックがロズワールへ放たれる。

 

 ロズワールは避けようにも、止まった時間の中で唯一止まっていないのは自身の意識だけなので、どうしようもなかった。


 

「ハァァァァァァァァァァァァッ!」

 

「グァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 ロズワールに5人のライダーのキックが直撃。そして、爆発し、地面へと墜つ。

 

「ロズワール様ァァァッ!」

 


 慟哭するラム。

 

「ぐあぁっ………くっ…………」

 

「ロズワール様っ!」

 

ソウゴが手加減したのか、ロズワールは生きていた。もっとも、重傷であることに変わりはないが。生きていることに、ラムも一瞬安堵の顔をする。



 

「全く色々となめられたものだ、我が魔王に勝てると思ったことも、この本程度で、私たちの未来を予言するなど」


 

「っ! それはっ、いつの間にっ」

 


 ロズワールの元へ歩いてきたウォズ。その手にはいつの間にかロズワールの福音書が。



 

「そこそこにはいいものではあるが、この程度では全く話になら無い。我が魔王の未来を記すのはこの『逢魔降臨歴』をおいて他に無く、そして我が魔王は、この本に記された未来すらも越えていく。君ごときに計れる程、安くはないよ」



 

 そう言ってウォズは福音書をロズワールに投げ返す。ボロボロの身体でなんとか地面に落ちた福音書を回収するロズワール。

 変身を解いたソウゴはロズワールへと歩む。そして、ある提案を持ちかける。

 


「賭けをしようよ、ロズワール。俺たちは聖域を攻略してここを解放する。あんたは自分の願いのために俺たちを妨害する。


 俺たちは誰も犠牲を出さないで、聖域を解放すれば俺たちの勝ち。そうなったらその本を捨ててもらうし、今後何も言わせないし、させない。


 あんたは福音書が示す人を一人でも殺せればあんたの勝ち。そのときは俺たちはあんたの指示にしたがうよ。どう?」


 

 それは、普通に聞けば無謀な賭けであった。だが何故だろう、彼が言うと、絶対に彼が勝つとわかってしまう、そう感じてしまう。



 

 だが、ロズワールとしても、引くことはできない、何より大事な悲願のため、そして己の執念と信念を否定させぬためにも。

 



「…………ふふっ、はははっ。いいだろう。君のその賭け、受けて立とう」

 

 

 ここに、魔女に取り憑かれた執念の魔術師と、最高最善の大魔王の戦いの火蓋が、切って落とされた。




我が魔王が魔法使えない云々のエピソードは後々出します
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