Re:ゼロから始める魔王の異世界生活   作:きゃぷてん

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2019:宮廷魔術師

 


ウォズと共に移動し、拠点にしている家屋に案内されたベアトリスとツクヨミ。そこには、ソウゴとゲイツ、ガーフィールが集まっていた。

 


「我が魔王、ベアトリスをお連れしたよ」

 


ベアトリスはソウゴに近寄ってきた。



 

「ソウゴ、オマエに聞きたいことがあるのよ。でも、その前にこれを返すかしら」

 


そう言って渡してきたのはオーマジオウライドウォッチ。ソウゴはライドウォッチを受けとると、

 


「話って?」

 

と問いかけた。問いかけられたベアトリスは語り出す。

 



「ベティーは、お母様……つまりエキドナから、400年前ある契約をした。禁書庫の管理と、来るべき時が来るまで、書庫を守り続けること。お母様の知識を継ぐに相応しいものがいつかかならず現れ、『その人』が禁書庫にたどり着き、ベティーに役目の終わりを告げる、と」

 

 ベアトリスはかつて自分に課せられた役目を与えられた日のことを思い出す。

 



「ベティーは、渡された福音書と、お母様の言葉を信じて、ずっと待ち続けたのよ。中には、お前やナツキ・スバルみたいに禁書庫に辿り着く奴もいたのよ。そいつらから、いろんな言葉を言われたけれど、最後には決まって、この書庫を開けと求めてきた。でもそいつらは結局のところ、ここにある知識やベティーの力が欲しかっただけ」

 

 ベアトリスはこれまでの人生の中で、出会ってきた者達のことを回想する。



 

「もちろん、その言葉を全て無視した訳じゃないのよ。ベティーを救おうとしたやつもいて、心揺らいだことは何度もあったかしら。でも、来る奴は全員『その人』の役目を知らなかったし、福音書にも『その人』を示すものは示されなかったのよ。
だから、ベティーは全てを拒絶した。その人じゃない以上、私はその人の手をとる訳には行かない。これはお母様と私の契約だから」

 

どれだけ手を伸ばされても、契約は契約。それを破るような真似は、ベアトリスには出来なかった。

 


「でも、そうやってずっと待ち続けるのももう疲れたのよ。死にたいと望んだことも何度あったか。
そこに土足で踏み込んできた来たのがお前とナツキ・スバルだったのよ。でも、ナツキ・スバルも結局いなくなった」

 

ベアトリスはあの日、スバルとレムがカララギへと越して行ったことを思い出した。オマエはそうじゃなかったのかと、心に影が差したことも。

 

「ロズワールは全てに決着をつけようとしている。そのためにベティーを殺そうとした。
薄々わかってはいたのよ。『その人』なんていない、現れることなんて無いんだって。
そう思ってた……のに。ソウゴ、お前と関わったことで、この書は新しい姿を変えて、運命は動き出した。ベティーは確かにチャンスを得たのよ、最後のチャンスを。だからこそ聞きたいの。お前は……ベティーの……『その人』なの?」



 

彼女の思いの全てを聞いたソウゴは、問いかけた。

 


「ベアトリス、ひとつだけ聞かせて。エキドナは、『その人』を本が選ぶとは言わなかったの?」

 


「……? それは言わなかったのよ。書が簡単な道しるべになるとだけ」



 

「ウォズ……!」

 


「間違いない。これで確信がいったよ、我が魔王」

 


それを聞いたソウゴとウォズは何かに確信がいった顔をした。そして、ソウゴはベアトリスに告げた。



 

「それが正しいなら、ベアトリス、俺も多分『その人』じゃない」



 

その言葉にベアトリスは愕然とした。だが、ソウゴは話を続けた。

 



「たぶん、スバルも違ったと思う。でも、そうであったかもしれないというだけなんだ」

 



「……どういうことかしら?」



 

「俺は墓所でエキドナにあった。ベアトリスのことは話してなかったけど、あの墓所は、入ってきた人たちに試練を課すけど、その答えには正解はないって言ってた。自分なりの答えを出すこと、それが一番見たいからって」



 

ソウゴの言葉に続く形でウォズが口を開いた。

 


「墓所がそう言うシステムである以上、ベアトリス君に書を渡してこの契約をさせたのも、本当はなにかしら別の目的があったんだろう。ただそれが、何時になるかわからないから、それっぽいデタラメな内容にしたのかもね」

 

 ウォズは次々と考察をしていく。

 



「エキドナという魔女の性格が我が魔王の言うとおりなら、期限を定めず、書を渡せば、それに相応しい人物を本が選ぶと思い込むとふんで。
そうでないなら、その人物は書が選ぶと断言しておけばいいし、ロズワールの書と同じように修正命令を出せば済む話だ。それをしなかったということは……」

 

「…………!」



 

ベアトリスも答えにたどり着いた。はじめから答えなど無かった、あるいは、ベアトリスが選んだ人間が正解だった、のどちらかだった、と。


ベアトリスも、結局は騙されただけだったのだ。お母様という名の強欲の魔女に。なら、あのときの言葉は……。

 

『せめて、健やかに』

 

あれすらも、嘘だったというのか。

それを知る術は今のベアトリスにはない。例え、術があっても彼女は語らない。詐欺師紛いの口先でまた騙すのだろう。
なら、なおのこと、ベアトリスはソウゴに聞かなければならなかった。

 



「……なら、どうして、ここまでベティーに干渉したの? ベティーを守って、ジュースを救って、書を作り替えた。ベティーの運命をここまで変えてくれた、道を示してくれたのはどうしてなのよ?」

 

エキドナに騙されていたのか、それとも勘違いだったのか、それはもうどうでもいい。400年という膨大な時間で極限までの孤独を味わったベアトリスの心はもう限界だった。だからこそ、問わねばならなった。もう、騙されるのも、これ以上の孤独ももう嫌だから。



 

「そんなの決まってんじゃん。俺は王様なんだから。民が困っているなら、助けるのが王の仕事。エミリアだって、ベアトリスだって、俺の『民』なんだから。助けるのは当たり前でしょ?」



 

その言葉にベアトリスは唖然とした。救ってくれた理由が、王だから助けるのは、当たり前。言い換えれば、ベアトリスだからと、特別視したわけではなかったのだから。

 


「俺は、最高最善の魔王として、未来を切り開く。他の人や平成ライダー、誰に言われた訳じゃない、自分の意思で、世界をよくするために。当然、ベアトリスやエミリアの未来だって切り開くよ。それが、俺の目指す王道だから。だけど……」

 



そう言うと突如ソウゴはベアトリスに手を差し出してきた。

 


「俺一人じゃそれは出来ない。ゲイツやツクヨミ、ウォズみたいに支えてくれるいろんな人たちと、治める民が必要なんだ。俺だけじゃ最低最悪の魔王になっちゃうから。
でさ、騎士団長、予言者、女王と来れば次は宮廷魔術師かなって思ってさ。ベアトリスならそれに相応しいと思っているんだけど、どうかな?」



 

「私という予言者がいるのに、宮廷魔術師とはいかがなものかな、我が魔王? ギンガファイナリーでその役割を代行することもあった気がするが?」

 


「専属を任せるならベアトリスでしょ。ウォズは、『祝え!』の専属でしょ?」

 


「それはひどくないかな、我が魔王!? 確かに私は祝福の鬼だが!」

 

ソウゴの一言で一気に顔を崩し、ウォズはツッコミを行った。

 


「誰が騎士団長だ!? 大切な親友であることは認めても、騎士団長になった覚えはないぞ!」

 


「女王ってそのネタ引きずるのやめてくれない!? 忘れたいんだから、あの時のこと!」

 

ゲイツとツクヨミが吠えた。かつてツクヨミは洗脳された時に女王として振る舞っていたが、本人的には黒歴史なのである。

 

「おい大将、俺様だったら何の役職に就くんだぁ?」

 

「うーん、ガーフィールは副騎士団長かな?」

 

「あァ? 副ってことは二番手かよォ。まあ、ゲイツ兄ィが団長なら仕方ねぇんだろうがよォ」

 

「お前は真に受けるな!」

 

「え〜、ゲイツは嫌なの? 騎士団長」

 

「あ、いや……お前がどうしてもなれっていうなら、なってやらんこともないが……」



 

その会話にベアトリスは少し呆れていたが、同時に、これ以上無いぐらいに心がざわついていた。これを逃せばもうチャンスはない。待ち受けるのは永遠の孤独、そして破滅だけだ。

 


お母様は実質的に約束を、契約を守らなかった。あるいは、自分で答えを出せと、言いたかったのかもしれない。

どちらであれもう構わない。約束を、契約を守らないなら、従う理由はもう無く、自分で答えを出せと言うなら、今ここで答えを示そう。

 



「……ぷぷっ、あはははははは! このベティーにそんなこと言ってくる人間、今まで見たこと無かったかしら! でも、この際だからちょうどいいのよ。
お前の宮廷魔術師の誘い、受けてやるのよ! 魔王、トキワ・ソウゴ!」

 

「……ああ。これからよろしくね、ベアトリス」

 


ここに、最高最善の魔王と、世界最高峰の陰魔法を司る精霊にして宮廷魔術師の契約が結ばれた。

聖域の終演まで後少し。




次回 2019:ライダー無双

↑もう散々やってるだろ
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