4.5章 その1
ロズワール邸の禁書庫にて。
「ベアトリス、話って何?」
そこには、エミリアとベアトリスがいた。
「まずは見せたいものがあるかしら」
それからベアトリスが奥の方に進む。エミリアもそれについて行くと、ベッドがある場所に辿り着いた。そしてそこには
「ジュース……!?」
ペテルギウス……もとい、ジュースがいた。彼の姿を見たエミリアは驚く。記憶が戻った今だからこそというのもある。
「どうして、ジュースがここに……!?」
「少し前に、ウォズがここへ連れてきたのよ。ソウゴがジュースを魔女因子から解放したからかしら。……未だ目覚めてはないけれど、オマエにはこのことを知ってもらう必要があったのよ」
ベアトリスの言葉を聞きながらも、エミリアの視線はジュースに向けられている。
「…………また、ソウゴにありがとうって言わなきゃね…………」
何処か儚い笑みを浮かべながらそう溢すエミリア。
「…………話したいことは、これだけじゃないかしら」
そう言ったベアトリスはエミリアに本を差し出す。それはRe:仮面英雄暦だった。それをそっと受け取ったエミリア。
「この本って……」
「ベティーもオマエも、ソウゴの事を知る権利がある。同時に責任でもあるのよ。ソウゴが、仮面ライダーという者達が、どんな思いで力を手にして戦ってきたのか、それを知る責任が。
ベティー達は、助けてもらってばかりの立場だから、なおさらなのよ。どうするかは、自分で決めるかしら」
そう言って仮面英雄歴を渡すと、ベアトリスは禁書庫から出ていく。残ったのはエミリアだけだ。
「………………責任」
本を見つめ、それだけ呟いたエミリア。
考える暇もなく、答えは決まった。
エミリアは、表紙を開く。
「!?」
その時、白いページが光り輝き、エミリアは思わず目を瞑った。
「……………え?」
ゆっくりと目を開けば、そこは真っ黒な空間だった。
「何これ……」
「やあ、エミリア君」
その時、エミリアの目の前に現れたのはウォズ。
「ウォズ!? 何で……」
「おっと、私は厳密にはウォズではない。この本のナビゲーター……案内役のような存在さ。まあ、君達の知るウォズではないと思ってくれれば良いよ」
「そ、そうなんだ……?」
ウォズの言葉にエミリアは戸惑っているが、一応納得。とりあえず、自分が知ってるウォズではないらしい。
「さて……今から君に見せるのは……平成という時代を駆け抜けた、仮面ライダー達の物語だ。数が中々あるから、心して見る事をおすすめするよ」
「……うん!」
ウォズの言葉に、エミリアは口を結び頷く。
「それでは」と呟いたウォズが、手に持っている本を開いた。すると、無数のページが本から離れ、宙に舞い始めた。
そのページの中に、壮絶なライダー達の物語が映し出される。
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「こんな奴らのために! これ以上誰かの涙は見たくない! みんなに笑顔で、いてほしいんです! だから見ててください! 俺の! 変身!」
「大丈夫、分かり合えるよ。だって人間同士なんだから。絶対大丈夫」
「じゃあ、見ててください。俺の、変身」
「そういう皆の場所を、俺が守れたら良いなあって」
「誰も、人の未来を奪うことは出来ない!」
「人の運命がお前の手の中にあるなら、俺が……俺が奪い返す!」
「人を守るためにライダーになったんだから、ライダーを守ったって良い!」
「俺は絶対に死ねない!」
「蓮……お前はなるべく……生きろ……」
「俺はもう迷わない。迷ってるうちに……人が死ぬなら、戦いが罪なら、俺が背負ってやる! 変身!」
「見つけようぜ、木場、三原……。俺たちの答えを……俺たちの力で!」
「世界中の洗濯物が真っ白になるみたいに……皆が、幸せになりますように……」
「そうだ、人を愛しているから俺は戦っているんだ」
「たとえカードが1枚もなくても……お前を封印できるはずだ。俺に、ライダーの資格があるなら! 戦えないすべての人のために……俺が戦う!」
「俺は運命と戦う。そして勝ってみせる」
「鍛え足りなきゃ、鍛えるだけだ」
「人を助けることに一生懸命になれるから、俺は鬼になったんだ」
「鍛えてますから」
「俺は既に未来を掴んでいる。そしてこれからも、掴み続ける!」
「世の中で覚えておかなければならない名前はただ一つ。天の道を往き、総てを司る男……天道総司」
「俺は世界そのもの……世界がある限り……俺はある!」
「辛くても、忘れたくなんかないんですよね。大切なことを忘れてしまうのって、きっと……すごく辛い」
「弱かったり、運が悪かったり、何も知らないとしても、それは何もやらないことの言い訳にならない」
「僕と……最後まで一緒に戦ってくれる?」
「お前の望み、聞いたぜ」
「僕は、自分の心の声で戦ってきたんだ。これまでも……そしてこれからも。大切なものを守るために!」
「僕は生きてみたいんだ。人間とかファンガイアとかじゃなくて、僕は僕として……」
「父さんと一緒に戦うことが、父さんと一緒の時間を生きることが、命を受け取るってことなんだ……!」
「人は誰でも、自分のいるべき世界を探している。そこは偽りのない、陽の当たる場所……。そこへ行く為に、人は旅を続ける。そして旅を恐れない!」
「俺達はこれからも旅を続ける。世界の壁を超え、仲間をつくる。その旅はやがて、未来を変える」
「俺はこれからも、世界を繋ぐ、物語を繋ぐ。それこそが俺の旅。ディケイドの物語はここから始まる!」
「君の優しさが必要だ、翔太郎」
「……ありがとよ、フィリップ……」
「僕は人間で! 探偵で! そして……仮面ライダーだ!」
「身体一つになっても、食らいついて倒す。その心そのものが仮面ライダーなんだ! この街には仮面ライダーがいる事を忘れんなよ」
「「さぁ、お前の罪を数えろ!」」
「手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ」
「お前の手を掴んだのも、絶対間違いじゃなかった……絶対」
「いつか、もう一度」
「皆の絆で、宇宙を掴む!」
「最後の……タイマンはらせてもらうぜ!」
「誰かがくじければ誰かが支える、そうやってグルグルと人の想いが渦を巻いていく! これも銀河だ!」
「魔法使いってのは諦めが悪くてね。諦めない限り、希望は消えない。俺は最後の希望だからな」
「いつでも呼べ。必ず駆けつける……俺が、最後の希望だ」
「俺の希望が溢れる世界で、俺が負けるわけないんだよ!」
「俺は先に進む! そう裕也に誓ったんだ!」
「泣いていいんだ。それが俺の弱さだとしても、拒まない。俺は、泣きながら進む」
「俺達……いつまでも仲間だぜ、ミッチ……」
「正義じゃない……俺は市民を守るんだ!」
「見せてやる。俺たちのオーバードライブを!」
「俺達人間がそれを理解した今なら、きっとお前達ともやっていけるはずだ……!」
「魂は……永遠に不滅だ!」
「俺は想いの力を信じる。愛の力こそ、人間の無限大の可能性そのものだ!」
「俺は……いや、人間は……何度でも立ち上がり、運命を切り開く!」
「勝負だクロノス! 天才ゲーマーMの力を……見せてやる!」
「一つだけ約束だ。これからは命を奪うために戦うんじゃない。命を救う為に、一緒に戦うんだ」
「患者の運命は……俺達が変えるッ!」
「でも……俺は最後まで生きるよ!」
「選べ……! 俺か、それともお前か!」
「もう、終わりにしましょう」
「仮面ライダーは軍事兵器じゃない。人を守るためにある。それだけは忘れるな」
「自意識過剰な正義のヒーローの、復活だ!」
「皆が桐生戦兎を……仮面ライダービルドを作ってくれたんだッ!」
そして——————
「わかった。俺は魔王になる。魔王になって、世界を救ってみせる!」
「善も悪も、光も闇も、全て受け入れる!その力で俺は未来を切り開く!」
「じゃあ創造させてもらう。歴史をつくり直す」
創造と、破壊。
「お前は何のために王になりたかったのだ? 他の者に認められるためか? 自分が特別であるためか?」
「俺が王になりたかったのは、世界を良くするためだ!」
「俺も、ゲイツも、平成ライダーの皆も! 瞬間瞬間を必死に生きてるんだ!」
王の真実、最後の到達点。
◇
そして、全ての物語が再生された後、ページは粒子になって消滅していった。
「……これで、ライダー達の物語は以上だ。ご清聴、ありがとうございました」
ウォズのその一言が放たれると、黒い空間は白い光で包まれる。エミリアは目を瞑った。
目を開けた時、そこはベアトリスの禁書庫だった。
「————————」
長い長い歴史の、壮絶な戦いの物語。一瞬で過ぎていったけれど、今も脳に焼き付いている。
エミリアは思い出す。エミリアを助けてくれたライダーの姿の真実、ベテルギウスをジュースに戻したビルドジーニアスの誕生。どちらも、彼らの意思で掴み取ったものだ。
回想の最中、扉が開かれた。ベアトリスが入ってきたらしい。
「……見届けた、ということで良いのかしら」
「……うん。これ、ありがとうね、ベアトリス」
ベアトリスはエミリアから差し出された本を受け取る。
「……どう思ったかしら、ソウゴやライダー達を見て」
「……凄かったな、って思ったし、ソウゴ達がどんな道を歩んでたのかを知れて、良かったな、って思ってる」
「……そうかしら」
エミリアの言葉にベアトリスはただ一言そう答えた。
「……ベティーも、既に見ていたのよ。ソウゴ達の人生を知れて、良かったと思ってるかしら」
「……そっか」
笑みを浮かべながら告げられたベアトリスの言葉に、エミリアも薄く微笑んだ。
その中で、エミリアは考え始める。
——————自分は、どういう未来を歩みたいのか。
いずれソウゴ達はこの世界を去る。
なら、せめて彼らに恥じない生き方はしたい。
例え王になれなかったとしても、彼らのように、ソウゴのように、胸を張れる堂々とした生き方で歩みたい。
そう、心を決めるのだった。
セリフは俺の感性で選びました
ライダーの物語に触れたけどそれはそれとしてトンチキなシーンには首を傾げてそうなエミリアたんとベア子