エルザの屋敷への強襲から翌日。
ツクヨミ達は屋敷の復旧作業を行なっていた。メィリィによって燃やされた部分や、侵入してきた際に壊された部分などを直しているのだ。
「あの時はどうなることかと思いましたが……この調子なら、ソウゴ様達が帰ってくるまでに復旧は出来そうですわね」
「そうですね、早く終わらせちゃいましょう」
フレデリカとツクヨミがそんな会話を交えながら復旧作業を進めていた。主にしているのは散らばった破片の掃除や、壊れた部分の修繕であった。
ちなみに捕らえたメィリィは地下に存在している牢屋に入れている。
「なら、完全に直し終わる前に全部燃やしてあげようかしら」
側から声が聞こえて、いたのは勿論エルザだった。
「やはり来ましたわね……」
「メィリィが何処にいるか教えてもらっても?」
「それは無理な相談ですわね」
「そう……なら、斬るしかないわね」
エルザはナイフを構える。フレデリカは腕を獣化して構える。
『ジクウドライバー!』「変身!」『ツ・ク・ヨ・ミィ!』
ツクヨミも変身する。その後、後ろから扉が開く音がした。ベアトリスが出てきたのだ。
「性懲りもなくまた来たというのかしら。オマエに腸をくれてやるつもりはないのよ」
「釣れないわね。でも、それで引く気はないわよ」
エルザが地面を踏み込んで駆け出す。駆けながら、赤い石を壁に放った。壁にぶつかった石は瞬く間に燃え始める。炎の魔鉱石だったようだ。
前回のように屋敷を燃やそうとしているが、ツクヨミが時間停止で阻止する。エルザは何度もナイフを振るいフレデリカの爪にぶつける。
お互い後ろへ飛ぶと、エルザは再び魔鉱石を投げた。床や壁に着弾し燃えるが、それも時間停止で阻止される。ベアトリスによって飛んできた紫色の結晶はナイフで弾いた。
魔鉱石を投げるエルザの行為は一見すると牽制なのだが、今回は様子がおかしい。
「ッ!」
彼女を闇のオーラのようなものが包み込もうとする度に、エルザがもがき苦しんでいるのだ。 その光景にエルザは前の戦闘時に召喚したカリバーの言葉を思い出した。闇の力に浸食されたものは存在そのものが消える、と。 彼女にはもう時間がないのだ。だから、一か八かの強襲に出たのだろう。
「私は……まだ……終われないのよ……」
『DEN-O……!』
そう言って彼女が取り出したのはアナザーライドウォッチ。 それを取り込むと、エルザはアナザー電王に変貌する。フレデリカに素早く詰め寄り、短剣を振るう。
「ふっ!」
「ぐっ!」
短剣に赤いエネルギーを込めてフレデリカを連続で切り付ける。何撃かは防ぐが、やがて身体に刃が入り傷を与えた。
「はっ!」
「!」
短剣を投げてツクヨミを牽制、壁をも走り一瞬で間合いを詰めてベアトリスに迫るエルザ。
ベアトリスが構えたその瞬間、Re:仮面英雄歴が光りだし、一人のライダーが召喚され、アナザー電王を吹き飛ばす。
カラフルな装甲に身を包み、右手には片刃で金色の剣を、左手には闇黒剣月闇を持った剣士が。
「あらぁ……その剣は……でも彼じゃないのねぇ……まぁ、どちらでもいいわ、全員のお腹、切り裂いてあげる!」
再び突撃するエルザ。しかし、召喚された剣士こと仮面ライダー最光・エックスソードマンは光速で動き回り、的確な攻撃を叩き込んでいく。
「面白い剣術だが、俺の前には無意味だ。光あれ!」
『最光・発光!』
「うっ!?」
片刃の剣こと光剛剣最光が光り輝いたその瞬間、エルザが取り込んだアナザーウォッチが弾き出され、それを逃さずツクヨミがルミナスフラクターで破壊する。 最光は2本の聖剣を重ね共鳴させながら告げる。
「光と闇……これが初めに生まれた聖剣の力だ!」
二本の聖剣から放たれた斬撃はエルザの後ろでブラックホールになった。黒色の穴はエルザを飲み込もうとする。
「くっ……! うあああああっ!」
エルザは抗おうとしたものの、穴に有無を言わされず飲み込まれて行った。
「やった……の?」
ツクヨミの言葉に最光が答える。
「アイツは異次元に飛ばされた。脱出できる能力がない限り出られはしない。闇の剣の力にいずれ飲まれて死ぬだろう。心配はもう無い」
そういうと最光はベアトリスに近づき問いかける。
「答えは決まったか?」
「……答えは最初から出てるのよ。でも、それでも私は……!」
「信じられる友が居る。それって、最高なことだぞ。不安で震え続けるより、そいつを信じてみろよ」
最光にそう言われ、ベアトリスはツクヨミに不安気な顔を向ける。ツクヨミは答えた。
「大丈夫、ソウゴは答えてくれるよ。あなたの望むままじゃないかもしれないけど、それでも納得する答えは示してくれる。これからのことは、その答えを聞いてから考えてもいいんじゃない?」
首をうつむけ考えていたベアトリスは、答えが決まったのか無言で首を縦に振った。
「決まったようだな、ならば道を開く!」
そういうと最光は月闇で空間を切り裂き聖域への道を繋げる。
「そうだ……フレデリカさん!」
フレデリカがエルザに傷をつけられたことを思い出したツクヨミが彼女の方を見る。
「私のことはお気になさらないでくださいまし。ベアトリス様が決意をなされたのでしょう? なら、お二人の手を煩わせるわけにはいきません。行ってください」
「……はい!」
フレデリカの言葉を聞いたベアトリスとツクヨミは最光と共に闇の空間に飛び込んだ。
同じ頃、エミリアは再び試練に挑んでおり、エキドナが自ら出迎えていた。
「あれだけボロボロになって、よくここに挑めるね。常磐ソウゴに依存して立ち上がった君に、真実が受け止められると思っているのかい?」
「……私はエミリア、ただのエミリア! 同じ魔女の悪意になんてもう屈してあげない。誰が認めなくても、私は最高の王様、常磐ソウゴの民なんだから!」
次回 2019:魔術師と鬼と怪盗