Re:ゼロから始める魔王の異世界生活   作:きゃぷてん

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2019:これからのコト

「えーっとね、それで改めて皆に説明しようと思ってたことがあるんだけど」

 

ソウゴの目前には現在、エミリア陣営のメンバーが集まっていた。

 

「ベアトリスにはもう聞かせたんだけどさ……俺達は別の世界から来たんだ」

 

 自分達が別の世界から来たという事実を、一同に向けて告げた。

 

「何ッ……だとォ……!?」

 

そう言ったのは雷にでも打たれたかのように驚いた表情をしたガーフィールであった。エミリアも同じような表情をしていた。

 

「まッさか大将達が別世界の人間だったなんてなぁ……! それなら大兎もぶっ倒しちまうのも納得が行くぜ……! 文字通り異次元の強さってことか……!」

 

「いつまでこの世界にいられるか、ってどういう意味なのかなって思ったけど……そういうことだったんだ……」

 

ガーフィールはこれまでのジオウ達の戦闘を思い出していて、エミリアは少し前のソウゴの言葉の意味を理解していた。

 

「ラムとロズワールはあんま驚かないね」

 

「言った本人が説得力のあることを散々してるせいね」

 

「確かにね。だが、これで色々と結びついた。白鯨や私を倒すほどの力を持っているのに何故今まで名が上がってなかったのか、ベアトリスの本のことや、文字や王選に関する知識が疎い理由がね」

 

 ラムは何処か呆れたような様子で、ロズワールは手を顎に添えながら自分の疑問の答え合わせができて納得している。

 

「俄には信じがたい話ですが……大精霊様と旦那様も信じていらっしゃいますし、本当のことなのでしょう」

 

聞いていたフレデリカは冷静ではあるが、少し驚いた様子である。別世界からの来訪者だというのは信じ難い話だが、自分が仕える主と禁書庫の精霊の2人が信じてるので信憑性はあるのだろうと考えている。

 

「そういえば、ソウゴはどうしてこの世界に来たのよ? その理由についてはベティーも聞いてないかしら」

 

「どうして……うーんとね、本当に突然来ちゃったんだよ。偶々ウォズと出掛けてる時にさ。特に理由があって来たわけじゃないんだ」

 

「俺とツクヨミはオーマジオウの力でここに転送してもらったんだ」

 

ソウゴが説明した後、その場に同席していたゲイツも説明をする。

 

「……色んなことが終わったら、ソウゴ達は元の世界に帰っちゃうの?」

 

エミリアは少し眉を下げた不安そうな表情で問う。

 

 ソウゴにも元の世界には家族や友人がいて、やることだってあるのかもしれない。だからいつかは帰らなければならないということは、エミリアも理解していた。

 

それでも、離れていくのは寂しいと思ってしまう。今までの日常を過ごし、聖域での試練も共に乗り越えて、エミリアがソウゴとの間に絆を感じ取っていたからこそである。

 

「「……………」」

 

 ガーフィールとベアトリスもエミリアの言葉を聞いて少し顔を顰めていた。

 

ガーフィールは聖域の出来事もあり、ソウゴ達を慕っている。だからこそ、帰るかもしれないということに、むず痒さを感じている。

 

 ベアトリスもソウゴ達のおかげで迷いや苦悩を断ち切ることが出来た。そして何より、宮廷魔術師としての役割も受け持っているし、彼らが帰ることに寂寥感を覚えていた。

 

「……うん、そのつもり」

 

「……そっ、か……」

 

「……そうなのか」

 

「…………」

 

ソウゴの回答を聞いて、エミリアは分かってはいたものの、改めて突きつけられて少し落ち込んでるような様子。

 

ガーフィールも一言呟いて、口を結んでいる。ベアトリスはそのまま黙っていた。

 

「…………うん、そうよね。ソウゴにだって、帰らなきゃいけない場所があるものね。当然、だもんね…………」

 

 その言葉はエミリアが自分自身に言い聞かせているように思えた。こればかりは我儘を言って困らせてはいけないと、彼女なりに思ったからである。

 

「……エミリア、言いたいことがあるなら言ってもいいんだよ?」

 

「え?」

 

「今のエミリア、言いたいこと抑えてるように見えてさ。だからこそ、今言いたいことあるなら言ったほうが良いんじゃないかなって」

 

「そんなことは————」

 

「それに言いたいことをちゃんと言えなきゃさ、人の心が分からない王様になると思うんだ」

 

「え?」

 

突然放たれたその言葉に、エミリアはどういうことかと声を漏らした。

 

「俺の叔父さんが言ってたんだ。寂しい時に寂しいって言わないと、人の痛みが分からない王様になっちゃうぞって。それと同じ感じ。

……王様になったら我慢しなきゃいけない時もあるかもしれないけど、今くらいは言いたいこと言っても良いと思うよ、エミリア」

 

「…………」

 

ソウゴの言葉を聞いて、エミリアは視線を下に向ける。ソウゴの言葉を脳内で振り返る。

 

「…………私は」

 

ならばお言葉に甘えさせてもらおうと、エミリアは一度息を吐いた後に口を開く。

 

「…………ソウゴが帰る、って思うと…………寂しいなあ、って…………」

 

「…………そっか」

 

 胸に手を当てながらのエミリアの答えにソウゴは薄く微笑む。

 

「ベティーも! ……ソウゴが離れていくのは寂しいかしら。それに、ベティーのことを宮廷魔術師に任命しておいてそれは勝手かしら!」

 

「それはそう」

 

 ベアトリスからの言葉にソウゴは同意した。

 

「俺様はァ……大将達がどっか行っちまうのは……あまり良い気分じゃねぇな」

 

「素直に寂しいと言えば良いですのに」

 

「うっせぇぞ姉貴ィ!」

 

揶揄うようなフレデリカの言葉に、ガーフィールは照れ隠しで怒鳴る。

 

「……元の世界には帰っちゃうけどさ……まぁ、ちょこちょこ遊びには来ようかなって思ってるよ」

 

「! 本当!?」

 

「ホントホント」

 

「む……それならまだ許せるかしら」

 

「確ッかになァ。一生会えなくなるよりかァ、マシな話だぜ」

 

ソウゴからの回答にエミリアは表情を明るくし、ベアトリスとガーフィールも納得しているようだった。

 

場が和み始めてるその時、玄関の方からノック音が聞こえた。

 

「私が出てきますわ」

 

そう言って向かったのはフレデリカだった。少しした後、フレデリカは帰ってくる。

 

「ソウゴ様、貴方様にお客様が……」

 

それから彼女の後ろから1人の男が現れた。

 

「よう、魔王」

 

「門矢士!」

 

「少し面倒なことが起こってな、それを伝えに来た」

 

門矢士は少々物憂げな顔でそう告げる。

 

「面倒なこと?」

 

「エキドナが復活した」

 

「!」

 

「なっ……エキドナが!?」

 

「お母様が……!」

 

士のその言葉を聞いて驚いたのはソウゴだけでなく、ロズワールも声を上げて驚く。ベアトリスや他一同もその事実に驚いていた。

 

「奴は自分の魂を別の肉体に受肉させることで復活した。それだけならまだ良かったんだが、そいつが海東の元に行っちまってな……これが面倒なことだ」

 

「結果的に、海東大樹がエキドナを盗んだことになった訳だね」

 

 海東がエキドナを盗むということを聞いていたウォズは、彼の思惑通りに進んだことに少しばかり驚いてはいる。

 

「……先生、何故……」

 

「お母様……」

 

エキドナが自らの意思で海東について行ったことに、ロズワールは悲痛そうにしながらも疑念を抱いてる。

 

ベアトリスも、エキドナと再び会えるかもしれないと一瞬考えたが、彼女が自分らの元ではなく別の人間の元へ行ってしまったことに思うところを抱かざるを得なかった。

 

「とりあえず俺は海東を探す。ほっといたら何をしでかすか分からんしな」

 

「分かった。海東大樹についてなんかあったら、連絡するよ」

 

「助かる。用は済んだ、失礼させてもらったな」

 

そのまま士はその場から去って行く。

 

「問題が一つ増えたね」

 

ウォズが呟く。強欲の魔女とディエンドの2人が自分らの前に立ちはだかってもおかしくないし、そうでなくとも厄介事を起こすかもしれない。

 

ソウゴは口を開く。

 

「まぁ、門矢士にどうにかしてもらお。俺達は俺達のことやればいいと思う」

 

「それもそうだね」

 

 

何処かで。

 

「さて……君はこれからどうするんだい?」

 

エキドナ……もといオメガは、側にいる海東に問い尋ねた。

 

「決まってるさ。お宝を探しに行く。なにせ、この世界はお宝の山だからね」

 

「それは違いないな。今の世界は、僕にとっても知識の宝庫だ。君との旅がてら、知識を得ていくのが良さそうだ」

 

「それなら折角だし、僕のトレジャーハントの手伝いをするというのはどうかな?」

 

「ふぅん……そういうことはやったことがないからね。良いとも、引き受けよう」

 

海東からの提案にオメガは承諾する。彼を手伝えば、最前線で仮面ライダーの力を目に出来ると考えたからだ。仮面ライダーは今の彼女にとっては最も興味のある対象である。

 

「それじゃあ早速、行くとしようじゃないか」

 

こうして2人の旅、もとい珍道中が始まった。

 

 

「……スバルとも……いつか、ちゃんと向き合わなきゃ」

 

自室にいたエミリアは最後に見たスバルのことを思い出しながらそう言った。

 

あの日の時以来、自身とスバルの間に未だ溝は残っている。

 

彼には酷いことを言ってしまった。待っていて欲しいという約束を破ったとしても、彼なりに力になりたかったという思いに、嘘偽りはなかったはずだから。

 

「……今、どうしてるのかな……スバル」

 

レムと一緒にカララギへ行った以来、彼の動向は掴めていない。もしかすると、今頃2人で楽しく過ごせてるのかもしれない。そうだったらいいなと、エミリアは思った。

 

 

「……とりあえず、今の時点での情報はこんな感じ……かな。まだまだ少ねぇけど……」

 

スバルは紙に色々なことを書き留めていた。現時点で集まった現在地でもあるカララギと周辺国であるヴォラキアやグステコの情勢、魔女教、他の王選候補者に関する情報についてである。

 

(…………もう1人の俺の情報とかはなかった…………まあ、簡単には見つからないだろうなとは思ってたけど…………)

 

先日現れたもう1人の自分のことについてスバルは思い出していた。彼に関する情報がないかと聞き回ったりはしたものの、それと思わしき情報は見つからない。

 

彼の姿も黒いローブを纏い、フードを被ったシンプルなもの。そんな姿をしている者は、この世界にはいくらでもいるだろう。それこそ、魔女教達もそんな格好をしている。姿方面での特定はほぼ無理と思った方が良い。

 

「レム、ここに書いてるやつ、手紙かなんかでソウゴ達の元に送れるか?」

 

「はい、送れますよ」

 

「お、マジか。じゃあ頼む。あ、それと……送る時は、匿名にしてくれないか」

 

「…………わかりました」

 

「…………ありがとな」

 

スバルからの頼みに間はあったものの、レムはすぐに了承した。

 

スバル達が情報収集をしている理由。それは自分が屋敷に戻っても戦力になれる筈はないので、情報面という形で力になれれば、と考えたが故である。

 

もう1人の自分に関しての情報はないが、ソウゴなら送った情報の中から糸口を見つけるかも……という期待もある。

 

直接伝えに行かず、わざわざ匿名で送る理由。それはエミリアと城での一件と、屋敷を出て行ってしまった手前、後ろめたさがあるからである。

 

いつかは会わなければならないと分かってはいるものの、踏ん切りはつかない状態にあった。

 

(……出来る限りのことは、しねぇとな)

 

それでも彼らに対する情は確かにある。最終的にはソウゴ達の力を借りることにはなるが、その中でも自分に出来ることをしなければ。

 

いつか、もう1人の自分を止めるためにも。

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