では、物語の始まり始まり………♪
穏やかな暖かい光が差し込む時間……。気持ちよく寝ている私を揺り起こしてくれる物が居る……。
「ご主人……ご主人ニャ……。朝ですニャ、起きてくださいニャ……。」
「分かった……。おはよう~ふぁ~~……。」
私は欠伸と背伸びを同時進行で動かし、起こしてくれた物の顔を見る。大丈夫か!?と言いたげな顔で覗き込んでくる物は、モンスターハンターというゲーム上で登場する、アイルー族という猫型種族……。
そのアイルーがあまりに可愛らしく、すっかり気に入っていた私は必ずオトモとして。あるいはニャンターとしてよくゲームをしていた。しかし思い入れが強すぎたのか、ある時目が覚めたらベッドの足元にアイルーが!?しかもゲームでよく連れて狩に行っているオトモが!?何ですと~~~~!!!
大丈夫か……自分でも気が触れたとしか思えん……。きっと妄想と現実がごっちゃになっているんだ……。と、とにかく落ち着こう、落ち着くんだ……。
わっ!目を覚ました!ここここっちを見た!い、いや、そんな可愛い顔で目で見つめないで!
「ご…主人…ニャ!?」
きゃあ~~~喋った~~~!!ま、マジで!?た、確かにアイルーは好きだけど!現実って!どんだけよ!どうすりゃいいんだこの状況!ま、まずは返事をしなくては……だ、だよな!?でも、実際はご主人ってのはゲーム上のハンターの事で操作している私の事では無いんだよな……。だが、初顔の私を見て主人か!?と聞いて来るのだから、薄々気付いているのか……。ま、確かにそのハンターを操作しているのは紛れもなく私だ……。
「○○○○というハンターなら僕が操作しているけど……。」
「ニャら、ご主人ニャ♪♪」
マジか~~~!!あっさり認めるってどうなの~~~!!こっちはこっちの世界では居ないはずの住人が現れたって言うのに!あなたの方が動揺してないってどゆこと!?でも、どうやってこっちの世界に!?
「よろしくお願いしますニャ♪♪」
「や、や、や、ちょ、ちょっと待って。一体どうやってここに!?」
「僕にも分からないニャ………。寝て目が覚めたらここだったニャ……。でも、ご主人が居たので安心ニャ♪♪」
肝が据わっとる……。度胸がいいのか、能天気なのか……。少なくとも、違う世界に動じていない……。凄い奴だ……。
「元の世界に戻りたいとは思わないのか!?怖くはないかい!?」
「ニャい事はニャいですが……。と言って悩んでも戻る方法も分からニャいし……。ニャので暫く御厄介になりますニャ♪♪」
そのオトモアイルーは地面に着くほど頭を下げる。まあ、一人暮らしだし動物を飼ってはいけないと言うアパートではないし。珍しいけどね。ただ、アイルー族だから例外は認めてもらえるのかな!?猫科に属するとでも言って誤魔化そう、それしかない……。
「よろしく、キッド君。」
「ニャ!?僕のニャ前を覚えていてくれるんだから、やっぱりご主人ニャ♪♪」
「そうかい♪♪」
「僕の事はキッドでいいニャ♪♪」
「分かった。キッド、よろしく頼むよ♪♪」
「了解ですニャ♪♪」
…………………………。
そんなことがあって、今に至る……。今や普段と変わりない程だ。違うと言えば仕事や炊事・洗濯・掃除、全部が手伝ってくれているという事……。決してこき使っている訳ではない、断言する!一緒に作業していて楽しいし、はかどるし。一緒にご飯を食べて風呂に入る。夜はゲームの狩やフィールドの話で盛り上がって、寝る。
こんなに楽しい毎日だとは……。
私は起き上がって洗面台に。顔を洗って、歯磨きを。キッド君は、食器を出して朝食の用意。今回はなんと!キッドがパンを作ってくれると言うので、楽しみなのだ。モンハン世界でのパンは一体どんな味なのか………。と言って、材料はこっちの世界のものだから、変わらないかな!?
そう服を着替えているうちに、テーブルに大皿に乗った大きなメロンパンのメロンを抜いたような丸く膨らんだ、香ばしい匂いのパンが真ん中に。
食の誘惑をしてくるそのパンは、匂いだけでも涎が出そうになる…………。いや、失礼。
それを何処から出したか、長いパンナイフでサクサクと切り分けていく。もはや職人だな。と感心してしまう。
「どうぞですニャ♪」
目の前に出されたパンは、香ばしい匂いの、しかも焼きたてで、食欲を誘う素晴らしいパンで、私は待ちきれずに、
「いただきます!」
と、早速口に運んでいた。外はサクッと、中は柔らかく、しかもバターの風味が堪らない♪♪なんて事だ。下手をすれば、モンハン世界での料理の方が美味しいとか言わないだろうな。だとしたら、迷わずそっちの世界に行ってるな、確実に。
牛乳を片手に、必死に食べる。
「ニャ!?そんニャに急がなくても、まだありますニャ♪」
そう言いながら、嬉しそうに、コップに牛乳のおかわりを注いでくれる。これではどちらが主人か分からないが………。
いや~~~………。堪能した!旨かった!朝から幸せ者だな♪
「ありがとう、旨かったよ♪♪」
「ニャ!?ニャ、照れるニャ♪」
「いや、マジで♪また作ってくれるかい?」
「分かりましたニャ。頼みとあれば、作りますニャ♪♪」
ほっぺを赤くしながら、微笑んで返事をしているアイルーに、私も顔が綻んでいた。
朝食を済ませ、キッドと一緒に部屋を出る。何をかくそう仕事も一緒だ。
私は宅配の仕事をしている。会社のトラックで集配と配達を地域ごとに分かれて回る。その仕事にも一緒に回っ
ている。当然、紹介したときは誰しもが驚き、奇声こそ上げはしなかったが物珍しさと可愛らしさでクリアした。
なので今では会社内は勿論、常連のお客様の所でも可愛がってくれる、羨ましい猫である。
え~と、今日はあのお客様か……。ほう、荷物はこれか!?なるほど。じゃあ、早速行くか。
私はトラックから荷物を取り出し、キッドには小さめの荷物を。私は大きめの荷物を持ってそのお客様の玄関に
立つ。
キッドは小さめでも体躯と同じぐらいの大きさの荷物だったので自身の頭の上に持ち上げている。その方が楽なようで……。
私は押し鈴に指を当てて、チャイムを鳴らす。暫く待つと、ガタゴトと音がしたかと思うとドアのノブが回った。私はそれを見て即座に○○○宅配便です♪と声をかけた。
「はいはい…、どうぞ、待っていましたよ♪」
中からは老婦人が顔を出して迎えてくれた。この老婦人は10年前に旦那さんを無くされてから、ずっと独り暮らしで、時々隣町の娘さんが様子を見に来ている様だが、娘さんも共働きで簡単には来れないようだ。だが、元々老婦人は前向きな人で、身体に早さは無くなったが、明るくて元気。逆にこっちが励まされるほど。キッドに会うようになってからますます元気だ♪
「荷物をお届けに来ました。どこに置きましょうか!?」
「ここでいいですよ♪キッドちゃんもね♪毎日偉いわね♪」
「ニャ!?そんニャ事はないですニャ♪照れますニャ♪」
「ホッホッホ。あ、そうそう、ちょっと待ってて。」
と、茶の間の方へと行ってしまう。キッドと顔を見合わせて、どうしたものかと首を傾げていると、何かを持って戻ってきた。
「これを持ってってちょうだい。お腹の足しになるかどうか分からないけど♪」
とおやつを持たせてくれたのだ♪
「キッドちゃんはこれね♪」
となんとイカのお摘まみである。待遇に差がないですか!?
「良かったな。帰ったら開けてやるから楽しみにな♪」
「あ、ありがとうございますニャ♪」
とキッドは老婦人に深々と頭を下げた。
「いいのよ、いつもありがとうね♪♪」
キッドと老婦人は顔を見合わせて微笑む。こっちも見ていて気持ちが和む♪♪
「よし!次のお宅に行こうか!」
「はいニャ!!」
手を振ってさよならした後、トラックに乗り込み車を走らせるのだった……。
一通り、今日一日分の仕事が一段落ついた。移動の距離は範囲があるので大体は決まっているが、時々何度か往復する事もあり、今日は正にそのパターンだった………。なので返ってバテバテだ。キッドもよく頑張ってくれたと思う。
早速アパートに帰り、飯の前に汗だくになった身体をキッドと一緒に風呂に入る。といっても今回はシャワーだけ。それでもキッドにすれば、最初は驚いて感心して、マジマジと眺めていたものだ。今となってはそれも楽しい思い出だ♪
気持ち良さそうにシャワーを浴びるキッドを見ていて、何故かイタズラ心が疼いてしまい、両手にシャンプーを着けて目一杯に泡立たせて、キッドの身体を洗い出す!
「ニャ!?ニャ、ニャ、ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪くすぐったいニャ♪や、止めて下さいニャ♪」
私がなかなか止めないので、キッドが反撃に出てきた!しまった、キッドもなかなかにくすぐったい所を攻めてくる!こうなったら根比べだ♪どちらかが参ったと言った方が敗けだ♪負けてなるものか!………………………。
暫くして同時に参ったと叫んでいた……。
ふっ、こんなこともあるさ。風呂から上がり、冷蔵庫に手を伸ばす。キッドは牛乳瓶を。私は缶ビールを。
「乾杯。」
「乾杯ニャ♪」
カキンッと打ち鳴らし、一気に煽る!
「ぷは~~~♪♪」
「ぷニャ~~~♪♪」
一人と一匹でこの満足感………。病み付きだ♪
一緒に夕飯を作って食べ、食器を片付ける。流石に、キッドに料理を…等とは言えないので、今度休みの時にと話し合い、今日の夕飯は一緒に作って食べた次第。
最近テレビを見るより、キッドとモンハン世界での話の方が俄然盛り上がる。いや、実際にその世界で動き回っている訳だから、画面越しに見るよりリアル感タップリでしょ!
見方や、捉え方が違ったりして凄く楽しいし♪キッドにしてみてもそうらしい♪逆の立場で、捉える事が出来て面白いらしい♪だからこそ毎日話していても、ネタが尽きない♪ついつい夜中に寝る事も。
だが、今日はこの辺で、お開きにしよう。明日は少し早くに起きなければ仕事に間に合わないし、十分睡眠も取らなくては………。
「よし、そろそろ寝るか。」
私達は、片付けて、ベッドに入る。キッドはそのベッドの下に横になる。
「お休みなさい……ニャ!?……ニャ、ニャんと!?」
私は慌てるキッドを無視して抱えて、ベッドに引っ張り込む。キッドの背中と、私のお腹が当たり、暖かいのと、気持ちが良いのとで腕を回して、ギュウッと抱き締めた。キッドも向こうを向いたままだったが、ゴロゴロと喉を鳴らして、気持ち良さそうだった………。
これからもよろしくな♪♪と心の中で話し掛けつつ、深い眠りについた私だった………♪♪♪
読了いただけてありがとうございます♪
ホッコリしていただけたら幸い………♪
あなたの目の前に、アイルーが現れたら………。あなたならどうしますか!?私は俄然!一緒に住みます♪♪
ではまた、別の作品にてお会い出来ることを切に願って………♪紅龍騎神でした………♪