私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参話 色んな意味で面倒臭い人達

 

あれから結局、私達は意味ありげな反応をされただけで認めてもらえる事は無いまま、渋々自分達の部屋へと戻ってきた。

 

すると、そこには狐2人と椿の祖父にオジサンが部屋に居て、椿の祖父の方は神妙そうな表情を浮かべている。それに、オジサンも何処か憂鬱げに項垂れているようだった。

 

「その様子ではアイツらに追い返されたようだな、椿に綾よ」

 

スッ『鞍馬天狗の翁が呼び戻したとはいえ・・・流石に簡単には綾達を受け入れてはくれないか』

 

そう言って椿の祖父は、顔を変えないまま私達へ向き直る。そして、私達は彼とオジサンが4人について何か知っているのではと思って質問をぶつけた。

 

「おじいちゃん。わら子ちゃんとあの4人の間に、何かあったの?」

 

「そうそう。あの4人が何であそこまで、わら子の事に過保護なのか教えてくれませんか?」

 

「うむ・・・そうじゃな、何処から話せば良いのか・・・」

 

スッ『まぁ、そもそもがそもそもだからな・・・』

 

その質問にオジサンも椿の祖父も、腕を組んで悩んだ様子になる。あの4人が100年もわら子を守っているという話が正しければ、あんな綺麗な女子高生の姿なのが少し信じられない。

その上、妖怪のような妖気も感じなければ、幽霊のように実体が無い訳でもなかったので謎は深まるばかりだ。

 

「とにかくおじいちゃん、先にあの4人の事を教えてくれる?」

 

椿が2人へ真剣な眼差しを向ける。

確かに彼女の言う通り、あれだけ過保護な4人について知らなければ、此方からわら子の事で口を出せるかも分からない。

 

「むっ、そうだな。簡単に言うとな・・・アイツらは"人妖"よ」

 

「「ジンヨウ?」」

 

妖怪や妖魔でもない新しい単語が出てきた事で、椿も私もついつい首を傾げてしまった。

そこへ白狐さんが話に割って入って、その事について分かりやすく説明を始める。オジサンも、白狐さんの説明に合わせて絵の描かれたフリップを取り出した。

 

『"人妖"というのはな・・・人でありながら人ならざる力を持ち、時には未来永劫生きたり、時には権力者となりて、その猛威を奮ったりしておる』

 

「ん〜と・・・?」

 

『白狐、お前の話は小難し過ぎる。椿に綾、分かり易く例えるなら不老不死として有名な"八百比丘尼(やおびくに)"がそれに当たるぞ。もっと言うならば・・・断定こそ出来ないが綾も多分人妖に当たるのかもしれん』

 

「へぇ、なるほどね〜。かなり分かり易くて助かるよ、黒狐さん」

 

そんな3人の説明に私達が頷いていると、白狐さんは少し不満そうにしながらも説明を続けた。きっと、黒狐さんにマウントを取られたのを気にしているのだろう。

 

『進めるぞ。アイツらはな、産まれてからすぐに人柱とされたのよ。だがその時に、座敷わらしに助けられた。その後にわらしは"ある者達"に4人の世話を頼んでな、そして4人は修行の末にそいつらの力を手にして座敷わらしの守護となったのだ』

 

「そうだったんだ・・・でも、人柱?って確か・・・」

 

椿が憂鬱げに少し顔を俯かせた。

私も、日本では古くに"災害は神が起こしている物"とされていて、村で幼い子供等を生け贄としていた話を聞いた事がある。

 

『ああ、そうだ椿よ。人柱には色々あってな、激流の川に橋を作ろうとしたり等、難しい工事をする時には罪人等を成功祈願として、生きたまま埋める場合もある』

 

「うっ・・・」

 

「胸糞の悪い話だな・・・」

 

オジサンのフリップには、なるべく辛い物に見えないようにとパソコンで作られたフリー素材を組み合わせたイラストが描かれていたが、それでも私達は座ったまま拳をグッと握りしめてしまうくらい精神的にキツい。

 

『そんなもの、効果などは無いのにな。それでだ、その人柱によって作られた橋が壊れた時だけに現れる鬼が居てな。100年前に、そいつが座敷わらしを襲った事件があった』

 

オジサンや椿の祖父だけでなく、狐2人も真剣な様子で話を進めていく。

そして、話を聞いていると例の鬼とやらはきっと人柱にされた恨みで化けて出た・・・という話なのだろうか。

 

白狐さんの話を引き継ぐようにして、椿の祖父が里子の用意してくれた緑茶を一口飲んで話した。

 

「――その時に座敷わらしを救ったのが、成長したあの4人であった。4人は"何人足りとも、わらしには近づけさせん"と、そう決めたんじゃろうな」

 

なるほど、何とも奇妙な縁もあるものだ。

 

「ふ〜む・・・それだと、あの4人に認めて貰うのは結構大変そうだね・・・」

 

「うん、そうだね綾ちゃん・・・あれ?1つ気になったんだけど、小さい時の4人を育てた"ある者達"って一体誰なの?」

 

そう呟きつつ、私も用意してくれた緑茶を啜っていると、ふと椿が一旦湯のみを置いて彼女の祖父へと質問した。

 

「ん?おぉ、そうだったな!"ある者達"というのはな――京都の守護神、『白虎』『青龍』『朱雀』『玄武』じゃ」

 

「ぶふぉっ!?は、はぁぁああ!?」

 

「えぇ!?京都の街を守ってくれている、あの守護神!?嘘でしょ!!」

 

正直、お茶を飲んだ後で良かったと思う。

 

何せ椿の祖父から、そんなとんでもない名前が飛び出てきたせいで、思わず私は吹き出してしまったのだ。

 

ちなみに、どういう訳か里子は私達の前に座って口を開けてお茶を吹き出すのを待ち構えていた。

いや、マジでそれは本当に勘弁してください。

 

・・・その後に椿がすぐさま彼女の尻尾を掴んで私達の後ろへ放り込んでくれたから助かったけど。

その際に里子がまたもや恍惚の表情を浮かべていたのは見なかった事にする。

 

「何じゃ2人共、名前で分からんかったか?」

 

「いや、そんな事言われましても分からないですって」

 

「ふむ、そうか?・・・ほれ、必ず四神の文字が入っとるじゃろ」

 

椿の祖父がオジサンへ合図をすると、オジサンは4人の名前が書かれたフリップを取り出してきた。そして、そこには丁寧にそれぞれ何の守護神の名前が入っているかが付け加えられている。

 

「「あっ、本当だ!」」

 

それを確認してから、ついつい私は椿と声を揃えて驚いてしまった。さっきは名前だけの紹介だったので、こうして改めて文字を見てみると意外とシッカリ四神の名前が入っている。朱雀(あやり)に関しては、最早そのまま"すざく"の別読みだったし。

 

「しかしなぁ・・・問題なのが、アイツらは少々やり過ぎで加減を知らぬ。それ故に、わらしも困っておるようでな。わらしを守る為と言って"彼女を狙う奴らが居る"と、そう誤魔化しながら任務をやらせておるのだが・・・」

 

「ひょっとして、何か問題が?」

 

浮かない顔をする椿の祖父へ私が首を傾げると、更に彼からとんでもない言葉が飛び出してきた。

 

「うむ、本来なら1週間程もかかる任務をたった1日で終わらせたり・・・1ヶ月かかる任務を1週間で終わらせおる。そこで儂はヤケになって、この前1年かかる任務をやらせたら・・・なんと1ヶ月で終わらせて帰って来たのじゃ!」

 

「え?じょ、冗談ですよね?だって4人とも同じ任務を――」

 

「そんな訳ないじゃろう、綾!それぞれ1人ずつ、別々で1年かかる任務をやらせたというのに・・・一体どういう神経をしとるんじゃ」

 

「ぶふぅっ!はぁ、マジで!?・・・っていうか、里子も吹き出したの飲まないで〜!!」

 

あ〜もうやだ、この人達・・・。

 

あの4人も相当ヤバいが、その話を聞いて私が吹き出してしまったお茶を、嬉嬉として口で受け止めてしまった里子もかなりヤバい。

 

なんというか・・・椿がお茶を飲んでいる時でなくて本当に良かったと思う。

 

『驚くのも仕方がないだろう。アイツらは、それ程の力を持っている。もし本気でかかられたら、俺でも白狐でも太刀打ち出来ん程のな』

 

「なんだって?2人でも勝てないって・・・」

 

またサラッと恐ろしい話を黒狐さんからされて目を丸くしていると、今度は何者かが吹っ飛ばされてきた形で私達の部屋の窓をぶち破って飛び込んで来る。

 

『椿!危ない!』

 

『誰だ!』

 

それと同時に、私が椿を庇いに入るよりも早く狐2人が彼女を強く抱きしめた。お陰で私は完全に2人に出遅れてしまった形だ。

 

「椿、怪我は無い!?」

 

「う、うん、綾ちゃん・・・怪我はしてないけど。いやいや、待ってください・・・白狐さんも黒狐さんも、抱きしめなくても大丈夫ですから!」

 

椿がそう言っている内に、彼女の祖父は飛び込んで来た人物を見て大きくため息をつく。

 

「なんじゃ、酒呑童子に星熊童子か。何をやっとるんじゃ?」

 

そして、その方向を見てみると酒呑童子と星熊童子が目を回して揃って仰向けに倒れていた。すると、それからすぐに今度は窓枠に4つ子の青いリボン・・・龍花が立って、青龍刀を片手に2人へ殺気を放って威嚇している。

 

「この不届き者らめが、その首をまとめてはねてくれるわ!」

 

一体あの鬼2人は、何をやらかして龍花を怒らせたのだろうか?

 

「まぁ待て、龍花。それは流石にいかん、武器を納めよ」

 

「翁、しかし!」

 

「――納めよ」

 

「うっ・・・わ、分かりました」

 

椿の祖父が少し睨みを効かせて、龍花をやや強引ながらも落ち着かせる。それにしても、この人が怒ったり恐い顔をすると誰よりも怖いと感じてしまいそうだ・・・オジサンも怒らせると、しばらく話を聞いてくれない所謂"何にも聞こえませんよモード"になるので別な意味で怖いけど。

 

「いやはや、まさかここまで激しく怒るとは僕の方も予想外だったよ」

 

「あ〜やれやれ、何とかなったか?全くよぉ、ちょいと挨拶しただけじゃねえか・・・こうやってよ〜」

 

伊吹が怪我も無く立ち上がって、呆れながら首を横に振る。

 

酒呑童子も特に大したダメージを受けた様子も無く楽々身体を起こし、なんと龍花の胸へ手を伸ばしてツンツンとつついた。

 

「逝ね!」

 

「うひょぉう!!」

 

「うわわっ、危なっ!!」

 

そして、それにブチ切れた龍花は全力で青龍刀を鬼2人へと振り下ろして、驚くべき事に私達の部屋から家を真っ二つにしてしまったのだった。

 

ちなみに鬼2人の方はギリギリで避けていたので無事である。完全にとばっちりを受けただけなんだけど、私達・・・。

 

「お〜こわこわ、お前はもうちょっと謙虚になれよ〜。そんじゃな〜!」

 

「い、今のは流石に貴重な体験になるな・・・!」

 

それから鬼2人はそそくさと足早に私達の部屋・・・だった場所から退散してしまった。酒呑童子は酔っ払っているからか言ってる事がなんか間違っているし、伊吹も完全に自分の小説のネタとして取り込む気満々なようだ。正直、頭が痛くなってくるね・・・。

 

「うっわぁ、これは酷いや・・・家がボロボロになっちゃったよ」

 

「おじいちゃん・・・壊れた家はアイツらを扱き使って性根を直そうよ。龍花さんを挑発した罰としてさ」

 

「・・・そうじゃな」

 

椿は若干項垂れている椿の祖父に苦笑いをしながら言った。

 

「くっ、あの悪鬼共め・・・」

 

そして不慮の事故とはいえ家を真っ二つにしてしまった張本人である龍花は、心底悔しそうな様子で鬼2人が逃げていった方向を睨んだままだった。

 

その後に椿の祖父達が1時間くらいかけて彼女を宥めてくれたから一先ず騒ぎは収まってくれたけど・・・色んな意味で面倒臭い人達が増えちゃったなぁ。

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