私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾捌話 ステイ椿!

 

ショッピングモールへ到着して中に入ったは良いものの、そこで私と椿は夏美は普通の人間なので妖怪御用達の服屋には一緒に行けない事に気づいてしまった。

 

その結果として、私と椿、夏美の3人は別行動という形になってしまった。理由としては、私は元から人間なので別に普通の服屋でも問題なかったのと、椿は耳と尻尾を隠せるから普通の服でも大丈夫という事からである。

・・・行ってみたかったけどなぁ、妖怪の服屋。まぁ、今回はそこまで服に拘る訳でもないので良いけれども。

 

現在、私達は下着を買うべくランジェリーショップの前へ来ている。

 

「ほら、椿。ブラを買うのもだけど、まずはちゃんとしたサイズを測らないと駄目でしょ?」

 

「ぬぅ、やっぱり測らないといけませんか・・・」

 

「元から無い私と違って、椿は幾らか大きくなってきてるしね〜」

 

深呼吸している椿を見て、そういえば椿は人間に変化させられていた時に男として生きてきたから、まだ女性物の店に抵抗がある事を思い出す。

 

なので私は椿を少しでも安心させる為に、自身の手を彼女の手にそっと優しく繋いだ。

 

「いらっしゃいませ〜」

 

「あっ、すみません。この子のバストのサイズを測って欲しいんですけど」

 

夏美が先に入って店員に話しかける。椿は店の各所に飾られた下着類を眺めていると、店員と話を終えた夏美から声をかけられた。

 

「ほら、椿もお友達も。何やってんの?測ってもらいな」

 

「えっ?あっ、うん」

 

「あ、はいは〜い。今行きますよ」

 

私達はそれぞれ試着室に入って、店員さんから胸の大きさを測ってもらう。椿が居る隣の試着室の方からは店員から服は脱がなくて大丈夫とか、ブラを付けていない事を咎められたりしている声が聞こえてきていた。

 

――しばらくして

 

「お待たせしました、お姉さん。此方の子は一応、今はBで良いでしょうけれど、恐らくすぐにキツくなると思うのでCも用意しておかれた方が良いですね。そちらの子は今はまだ大きくなってきているという様子は無さそうなので、ひとまずAでも大丈夫だと思いますよ」

 

店員の話に夏美が納得している表情を見せ、私も悔しながらも下手にサイズで見栄を張っても仕方ないので大人しく頷く。

 

そして、店員のオススメのブラを夏美と見ていると椿が不思議そうな顔をして小声で話しかけてきた。

 

「ねぇ、店員さんは何でそんな事が分かるの?」

 

「そりゃ、あと数センチでCになるからよ。成長期だったら割とあっという間にCになるから、念の為にそれも用意しときなさいって事。あっ、これなんかどうよ?」

 

「うーん、私も成長期のはずなんだけどなぁ・・・ちょっと椿が羨ましいよ〜」

 

色々と胸を大きくする為の手段は試しているつもりなのだが、やはり私は遺伝子とかそういう個人差で全然大きくならないんだろうか。

 

そんな事を考えているうちにも、夏美は妙に大人っぽい下着まで選んでいたようなので、それを見た椿が自分で選んだ下着と入れ替わりに元の場所へ戻していた。

 

「あっ、ちょっと〜ちゃんと勝負下着は用意しないと――」

 

「いやいや、椿にそういうの買ってどうするんですか?」

 

「そうです。綾ちゃんの言う通り、そんなのは要らないです。良いですか?勝負下着なんて着けていたら遊んでるって思われるから、ほとんどの人からマイナスイメージに映るんだよ。男性の好みにもよるかもだけど、白狐さんや黒狐さんはこういうのじゃ喜ば――」

 

「ステイ!ステイ椿!ちょっと自分が何言ってるか、ちゃんと理解してくれませんか!?」

 

私のツッコミと夏美がニヤニヤしている姿を見て、そこでようやく椿が我に返って途端に顔を赤らめた。

 

実は予め椿と下着について下調べをしてはいたのだが、まさか椿がこんな形で暴走するとは思わず私も苦笑いをしてしまう。

 

とりあえず椿もブラを選び終えたので、私も適当に無難なデザインの物を選んでレジへと向かおうとすると夏美から呼び止められる。

 

「あっ、そういえばあんた達って、お金は持ってるの?」

 

「大丈夫です。おじいちゃんに綾ちゃんと一緒にお金の管理を任せていて、自分で稼いだ分の中から適量を貰っています」

 

「私の場合は、どちらかといえばオジサンの許可次第だからちょっと変わるけどね〜」

 

思えば私達もそこそこの数の依頼をこなしてきており、その結果として集まった報酬金を貯めていく内に椿と同じく一般的な中学生が持つにしてはとんでもない額にまでなってしまった。

 

不思議そうに首を傾げる夏美へ椿とそんな事を話すと、彼女は凄く驚いた様子をしているようだった。ついでに「妖怪って羨ましい」なんて言葉も呟いていたのも聞こえたが、これでも私達は非常に危ない死と生の平均台を渡っているようなものだ。そういうのも少しは考えて欲しいかなと思う。

 

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――昼頃になって

 

買い物を終えた皆と合流して、一旦私達はフードコートで昼ご飯を食べる事にした。

椿達妖怪は一日三食、妖怪食を食べておいた方が妖気が安定しやすいらしいのだが、今日は昼を向こうで済ますという話を聞いた里子から、出発時に少し変わった物を渡されたのだ。

 

それは「妖怪サプリメント」という妖気を補充する、まぁ名前通りに健康補助的な代物である。

ちなみに使い魔を使うという事で私にも手渡されてたりしている。

 

それにしても、このサプリメント・・・触って分かったのだがグミのように柔らかくなったり、かと思えば石ころのように固くなったりしている。

 

なんだか嫌な予感・・・

 

「そっか、あんた達それを飲むのは初めてよね。柔らかい時に噛んで飲むの、分かった?」

 

「え、ちょ、美亜・・・随分簡単に言ってくれるなぁ」

 

とりあえず、美亜から聞いた通りに柔らかくなるタイミングを見計らって噛んでみるが――

 

「んぎぃ!?い、い、いぎ・・・」

 

「ん〜?んっ、あぐっ!?」

 

やっぱり失敗して、思いっきり固い時に噛んでめっちゃ歯と顎が痛くなった。椿も同様にやらかしたらしく、痛そうに自身の頬を撫でている。

 

「妖怪って、大変ねぇ・・・友達の方はどうなのか分からないけれど」

 

そんな様子を見て夏美が呟いた。

なんというか、今は人間で良かったといった感じでオムライスを食べているのだが、よくよく見ると彼女の食べているオムライスが美亜の食べている物とは違う事に気づいた。

 

すると、同じく不思議そうに眺めている椿と私の様子を見て美亜が自慢げになって説明しだす。

 

「ふふ、ちょっと裏ワザというかね〜実はあのカウンターにはね、此処と全く同じ場所にある妖界のショッピングモールと繋がっていて、もちろん全く同じフードコートで全く同じお店があるの。そのお店のカウンターと此処のカウンターが繋がっているから、これはそっちから注文したのよ」

 

「はぇ〜、なんか器用な事も出来るんだね」

 

「ほら、あんた達にも見えるでしょ?そして当然、私の食べてるこれは妖怪食よ。あっ、そうそう・・・私もこの食べ物も周りの人間には見えていないから、そのつもりでね」

 

そう言って、驚く私を後目に美亜は上手い手つきでオムライスを食べ始めた。

 

ちなみに妖怪食は元が人間の食事であっても妖気を含んでいる為、"それが存在している"とハッキリ認識していないと普通の人からは見える事は無い。・・・なので、椿を妖怪として認識している夏美には美亜が食べているヘンテコなオムライスが見えている訳で、ポカンとした顔で一般的視点から見たら何にも無い空間を眺めているような状態だ。

 

すぐに椿が肩をつついてそれについて注意したので目立つ事にはならなかったものの、これから彼女が椿の祖父の家で住み込みで働くのが心配になってくる。多少は妖怪食を扱う事にもなるはずだろうし。

 

それはそれとして――

 

「カナ、雪。そういえば、さっきから何の雑誌を見ているの?」

 

「なんか表紙が僕の写真だったから、何となく嫌な予感がするんですけど・・・」

 

ひょっとすると椿と私のファンクラブな雑誌の最新号だろうか。そう思っていると、カナが見つかったかといった様子で観念して白状する。

 

「あ、あははは・・・いや〜椿ちゃんと綾さんの水着姿を、この雑誌に特集として――」

 

「却下です!!」

 

「ちょいぃ!?何また変に盛り上げようとしてる訳!?」

 

なんというか・・・カナは相変わらずカナだったよ。

椿が好きなのは分かるけれども、それがたまに変な所でとんでもないくらいに暴走するのがちょっと困る。

 

私はツッコミを入れてから椿と大きくため息をついて、特別辛くはないのにボコボコとマグマのように泡立つカレーライスを一口食べた。

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