ある日、生徒会室に行くと「会長はわかってないんです…僕の気持ちが…」という石上くんがたまたま聞いたカップルの会話の話が聞こえてきた。思わず、私は中に入らず扉の前で立ち止まった。
彼女が彼氏をデートに誘うが、その日は練習があると言って断る彼氏。そして「俺、今サッカーに命かけてっから…」とイケメン風なセリフを言う彼氏。それを見てキュンとする彼女…。ここで回想が終わり、なぜか石上くんは号泣している。
石上くん曰く、彼女がいることは許すが、彼女がいるならデートに行けよ!とのことだ。
「大事な彼女がいて!彼女より大事なものがあるってなんだよ!僕には何もないのに…」
どうしよう、石上くんがだいぶこじらせている。というか石上くんは彼女が欲しいの⁉︎そ…そうといってくれれば私……いや、石上くんは推し。そう、この気持ちは…。
私が思考にふけっている間に、白銀先輩は慰めようと石上くんを入部に誘導していた。
藤原先輩はテーブルゲーム部、私は園芸部、四宮先輩は弓道部ということを白銀先輩は石上くんに話している。
すると石上くんはへらへらして「めちゃめちゃ向いてるじゃないですか」と言った。
理由は、胸があると弓の弦が当たってしまうこと。しかし、四宮先輩のサイズなら心配ない!と石上くんは四宮先輩の胸がないことを手でジェスチャーしてしまう。
いつの間にか中に入った、殺気がダダ漏れの四宮先輩が石上くんの後ろいるというのに…。さらに石上くんは止まらない。今度は藤原先輩が弓道をやったら胸に弦が当たって大変なことになる!と笑いながら話している。
これまた、私が思考にふけっている間に入ったのだろう、藤原先輩が石上くんの後ろにこれ以上ない冷たい目をして立っていた。
藤原先輩が「石上くん」と呼んだ。石上くんは血相を変えて振り向き、藤原先輩は無言でハリセンを作り…石上くんの頭をこれでもかというくらい殴った。
そして四宮先輩が「よかったですね石上くん、藤原さんは優しいから許してくれるんですよ。藤原さん以外は絶対に許さないでしょうねぇ」と石上くんにとどめを刺した。
…そんなことより、石上くん。……ねえ、私は‼︎⁉︎
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石上は「会長、遺書を残したいので帰ります…」と言って生徒会室の扉を開けた。すると扉の前には、顔を俯かせ震える東の姿が。
これには傷心した石上も、驚き目を見開いた。
「東…?」
「私の……は?」
「え?」
「……ッ‼︎」
バッと顔を上げた東の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「石上くんの………、バカ‼︎‼︎‼︎」
そう言うと、走り去る東を見て放心していた石上は、しばらくして「やっぱり死にます」と白銀に告げた。
「いや、死ぬなよ⁉︎」
〔本日の勝敗 東玉枝と石上優の引き分け(両者ともに傷心した為)〕
おまけ
「…マッキー、私の胸っておおきいのかな、ちいさいのかな…?」
「へ?」
東玉枝の胸のサイズはかぐや様と藤原書記の中間。バランスの良いスタイル。あえて石上くんの言葉で言うなら『微妙』。でも石上くんは、「大きいのも小さいのも好きな人生でした…」と言ってるので、大丈夫だぜ、玉枝ちゃん。