IS・LoB-Da:Re~パイロットの兄、メカニックの弟~   作:仮面肆

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見切り発射スタートぅ


プロローグ

「……………」

 

時刻は満月が昇る深夜。自然豊かな場所のとある屋敷で、その命の灯火は尽きようとしていた。

 

「……いい、人生だった」

 

そう呟き、書斎の椅子にかけてはゆらゆらと揺らしている高齢の老人は、昔のアルバムを見ては過去を振り返る。

 

若い頃、拐われた弟を救う為に力を求め、亡くなった科学者の祖父が製作したマシンで強大な敵組織と戦った。始めは自分だけで成そうとしたが、次第に敵は強くなり困難を窮めた。だが後に、自分の好敵手(ライバル)となる者とその仲間が、祖父の弟子が開発したマシンで戦い、勝利を収め続けた。

 

そして最終決戦にて敵首領を撃ち破り、操られ敵となっていた弟を救いだし、長い戦いが終わった。

 

それからしばらくして、祖父の墓に吉報を持参した男は後に旅をした。お供と共に各地を飛び渡り、世界を渡り歩いた。その最中に弟は結婚をしたそうで、結婚式の際にはマシンで登場しては弟を盛大に驚かせた。

 

それから時間は過ぎていった。男は結婚のように自身の幸せを求めなかった。祖父の言葉を守るように、仲間と共に街を、この星を多くの脅威から守り、いつしか仲間たちと共に、人々から〈守護者(ガーディアン)〉と呼ばれていた。

 

それでも男は幸せだった。

 

様々な脅威に立ち続けても、その隣には仲間がいる。一匹狼だった頃と違い、よく笑顔をみせた。戦場から去れば、弟や祖父の弟子の博士などが会いに来ては談笑した。それは男にとって未知であったが、その心地よさに安心を感じ、これを守る為に、また脅威へと立ち向かうのだった。

 

それから今に至るまで、長い時間を過ごした。

 

マシンのパイロットの後釜は、仲間たちの息子や孫が引き継いだ。お供も野生に帰った。祖父の弟子も孫に見届けられ、幸せそうに逝った。その中には仲間たちも……。

 

「こんな俺でも、いい人生を歩んだものだな……」

 

その呟きと共に老人の視界が霞んでいき、記憶が所々甦る。走馬灯であった。

 

『あいつの事は……お前たちには関係ない。口出しするな』

 

『俺たち仲間じゃないか!仲間の事は心配だよ』

 

誰にでも優しかった、あまちゃんな白い好敵手(ライバル)

 

『アイツらはいいヤツらだ。だからこそ、俺の戦いに巻き込む訳にはいかない』

 

『それでわざと喧嘩を!?』

 

男にとても贔屓をしては、とても慕っていた赤い少女。

 

『貴様、自爆する気か!?』

 

『……一緒に会いに逝こう、じいさんに』

 

『ちょっと待ったぁぁぁ!!』

 

『そんなんアカンで!』

 

『そんな事じゃ解決しないですぅ!』

 

『どけぇ!お前たちも巻き添えを喰う!』

 

街を壊滅に追い込む、操られた弟と心中する決死の覚悟での戦闘の最中、好敵手(ライバル)と青と黄の仲間の合体マシンが──

 

『馬鹿、何をする気だ!?』

 

『このマシンだけでも、使えないようにするんだ!』

 

──弟の敵マシンにしがみつき、その脅威のパワーで破壊した。その結果、一騎討ちの形で弟と勝負しては勝ち、正気に戻せた。

 

『兄さーん!』

 

最終決戦が終わり、再会に涙する仲間と男。

 

それから色んな場面が頭に浮かび、消えていく。そして老人は手を伸ばして呟く。

 

「……じいさん。俺も逝くよ……」

 

そう言って、老人の手は力を失うように落ちてしまった。

 

これが、今まで人々の為に守り続けた老人の最後だった。

 

そして──

 

『ふざけた事を……俺は強くなりたいのだ!強くなるには実戦を積むに限る!戦争は俺にとって都合がいいのさ!』

 

『都合がいいなんて……その戦争の結末は、太陽系消滅なんだぞ!』

 

白と黒のマシンがぶつかり合い──

 

『ちぃっ、トラブったか!』

 

『危ない!』

 

『っ!?貴様、何故敵に情けをかける』

 

『戦う為が目的じゃないからさ。俺は早く戦争を終わらせたいだけなんだ』

 

『……………』

 

──笑顔で答えた、あまちゃんな顔のヤツ。

 

遠い過去、そのような会話をした気がする。

 

これが老人が思い出した最後の記憶。どこか好敵手(ライバル)に似た、地球の王子……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さぁぁぁん!起きろぉぉぉ!」

 

「うぉっ!?」

 

ガタン!!

 

青年の大声に驚き、旅客機のファーストクラスの座席から落ちてしまった。

 

「いったたた……ん?到着したか」

 

そう言いながら、打った所を擦りながら兄さんと呼ばれた青年は窓を確認した。

 

今、ファーストクラスの空間には二人しかいないが、その容姿はとても似ていた。黒い髪と瞳、一見すれば日本人に見えなくもないが、彼らの血縁は日系であるので日本人ではなかった。

 

そんな二人だが、一ヶ所だけ似ていないところがある。

 

「兄さん大丈夫?」

 

「あぁ、大丈夫だ。それより起こしてくれてありがとな」

 

兄の目付きは釣り上がっては、どこか凛とした佇まいをしており、弟の目付きは兄より下がって、どこか優しい雰囲気を出していた。

 

「兄さん、ついたね日本に!」

 

「そうだな。到着時刻は正確なんだが、空港を今から出発しても始業式には間に合わんだろうな」

 

「その辺りは政府が連絡したみたいだから大丈夫。だけど専用機の発送が遅れそうで、十日はかかるんだってさ。あ~、しばらく整備出来ないから暇だよ、僕。兄さんと違って、操縦者(パイロット)じゃないしね」

 

「専用機の整備が出来ないのなら、学園の所持する訓練機の整備でもすればいいだろ。今来た政府の連絡メールに、専用機の元となった同世代の機体があるらしい。学園との交渉結果、専用機が届くまで所持する権限を取得したとあるから、しばらくはその整備を頼むぜ。俺の知ってるなかで、お前の開発の腕はじいさんと同等だと思っている。俺よりスゴいメカニックだぞ、絶対に」

 

「そ、そうかな。いやー、照れるよ兄さん」

 

そんな会話をしながら、兄弟は旅客機から出ていった。日本の春の日射しと肌寒い風に迎えられながら、兄弟は日本の地へと立った。

 

「さて、行こうかジャック。最初の男子操縦者(パイロット)がいるIS学園に!」

 

「うん、クロム兄さん!」

 

これは、新たな地である日本にたどり着いた兄弟……クロムとジャックのボルン兄弟が学ぶ場所……IS学園での物語が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS〈インフィニット・ストラトス〉

Legend of B-Da:Reincarnation

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで兄さん」

 

「何だジャック?」

 

「兄さんが寝てる最中、目尻から涙が流れてたんだけど、何か夢でも見てたの?」

 

「……前世の記憶」

 

「えー、何それ?」

 

尚、兄は前世持ちである。




クロム・ボルン=くろボン

題名見て察してくれた人、おそらく20代後半と30代が多いのでは?
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