私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
――それから数分後
私は戦闘スーツ姿に変身したまま、30メートル程見晴らしが良くなった森林の中を駆け回る。
なんとか、あの知識を得る力を少し扱えるようになったのと、そのおかげで新たな妖術も使えるという嬉しい誤算があったのは良いのだが・・・生憎にも、楓と美弥子に徹底的にマークされてしまったようだった。
「あ〜もう!どれだけ本気で捕まえようとしてくるんだよ〜!?こっちはあんまり妖術で、さっきみたいな悪目立ちは避けたいのに〜!!」
「それとこれとは別問題っすよ、綾姉さん!余計な事をして怒られたくないなら、大人しく自分のお縄につくっす!そして今度こそ、妖怪退治の師匠に〜!!」
それにしてもなんというか、楓がここまでやる気なのは割と想定内ではあったのだが、まさか美弥子まで全力で私を追いかけてくるのは意外だったよ。
「綾さん!私と一緒に、またかき氷食べに行ってくださ〜い!」
「そういうのだったら後で付き合ってあげるから、もっと何か別な事で考えて〜美弥子ちゃ〜ん!?」
まぁ、本人がそれで良いっていうのならば美弥子に捕まるのも・・・って、そうじゃない!そうじゃない!そもそも捕まったら、半日ほど正座させられるんだからプラマイゼロでむしろマイナスじゃん!あの子には悪いけど、今回は勘弁してくれ〜!
「ふっふっふ・・・綾姉さん。さっきの妖術にはちょっとビックリしましたが、この森でくノ一の修行をしてきた自分には、綾姉さんが何処に居るかなんてお見通しっすよ!」
「なるほどね、流石に私と椿へ弟子入りを申し込みに来るだけはあるよ!」
「あっ、すいません姉さん。そんな真面目に言われると、実は3分の1も知らないっす・・・」
「って、オイ!?」
そんな微妙に本当っぽい嘘をつかれると、ちょっと楓の実力を見直しかけた私が恥ずかしくなるじゃないか!
「こうなったら、小次郎!私が跳ぶ為の踏み台になって!」
「あい分かった!――そぉれぇい!!」
そして小次郎の力も借りて、より大きく前に跳んで2人との距離を空けた。
とはいえ、いくら人通りが少ないかもしれない場所でも、今の姿を一般の人に見られたらヤバいだろう。
何しろ、特撮ヒーロー染みた戦闘スーツを着て、更に剣を持ったロボットも出したりしてるからね!これ、小さい男の子が見たら目をキラキラさせるんだろうなぁ・・・。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・おっと!一般の人が――って、こんな所に着物の女の人が1人で居るかぁ!」
「いやぁ〜ん!綾ちゃん気付くの早いわ〜!」
目の前にやって来たろくろ首の見た目に騙されて止まりかけながらも、向こうが首を伸ばしてきた瞬間に木の幹を蹴って枝に捕まり、逆に彼女へ足で手錠をかけて捕まえた。
危ない、危ない・・・と思っていたのも束の間、いつの間にやら追いかけて来ている2人の他にも、大量の妖気が集まってきていたようだ。
さっきド派手な妖術を放ったから、きっとそれで周囲からバレてしまったのだろう。
え?一般人にもバレるだろって?そ、そこはつむじ風が起こったって勘違いしてると祈るしか・・・ね。
「どわぁ!?て、手錠ぶん投げてくるとかガチ過ぎんだろ、楓!」
「くっ、惜しいっす!でも、こっちは本気で捕まえる気でいるっすから!」
――とか何とか周囲へも警戒をしていたので、楓が手錠を投げてきていたのにギリギリまで気付かなくて危なかった!
「そして、美弥子ちゃんはなんで投げ損なって、手錠をポトポト地面に落としているのかな!?」
「うぅ〜!わ、私だって、綾さんを捕まえたいのは本心なんですから〜!」
なんというか、運動神経が良い美弥子にも苦手なものがあるんだなと分かって少しホッコリしたね。うん、可愛い可愛い・・・弟子っ子オーラ全開で全力を出して捕まえに来てる楓とは別な方向で妹みたいだよ。
「っとぉ!今度は何なんだ!?」
すると、突如私の頭目掛けて何かが飛んできたのを感じ、頭を下げてそれを回避した。
今のは楓が投げてきていた手錠とは別な感じがしたな・・・とすると、まさか!
「くっそ〜!後少しで綾ちゃんを捕まえられるとこやったのに〜!」
「やっぱり浮遊丸か〜!お前、いつの間に謹慎解けてたのかよ!?」
「風呂場の件だったら、もうとっくに終わっとるで!さぁ、俺の華麗なる舞空術を――」
「ほいっとな」
「あれぇ!?なんでアッサリ返り討ちにあってしもたんや〜!?」
だって、私の頭上から急降下しては急上昇なんて行動を何回もやっていたら、そりゃすぐ隙を見つけて手錠をかけられるよ。
とにかく、椿の祖父の家に住んでいる妖怪達については、ある程度理解出来てきたので上手くいけばこの調子でパカスカ捕まえられそうだ。
すると、私が浮遊丸に集中していた隙をついたのか、私の前に楓が大きくジャンプして立ち塞がり、後ろから来た美弥子にも挟まれる形となってしまった。
「色々と他の人から邪魔されたっすけど、今度という今度こそは油断しないっすよ!」
「こ、降参するなら、痛い目には合わせませんので・・・!」
楓と美弥子が私の出方を伺いつつ、それに備えて妖気を高めていくのを感じる。
う〜む・・・これ以上2人から逃げ回り続けていると、さっき以上に沢山の妖怪から襲われるかもしれないな。
こうなったら――ここはせめて"アレ"を使って楓の気を引いて、そこで楓を捕まえて一気に小次郎の力で大ジャンプで逃げるしか方法は無さそうだ。
同じ女の子であるとはいえ結構恥ずかしいが、背に腹は替えられない!
「さっきみたく、竜巻でまた吹っ飛ばそうとしても無駄っすからね!実は飛ばされてる途中、地蔵に化けたら何とか耐えられる事に気づいたんですから!」
「なら、ちょっと試してみても――って、ありゃ?妖気が上手くまとまらない・・・!?」
私が風の妖術を使えなくて困惑していると、美弥子が手のひらに小さな竜巻を作って私に見せてくる。
「残念ですけれど、さっき綾さんの使った妖術は今私が能力で一旦奪わせてもらいました!これで、本当に私達を吹き飛ばせませんよ!」
「お〜マジでか・・・」
こりゃやっぱり"アレ"を使う他には無いだろう。
何せ、1回妖術で吹き飛ばされただけでそれの対策を思い付いてくるんだからね。美弥子も、椿に負けず劣らずで自分の力を応用したり出来るみたいだし。
覚悟を決めた私は、まず2人の行動を予測する為に再び"知識の力"を解放して、自身の真上にあった木の枝の上へ飛び乗った。
「ま、また何か妖術使う為に離れるつもりっすか!?」
「あの高さだと私の力の範囲外です・・・でも、今度は前に楓さんも居るから、簡単には吹き飛ばされませんよ!」
まだ私が別な妖術を発動すると考えている2人は、次こそはと完全に防御体勢へと入った。美弥子の能力の範囲が思っていたより狭かった事は知らなかったけど・・・。
風の妖術以外であればショッピングモールで初めて発動した、脚に雷を纏った飛び蹴り式の妖術がある。しかし、今回は挟み撃ちにされている上に距離も近く、どう頑張っても1人吹き飛ばすのが限界の状態なのだ。
私は木の上から楓と美弥子を見下ろした。
さて、まぁここからが本番な訳なんだけど・・・私は一旦変身を解いて、2人に見えないようにスカートへ手を入れて履いていた"ソレ"を脱いで、ゆっくりと彼女達に見せつけるように手元へ持ってきてプラリとぶら下げた。
「ふふふっ、楓。私のコレ・・・欲しい?」
目を少し細めて、口角を僅かに上げてニッコリ微笑んでみると――案の定というか、楓が一瞬でその場から消えた。
だがしかし、ここで予想外だった事がある。
なんと、美弥子までもが私の"ソレ"に反応して楓と一緒に私の両隣へやって来てしまったのだ!
「ほ、本当にくれるんですか!?あっ、美弥子ちゃん!これは自分のっすよ〜!」
「嫌です〜!私も欲しいんですから〜!!」
「綾ちゃんのパンツ!!」
「って、里子まで食いつくのかよ!?何処から湧いてきたし!でも、これなら――てい!!」
更に真下から里子まで来てしまったのは本当に想定外だったが、この隙を逃す訳が無い私は3人の手に両手両足を使って手錠をかけるのであった。
なお、手錠の方は訓練前に渡された、物が沢山入る不思議な巾着袋から取り出していたので手錠の数だけなら何の心配も無い。
「えっ!?」
「みゃっ!?」
「わっ!?」
手錠の重さでドシーン!と下に折り重なる形で落っこちてしまった3人を見ながら、私は辛うじて死守したパンツを人差し指で回して高笑いする。
「はっはっは〜!まさか3人もまとめて捕まえられるなんて、下着脱いで勝てるなら安い安い!」
「ぬぅ〜!色仕掛けまでしてくるなんて・・・流石は綾姉さんっす!」
「うぅ・・・捕まる前に"剥奪の力"で取っておけば良かったです・・・」
「でも、椿ちゃんのブラジャーは手に入ったし、綾ちゃんの履いてない所が見れたから幸せ〜・・・」
それでも、美弥子以外の2人がなんか嬉しそうにしているのは、どうにも負けた気がしてならないや・・・というか、ひょっとして椿も色仕掛けのトラップしたの!?でも、里子の様子からしてブラを守りきる事は出来なかったみたいだし・・・これは後で合流した時、私の付けている奴を貸してあげなければいけないね。
後、里子に恥ずかしい姿を見られたのは別に大して気にしてない。そもそも、こんな事をやっておいて気にしてたら訓練で勝てないもん!だから恥ずかしくないです!絶対に!