詭弁ですよ!霊夢ちゃん!   作:名は体を表す

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感想が少なかったので思わず他の小説書いてました。許してにゃん♥


詭弁の過去と歴史ともしもの世界

 ―――目を開けば、そこは深い森の中だった。

 

「……あぁ?此処は何処だ……?」

 

 霧雨魔理沙は辺りを見回して何処かを探るが、ふと気が付いた事があった。

 

「……ありゃ、皆何処行ったんだ?」

 

 何処とも知れぬ森の中。霧雨魔理沙は一人で立っていた。

 とりあえず辺りを見回しながら歩きだす。周囲には不気味な黒い靄のようなものが漂っているが、妖怪や幽霊等の気配は感じられない。

 

「うーん……この景色、何処かで見たような気がするんだが……ぁ」

 

 すん、と。偶々鼻に入ってきた臭いに、頭の中で警鐘が鳴り響く。いち早く、この臭いの元に向かわなければという焦りが噴出した。

 魔理沙は箒に跨り、そよと吹いている風を頼りに森の中を飛行する。

 自身が封印していた『トラウマ』が、ゾワゾワと背中を駆けて行った。

 

 そうして、魔理沙が()()()()にたどり着いた時。目の前に広がる景色は―――

 

 

GARURURU...

 

 

 ―――一目見て()()()と思われる子供二人と、その両手を鮮血で染め上げた()()()()()()()

 

「あ、ああ……?」

 

 その倒れている子供の髪は、見覚えのある黒髪と金髪で。

 真っ黒な妖怪熊は、あの時()()()()()()―――

 

 

GURAAAAAAA!!!

 

 

 森の中に、妖怪熊の咆哮が響き渡る。

 呼応するように、辺りの黒い靄が妖怪熊に集まっていった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「……何処よ、此処」

 

 博麗霊夢は、どこか懐かしいと思える夕日を眺めながらあぜ道のど真ん中で立っていた。辺りを見回せば見覚えのあるような、無いような……青々とした稲が夕日に照らされ、じわっと感じる熱と湿り気が夏である事を想わせる。

 風が吹くように稲が揺れるが、霊夢の耳には風の音も稲同士がぶつかり合う音も聞こえない。自身の身体を流れる血の音も脈動の音も、何も聞こえない。完全な『無音』に包まれていた。

 

「……気味が悪いわね」

 

 とりあえず適当に、己の勘に従って飛び立つ。とにかく、八意永琳の言う事が正しければ此処は既に詭弁の魂に刻まれた記憶の世界の中、という事。なら、『明らかに不自然なモノ』を探し出してどうにかしなければいけない。

 そうしてふわりふわりと宙に浮いた霊夢が、勘に従って向かった先には……幼児が二人、手を繋いで歩いているのが見えた。

 

「……あの、二人は……」

 

 二人とも、今霊夢が着ているような巫女服をそのまま小さくしたような服を着て、笑顔で会話しながら日が沈んで暗くなっていくあぜ道を歩いていく。

 夜は、妖怪の時間だ。早く帰らなければ、妖怪が子供達を襲う―――ッ!!!

 

「危ないッ!!!」

 

 妖怪猪が子供達に向かって猛スピードで突進していくのが見えた。霊夢が子供達に向けて咄嗟に手を伸ばしたが、霊夢の手から霊力弾が放たれるよりも早く()()()()()姿()()()()()()()

 

「っな、何処に―――」

 

 バァンッ!!!

 

 突進してくる妖怪猪が一瞬で消し炭と化し、掻き消えた幼児が再び姿を現した。

 

「くす、くす、くす。聞いたかしらキベン。あの女、『危ないっ!』ですって」

 

「くつ、くつ、くつ。聞いた。聞いたよレイム。弱っちいのに、オレタチの事が心配なんだねぇ」

 

 幼児二人が、空を飛んでいる私にその顔を向ける。その顔は、白い筈の目が黒くなっている事を除けば、幼い頃の私と詭弁そっくりだった。

 

「ねえ、お姉さん。ゲームしよう」

 

「今、オレタチが考えてる面白いゲームしよう」

 

 不気味だ。吐き気がする。幼い頃の私達の皮を被ったバケモノが、人形遊びの延長の様に役割を演じているサマが。

 

「私、()()()()()()『博麗の巫女』なの。そのカッコ、貴方もそうなんでしょ?」

 

「ゲームはカンタン。オレタチとド派手に弾幕勝負をするだけ」

 

「より()()()弾幕を放った方の勝ち」

 

()()()弾幕に見とれて、被弾した方の負け」

 

 ……ああ、懐かしい。思えば、今幻想郷で流行っている弾幕ごっこの原案とも言うべきモノは確か私がこいつ等と同じくらいの頃に出来てたんだったっけか。あの時、詭弁と一緒に帰ったあぜ道。一緒に見た夕焼け。一緒に語り合った事。一つ思い出せば、繋がる様に思い起こされていく。

 ……だと、言うのに。

 ああ、そうだというのに。目の前のこいつ等のせいで、美しかった思い出が汚されていくような気分だ。

 

「……とりあえず、アンタ達が『不自然なモノ』って事は分かったわ。だから遠慮なくぶちのめしてあげる」

 

「くす、くす、くす。聞いたかしらキベン。あの女、ワタシタチをぶちのめすですって」

 

「くつ、くつ、くつ。聞いた。聞いたよレイム。『約束も守れない』ヤツが、オレタチをぶちのめすってさ」

 

 『約束』……詭弁と約束した、なんて事の無いモノ。だけど、きっと。詭弁にとっては()()()()()約束。

 思わず掌が切れてしまう程強く手を握りしめてしまった。

 

「……もう、約束を違えるつもりは無いの」

 

「へえ。じゃあ此処で二回目の約束破りをする事になるのね」

 

「嘘つきだなぁ。オレ、そんなヤツきらーい」

 

 

 喋るな

 

 

「「ッ……!」」

 

 ああ。もうその()で喋るな。アンタは詭弁じゃない。アンタみたいなバケモノが詭弁のフリをしていると考えるだけで吐き気がする。怒りに震える。魂ごと消し飛ばしてやりたくなる。だから―――

 

「この世から往ね。バケモノ」

 

「あははッ!!この世界で、弱い奴に発言権は無いの!!」

 

「花火のように綺麗に殺してやるよ!!」

 

 幼児の姿をしたバケモノ二人の身体から黒い靄が噴出して空に飛びあがる。

 お前達は幽霊でも、妖怪でも、神でも無い。なら消しても問題は無いわよね。

 

 地平線を裂く様に太陽が沈み、星の数ほどの光弾を互いに放った。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 詭弁勉号と詭弁巫女の二人は、懐かしいような風景の中佇んでいた。

 

「ここは……私達の家?」

 

「建てたばかりの新しさ……答弁が産まれる直前かその後くらいの時かな」

 

 セピア色の人里の中で、唯一鮮明な色がついている家は詭弁家のものだ。中に入ると、侵入者に気がつくことなく二人の男女が赤ん坊をあやしていた。

 

「……若い僕達だ」

 

「これが、答弁の魂の記憶って訳ね」

 

 詭弁勉号は、愛の結晶である赤子が無事に産まれたことでこれ以上ない程の幸せを感じていた。詭弁巫女も、この時ばかりは猿のような性欲を出さずに赤子をあやしている。

 

「……答弁が産まれて、育って、友達を作って、いつか結婚して……そんな息子の成長を近くで見続ける事が出来るって思ってた」

 

「……そうね。私も同じよ、勉号さん」

 

 二人は、愛する息子のいる場所に結果的に戻ってこれたというだけで、『幼い息子を置いて遠くに行ってしまった』罪を思い出す。

 

 記憶の世界の中。様々な感情を綯交ぜにしたかのような表情を浮かべる男女二人は、赤子の笑い声が響く室内でただ立ち尽くしていた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「……紅い、霧?」

 

「ふぅん……『紅霧異変』の時の記憶……かしら?」

 

 紅魔館一同は紅い霧が漂う世界を飛んでいた。

 

「明らかに不自然なもの……ねぇ?そんなもの見えるかしら?」

 

「紅い霧に混じる黒い……瘴気?のようなものを感じますけど……」

 

 紅美鈴の言うように、紅い霧の中に僅かながら黒い霧が混じっているようだ。

 一同は、その黒い霧が濃い方角へ向けて飛行する……と、目下の森の中から紅い槍が高速で飛来した。

 

「あれは、レミィのグングニル!?」

 

 雷のような軌跡を残しながら飛来してきた『グングニルの槍』が誰かに突き刺さる前に、レミリア・スカーレットが奪い取るように掴み止めた。

 

「……チッ、手が裂けたわ」

 

 吸血鬼の怪力をもってしても完全に止める事は出来なかった程の威力。レミリアは、自身の持つ紅槍と違って()()()を重視した重量の有る槍である事に気付く。

 そして目下の森から、翼の生えた人型の生命体が飛んできた。

 

「……えっ?き、詭弁さん?」

 

「詭弁……よね?」

 

「どう言うことか説明してくれるわよね()()()?」

 

「知らない!知らないわよ!!」

 

 その人型は、おそらく詭弁であった。

 顔や体格は間違いなく詭弁のソレであったが、髪の色や髪質、背中に生えている翼、そして手に持っている槍は間違いなくレミリア・スカーレットのソレであった。

 いつの間に詭弁と悪魔合体してんだコノヤロー、という視線がレミリアに突き刺さる。

 

『おや、さっき()()()()()()の妖怪と同じ顔が居る』

 

 ゾッとするような視線がレミリアに向けられる。その目には、一切の感情が感じられない。()を煮詰めて濾したら、こんな色になるのだろうという瞳の色。レミリアが知るような詭弁の瞳とは、全く違った。

 そうして無感情に、無関心に、その手に持った紅槍を無数に出現させて打ち出した。

 

「危ないッ!」

 

 大量に飛んでくる紅槍を、全て誰かに当たる前に『破壊』するフランドール・スカーレット。お返しと言わんばかりに大量のナイフを投げる十六夜咲夜。

 しかし背に生えている翼で力強く羽ばたいただけで、全てのナイフを落とした。

 

「くっ……お嬢様の翼よりもかなり強い羽ばたきですね……」

 

「そうね。レミィよりもかなり厄介かも」

 

「御姉様なんかよりも強そうだわ」

 

「あんた達一々私をこき下ろさないと気が済まないの!?」

 

 紅い霧に黒い霧が混じっている世界の中、悪魔達と人型は互いに切っ先を向け合った。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「……えーっと、此処は妖怪の山……かな?」

 

 河城にとりは紅葉に染まる林の中で一人立っていた。

 辺りを見回しても特に見覚えの無い光景……だが、生えている木にそれとなく刻まれている紋様は天狗のナワバリを示しているモノであり、それがあるという事は即ち妖怪の山の中或いは近辺であるのが分かった。

 

「ここが詭弁の記憶の世界ねぇ。なんだかイメージと違うなぁ」

 

 もっとこう……セクハラしまくってるような雰囲気で―――と思っていたその最中の事。

 

「そこの人間!止まりなさい!」

 

「ひゅいっ!?」

 

 突如響き渡る大きな声によって驚かされ、咄嗟に光学迷彩を発動したにとり。

 そうして透明になりながら、声の出どころを探って移動するとそこには―――

 

「ほー……天狗ってフンドシはいてるイメージだったんだけど普通のパンツなんだねぇ」

 

「スカートから手を下ろせ馬鹿!!」

 

 今と比べたら顔に幼さが残っている詭弁と、自身の知り合いである白狼天狗の椛がイチャついていた。

 

「……やっぱイメージ通りだったわ」

 

 にとりの呟き声は、大声で騒ぐ二人の声にかき消された。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「……人里……よね?」

 

 アリス・マーガトロイドは黒い霧が漂う人里内を歩いていた。

 辺りを煌々と照らす祭の光と、それを遮る様に広がる黒い霧が不気味な雰囲気を匂わせる。そして更に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 人里の中、誰ともすれ違うことなく歩き続けたアリスは目に映る光景から、もしかしたら『自身と詭弁が初めて出会った時の日』ではないかと予想を立てた。

 

「……」

 

 長く生きる魔女でも、少しは感傷に浸って昔を思い出す事はある。だが、それは今ではない。アリスは自身の腕を抱く様に握りしめながら、かつての日を想起する。……そう、確かあの日詭弁に出会った場所は、人里中央の大広場から少し離れた―――

 

「こんばんは」

 

「っ―――」

 

 ―――大広場から少し離れた、祭の光が届かない程に暗い路地裏。

 そこに、()()()()が立っていた。

 

「うふふ。ねえ、見て?とっても素敵な『お人形』でしょ?ついさっきお手入れが終わったばっかなのよ」

 

 黒い少女の腕には、()()()()()()()()()()()が抱えられていた。

 触り心地の良かった柔らかい髪質は、全て紛い物特有のゴワゴワした質感の糸に変えられて。

 人間らしい欲と、夢を見る子供特有の情熱と、理不尽に抗う為に現実を見据える力が秘められた眼は(くす)み、何も映す事の無いガラス玉のように無機質なモノに変えられて。

 その見た目以上に強かった筋肉と少しの脂肪がつまった四肢は、ただただ固いだけの木目が見える粗末な材質に変えられて。

 

 アリス・マーガトロイド(黒い少女)は、木偶人形(詭弁答弁の死体)を抱えて嗤っていた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 轟々と燃えさかる山の中、星熊勇儀と伊吹萃香は立っていた。

 

「……んぁ?何処だい此処は。……幻想郷……じゃ、無さそうだねぇ」

 

 伊吹萃香は燃え盛る森の中、余裕そうに手に持った伊吹瓢を傾ける。山火事とは言え、この程度の炎で何とかなるほど鬼の身体は弱くは無い。

 ……弱くは無いのに、相方の星熊勇儀は炎の中で青ざめた表情をしていた。

 

「んー……おい、勇儀?何小さい声でブツブツ言ってんのさ」

 

「まさかここはちがうでもいやまさかまさか」

 

「あっ!ちょっと!?」

 

 星熊勇儀は、少なくとも幻想郷に来てからこのような山火事に出会ったことが無い。(無論色々あって地底に引きこもった時より後の事は知らないが)

 だが、この山火事には『覚えがある』。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に、星熊勇儀は確かに覚えがあった。

 此処は詭弁答弁の記憶の世界。より正確に言えば、『魂に刻まれた記憶の世界』。詭弁は、()()()()()()()()()宿()()()()()と言っていた。

 それは、つまり。

 

ダァンッ!!!

 

 破砕音を置き去りにして星熊勇儀は駆け出した。向かう先は、自身の永遠のライバル(父親代わり)の場所。

 逆巻く炎を頼りに駆け抜けた……その、先には。

 

「……勇儀……か?」

 

「は……ハハハ……元気だったかい?クソジジイ(親父)

 

 恐らく少し前に、幼き頃の星熊勇儀(自身)をその持っている長槍で遥か向こうの山まで殴り飛ばしたであろう老人がただ一人、岩の上で佇んでいた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 詭弁答弁の記憶の世界……その()()()()()()()()

 

「此処があの子の『最奥』……かしら?」

 

「……くっ、ダメでした。やはり各地に点在している『魔神の欠片』を破壊しなければ……」

 

「はぁ、本当に……どうして『詭弁』ってのは私に迷惑を掛け続けるのかしら……」

 

「……紫様?」

 

「仕方ないわ。藍、とりあえず片っ端からツブしていくわよ。あーあ、『妖怪の賢者』ともあろう者がこんな脳筋プレーをしなきゃいけないなんて……」

 

「……紫様は昔から割と脳筋プレーを好「何か言ったかしら?」イエナンデモ……」

 

 八雲紫と八雲藍は『真っ黒』に包まれた記憶の世界を離れ、違う場所を目指す。

 記憶の世界は詭弁、或いは詭弁の記憶に深く刻まれたモノを中心に形成され、端を目指して移動すればその内に違う記憶の世界へとたどり着く。八雲紫は、自身の能力を使い『全ての記憶の世界』を俯瞰視点で覗き、片っ端から『魔神の欠片』を取り除いていく事にした。

 

 

 

 

 『魔神の欠片』除去進行度:0%

 




魂に刻まれた記憶の世界
イメージとしてはスマブラXの亜空間大迷宮。
『魔神の欠片』を無事に取り除ければ記憶の世界は元に戻っていくぞ♥ガンバレ♥ガンバレ♥
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