私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾参話 超怖いお化け屋敷

 

――数日後のある日、昼頃にて

 

「「お化け屋敷を作って、肝試し?」」

 

椿と私が龍花との稽古をしている最中に、変態の赤木生徒会長と爆乳の牛元先輩、それから美亜よりも猫っぽい凛が家にやって来て、そんな話を持ちかけてきた。

 

そして事前に来るという連絡も無いまま突然来たものだから、私も椿も全く龍花に手も足も出ない所を見られてしまって少しだけ恥ずかしい。

 

それにしても、椿に対して"初めて嫉妬してしまった"日からしばらく経ったが、やはり私の気のせいだったのかそれ以降は特に何もマイナスな感情が沸く事はなかった。

 

「そう!これは毎年、我が生徒会がやっている催し物でね。校長先生を通じて、此処の屋敷の妖怪さん達には良く協力してもらっているのさ。勿論、正体は隠していたけどね」

 

「ほーん、こんなクソ暑い夏場には確かうってつけかもね」

 

私は縁側の影で涼しそうに眠っている凛を見ながら、椿と一緒に里子が持ってきてくれたタオルで顔の汗を拭った。

 

「しかし実際は、数年前から人が全く来なくなってしまっていてね。その原因は、2人が捕まえてくれた例の妖魔に操られていたからなんだけど・・・それが無くなった今年からは再び開催出来ると思うんだよ――そこで!!」

 

赤木変態会長が、少しだけ憂鬱げに話している途中で突然テンションが上がったように声を大きくする。

 

「ここで一発!超怖いお化け屋敷を披露すれば、毎年続いていた伝統を守る事が出来るし、生徒会の面目も立てられると考えたのさ!!」

 

「お、おぅ・・・」

 

色々ぶっ飛んだ凄い理論ではあるが、確かに良い評判が得られれば生徒会への支持は勿論、学校の知名度も上がって今までの妖魔によって植え付けられていた悪い印象を変えられるのかもしれない。

 

「まぁ〜何だか楽しそうだし、その話に乗らせてもらいますか!」

 

「話が早くて助かるよ、綾君。生徒会の主催で、後は君達2人の名前を使えば・・・」

 

「なるほど。僕達が知り合いの妖怪を連れて来るだろうし、それに普通のお化け屋敷とは格段に違う怖さだって話を聞けば、他の生徒達も沢山来てくれるかもしれない・・・という事ですね」

 

「ご名答だ、椿君!ご褒美に僕の――は、止めておこう・・・何だか綾君が怖いし」

 

「あぁん?」

 

変態会長がまたアウトな発言をしそうになったので、とりあえず指をコキコキ鳴らしながらニッコリ笑顔を向けてやった。

オマケと言わんばかりに、椿も笑顔で巾着袋に手を突っ込んでいたので、どんな人でも一目瞭然でヤバいと分かるだろう。

 

そんな私達の後ろから、湯口先輩が変態会長に呆れた顔を向けてくる。

 

「アンタは相変わらずだな・・・」

 

「ちょ・・・ちょっと、椿君に綾君。何故・・・湯口 靖君が、此処に居るのかな?」

 

当然ながら変態会長は目を丸くして驚いていたので、それについて答えた。

 

「えっと〜紆余曲折あったというか、なんというか・・・」

 

「あ〜・・・湯口先輩は説得に成功して、今は此処に居候しているって所ですね〜」

 

とはいえ昨日の今日な出来事かつ事情が事情なので、生徒会の人達が警戒するのも無理はないが。

 

「とりあえず、何か湯口先輩がやろうとしたら一瞬で捕まえられるようにしているから、そこまで警戒しなくても大丈夫ですよ〜って、湯口先輩ステイステイ」

 

なんて言っていたら、湯口先輩が変態会長を睨みつけながら、片手で頭を鷲掴みにしていたんですが。

 

「ふん・・・悔しいが、綾の言う通りだ。それと・・・良いか、変態会長。椿は俺の物だ、手を出したら――分かるよな?」

 

先輩がそうしている内にも結構な力を込めてるのか、なんかミシミシ聞こえるんですが。

 

「あ、あぁ・・・!ちょっと、分かったから・・・離してくれるかな!?」

 

「はいはい、先輩もここまでにしといてあげてくださいね〜」

 

「チッ・・・」

 

ひとまず私が間に入ってストップをかけた事で、湯口先輩は変態会長の頭からパッと手を離した。

 

「はぁ、はぁ・・・。つ、椿君、何とも優秀な愛人だね」

 

「愛人じゃないってば・・・!」

 

椿が尻尾を立てつつ、その毛を逆立てるが――

 

「そうだ、愛人じゃない!」

 

「うんうん、そうですよね先ぱ・・・」

 

「恋人だ!!」

 

「「それでもない!!」」

 

なんなの、この人・・・もはや狐2人と大差ない程までに酷いんですけど。

 

『貴様!我が嫁を勝手に誑かしおってからに!許さん!!』

 

『白狐とだけならまだしも、よもや人間のガキまで参戦するとはな!!』

 

しかも、それに反応してか狐2人も来ちゃった!

 

そして2人は椿をギュ〜っと抱きしめるから、彼女を助けようと私もついついムキになってしまい・・・!

 

「あ〜もう!皆いい加減にしろって!初めての親友特権で、椿は私のなんだから〜!!」

 

「綾ちゃん!?」

 

「・・・あっ」

 

はい、盛大に自爆してしまいました。

 

うっわ、ヤベェ超恥ずかしい。

湯口先輩も狐2人も、そして生徒会の人達も皆が私の方を見てキョトンとしてるわ。

 

そこから、とりあえず何と言い訳したら良いかと考えていると――

 

「あっ!ちょうど良かった、カナちゃん!助けてよ〜!!」

 

「最大級の核地雷が来ちゃったァァァ!!」

 

椿サンや・・・それは本当にやめてください、恥ずかしさで死んでしまいます!

 

案の定カナは、愛でられている椿や激烈に顔が真っ赤になってる私の写真を撮りまくってホッコリしているし〜!

 

しかも彼女からボソッと「夏の特別号にピッタリだわ〜」なんて聞こえてきましたけど!?

 

・・・と、ふと私達は"ある違和感"に気が付いた。

 

「あれ?カナちゃん、雪ちゃんは?」

 

「そういえば、今日は一緒じゃないな。カナ、そっちで何かあったのか?」

 

「それがあの子、全然連絡がつかなくて・・・チャットアプリで連絡してみても、既読にならないの」

 

カナの言葉を不思議に思って、椿と共に自分のスマホで確認をしてみるが、確かにメッセージアプリで雪からの反応が無いようだ。

 

「一応、雪にメッセージを入れてみたけど・・・反応が来ないのは妙だね」

 

「あっ・・・僕の方もだ。どうしたんだろう?」

 

「ん〜・・・それは私の方から探りを入れておくから、今は2人共に目先の事を心配した方が良いんじゃない?」

 

「目先の事・・・あ、やっべ」

 

カナから再び狐2人と湯口先輩の方へ視線を移すと、3人共に椿に引っ付いたままバチバチと目線で火花を散らしていた。

 

「ふっ、良いだろう。こうなったら、誰が一番長く椿を抱きしめる事が出来るか・・・それで勝負だ」

 

『ふん。そんなもの、今現在も抱きしめている我の方が有利よ』

 

『アホか。そんなのは一気に剥がして、永遠に俺の胸に埋めてやるわ』

 

「全く、コイツらは・・・ハァ」

 

「綾ちゃん、ため息ついてないで助けてよ・・・」

 

いやいや椿さん、ジト目で訴えられましてもね?

 

私だって本当は3人に割って入って、"椿は私のモンじゃ〜!"しそうなのを全力で堪えているんですよ、一応は。

 

椿だって、私がそんな事をしてきたら困るでしょう?と目で訴え返してみるも、彼女は依然として不機嫌な表情のままでしたとさ。

後でアイス奢るから許してくださいな・・・。

 

ちなみに――

 

「良い、楓。一流のくノ一ってのはね、あそこまで男を魅了出来て一人前なのよ。アレも椿のフリだから、助ける必要なんかないわ」

 

「おぉ、流石は椿姉さんっす!勉強になります!」

 

「そうそう、シッカリと椿ちゃんだけじゃなくて綾ちゃんの事も見習ってね〜」

 

「美亜に楓、そして里子も何言っちゃってくれてんのかなぁ!?」

 

楓は純粋だからまだ許せるとして、あの2人は絶対私達の事を面白がってやってるよチクショウ!

 

椿も慌てて楓に呼びかける。

 

「楓ちゃん、駄目!その2人の言う事を聞いたら駄目!!」

 

【あ〜ら、本当の事じゃないの】

 

「「妲己さんは黙ってて(くれ)〜!!」」

 

何なんでしょうね、この賑やかな絵面は・・・以前までの全く静かな様子とはスッカリ真逆になってしまったよ。

 

それはそれで良いんだけれども、椿が狐2人から求婚されている事に加えて、湯口先輩もそこに入ってきて・・・少なくとも、私がその対象にならなくて良かったとは思ってしまう。

いや、今は椿の事を第一に考えるなら、私が代わってあげたいくらいなんですけどね・・・本当に。

 

な〜んて思っている内にも、狐2人が妖術を庭でぶっぱなしたり時々先輩が椿をキャッチしたりしているし。いつの間にか危なくて助けに入れなくなっちゃったよ、ちょっと〜!

 

そんな様子を、わら子は私の隣で心配そうに見守っていた。

 

「あの、皆さん。落ち着いてお茶を飲んでいるより、早く椿ちゃんを助けた方が・・・」

 

「大丈夫ですよ、座敷様」

 

「龍花の言う通り、アレがあの者の強さじゃないでしょうか?」

 

「虎羽さん、私からしたら多分それは違う気がするけどね・・・つ〜か、いつの間にか変態会長も巻き込まれて気絶しちゃってるし」

 

お化け屋敷の話はどうするんだか、と思っていると縁側がある方の部屋でどうやら椿の祖父と牛元先輩が進めてくれていたようだ。完全に変態会長が放置されてるんですけど、それは。

 

『おのれ黒狐よ、椿を離さんか!』

 

「チッ、妖術のレパートリーが豊富な分、面倒臭ぇな!椿、今助けるからな!」

 

なんというか、3人とも血気盛んな事で・・・でも、これ以上は椿がいい加減に――

 

「――してください!!」

 

「あ、椿がキレた」

 

『ぬぉ!?椿・・・それは』

 

『うぉ!?ま、待て!椿、何を怒っている!?』

 

「やっべ・・・そういや、コイツがキレた時って・・・」

 

まぁ、湯口先輩は知っていますよね〜・・・。

 

怒った椿は"神妖の力"を解放して、捕まえていた黒狐さんの腕から強引に抜け出して庭へ着地する。そして、そのまま縁側へ置きっぱなしとなっていた刀剣を手にして、一瞬でそれに力を込めて真の形に変形させた。

 

「なんか私もヤバそうだから逃げ・・・どわぁ!?」

 

『ま、待て!椿、それは!』

 

「ふふ、大丈夫です。何処に振るか振らないかは、白狐さんと黒狐さん、そして先輩次第ですから。それと綾ちゃ〜ん?何処に行こうというんですか?」

 

「あっ、1人だけコソコソ逃げようとしてたのか綾!」

 

「はい・・・すいません」

 

何とかこの場から逃げられると思ったのが間違いでしたね、ハイ。

というか、怒っている椿ってここまで怖かったっけ・・・?

 

「また首輪付けられたいの?良いから、4人共に縁側の所で正座する!」

 

『『「「は、はい!」」』』

 

椿の一言で私達はすぐさま素直に正座をした。

 

「良いですか?人の気持ちを無視して、好き勝手に色々とやって・・・もうちょっと乙女心を理解して欲しいですよ。特に綾ちゃん、君はそもそも女の子でしょ?普段からあんなに女の子らしくない事ばっかりやってて恥ずかしくないんですか?」

 

「ぐぇっ、仰る通りです・・・」

 

真っ先に私が椿から叱られている横で、他の3人が冷や汗を垂らしている。

 

「うぅ・・・は、始まった、コイツの説教モード・・・」

 

『何じゃと?そんなもの、翁くらいしか――』

 

「それをずっと見ていて"怒るならこう"ってなったんだろ。実は前にも一度だけ、椿がキレた事があって・・・アイツが男の時、他校の生徒から口説かれた事があった。そいつは当時の椿を女と間違えていて、しつこくしつこく迫っていたんだ。そこで綾が間に入って止めてくれたんだが、その時にも椿は全く同じようにキレて延々と4時間もぶっ通しで説教を・・・」

 

うわぁ、懐かしい話を出してきたな〜湯口先輩も!あの時、何故か私まで一緒に説教されて今言われている事と全く同じ話をクドクドと――

 

『おい!お前ら、無駄口は!』

 

「ひっ!視線逸らしてスイマセン椿様ぁ!」

 

そんな事を頭に思い出していたら、また椿が刀剣を解放してニッコリ笑顔を向けてきてました。

ヤベェ〜!椿が何時になく御立腹なパターンだコレ〜!!

 

『わ、分かった・・・椿よ、とりあえず刀剣を納めてくれ。ちゃ、ちゃんと話を聞く』

 

「はい、そうしてくださいね。良い?そもそも女の子というのは、ムードというものをね――」

 

それから私達4人は、全員が椿の話を理解するまで延々と説教され続けたのであった。

そして説教が終わる頃には夕方になってて、足の感覚が無くなりかけてたよ・・・トホホ。

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