私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾壱話 拝啓、乗り物が変態だった件について

 

「よっしゃ、行くでぇ!」

 

私達は関西弁をハキハキ喋る浮遊丸に乗って空を飛ぼうとしていた。

 

『こらこら椿、そんなにしがみつくな。大丈夫だ』

 

「くっ、だって・・・お、落ちないか不安なんだよ?」

 

黒狐さんがしがみつく椿を宥めるけど、シートベルトどころか安全帯の1つすらない乗り物に乗っているようなものだ。

 

「飛ばすでぇ!」

 

いきなり浮遊丸が叫び、勢いよく飛び立った瞬間。その衝撃で椿がその場に落っことされてしまい、それに気づくとすぐにUターンで戻ってきた。

 

「・・・」

 

『お主はせっかち過ぎるんじゃ!』

 

『椿が怪我でもしておったら引き裂くぞ!』

 

「か、堪忍やぁ!!」

 

あ、危うく振り落とされて死ぬかと思った・・・

 

ハッキリいって白狐さんと黒狐さんがいなかったら私達はとっくに落ちてたと思う。・・・急に心配になってきた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『なんじゃ、綾。さっきから随分と静かではないか?』

 

「だって・・・私は高い所が苦手なの!漫画みたく気持ちよく乗れるかな〜って思ったら、全然そんな事だって無いし!」

 

『常識的に考えたら普通じゃろう。不思議な奴よの〜』

 

「気楽そうにして・・・」

 

今度こそ私達が落ちない程度にスピードを抑えてくれた浮遊丸に乗せられて学校を目指す。

漫画で読んだ時には、空飛ぶ妖怪の背中に乗って飛べたらどれだけ風が気持ちいいんだろう?って心を踊らせていたけれど、実際に乗ってみると狐の姿になった白狐さんの背中にしがみつくのに夢中でそれどころじゃない。それは黒狐さんに掴まっている椿も同じみたいだった。

 

するといきなり浮遊丸が急停止し、それのせいでまた私と椿は振り落とされそうになる。

 

『なんじゃ浮遊丸!?まだ京都駅にも着いとら――』

 

「うっひょぉ!!可愛い子ちゃんや〜!!これやからこの時間を飛んでみたかってん〜!」

 

白狐さんの言葉を食い気味に遮った浮遊丸の沢山の目玉は、なんと下にいる女子高生2人に全て向けられて凝視しているようだった。

 

「ねぇ、コイツってまさか・・・」

 

『こら浮遊丸!貴様はそういう事ばかりするから、謹慎を受けるんだろうが!名誉挽回にと貰ったこのチャンスを早速不意にする気か!!』

 

「せ、せやかて!あの2人組は中々レベル高いねんって〜!」

 

黒狐さんが浮遊丸を叱る。

 

ここで1つ豆知識。殆どの妖怪は意識阻害の妖術を覚えているそうで、基本的には普通の人間から見えないようになっているそうだ。とはいえ、それをストーキング行為みたいな事に悪用するってコイツは相当煩悩に塗れていると思う。

 

しかも、なんかカメラのシャッターを切るような音まで聴こえてきたんだけど?まさか・・・

 

『あっ、貴様!更に盗撮するとは、なんて奴じゃ!』

 

「えっ?と、盗撮?」

 

白狐さんまで怒りだしちゃったよ。っていうかその言い方からすると、ひょっとしなくても常習犯だな浮遊丸!

 

「ええやんええやん〜どうせバレへんのやから!」

 

「悪びれる様子すらないのが、逆に妖怪らしくて尊敬するわ〜・・・」

 

浮遊丸の暴挙にドン引きしていると彼の背中の一部が切り込みみたく開き、そこからおおよそ紙が出てくる音にしては生々しくて気持ち悪いものと共に写真が出てきた。近くに掴まっていた椿が黒狐さんにしがみついたまま写真へ手を伸ばす。

 

「黒狐さん、それちょっと取ってくれる?」

 

『・・・やはり、お前はもう少し謹慎されるべきだな』

 

椿に写真を見せた後に彼は私へ手渡す。そこには、さっき撮ったのだろうか・・・下を歩いている女子高生2人の姿が映っていた。

 

そして、そうやっている間にも浮遊丸の切り込みからは様々な角度から撮られた多彩なアングルの写真が次から次へと出てくる。

ふと、私は写真の数枚に奇妙な点を見つけた。

 

「ねぇ、浮遊丸さん。なんで私達上空を飛んでいるハズなのに、至近距離や同じ高さで撮られたような写真まで写せるの?」

 

『それが此奴の能力じゃ。一定の範囲内であれば、例え近くに居なくとも様々な角度から写真を撮れる』

 

「やる仕事によっては、とても便利そうな能力だね。浮遊丸さんでなかったらね・・・」

 

浮遊丸に呆れていると、次に出てきた写真で私は度肝を抜いてしまった。椿もそれを見てしまったらしく、顔を赤らめて叫んだ。

 

「こ、こここれ・・・さっきの真正面の全身写真、服が映ってないよぉ!」

 

「ちょっと待て浮遊丸さん。まだ私達になんか隠してない!?」

 

そこに映っていたのは、なんと全裸の状態で歩く女子高生2人の姿だったのだ。画像加工された形跡すらなく、本当に元から着ていなかったようにすら見える。

 

「ぐ、ぐへへへ・・・良い体付きしてまんなぁ!」

 

『此奴は透視能力もあるんじゃよ・・・。さて、弁明の余地は無いのぉ浮遊丸。我らがいるのに、こうも堂々としてくるとは・・・余程、その欲が溜まっていると見たぞ』

 

「はっ!し、しまった!」

 

そして怒られてから気づくとか結構間が抜けてるなって思う。なんというか、悪ガキみたい。

 

「ま、待て!ちょっと待てや!お前らにも良いもんやるさかいに、見逃してぇ!!」

 

と、今にも白狐さんに爪で斬られそうになった瞬間。浮遊丸は切り込みから2枚の写真を取り出して白狐さんと黒狐さんへ渡した。

 

『ふぉ!こ、これは!!』

 

『貴様!いつの間に、こんな物を!!』

 

驚愕と悦びの声を上げた2人に、一体どんな写真を渡したのかと気になって隙間から覗いてみると

 

――それは私達が布団で眠っている間に撮られたのか、全裸で眠っている私達の写真だった!

 

「な、な、何勝手に撮ってくれてんの、このスケベ妖怪!」

 

「ぎゃああああ!!い、いつの間にこんな物を!!」

 

「いやぁ、2人共なかなか良い素質g――」

 

「消せ!今すぐ消せぇ!!」

 

『貴様・・・よりにもよって、椿の・・・は、裸をぉぉ!!』

 

「ぐへぇ!!」

 

あまりの怒りに、私は白狐さんと一緒になって浮遊丸の目玉を攻撃したよ!別にコイツの目玉なんて全身に沢山付いてるんだし、遠慮する理由なんて無いね!!

 

「・・・っていうか、そう言いながら白狐さんと黒狐さんもちゃっかり写真を隠そうとするな!」

 

『ぬぉ!?』

 

『い、いや・・・その。これは、良いではないか?我らしか見ないのでな?』

 

そして私は懐へ写真を仕舞おうとする2人も見逃さずにグイと裾を掴む。

 

「そう言う問題ではないですって、黒狐さん・・・。さて浮遊丸さん、早く学校に行ってくださいね。遅刻しそうなのでお願いします・・・そうしないと」

 

「は、はははいぃぃい!!」

 

静かに怒っている椿の迫力に浮遊丸が怖気付いて、またいきなり飛行スピードを上げる。私と椿はそのせいで落ちかけ、黒狐さんに助けられたのだった。

 

次からコイツに乗る時は、絶対変な寄り道しないように監視役も連れていこう――そう思った。

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