Re:ゼロから始める魔王の異世界生活   作:きゃぷてん

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2019:Gの歪み/真にやるべきことは

「決着をつけるぞ、ガーフィール!」

 

ソウゴのように変身したゲイツに驚くエミリア。彼女が驚いている間にも、ゲイツは駆け出す。

 

「エミリア、よく見てて」

 

 エミリアの肩に手を添え、ソウゴはそれだけ告げた。

 

 ゲイツとガーフィールのパンチがぶつかり合い、衝撃波が広がってお互いに後退する。ガーフィールはゲイツに突進し殴りかかるが、ゲイツはジカンザックスを取りだし、盾にして攻撃を受け止める。

 

「てめぇらが何をたくらんでいようが関係ねぇ。ここで墓所の入り口を潰して、全てしまいにする。くだらねぇ望みを断ってやらァ」

 

競り合いになっているガーフィールが吐き捨てる。それを無視してソウゴは問いかけた。

 

「あんたは何を恐れているの? そこまでして、聖域を解放させたくない理由はなんなのさ?」

 

「てめぇらには関係ねぇよ、それに、俺が怖がっているだァ……?」

 

「怖がってるじゃん、だからそうやって虚勢を張ってる。俺たちを倒せばその原因が無くなるって思ってるんでしょ? その理由を教えてよ」

 

「黙れ! 消えろ! ……俺様に、何も聞かせんな……!」

 

「理由をしゃべってくれるなら黙ってるってば。あんたがそこまで喋りたくない理由はここにあるんでしょ?」

 

ソウゴは後ろの墓所を指差す。

 

「な……! てめぇ、それをどこから……!」

 

「あんたに何があったかは知らないよ。あんたの家族が関わってるってことぐらいしか、ね。それがトラウマになってるって。あんたの態度から見て、ここで何かを知った。それが原因で、聖域の外を恐れてる。違う?」

 

「黙れ……! 俺の過去に土足で踏み込むんじゃねぇ……! お前らだけはここで……!」

 

「なら、真実は私が語ろうか」

 

するとソウゴとエミリアの隣にストールが出現し、そこからウォズが現れた。

 

「今から14年前の事。彼の母親は、赤ん坊だった彼と、幼かった彼の姉をこの場所に残してこの聖域を出ていったそうだ。そしてその姉も、10年前にこの聖域を出た」

 

「てめぇ……!」

 

 ガーフィールは語り始めるウォズを睨む。

 

「しかしある日、彼はこの墓所で試練を受け真実を知った。墓所は強欲の魔女の力の関係上、相手の知らない事実でも記録した世界の情報を元に試練を作る。そして彼が知った真実とは、母親が出ていった理由は彼の父親を探すため、だったそうだ。しかしながら残念なことに、出ていってすぐに亡くなってしまった事も知った」

 

「一つ聞くけど、出ていったお姉さんの今は?」

 

ソウゴが問いかける。

 

「ロズワールの屋敷で働いているよ。我が魔王も既に会っているだろう?」

 

「もしかして……フレデリカ?」

 

エミリアが驚愕する。

 

「そう。彼女はいつか、ここの人たちが外の世界に出たときのために居場所を作るためにここを出た。エミリア君と同じ様に、亜人だからと差別されるここの人たちが安心して暮らせる場所を用意するために」

 

「なるほど、そこまで分かれば後は明白だ。お前は恐れたんだな、外を。自分から家族を奪っていく世界を。でも真実を知って、家族の思いも知ったから、その怒りをぶつける先を見失った」

 

ゲイツが言った。それが当たりだと示すように、ガーフィールは顔を歪ませ、歯を食いしばる。

 

「だとしたら……アンタは中途半端だよ。お母さんやフレデリカさんは想いがあって外に出たのに、あんたはその間何をしてたの?」

 

「黙れ……黙れ! てめぇに何が分かる! 知ったような口叩いてんじゃねぇ!」

 

「そう言ってあんたはお母さん達の想いを踏みにじるの? ここにいる人たちの思いも踏みにじって、あんたはどうしたいの? ここで過去と向き合って、あんたは逃げ出した。自分が勝てなかったから他の人も勝てるわけがないって、他の人たちの想いも未来も、踏みにじって良いって本気で思っているの?」

 

「ならてめぇはどうなんだよ……その女に、何度も地獄をみさせて……苦しませて……それのどこが正しいってんだ!?自分の後悔にどッこの誰が勝てんだ!? あれァ、試練はそれを教えるための性悪な魔女が用意した越えられねぇ壁だ! どうしてそれがわからねぇ!」

 

「確かに、エミリアが次で突破できる保証はないよ。泣いて逃げ出したのも事実だよ。今から挑んでも、また泣いて逃げ出すだけかもしれない。でもエミリアはそれでも挑むよ。諦めたくない目的があって、エミリアを受け止めてくれる仲間がいるなら、エミリアはいつか乗り越えるよ」

 

「そんなの……絶対に認めねぇ……! 外の世界になんか、誰もいかせねぇ……!」

 

ガーフィールは歯を食い縛っていた。噛んで破れた唇から血を滴らせ吠えた。

 

「変わるだけが幸せじゃねぇんだ。どうにもならない奴らだって大勢いるんだ! そいつらはどうすりゃいいんだよ! そいつらは幸せになるための犠牲になって、悲しい思いをすればッいいのかよ! 俺や姉ちゃんみたいになればいいのかよォ!」

 

 その叫びを真正面から見たゲイツの表情はマスクに阻まれ知ることはできず、ソウゴは無表情に見つめている。

 

「俺が、俺様が守る」

 

ガーフィールが静かに告げる。

 

「俺様が、守る。俺様が手の届く範囲は、俺様が全部守る。守って、守って、守ってみせるから……誰も失わせたりしないから……誰も、母さんみたいな思いはさせないから……」

 

ガーフィールの淀み歪んだ十年分の決意、覚悟、願い。それを込めてガーフィールは叫ぶ。

 

「俺様が、結界になるんだ!! 本物の、外と内を分ける、結界に! だから! 俺様が! 『聖域』を、みんなを! 婆ちゃんを守るんだ! 俺様にしかできねぇんだ! 知らなくて、いいんだよォ!!」

 

その慟哭を聞いたソウゴは、ため息をついた。

 

「まだ気がついてないの? あんたが本当に守りたいのはあんた自身の心だってことに」

 

その言葉にガーフィールが目を見開く。

 

「自分の心を守るためにあんたは聖域の人たちを道連れにしようとしてるだけ。それじゃ何も守れない。それどころか、その間に聖域の人たちは自力で立ち上がるよ。そしたらあんたはどうするの?」

 

ガーフィールはソウゴをにらみ、歯軋りをしだした。

 

「あんたは立ち上がる人達を認めない。全員守るって言いながら全員を傷つける。あんたが自分の心を守るために。そうなったらあんたは聖域の住民の敵になるだけだよ。そして一人きりになる。そんなことも分からないの?」

 

「黙れ……! お前こそが俺の敵だ! おまえだけは殺す!」

 

ソウゴに突進しようと、一度はゲイツを弾き飛ばすガーフィール。

 

『アーマァータァーイム! DRIVE! ド・ラーイブッ!』

 

 しかし、ゲイツは直様ドライブアーマーに変身することによって高速移動して再びガーフィールの前に立ち塞がり、彼の体を掴んだ。

 

「お前は、間違いを重ねすぎだ。誰も叱ってくれず、誰も正してくれず、誰も、止めてくれなかった。だったら俺が止めてやる。俺が、救ってやる。お前の淀み歪んだ結界を叩き壊してやる!」

 

「てめぇ……! いったい何様のつもりだァ!」

 

「最低最悪の未来を覆す、救世主だ!」

 

そう叫ぶとゲイツは、取り出した砂時計型のウォッチのスイッチをいれる。

 

『ゲイツリバイブ・剛烈!』

 

ウォッチをドライバーにセット。

 

 ドライバーを回転させ、ゲイツの後ろに砂時計が出現。そこから黄色の巨大な"らいだー"の文字が飛び、ガーフィールはそれを避けるために後退する。

 

『リ・バ・イ・ブ! ゴ・ウ・レ・ツ! 剛烈!』

 

 ゲイツの周りに黒いリングが回転しながら出現。それが弾け飛ぶと、ゲイツリバイブ剛烈へ姿を変えた。

 

 それと同時にゲイツはウィザードウォッチをジカンジャックロー・のこモードにセットし、ドライバーも必殺技発動のために操作する。

 

『フィニッシュタイム! リ・バーイブ!』

 

「確かにお前の言うとおり、誰もが変われる訳じゃない。変われず、置いていかれる奴らを守る場所は必要なんだろう。だが時間がたてばそいつらの中からもう一度と、立ち上がるやつが現れる。お前は見くびりすぎだ、独りよがりすぎだ。お前がやるべきなのは、そんなことじゃない!」

 

「黙れ! てめぇも死にやがれぇぇぇぇッ!」

 

ガーフィールは唸り声をあげながら四肢をつき、変貌していく。肉体は肥大化し、金色の獣毛が覆いつくし、理性無き凶獣に変貌する。ジカンジャックローの前に現れた魔方陣にジャックローと腕を通すとまとめて巨大化。ドライバーを回し、ジャックローの引き金を引く。

 

『一撃、タイムバースト!』『ウィザード! スーパーのこ切断!』

 

巨大化したゲイツの腕から振り上げられた丸のこ刃のエネルギーが、ガーフィールに正面から激突し、容赦なく切り刻み、吹き飛ばし、大爆発する。だがその爆炎の中から、元に戻り血を吹き出しながらも、ガーフィールが猛スピードでゲイツに向かう。だがゲイツは焦らず、リバイブウォッチを操作。

 

『スピードタイム! リ・バ・イ・ブ! シーップウ!』

 

直後、ガーフィールは吹き飛ばされ、ゲイツは青色の姿、ゲイツリバイブ疾風に変わっていた。

 

『疾風!』

 

「お前の速さじゃ俺には追い付けない。お前の淀み歪んだ速度じゃ、俺の未来には届かない!」

 

「ガァァァァァッ!」

 

もう、ガーフィールには理性はない。だがゲイツは落ち着いて語る。

 

「お前がすべきだったのは、立ち上がったやつを送り出すことだ。そして立ち上がれなかったやつらを見守り、誰かが傷ついて帰ってきたときのために、ここを守ることだろう!?それを成すのがお前の言う"結界"だ! 今のお前はそれとは程遠い! 目を覚ませェ!」

 

ゲイツはジカンジャックローに今度はファイズウォッチをセット。ジャックローの引き金を引き、さらにドライバーを操作する。

 

『ファイズ! スーパーつめ連斬!』『フィニッシュタイム! リ・バーイブ!』

 

つめモードから放たれた無数のポインターマーカーと、きっくの文字がガーフィールを包囲、捕縛する。

 

『百烈、タイムバースト!』

 

その音声と共に、超高速でゲイツは全てのマーカーをガーフィールに叩き込み、さらにきっくの文字にそって連続でライダーキックを叩き込む。

 

「う……ぐ……おれ、は……」

 

 吹き飛ばされ地面に伏したガーフィールは気絶する。

エミリアは終始驚かされっぱなしだった。そして、ソウゴに問いかける。

 

「ソウゴ、あの人は誰なの?」

 

「明光院ゲイツ。俺の友だちで、騎士団長だ!」




次回 2020:未来を示す、闇の剣士。

この世界のガーフはお母さんが出て行った理由を知ってますがそれはそれで拗らせてます
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