この気持ちは恋じゃない   作:夜はねこ

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タイトルがただの私の欲望。


東兄は可愛がりたい//かぐや様は愛でたい/藤原千花のねこみみが見たい

 午後、家から帰りソファに座って休憩していると、玉枝が隣に座ってきた。玉枝の顔が少し暗い。学校から帰るまではそうでもなかったのだが、何かあったのだろうか?

 

「玉枝?」

「………あの人たちから連絡がありました。一時期フランスから帰ってくるみたいです。会食がしたい、と。」

 

 

 怒りを押し込めた声で玉枝は言葉を紡いだ。あの人ということは僕の戸籍上の両親からだろう。

 実は僕と玉枝は腹違いの兄妹だ。お互いが父親と母親の連れ子。

 あまり玉枝は父親と義母ーー玉枝にとっては実の母だがーーを好いていない。むしろ毛嫌いしている。

 妻の死後、わずか半年で再婚するような父親だ。しかも、結婚してからもずっと愛人宅に居座っていたような男でもあり、好かれる理由の方がない。

 

 

「お兄様の方にはご連絡がありましたか」

「いや、なかったよ」

「そうですか…」

 

 

 さらに加えていうと、義母は僕のことを嫌っている。とりあえず今はこのことを置いといて、玉枝の機嫌を直すのが先である。

 

 申し訳なさそうな玉枝の肩を僕は抱いた。玉枝が謝ることではないのだ。無理を言ってこの学校に通わせてもらっている。

 落ち着いたように取り繕ってもなお、その手はしっかりと握りしめられていた。優しく、握りしめられていた玉枝の手を取った。

 

「ごめんね、一緒に行けなくて。」

「い、いいえ。お兄様が謝ることじゃ…」

「玉枝が謝ることでもないんだよ。」

 

 玉枝が完全に落ち着いたのを見計らい

 

「今日は久しぶりに一緒に寝ようか。」

 

 高校にもなって、とでも言われるだろうか。それとも恥ずかしがって嫌がられるだろうか。

 

 玉枝はまるで花が綻ぶような笑みを浮かべた。

 

 

〔本日の勝敗 なし〕

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「東、少し良いか?話す事があるんだが…」

「白銀先輩?珍しいですね、一年の教室まで来るなんて。別に大丈夫ですよ。何かありましたか?」

 

 

 休み時間、一年の教室まで来て、白銀は東に声をかけた。今朝、校長から頼まれた用件を伝える為である。

 

 

「実はだな。校長からフランスの姉妹校との交流会の企画を依頼されてな。その準備期間中の予定を知っておきたいんだ。交流会は三日後の月曜日なんだが、これの準備は土日返上でやる必要がある。だから予定の有無を確認したい。」

「……そうですね、土日は両親が帰ってくるので色々と立て込むかもしれません。」

「む、そういえば、東は姉妹校出身だったか。両親もフランスから?これまた急に。」

「…あの人たちはいつもそうですよ。……すみません。」

 

 

 冷たい言い方になったことに気付き、東は口を閉じる。

 

「いや…、こちらこそすまなかった。」

「いえ、代わりに当日は責務を果たします。」

「ああ、頼む。」

 

 忙しいので人手が欲しい。しかし東のプライベートのことーーー特に両親との何かしらの因縁がある状況で、それを深く掘り下げることはしなかった。東は白銀のことを変なところでポンコツな残念な人間という評価をしていたが、こんな状況でも、相手への気遣いを忘れない白銀に対しては好感を抱いていた。     

 

 東の交流会への意気込みに、白銀も表情を柔らげた。

 

ーーーーーー

 

「こんにちは。遅れてすみません。って…何してるんですか?」

 

 いきなりだが、四宮先輩がねこみみをつけて「にゃあ…」と言っていた。

 

 

「交流会の来賓の歓迎に使うんです!フランスは日本に次ぐコスプレ大国ですし、言葉よりも通じる部分があると思うんですよ〜」

「……(バカなの?)まぁ、確かに可愛いですけど。」

「あっ、あずちゃんもつけて‼︎」

「嫌です。」

 

 ちなみに、四宮先輩の必殺技に白銀先輩はいたって平然としている。そして平然と一言。

 

「ねこみみが藤原書記のころに四宮は俺だな。」

「支離滅裂ですよ、白銀先輩。」

 

 表情は平然としていても白銀先輩の脳内は四宮先輩のかわいさでぶっ壊れていた。言っていることがめちゃくちゃである。

 

 美少女とねこみみは”クローバーとミツバチ”、”ワニとハチドリ”、”アボカドと醤油”のように合わせるべくして生まれてきた関係。「相利共生」なのだ。

 

 つまり、四宮かぐやという容姿端麗な少女にねこみみを重ね合わせることは、白銀先輩にとって奇跡的相性(マリアージュ)

 

 私達が交流会の話をしている最中でも、四宮先輩はねこみみを装着しているため、どうやら白銀先輩は正常な思考が働いていないようだった。あ、コレ、頭の中でかわいいと絶叫してるわ。

 

 それにしても、顔に力が入りすぎ。いつもより怖い顔になってるから。これじゃ、四宮先輩が“自分はねこみみが似合わない”と思うわよ。

 

 恥ずかしくなった四宮先輩は、白銀先輩にもねこみみをつけた。

 

「あんましですね。」

「そうですね。」

 

 しかし、四宮先輩にとって白銀先輩とねこみみは最高の組み合わせ、奇跡的相性(マリアージュ)なのである。

 あ、もうめんどくさいから四宮先輩と白銀先輩の考察するのやめよう。

 

 何やら、私が思考を放棄している間に一悶着あったようで、生徒会室でのねこみみ着用は禁止になったそうだ。

しまった、そうなる前に藤原先輩につけてもらえば良かった!

 

おまけ

「ふ、藤原先輩、一回だけ!一回だけつけてください‼︎お願いします!」

「しょうがないなぁ…。」

 

〔本日の勝敗 東玉枝の勝利(藤原千花のねこみみが見れたため)〕

 

おまけ2

『ただし交流会の話はない』

 

「白銀先輩、交流会ではすみませんでした。」

 

「いや、東広報が謝ることではないぞ。」

「そうですよ。東さんが気にしなくてもいいのに」

「あずちゃんってば真面目ー」

 

「いえ、身内の失態ですので。(というか四宮先輩が怖かったのよ‼︎)」

 

「律儀ですねぇ。」




藤原書記のねこみみが見たいだけの人生だった…。
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