私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾玖話 昼間っから泥棒する奴

 

――昼食を食べ終えて

 

いよいよ私達は水着を選ぶ為に、皆と水着売り場へとやって来たのだが・・・元は男だった椿はもちろん、今まで水着は学校指定の奴で気にもしていなかった私はどれにしようかと悩む。

 

「うーん、どうしよう・・・僕の場合、何が似合うんだろう?」

 

「わ、私もずっと学校で使ってた奴で十分だったから、こんなにたくさん種類が分かれていると目が回ってくるよ〜」

 

そこへカナが私達にアドバイスの言葉をかける。

 

「そうねぇ・・・椿ちゃんは幼い妹っぽさがあるから、ビキニタイプじゃなくてワンピースタイプの可愛い系なら萌えるかも・・・あっ、でもビキニも背伸びしてる感じがあって良いかな・・・う〜ん、どれが一番萌えるかなぁ?」

 

「駄目だこりゃ、まーた自分の世界に入ってるよ〜」

 

私と椿はヨダレを出して妄想が止まらなくなっているカナにため息をついて、次は雪に水着の事を尋ねた。

 

「えっと、雪ちゃんはどんな水着を?」

 

「私は競泳タイプ」

 

「おいおい、それじゃ学校の水着とそう変わらないんじゃないのか?」

 

「え・・・雪ちゃん、あれってビキニよりも恥ずかしくないですか?その、お尻とか・・・」

 

「それハイレグ。そして綾の言ってる方でも無いし」

 

うーむ、雪の話である程度こそ理解は出来たものの・・・私は雪のようにスタイルが良い訳ではないので、水着の選択からは外れるかもね。

 

「大丈夫。椿はビキニでもあんな風に、フリルの付いたタイプなら似合う。綾も、ああいう少し飾ったワンピースタイプだったらあまり幼さが無くて気にならないと思う」

 

「なるほどね〜」

 

雪が通路側に展示してある水着をそれぞれ指差す。椿に勧められたのは無地の薄いブルーで胸元にもフリルが付いたタイプで、私に勧められたのはミント色のワンピースであったもののハイビスカスの造花や短めの青いパレオっぽい物が付いたタイプだった。確かにこれなら少なくとも小学生っぽく見える事は無いだろうし、デザインもなかなか大人っぽくて良い。

 

「ふ〜ん・・・まぁ、椿にはこれ位で良いんじゃない?あんたは大人っぽいのよりも、こういう可愛いのが良いだろうしね」

 

夏美も後ろから私達に勧められた水着を見て納得した様子を示した。ちなみにカナはというと――

 

「あ〜でも、2人とも紐ビキニとかも良いわねぇ・・・恥ずかしがってモジモジされると特に――」

 

「お〜い、カナちゃ〜ん・・・」

 

「あぁ、でも・・・スク水もありかも〜」

 

「ほれ!カナの愛しの椿が呼んでますよ!」

 

「あたっ!ひ、ひゃいっ!?」

 

なんというか、相変わらず妄想にふけっていた。

私が軽く頭にチョップをしたから気づいてくれたものの、それからしばらくは周囲の目線が恥ずかしかったのか俯いたままだったよ。

 

椿と私が買おうとしている水着を見た途端にまた妄想にふけりかけて、必死で首を横に振って「煩悩退散煩悩退散・・・」と言ってたりしたけど。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――水着を買ってから

 

「さ〜て、帰るにはまだ早いね。2人とも、ついでに小物とかも見ていく?」

 

「復活早いなぁ、カナは。それにしても小物ねぇ、私にはサッパリだよ」

 

すると、小物についても疎くて悩む私の隣で夏美がカナに同意して首を頷かせた。

 

「そうねぇ・・・椿はまだまだ女の子らしく出来てないし、せめて身の回りの物だけでも女の子らしくしちゃいましょうか」

 

どうにも夏美の様子からして、自身が一番歳上なので少しでも姉らしくいようとしている感じがする。なるほど、だからさっきカナが妄想で暴走していた時もなんか優しい眼差しをして見守っていたのか・・・うん、単に面白いからそのままにしていた可能性もあるねコレ。

 

ちなみに美亜は、一般人から見えていない存在というのもあって反応したら色々ヤバいので、今は黙って私達の後ろを歩きながら周囲にある店の景色や商品を興味深そうに眺めていた。

そんな様子を見ていると、やはり猫なんだな〜と感じる。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――それから少しして、雑貨屋にて

 

「え〜と・・・まずは小物を入れておくポーチね。2人とも化粧はまだしないでしょ?」

 

「しないですね。時間かかってめんどくさいし」

 

「け、化粧!?う〜ん・・・確かに、まだそこまでは・・・」

 

「もう・・・でも、その内それもしないといけないからね。とりあえず、今は入門って事で色々と見ていくわよ」

 

雑貨屋で化粧品とかを見る私達を、こうして夏美が率先してあれこれ説明してくれてとても助かる。

 

・・・というのも、こういった方面にカナや雪は疎いらしく、挙句に美亜は「花より団子」と論外な答えが返ってきたからなのだが。まぁ、普通に考えれば夏美を除いて私達は皆中学生なのだから仕方ない話である。

 

そんな話をされた夏美は呆れた顔をした。

 

「あ〜もう・・・あんたらもさ、そろそろ身なりとか考えなって。しょうがないから、お姉さんが全部見てあげるわ」

 

「はい、ありがとうございます〜椿のお姉さま」

 

どうやら私達の女子力の無さに驚いていたらしく、それならばと自身が女子力アイテムあれこれの指南を買って出た夏美に私は仏像に拝むようにしながら感謝の言葉を送った。

 

こういう彼女の面倒見の良さを見るのは、幾ら椿と付き合いが長かった私でも初めてだ。

もし、椿が預けられた当初から仲が良ければ・・・とも少し思ってしまって、途端に妙に私らしくないなと照れくさくなってしまう。

 

「う〜ん・・・クシとか手鏡、やっぱりそういうのは要るんだね。鞄とかに入れると、結構かさばりそうだけど・・・」

 

「あのね、女の子が常に大きめの鞄を持っているのは、こういうのが入っているからなの。あっ、それと後でリップクリームも買うわよ」

 

「い、生き生きしてますなぁ・・・」

 

とはいえ、ここまで親身に接してくれている夏美に椿が心から嬉しそうな笑顔を浮かべるのを見ると、やっぱり椿はこうして夏美と姉妹のようになりたかったんだろうなって感じた。そうで無ければ私から見ても、あそこまで本当に仲の良い姉妹には見えない。

 

そんな中、ふと夏美の色々見繕っている手が止まって椿に質問する。椿は昔のトラウマがまだ身体に残っているからか、思わず身体や声が強ばらせてしまう。

しかし、コソコソと話している所から聞こえてくる内容を聞くに"女の子に月一で来るアレ"の内容であると判ったので、私は「そういえば椿もそんな年頃だったっけ」と苦笑いを浮かべた。

 

確か、私もつい先月辺りに来たばかりなのだが、なんというか・・・気持ち悪いものだった。頭はボーッとしてジクジク痛むわ、お腹もなんか地味に痛くて辛いわで散々である。

人によって個人差があると聞いてはいたが、正直本人が辛ければ辛いのだからあまり関係は無い気がする。

 

「ん?ねぇ、ちょっと2人とも。あいつ、何かおかしくない?」

 

必要な物をあれこれ揃えて会計へ行こうとした時、突然美亜が私の裾を引っ張って呼び掛けてきた。

 

美亜が視線で示す先を見ると、そこには見るからに挙動不審で怪しい小太りの男が居た。今年度最高レベルでクソ暑い夏にも関わらず、そいつはチェックの長袖シャツを着ていて、更にズボンの中に裾を入れており、更に更に大きな鞄を背負ってキョロキョロと周囲を警戒しているようだった。

 

ぶっちゃけ通行人からもかなり怪しまれているようだが、そいつは誰も見ていないと判断するや否や、腰に付けていたポーチから手のひらギリギリなサイズのがま口財布らしき物体を取り出してそれを開けた。

すると、その財布の中から某変態会長程ではないにしろ長い舌が伸びて、男の目の前にあったガラスケースからスルリと中の高級そうな腕時計を掴んで何事も無かったかのように戻っていったのだ。

 

「えっ?」

 

「は?何だありゃ・・・」

 

「何ボーッとしてるのよ、2人とも!あれは妖具よ、あいつ・・・あの妖具を使って、ガラスケースを割らずに時計を盗んだから間違い無いわ。早く行くわよ!!」

 

「だ〜もう!なんで何時もこんな事ばかり起きるんだ〜!?」

 

「あっ、えっ、ちょっと・・・」

 

美亜が走り出したのに続いて、私達もお金や買い物カゴを夏美に預けてから事情を話して追いかける。カナや雪も私達に続けて慌てた様子で着いてきた。

 

妖怪の力が込められた道具と聞いた際、まさかそんなバカな事は有り得ないだろうとばかり思っていた私がバカだったよ!そりゃあ、こんな便利な物があったら悪い事考えて使う人だって居るのは世間の常って奴だろうに・・・流石に昼間っから泥棒する奴は初めて見たけども!

 

でも残念でしたな!今のは完全に現行犯、どんな言い訳をしようとしょっぴかせてもらうよ!!

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