もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
シルバーウィークのお供になってくれれば幸いです。
それでは、どうぞ。
生徒会室
「会長、ちょっといいですか?」
「いいぞ。どうした石上」
「実は、会長に相談というか、お願いがありまして」
ある日の放課後の生徒会室。普段通り仕事をしている白銀に、石上が何やら真剣な顔つきで話しかけて来た。因みに女子達は現在、生徒会室にいない。全員それぞれ野暮用があるからである。これなら、男同士しかできない話しも可能だろう。
(何だ?やけに真剣な顔をしている…まさか、つばめ先輩関係の恋愛相談か!?)
そして石上の真剣な顔を見た白銀は、石上がつばめに関する事で相談をしにきたのではと思った。付き合ってまだ1ヶ月も経っていない2人。特に喧嘩をしたという話しも聞いていないし、石上の日頃の会話を聞く限りとてもラブラブだ。なので、ネガティブな感じの話しなんて先ず無い。
多分、かつて田沼がしてきたように、そろそろ自分達も先に進んでもいいのではとか、そういう感じの相談だろう。ならば、ここはしっかりと相談に乗ってやろう。
「わかった。でもまぁ、そのまま立ったままなのもあれだろう。そこのソファに座ってくれ。今コーヒー淹れるから」
「わかりました。あと、ありがとうございます」
「気にするな」
白銀はペンを置いて、生徒会室に常備されているコーヒーセットでコーヒーを2人分淹れる。そしてそれを長机に置いて、石上の対面のソファに座る。
「それで、一体どうした?」
白銀はコーヒーを一口飲んで、再び石上に尋ねる。
「会長。僕に、バイトを教えてくれませんか?」
「え?」
そして、石上の口から出た言葉を白銀の予想とは違うものであった。
「バイト?何でまた?」
「実は、夏休みにつばめ先輩と2人きりで旅行に行こうと思ってるんです。でも、旅行って結構お金かかるので、今の内にしっかりとバイトしてお金を貯めておこうかと」
「なるほど」
少し面食らったが、話しを聞くとやはりつばめ関係の相談。やはりとか思うと同時に、白銀は関心する。昔の石上であれば、こんな事絶対に相談しなかっただろう。
「会長は色んなバイトをしていましたし、その経験を教え貰えれば幸いです」
「因みに石上。お前今までバイトした事は?」
「無いっすね。全部家の小遣いでなんとかしてきました。そもそも、知秀院でバイトしている子ってあまりいいと思いますよ?」
「あー、それもそうか」
そういえば、この学校秀知院学園はお金持ちの子ばかりが通う学校だったと白銀は思い出す。そんな子らであれば、バイトなんて普通はしない。むしろバイトを雇う側だろうし。実際白銀も、バイトしているのは京佳くらいしか知らない。
「そういう事なら安心しろ。俺はマジで色んなバイトしてきたからな。お前の期待に応えられるだろう」
「ありがとうございます」
白銀は、本当に様々なバイトをしてきた。これは白銀家が貧乏で、お金が必要だったからというだけの理由では無い。白銀は、バイトを社会経験の一環と考えており、可能な限り様々なバイトをするようにしているからである。
故に、基本的にひとつのバイトを長くする事は無いのだ。しかしそのかいあって、バイトに関する知識は間違いなく秀知院で1番だろう。
「そうだな…メジャーなのはスーパーのレジ打ちのバイトだな。あれなら数時間立ちっぱなしにはなるが、バイト内容はかなり簡単だから誰でも出来るぞ」
「なるほど…でも時給低くないですか?」
「まぁ…レジ打ちなんてそんなもんだしな」
「すみません会長。我儘言ってしまいますが、もう少し時給の高いバイトとかは無いですか?あまり時間をかけ過ぎると、間に合わないかもしれないので」
「ふむ…なら工場の品出しはどうだ?あれはかなり体力を使う分、時給もかなりいいぞ。あとは、引っ越しのバイトも結構時給が高いな。まぁ、こっちはかなり神経使うからあまりオススメできないが…」
「なるほど…工場や引っ越しですか…」
「後、俺は経験無いが、家庭教師のバイトはかなり高給だと聞いているな」
「あー、それは聞いたことありますね。まぁ、そういうのは僕は無理ですね。自分だけで割と精一杯ですし。伊井野や四宮先輩なら適任でしょうけど」
「確かにな。他はそうだな…あまり人と関わりたくないのがよければ、交通量調査とか、漫画喫茶とか、深夜のガソリンスタンドとかもいいな。日にもよるが、本当に人来ない日とかあるし」
「へー。漫画喫茶って結構接客大変なイメージありますけど、そうでも無いんですか?」
「ぶっちゃけこれは店や地域によるな。俺が入った店は、客層も普通で楽だったぞ。食べ物もジュースかソフトクリームくらいしか無かったからその辺も楽だったし」
石上は白銀の経験を、スマホにメモしていく。こういうのは、しっかりとメモを取る事が大事なのだ。社会に出ると、その意味がよくわかるぞ。
「そういえば石上。目標金額はいくらくらいなんだ?」
「大体30万円くらいですね。それだけあれば、苦労無く旅行に行けます。勿論、スイートルームとかの高いホテルの部屋を取らなければって前提でですが」
「ま、そんなもんだな。場所は決めているのか?」
「はい、沖縄にしようかと思ってます」
「お、いいじゃないか」
石上が予定している旅行先は、沖縄であった。確かに、それはいい。沖縄と言えば、国内屈指の観光地だ。旅行には持ってこいだろう。でも石上が沖縄を選んだ理由は、何もそれだけじゃない。
(そこで、つばめ先輩の水着姿も拝めるかもしれないし…!)
それは、つばめの水着姿。沖縄は海が綺麗で有名な場所だ。関東圏なら江の島なども有名だが、あそこは石上調べでナンパが多い場所なので却下である。
そこで、沖縄なのだ。綺麗で開放的な海ともあれば、つばめも水着になることは必須。是非その女神のごとき姿を、この目で拝みたい。
(でもそんな事、つばめ先輩に言える訳ないからな)
できればこんな姑息な真似なんてせず、つばめに頼みこんで見たいのだが、そんなハレンチな真似をつばめが許してくれるとは思えない。なのでこんな事をしているのである。無論、彼女と一緒に旅行に行きたいのは本心だ。水着はあくまでおまけである。
尤も、つばめは石上が普通にお願いをすれば水着くらい着て見せてくれるだろうが。
「会長も、立花先輩と一緒に旅行とかどうですか?きっと楽しいですよ?」
「それは確かに…あれ?俺付き合ってるってお前に話たっけ?」
「いえ。でも最近のお2人の距離感見ていたら、なんとなく分かります」
「マジか…」
石上の発言に、白銀はかなり驚く。これまでずっと京佳と付き合っている事は言っていなかったが、石上はとっくにその事を知っていたのだ。自分達は、そんなにわかりやすかったのだろうか。これからは、もう少し自重した方がいいのかもしれない。
(しかし、旅行か…俺も夏休みの後半にはアメリカに行くし、それまでに京佳と旅行に行こうかな?もう借金の問題も無いし)
そして白銀は、石上の話しを聞いて自分も京佳と旅行に行こうかと考える。
あと半年も無い時間で、自分はアメリカに行かないといけない。そうなれば、簡単には京佳とは会えない。正直淋しいし、少し心細い。
でもその前に、2人きりで旅行にでもいけば、それは楽しくて素敵な思い出となるだろう。その思い出があれば、アメリカに行っても寂しくなんて無い。
(うん。ちょっと調べてみるか)
白銀は家に帰ったら、旅行について色々と調べようと決めた。そして話しは、再びバイト関係に戻る。
「あ、そうだ石上。どうせなら日頃は普通のバイトをして、家にいる時は在宅で出来るデータ入力のバイトとかをすればいいんじゃないか?つまり掛け持ちだな。そうすれば、お金はより稼げるぞ」
「確かにそれはいいっすね。僕パソコンは得意ですし、家でも出来るっていうのはマジでいいかもです」
「ただ無茶して体を壊すなんて事はするなよ?もしそうなったら、子安先輩が悲しむしな」
「わかりました。僕も、つばめ先輩を泣かせる真似はしたくないので」
白銀も一時期、バイトをしすぎて倒れかけた事がある。あの時は、兎に角お金を稼がなければと思っていたからだ。
しかし、そのせいで家族にかなり心配されて、それ以来無茶だけはしないようにしている。実際、体を壊したら稼いだ以上にお金が必要になったりする。
なので無茶は厳禁なのだ。勿論、時には無茶をしないといけない場面もあるけどね。
「それはそうと石上。お前なら大丈夫と思うが、高い時給や報酬に釣られて、怪しげなバイトなんてしたりするなよ?最近、学生を使った闇バイトかなり多いって話しだし」
「わかってます。確かにお金は欲しいですけど、そんなバカなことやってつばめ先輩を失望させたくありませんし。何より、人生を棒に振りたくありませんしね」
最近は、どうにか楽をして沢山稼ごうと考えている学生を狙った闇バイトがかなり横行している。例えば荷物を運ぶだけで2万円とか、とある家に行くだけで10万円とかである。
しかし、世の中そんな甘い話は無い。こういったものは、そのほぼ全部が闇バイトによる犯罪だ。石上はその辺かなりしっかりしているのであまり心配はしていないが、それでも万が一があっては大変だ。なので一応、こうして注意喚起だけはしておく。
「にしても、本当にお前変わったな」
「そうですか?」
「ああ。1年前のお前とは、顔つきも何もかもが変わってる気がするよ」
白銀は、1年前の石上を思い出す。周囲から排除されて、他人を信用出来ず、孤立していた頃だ。あの頃の石上は、ふとした拍子で死んでしまいそうなくらい追い詰められていた。
それが今では、勉強を頑張り順位を大幅に上げて、子安つばめという素敵な彼女すら出来た。それに最近は、石上の事を悪く言う生徒も殆どいない。1年前の石上にこの話をしても、決して信じてはくれないだろう。
「これも、お前が子安先輩に恋をして、彼女に相応しい男になろうと頑張ったからだろうな。おかげで今お前はラブラブだし」
「え~~?そうっすかね~~?」
ラブラブという言葉に反応し、石上が途端にデレデレし始める。
「まぁ?確かに今の僕って超ラブラブですし?毎朝つばめ先輩にうおはようございますってメッセージ送ったり、おやすみなさいってメッセージ送ったりしてるから、常に先輩が側にいる気がしてますし?この前もデートをしましたけど、その時も周りの男どものの嫉妬の視線が超気持ちよかったですし?それくらい幸せな空気が周りに出てるんでしょうね~~」
顔をデレデレとにやけさせながら、石上は惚気る。毎日つばめと挨拶をし、時間があれば電話をし、しっかりとデートもしている。おかげで、毎日毎日幸せでいっぱいだ。
「それもこれも、会長の言った通り、世界で1番の彼女であるつばめ先輩のおかげですよ。本当に、僕は世界で1番の彼女と一緒になれて幸せですよ~~」
カチン
石上が幸せになった事は、別に良い。なんだったら、心から祝福できる事だ。しかし、世界で1番の彼女というのはちょっと待って欲しい。
何故なら、世界で1番の彼女は絶対に京佳だからだ。
「……いいか石上。俺から見ても、子安先輩は確かに素敵な女性だ。そんな人と一緒になれたお前は、間違いなく幸せ者だろう。だがな、世界で1番の彼女は京佳だ。これは譲れんぞ」
カチン
白銀の京佳史上発言に、今度は石上がカチンときた。
「いや会長?確かに立花先輩も素敵ですけど、つばめ先輩には負けますって。つばめ先輩は笑顔が超素敵なんですよ?あの笑顔は、まさに太陽の如く眩しい笑顔ですし」
「それなら京佳の笑顔だって素敵だぞ?それこそ、冬の大三角のひとつであるシリウスくらいな」
「……へぇ」
石上の声色が低くなる。そして勝ち誇ったような顔で、また話す。
「知っていますか会長?つばめ先輩って、お菓子作りが得意なんです。僕この前、先輩の手作りクッキーを食べましたけど、あれはもうお店に出しても問題ないくらい美味しかったですよ?つばめ先輩マジ神っす」
「それなら京佳は凄い気が効くぞ?ほらこれ、今も俺が付けている腕時計も、京佳が誕生日に送ってくれたものだ。10気圧防水だし、電池寿命も10年も持つ優れものの腕時計。日頃からスケジュールが詰まっている俺にこそ相応しいと京佳が思って送ってくれたんだ。こんなに気の利く子は中々いないぞ?」
「「……ふふふ」
どこか目つきが鋭くなった2人は、なんか黒いオーラを出しながらお互いをしっかりと見据えて、口を開くのであった。
「いやー、こうして皆で生徒会室に行くのって久しぶりですねー」
「全員、用事でまだ行けていませんでしたしね」
「見事に女子だけ行っていないんだな」
「珍しいですよね」
生徒会室に続く廊下では、生徒会女子4人が並んで生徒会室に向かって歩いていた。藤原とかぐやは部活。京佳は龍珠の相談にまた乗っており、伊井野は風紀委員の仕事。
その結果、生徒会女子のみがまだ生徒会室にいないという結構珍しい事になっていたのだ。
「会長、今頃石上くんとお仕事してますかねー?」
「多分しているでしょう。まぁ、もしかすると2人してゲームとかしてサボってるかもしれませんが」
「男子2人だけだと、そういう事もありえるな」
「その時は私がしっかりと指導します」
和気あいあいと話しながら、生徒会室に向かう4人。外からは運動部の掛け声が聞こえ、まさに放課後といった感じである。
「~~~!!!」
「~~~!!!」
「ん?」
その時、そんな声以外に何か変な声が聞こえた。なんというか、怒号のような声である。
「何でしょう?」
「生徒会室からだな」
その声は、明らかに正面にある生徒会室から聞こえていた。しかし、一体何があったのだろうか。
「まさか、本当に仕事サボってゲームしているとか?だったら直ぐに指導しないと!」
ゲームをしていると、テンションが高くなってつい声が大きくなったり罵声のような言葉を口にしてしまう事がある。例えば、レースゲームでゴール直前に妨害を受けて大声を出したり、桃○のようなゲームで自分が買おうと思っていた物件を相手に全部買われた時とかだ。もしその通りだとすれば、2人は仕事をサボっている事になる。風紀委員として、直ぐに注意と指導をしなければ。
「お2人共!一体何をしてるですかー!?」
そして伊井野が生徒会室に扉を開けるとそこには、
「じゃあ言わせて貰うけどな!京佳はすっごい料理上手なんだぞ!!俺去年の誕生日に食べた唐揚げマジで美味かったって声を大にして言えるし!!」
「それはつばめ先輩もです!僕この間先輩の手作りお弁当食べましたけど、マジで超美味しかったですよ!?」
「なら京佳、実は結構甘えん坊なところがあって超可愛いんだぞ!!デートの時とか、手を繋いで欲しいってよく言うし!!」
「それはつばめ先輩も一緒です!!まぁつばめ先輩は手を握るじゃなくて、腕を組む事の方が多いですけどね!!ちょっと下衆い事言うと、その時につばめ先輩の豊満な胸が当たってすっごい嬉しいですよ!?」
「京佳もそれは一緒だ!!俺一体どれだけ我慢しているか知らんだろ!!あの大きな胸で迫られたら、マジで理性飛びそうになるんだぞ!?それもこれも、京佳が宇宙で1番の彼女だからだけどな!!」
「それならつばめ先輩は多重宇宙で1番の彼女です!!」
「いや京佳の方が!!」
「いいえ!つばめ先輩の方が!!」
自分の彼女自慢をしている、アホが2人いた。
「え、えぇ…」
その光景を見た伊井野は、唖然とする。別に彼女自慢をするのはいい。でも、端から見ればただの惚気でしかない。正直、ウザイ。彼女自慢をするなら、どっか誰もこない別の場所でしてほしい。
「/////」
そしてその光景を見た京佳は、顔を真っ赤にして両手で顔を隠す。白銀にこう言われてとても嬉しいが、ここまで言われると恥ずかしい。
「えーっと…」
そんな京佳の横をすり抜けて、藤原は生徒会室で何かを探す。
「あ。ありました」
そして色んな雑貨が入っている戸棚を開けると、そこから何かを取り出す。
それは、以前藤原が作ったハリセンであった。
「ふんふん。うん、まだちゃんといけそうですね」
それを手に取り、何度か振ってみる。そこで使い心地を確かめた藤原は、未だに言い争いをしている白銀と石上の元に向かう。そしてそれを思いっきり振り上げて、
「ふんっ!!ふんっ!!」
「「ぐへぇ!?」」
2人の頭目掛けて、力一杯振り下ろしたのであった。
「「お、おおお…」
「お二人とも!うるさいです!静かにしてください!!あと、そういうのは他所でしてください!!彼氏がいない私達に対する当てつけにしか見えませんから!!」
ハリセンで叩かれた2人は、その場に蹲る。いくら力の弱い藤原であっても、不意に思いっきりハリセンで頭を思いっきり叩かれると、普通に痛い。コブこそ出来ないだろうが、痛い。
((いいなぁ…))
そしてその光景を見ていたかぐやと伊井野は、心底羨ましいと思っていた。あれは、もしかしたら自分達のありえたかもしれない未来に見えたからである。彼氏にあんな事言われたら、誰だって嬉しい。自分達も、いつか心から大好きな彼氏が出来たら、あんな風に惚気てもらいたい。2人は心から、そう願ったのであった。
「四宮先輩…」
「なんですか?伊井野さん」
「今度、またどこかに遊びにいきませんか?」
「いいですね。行きましょう」
それはそうと、また今度どこかに遊びにいってこの心の傷を癒すとしよう。この前はスイーツバイキングやカラオケだったから、今度はまた別の遊びをしよう。いっそ、大きな船で東京湾をナイトクルージングとか良いかもしれない。幸い2人ともお金持ちだし、それくらいは全然可能だ。勿論、眞妃も一緒にである。
「成る程。つばめ先輩と旅行ですか」
「はい四宮先輩。だから会長に色々と相談していました」
痛みから復活した2人は、状況を説明。
「へぇ~。やりますね石上くん。1年前なら絶対にそんな事考えなかったでしょうに」
「間違いなく考えてませんね。むしろ『恋人で沖縄に行くとか金持ち自慢?死ねよ』くらいは普通に言ってたと思います」
藤原は右肘で石上をグリグリしながら、石上を褒める。先ほど白銀も言っていたが、本当に石上は成長した。今だったら、藤原的にも石上はアリなくらいである。勿論、本気で横取りなんて考えていないが。
「それで石上。どんなバイトをする予定なんだ?」
「会長に教わりながら色々見てたんですけど、この工場の品出しとかやってみようかって思っています。僕でもできそうですし、時給も結構良いですから」
「へぇ。いいじゃないか」
京佳も以前、浴衣を買う為にバイトはした事がある。なのでこうして、目標があってバイトをする石上に親近感を覚えた。やはり、目標を決めて働くのは良いことだ。
「でも石上。それって結構時間かからない?私達も進級して、これからは授業だって難しくなるでしょ?、もっと勉強時間取らないとあっという間に置いていかれるかもしれないから、バイトばかりする訳にはいかないじゃない?かと言って、勉強を優先しすぎるとお金が中々堪らないかもだし」
「そこはまぁ、頑張るよ。他にも在宅で出来るデータ入力のバイトとかもやろうと思ってるし」
確かに、伊井野の言う事も一理ある。しかし、そこはもう頑張るしかないだろう。もう少し時給の良いバイトでもあれば話は変わるが、そんな高給なバイトなんて無い。なので地道に、コツコツと頑張るしか無いのだ。
「だったら石上くん。うちでバイトする?」
「へ?」
そう思っていると、かぐやが石上に提案してきた。
「うちなら、その工場の品出しバイトよりずっと良い時給で雇うわよ?勿論、石上くんの良い日とか事情は合わせるし、何だったらお昼ご飯も出してあげる。それなら、バイトを掛け持ちするよりずっと効率的でしょ?勉強の時間だって確保できるし、何より四宮家でバイトをするのは、かなり良い体験になると思うわ」
「えっと、良いんですか?」
「ええ。だってあなた、本当に頑張ってるもの。だから、これくらいの応援はしてあげる」
それはまさに、天からの助けであった。確かにかぐやの家であれば、信用も出来る。何より、目標金額をかなり早い段階で達成できるかもしれない。それなら勉強をする時間も、何だったらゲームをする時間だって確保可能だろう。
「じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「わかったわ。ならまた後で、色々と細かい事を話しましょう?」
「はい。お願いします四宮先輩」
なので石上は、かぐやの提案を受ける事にした。折角のかぐやからのご厚意だ。断るのも悪いし、何よりこんな好条件なバイト絶対に無い。ならば、受けるしかないだろう。
「折角俺が色々と教えたのに…」
「まぁまぁ。こんな事もあるさ」
そして白銀は、あっさり別のバイトをする事にした石上を少し恨めしそうな顔をして見ていた。そんな白銀を、京佳は慰めていた。
でも後に、石上は語る。四宮家でのバイトは、マジで想像を絶する大変さであったと。
因みに私は、学生時代に飲食店とスーパーのレジ打ちのバイトをした事があります。でもそこで、かなり苦い体験をしたので、それ以来「飲食系と接客系だけは絶対に行かない」と決めました。いや、本当に嫌な体験したのよ…。
あと、もしこれを読んでくださっている学生さんがいたなら、バイトは1度経験するといいですよ。色々と学ぶことはありますし。
それでは、また次回。じゃあね。
皆さんはバイトの経験は?
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ある
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ない