私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
序章 虎視眈々 〜私の日常〜
朝早く登校した私は、また私の唯一無二の親友にして、人生で初めて出来た友人でもある槻本翼くんの机にイタズラされていた場面に出くわす。
「(今度はスカート泥棒を擦り付けるつもり・・・?っ、相変わらずふざけた連中ね!)」
私は烏森綾(からすもり あや)。
普通の人生を送っている人ならば今頃青春時代の入り口ともいえる14歳、中学2年生だ。
背丈が標準的な女子より頭半分ほど低く、目はパッチリとした碧眼だ。髪が銀色で顔立ち以外はロシアの帰国子女っぽい事から小学校の時に相当男子から言い寄られたのは筆舌に尽くし難いおぞましさを感じたものだ。しかもそのせいで女子の友達すら出来なかった有様なのだから笑えない。
せめて中学では、と髪を黒く染める事を強く求めたのだが「校則での染髪は認めない」とバッサリ切り捨てられてしまい諦めた。
しかし、ここの中学というのはなかなか不思議なもので外国人的な姿の私が堂々とポニーテールにしていても前みたく男子どもが寄り付いてこないのは幸運だった。
・・・と私の奇妙な学校生活の云々は置いておいて。
翼は私が心配する言葉をかけるよりも早く、なんでもないと言いたげな表情で机の上に置かれた制服のスカートをロッカーの上へ片付ける。
しかしタイミングが悪く他のクラスメイトが教室へ入ってきてしまい、すぐにスカートを見つけて彼をからかった。
「おい槻本!せっかく話しかけてやってるのに無視かよ〜!」
「いい加減にしなよアンタら!机にあったからって、コレが翼のだって証拠はあんのかよ!?どーせまた身内から借りてみみっちい真似でもしようとしてたんでしょ!」
私は翼を守るため、彼をからかう2人の男子に割って入りスカートのタグに書かれた名前を指さしてブチ切れた。名前の欄には全く知らない女子の名前が書いてあり、彼の物ではないという証拠を示している。
ちなみに翼を守り始めた事で私にもイジメ・・・というか上履きの中にカッターの刃を沢山詰められた事があったのだが、即座にプッツンしてクラスメイトを手当り次第殴って大問題にした事でそれ以来は誰も手出ししてこなくなった。・・・街での私の評判と引き換えにだが。
何時しか私は「オジサン」や翼以外の誰からも不良のレッテルを貼られ、なんか冷たい目で見られるようになっていた。
私からすれば唯一の親友に嫌われなければどうだって良かったし、「オジサン」も私が正しいと信じてくれている。
「チッ、いちいちうるせーんだよゴリラ女!俺達が遊んでやろうとすると出てきやがって!」
「うるせーのはどっちだ、この人でなし!テメーらの遊ぶってのは世間一般の常識の言葉ではイジメって呼ぶんだよ!」
周りがどよめいてるけど知ったことか。
「あ、綾ちゃん・・・これくらい僕は大丈夫だから・・・」
「翼は大人しくしてて!コイツらは殴んないと反省なんか・・・!」
「先生が来たよ?また前みたく綾ちゃんに迷惑がかかっちゃうよ!」
・・・と喧嘩に勃発させそうになった所で先生が教室に入ってきてHRの準備を始めた。
私は今までに何度も翼の事で先生に相談してるのだが、「なんとかする」や「考えておく」ばかりで真面目に取り合ってくれる様子がない。
普通、こういうのを止めるのがアンタら教師の仕事でしょう?
自身に都合の悪い事が起こりそうになると見て見ぬふりか?
翼は言葉や顔に出さないだけで、ずっと心では泣いてんだぞ。
今は私が居るとはいえ、このままじゃ彼は…
・・・ああクソ。マジで最悪だよ、この学校。
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「ただいま〜!オジサン、今日は物投げ込まれたりとかしなかった?」
学校が終わり、翼を途中まで送り届けた私は2駅も跨いで電車で帰ってきた疲れから乱雑に引き戸を開けてカバンを玄関に放り投げた。
私の家・・・というか住居なのかすら分からないが、伏見稲荷大社の近所にあるお寺をリフォームした所に住んでいる。ぶっちゃけ、周りにはコンビニも無ければ街の灯りも早々無いのでかなりめんどくさい。とはいえ私を幼い頃から育ててくれたオジサンに申し訳ないので我慢しているが。
「オジサ〜ン?居ないなら電気くらい消していってよね〜?」
「・・・」グッジョブ( ¯−¯ )b
「ああ良かった、ホント寡黙だよねオジサンはさ。」
襖の奥からニョッと出てきてサムズアップを向けてきた宇宙飛行士。それが私の親ともいえる存在、名前を「烏森 大地(からすもり だいち)」と言う。物心が付く頃から彼に育てられた私は親しみを込めて「オジサン」と呼んでいる。
「・・・」カキカキφ( °-°)
「なになに・・・お風呂湧いてるから先に入ってこいって?はいはい、分かりましたよ〜!」
そしてオジサンの姿以外で変わってる所といえば、話す時は決まって筆談で会話をしてくるのだ。多分、遠い外国の生まれなのかもしれないけど…それでももうちょい日本語を覚える努力をした方が良いのではと思ってしまう事もある。
「あ、それと風呂から上がったらまた「いつもの場所」に出かけてくるから、先にご飯食べてていいよ!」
「・・・」(´・ω・`)ショボ-ン
ガックリと肩を落としたオジサンを他所に私は風呂へ入って身支度を整えたのであった。
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「ぜぇ、ぜぇ・・・まーた来ましたよ〜、と。」
家から回り道して傾斜に掛かる長い大社の参道を歩いて、やっとの事で「いつもの場所」へ辿り着いた。やっぱり何度歩いても慣れないものは慣れないものだ。学校の行き帰りはそこまで辛く感じないのにどうして山は登ると疲れるのか・・・私には不思議でならない。
両脇に私よりも頭ふたつくらい大きな稲荷像がある開けた場所、そこが翼にとって心の安らぐ「いつもの場所」である。夕陽を背景に立つ彼の姿は、美術の教科書に載ってそうな1枚の絵のように儚げで美しく感じられた。
「やっぱり来てたよね。あのさ翼、朝は・・・」
「ごめんね、綾ちゃん。僕がもっと強く皆に言えてたらこんな事に巻き込まなくても大丈夫だったのに。」
「別に翼が気にする必要無いよ。私が翼を守りたい〜って始めた事なんだから。それで私の人生がダメになっちゃったとしても、翼が無事なら後悔は無いかな〜って、恥ずかしい事言わせないでよ!」
「綾ちゃんが勝手に言ったんじゃん・・・」
「へへ〜そうでした☆・・・んで、そっちの家は相変わらず?たまには私の家に遊びに来てもいいんだよ?つか来い、美味しいもの沢山用意するから!」
「気持ちは嬉しいけど、そしたら家族の皆に・・・」
「はぁ〜翼はなんでこう、んぁ〜!もっとフリーダムに振舞っちゃえよ、私みたくさ!そしたら嫌な事とかあんまり気になんなくなるし、親なんかいちいち気にしなくて済むじゃんか!」
「僕は綾ちゃんほど強くないもん・・・あ、そろそろ行かないと!」
「門限だもんね・・・また明日。」
翼が家から締め出されるのを危惧して急いで帰り足につく。
彼は家にすら自分の居場所が無い。話によると彼とは血の繋がりがない家族だとの事なのだが、それでもなんで家族からそこまで嫌われているのか分からない。普通は年頃の男の子にそんな扱いはするもんじゃないと思うよ。私だったらまず家出するね!うん、間違いない。