まあ今まで怖いもの知らずな話を投稿しかしてないので、読者の皆様からしたら今更かもしれませんけれど。
時間は少し遡り、エミリア達が聖域に到達して、彼女が最初の試練を失敗した頃。
夜の聖域の森付近で、ウォズが歩いていた。
ウォズは単独で聖域の調査を行っていた。エミリアのようなハーフを阻む強力な結界、試練を挑む為の墓所であったりと、不思議な点が多いことに疑問を持ったからだ。
結界の原理についてはハーフを聖域から出さないこと以外詳細は不明、墓所に入っても身体に拒絶されるような違和感があるくらいでエミリアの時のように光ったりはせず、試練は受けれないようだ。 情報をある程度把握して拠点に戻ろうとしていたウォズは突然停止し、口を開いた。
「隠れてないで出てきたらどうだい? 見張っていたのはわかっているよ」
ウォズの声に反応するように、茂みから複数の人影が現れた。
すると出てきたのは、金髪の青年、ガーフィール・ティンゼルと村の代表リューズとよく似た無数の少女達。彼女らは全員白い貫頭衣を着ていた。
「君達は…………」
「てめぇ、いつから気づいてた?」
「最初からだよ。調査し始めた頃からつけられているのには気づいていたけどね。それで、君たちは私に何か用かな? それにリューズ氏に似ているそこの彼女達は?」
「答えてやる義理はねェ。そういうてめぇはこそこそ動いて何を企んでやがる? 今はもうおねんねの時間だぜ? 『夜更かしルーディは短足を後悔する』って言うしなァ」
「後悔するような年ではないし、むしろ寝た方が良いのは君だと思うけれどね。まあ、見てわからないかな? ここの調査だよ。聖域の攻略はエミリア君にしか出来ない以上、その手助けとして調査をするのは当たり前だろう?」
「そういうことなら、てめぇを野放しにするわけにはいかねぇな」
そういうとガーフィールは明らかな戦闘態勢に。回りのリューズ達も同じだ。
「……なるほど、住民の中には聖域解放を反対する者もいるだろうと思っていたが……君は内心そうだったというわけだ。なら、これは表だっては出来ないことだね」
「てめェに好き勝手はさせねぇ。ここで牢屋送りにしてやるよ」
「話し合いの余地はなし、か。なら私も抵抗させてもらおうか」
『ビヨンドライバー!』『シノビ!』
そういうとウォズもビヨンドライバーをとりだして装着し、シノビミライドウォッチを起動する。
「変身!」『投影! フューチャーリングシノビ!』
ウォッチを装填して操作。そのまま仮面ライダーウォズ・フューチャーリングシノビに変身完了した。
「うおおおっ!」
多少驚きはしたが、それに構わず襲いかかるガーフィール。
しかし、ウォズはかわし、いなして、逆にカウンターを叩き込んでいく。回りを囲むリューズたちも襲ってくるが、ジカンデスピア・ヤリスギモードで追い払う。
「ちいっ、ちょこまか動きやがって……!」
「見た所、君の攻撃は当たったら一溜まりもなさそうだ。しかし、当たらなければ問題はないということになる」
フューチャーリングシノビは素早さが売りの形態でもある。そのおかげでガーフィールの攻撃にも対応できた。
「私は君たちにこれ以上時間をとられる気はない。これで決めさせてもらおう」
『キカイ!』『投影! フューチャーリングキカイ!』
そういうとウォズはシノビミライドウォッチをキカイウォッチと交換、フューチャーリングキカイへフォームチェンジ。
頭部アンテナからナノツールを放出し、周囲のリューズ達に当てることで彼女らをセミヒューマノイズにする。その後、ガーフィールに向かわせた。
「あァ!? てめェらの相手はあっちだろうが! くそっ、てめぇなにしやがった!?」
「見れば分かるだろう? 軽く洗脳しただけだ。おとなしくそのまま帰りたまえ。しばらくすれば彼女達は元に戻るだろうさ」
「ここまでコケにされて、おとなしく引き下がれるかァ!」
リューズ達を振りきり、ガーフィールは渾身の一撃を叩き込むべく突進する。 ウォズはやれやれと首を振りながら、ベルトとジカンデスピアを操作する。
『フィニッシュタイム! フルメタルブレイク!』
「ッ!」
発射されたアンカーがガーフィールに絡み付き、一気に引き寄せる。だったらと、その加速を利用しようとするガーフィールだが、
『フィニッシュタイム! 爆裂DEランス!』
先に喰らったジカンデスピアの強烈な一撃に吹き飛ばされる。
「この辺りで失礼させてもらうよ」
変身を解いたウォズはストールを使い瞬間移動して消えた。
「ちいっ! 逃した……!」
ガーフィールは立ち上がって歯を食いしばった。
「反対派がいるとなると、面倒なことになるな……彼らにとってはエミリア君の立場は関係ない。それにロズワールの動きも怪しい……更に調査が必要になりそうだ……」
別の場所に移動をしたウォズは拠点へと帰還していった。
その日以降、ガーフィールが聖域に姿を現すことは無かった。
◇◇◇◇
聖域についてから3日目の夜。
「エミリア……」
とある小屋では、眠っているエミリアの傍にソウゴがいた。今回も彼女は試練に失敗してしまったのだ。
「…………ん?」
部屋にいたウォズは窓から見えた景色に変化が訪れていることに気づいた。
「雪が降っているね……そんな兆候は無かった筈だが」
「何か、嫌な予感がする……」
「……我が魔王はエミリアくんとここで。私が様子を見てくるよ」
「分かった」
ウォズはソウゴに拠点とエミリアを任せ、外に出た。雪だった天候は徐々に悪化し始め、吹雪になり始めている。 しかし、聖域内に特に変化はない。だが、この吹雪に近いものに見覚えはあった。
「いままで雪どころか吹雪の兆候は何一つなかった。ということは……まさか魔獣か?」
以前戦った白鯨は出現する時に霧を発生させていた。この吹雪も魔獣の特性かと推察するウォズ。
様々な場所を瞬間移動を連発することで移動し、ある場所に来て見つけた。
そこにいたのは無数のウサギのような魔獣の大群だった。
「これは……凄まじい大群だ。見過ごすわけにはいかないね」
『タイヨウ!』
「変身!」
『投影! ファイナリータイム! 灼熱バーニング! 激熱ファイティング! ヘイヨー! タイヨウ! ギンガタイヨウ!』
ウォズはギンガタイヨウフォームに変身。初手から必殺技を発動する。
『ファイナリー・ビヨンド・ザ・タイム! バーニングサン・エクスプロージョン!』
巨大な火球が魔獣達を焼き尽くしていく。さらに、両肩のグラビコンソーサーで周囲の温度を急上昇させ、魔獣達を自然発火させていく。
6割近くの魔獣が焼き尽くされてくると、一部の兎魔獣たちが突如逃げ出していく。残りの兎魔獣もそれに続き始めた。 しばらくとどまっていたウォズだが、反撃も援軍もない事を確認すると、ウォズも変身解除してマフラーで帰還する。
だが、その一部始終を見ていた人物がいた。ロズワールである。
「また、記されていない行動……やはり彼らを残しておくと、今後に支障がでそうだぁーね」
そういって、ロズワールは姿を消した。 その後、ロズワールはソウゴ達を抹殺するべく行動を起こすが、グランドジオウの前に撃破されもともと負っていた傷もあって当面動けなくなってしまう。
しかしその結果、あの天候変化がしばらく起こらなかったことから、ロズワールが何かしらしたということだけは確定し、ウォズはそれを含めた調査をすることになるのだった。
◇◇◇◇
ソウゴとの戦闘に敗れた翌日、ラムは拠点の外にいた。
彼女は、ジオウが召喚したエグゼイドムテキゲーマーと戦闘はしたが、エグゼイドは致命傷になるような攻撃はせず、最低限度の攻撃でラムを無力化したため、翌日にはある程度動けるほどには回復できていた。
それに対してロズワールはジオウとの戦闘前に負った聖域に入った時の怪我も合わさって当面は絶対安静だ。
外に出たラムは色々と考え始めた。ソウゴのけた違いな戦闘能力。分かっていたはずだが、現実はそれ以上だった。
彼とこれ以上争うことには何の意味もない。————それよりも、彼を利用し己の悲願を果たすべきではないのか?
ラムの悲願、すなわちロズワールを魔女の呪縛から解き放つこと。 ソウゴとロズワールは聖域の解放と、福音書の破棄を賭けた勝負を始めている。従者としては、ロズワールに味方すべきなのだろう。だが、本心に従うならソウゴ達に味方するべき。千載一遇のチャンス。
だが同時に、ラムにはソウゴ達に若干の不信があった。 ソウゴ達が賭けに勝ったとき、何をしでかすか分からないこと、そして、レムとスバルが出奔したとき、近くにいながら止めなかったこと。 仮に、その不信を棚上げにしても、一度はソウゴに対立した以上、安易に味方になるのも無理がある話。彼らも不信に思うだろうし、ロズワールがどういう行動に出来るかも想像がつかない。
いずれ、ロズワールと対決するにしても、その時まで悟られないようにしなければならない。 となれば、当面はソウゴ達を監視しつつ、タイミングを見計らって、ソウゴ達と極秘に接触、彼らが知らない情報を流して信用してもらうか、最低でも福音書を奪取、破壊できる状況を彼らに作り出してもらうしかない。
そう結論を出すと、ラムは千里眼でソウゴ達を探し始めた。案外すぐに見つかったが、ソウゴとウォズ以外に、見馴れない人物が3人。話を聞く限り、どうやらソウゴの仲間らしい。
彼らの話の内容は大部分が理解できなかったものの、ウォズが、見馴れない3人の内、ゲイツ、ツクヨミという名前らしい二人と屋敷に向かうこと、ツカサなる人物に、なにか伝言を伝えたこと、それだけは分かった。 もう少し観察するか、それともソウゴと接触するべきか……そう考え始めたラムだったが、
「! 誰っ!?」
茂みから音がして、杖を取り出して突きつけるラム。
「おいおいやめろラム、俺ッ様だ」
「……ガーフ?」
茂みから現れたのはガーフィールだった。
「今まで何処にいたの? 突然行方をくらまして……」
「何ッだよ、心配してくれたのかァ?」
「別に。貴方のことだからしぶとく生きてるだろうと思ってたけど。それで、今まで何をしてたの?」
「……何も聞かされてねェのか?」
「? 何を?」
「聞かされてねェのか……ま、お前を信じて一応話しておくぜ」
ガーフィールはラムに事情を話した。 ウォズが色々と動き回って聖域を調べ始めたこと、ガーフィールがリューズ達と彼を捕らえようとしたが逃げられたことを。
「で、あいつがお前やエミリア様に俺のことをバラすだろうから身を隠してたわけだ。それで隙を見て今お前ンとこに来た」
「…………ウォズからそんな話は聞かされていないけれど」
「…………その様子だとマジで聞かされてねェのか。アイツ、一体全体どういうつもりだァ……? 殺んのは自分一人で十分ってことかよ? ムカつく野郎だぜ……」
「?」
何かを呟いているガーフィールに怪訝そうな顔をラムはする。
「とりあえず、俺はまだしばらく身を隠しておく。じゃあな」
そう言い残してガーフィールは森の奥へと走り去ってゆく。
恐らくガーフィールはソウゴ達を捕らえたいが、ロズワールとエミリアの客人でもあるソウゴ達を、安易に捕らえることも出来ない。 となれば、ガーフィール達は再び、ウォズ達と激突するだろう。 なら、接触するならそのときしかない。
そして、できれば接触するならゲイツ、ツクヨミがいい。彼らはこちらの事情を深くは知らない。なら、交渉次第ではなんとかなる。 だが、ソウゴの指示で、彼らが戻らない場合も想定する必要がある。その場合は自然とウォズになるだろう。 それだけはなんとか避けたいと思いつつ、ラムは仕事の合間を縫いながら、ソウゴの監視を続けるのであった。
◇◇◇◇
ベアトリスの要望でロズワール邸にゲイツとツクヨミを残してから数日後、ウォズが改めて迎えに来て、ロズワール邸の護衛はツクヨミが引き受けることになり、ゲイツはウォズと共に聖域に戻ってきた。
その日の夜から、ウォズと共に聖域の調査を行うことに。と言っても、実際の調査はウォズによってほとんど終わっており、ロズワールの牽制という意味になっているのだが。
ウォズから、変身して行動した方がいいと言われ、変身して動き回っていたゲイツは、突如攻撃を受けた。 気配と探知システムで気がついていたため回避は出来た。目の前にいるのは、獣人が一人、それと周囲に何人かいる。ゲイツは知らないが、リューズ達のことだ。
「何者か、と聞くのは野暮な話か。話には聞いていた聖域解放反対派、か?」
「てめぇに答えることは何一つねぇ。これ以上、てめぇらにうろちょろされたくねぇんだよ!」
そう言ってゲイツに襲いかかるガーフィール。しかし、攻撃はみきられ、一発も当たらない。 苛立ち始めたガーフィールをよそにゲイツは周囲の敵が動くのを警戒していたが、一向に動こうとしない。 前回のウォズとの戦いの一件で、リューズ達が操られるという苦い経験をしたため、その警戒から、確実に仕留められる状態になるまではリューズ達を突入させない、それがガーフィールの算段だった。
「何をたくらんでいるかは知らないが、まとめて仕留めればいい話だ!」
そういうとゲイツはウィザードアーマーに変身。バインドの魔法で周囲に隠れていたリューズ達を水の鎖で空中に縛り上げ、捕獲した。
「ッ! この野郎ッ!」
それをみて怒りのあまり突進するガーフィールだが、突如動けなくなった。よく見ると、彼の足にもバインドの水の鎖が巻き付いている。水の鎖は魔力が高いためか、安易に引きちぎれない。 その一瞬の隙にゲイツはドライバーを操作。
『ストライク! タイムバースト!』
ガーフィールは鎖を引きちぎる。しかしその頃には巨大な腕が既に目前に迫っていて、視界が瞬間的に白に染まるのはすぐのことだった。
「う゛うっ…………あ゛あっ…………クッソがァァァァ…………!」
森の別の場所で白リューズと共に地面に伏したガーフィールは、握りしめた拳を土に叩きつけた。
周囲に敵がいないことを確認し、ゲイツがその場を立ち去ろうとしたその時。
「流石はソウゴの仲間ね、ガーフを撃退するなんて」
振り向いて身構えると、そこにはピンク色の髪の小柄な少女が。
「何者だ」
「構えなくて良いわ。私はロズワール様のメイドのラム。今はソウゴ達の同僚よ。それくらいの話は聞いているとは思うけど」
確かに、ロズワール邸へ行く道中やベアトリスとの会話で話は聞いていた。 エミリアというハーフエルフの事、その後見人のロズワールと、彼に仕えるメイド達の事は。
「俺に何のようだ、あいつらの敵討ちか?」
「そんなつもりはないわ、あなたに……いや、ソウゴに伝えて欲しいことがあるの」
「ジオウに? なぜ直接伝えない?」
「私にも色々と事情があるの。ただ、その上で言えるのは、私にはある目的がある。それを果たすまでなら、私はあなた達の味方よ。ただ、表立って味方には今はなれない」
「その目的は何だ?」
「私の主人であるロズワール様を魔女の呪縛から解放する。そのために、あの人の持つ福音書を処分すること」
「……」
「さっきも言った通り、私は表立っては動けないから、今は情報を提供するのが限界。ただ、そのときが来れば私も動くわ。ロズワール様を解放するのは私の使命。 そのために私はあなた達を利用する。でも、あなた達も私を利用すればいい」
「いいだろう、それは伝えておこう。なら、協力の証拠として、一つ聞かせろ。さっき俺を襲ってきたあの獣の男は何者だ? この場所の解放反対派だとは聞いているが」
「あれはガーフィール。言ってしまえば、腐れ縁の仲かしらね。あれが聖域の解放に反対するのは、昔のトラウマが原因よ。 家族に関わるもので、聖域の外が恐ろしいものだと、自分から全てを奪い去るものだと思い込んでる。だから、聖域の解放も外に出ようとする者も全部許せない。 ある意味では、自分のからに閉じ籠った臆病者とも言えるんだけど」
「過去のトラウマ……か」
「自分だけが囚われるならいいけど、それを理由に他人も閉じ込めてちゃ世話無いわ。しかも、それを自分が聖域の住民を守っているって、強引に正当化しているから余計にタチが悪い。 ロズワール様と一緒にガーフィールの絶望も砕かないと、屋敷にも帰れないでしょうね」
「……」
「新しい情報は、分かる範囲で渡していくわ。 ただ今の段階で一つ言えるのは、屋敷の方が狙われる可能性が高いわ。ソウゴを絶望させたいなら知らない誰かより、知っている誰かの方がより効果的だから」
「……分かった」
「そろそろラムはロズワール様の元に戻るわ。怪しまれて悪巧みがバレたらまずいもの」
翌日、ゲイツはソウゴにラムの一件を伝えると、ゲイツにある指示を出した。
「ロズワールの牽制はウォズに任せて、ゲイツは俺の近くにいて。俺もそろそろ動く必要があるし、そうなると必ずガーフィールも動くから。正面から叩き潰すならそのときだから」
ソウゴの中ではもう展開は見えていた。そして、そのときはそう遠くないうちに訪れることなる 。
◇◇◇◇
そして、その日は訪れた。エミリアが突然姿を消した。慌てる住民をよそに、ソウゴは冷静にどこかに向かって歩き出した。
ソウゴの言うとおり、彼の近くで待機していたゲイツも動き出そうとした。するとそこにラムが現れた。
「エミリア様が突然いなくなったのだけど、何か知らないかしら?」
「俺は何も知らん。ジオウは知っているようだかな。何処かに行くようだから俺も追いかける。所であのときもそうだが、俺の居場所がなぜ分かった?」
「ラムには千里眼って能力があるの。波長の会う生き物と視界を共有することで、遠くの景色も見ることが出来る」
「なるほど。ジオウも俺も、最初から監視されていたというわけか」
そうゲイツが言ったその時、ゲイツのファイズフォンⅩに着信が届いた。画面にはジオウと書かれている。
「ジオウ、どうした?」
『エミリアの場所が分かったから迎えに行ってくる。ゲイツもついてきてほしいんだ』
「ああ、分かった」
『それと、そこにラムはいる?』
「ああ、いるが……」
『ちょっと変わってくれない?』
「……変わってくれ、だそうだ」
ゲイツはラムにファイズフォンXを渡す。
「……どう使うの?」
「耳に当てればいい」
そう言われラムは耳に当て始める。
「もしもし? ラムに変わった?」
「!? ソウゴ……!?」
「ちゃんと変われてるっぽいね。とりあえず今は用件だけ伝えておくから」
ソウゴの声が聞こえることに驚いたラムだが、ソウゴの言ってきたことにさらに驚いた。 エミリアは墓所の中に居ると。それと、決着をつけるから、ガーフィールを墓所に誘き出して欲しいと。 それでプツンッと乾いた音を立てて通話は切られ、ファイズフォンXをゲイツに返すラム。
「……ソウゴは何を考えているの?」
「もうあいつの中では道筋ができているんだろう。恐らくこの状況さえも、アイツにとっては”既に見た未来”なんだろうさ」
「…………そう。とりあえずラムはガーフの元へ行ってくるわ。理由は分からずとも、今はそうした方が良さそうだもの」
既に見た未来、には引っ掛かったが、ガーフィールを誘導するなら早く動く必要があると判断してラムは去っていき、ゲイツもソウゴを追いかけ始めた。
◇◇◇◇
「動き回られてたらどうしようかと思ってたけど、案外じっとしてくれてて助かったわ」
森の中にいたガーフィールの前にラムが現れる。
「ラムか。何の用だ? まさか俺に惚れて告白にでも……」
「ソウゴは今エミリア様と共に墓所の中にいる」
「……!?」
ラムの言葉にガーフィールは目を見開いた。
「もしも仕留めたいと思ってるなら、今のうちに行っておくべきよ」
「…………どういう風の吹き回しだァ?」
怪訝そうな顔をしてガーフィールはラムに聞き返す。
「別にこれと言った理由はないわ。強いて言うなら、ただの気まぐれかしらね。行くか行かないかは貴方次第よ」
少し考え込んだ後、ガーフィールは無言で走り出した。
「…………頼んだわよ、ソウゴ」
◇◇◇◇
墓所に入っていくソウゴを近くの茂みで隠れて待機するゲイツ。しばらくすると、ソウゴと銀髪の少女が一緒に出てきた。
あの少女がエミリアなのだろうと判断するゲイツ。するとそこにソウゴの言うとおりにラムに誘導されてやって来たガーフィール。 ソウゴがドライバーを出したので、タイミングは今だと判断し、飛び出すゲイツ。
「待て、ジオウ。そいつの相手をするのはお前じゃない」
「あん? 誰だてめぇ?」
『ジクウドライバー!』『GEIZ!』
「変身!」
『仮・面・ラ・イ・ダーァ! ゲーェイツ!』
「てめぇ……! あの時の!」
「しばらくぶりだな。だがあの時と違って悠長に戦うつもりもない。決着をつけるぞ、ガーフィール!」
そして、過去の道が今へと繋がった。
次回 2019:Gの歪み/真にやるべきことは