私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜 作:SimonRIO
――それから少し経って
北校舎全体を使ったお化け屋敷の準備は数日もかからずにアッサリ終わったが、設備自体は割とシッカリお化け屋敷で雰囲気は抜群である。
ついでに中で待機する妖怪達は"ある理由"もあって気合い十分という完璧ぶりだ。
ちなみに椿は肝試しに来る人達の案内役を任されていて、私は特定の場所へ札を張りに来る肝試しチームを脅かす側として皆とあれこれ作戦を立てている。
それにしても、お化け屋敷に改造したという事もあるからなのだろうが、また旧校舎の方から何だか不気味な気配を感じる。
古い建物で点でいえば、こちらの方がお化け屋敷におあつらえ向きだとは思うのだが・・・色々事件があった事を考えると止めておくべきだろう。結界も強い物に張り替えられているし。
「さて、今回は皆も分かってると思うけど普通の人間が見に来る訳だからね。最低限守って欲しいのは、下手な真似をやらかして私達側が妖怪だってバレないように注意する事」
「「「「は〜い!」」」」
「返事が元気でよろしい!じゃあ、次は誰が何処に待機するかなんだけど・・・」
「あ〜っと・・・ところで綾ちゃん、その格好は一体何なん?」
私が作戦会議に入ろうとすると、浮遊丸が不思議そうに私の格好についてツッコミを入れてくる。
それに続くように、他の皆も私の姿を見てキョトンと首を傾げてきた。
その中から、カナが目をキラキラさせて飛び出してくる。
「可愛い〜!綾ちゃん、後で写真一緒に撮っても良い?」
「カナ、これから作戦会議なんだからちょっと後にしてよ。それにそっちも裏方とはいえ、色々仕掛けがあるから忙しいハズでしょ?」
「はいは〜い、分かってるって。それじゃ、終わったら約束守ってよね〜!」
「一緒に撮るのは確定かい、全く」
そそくさ〜っと一足先にカナが出発したのを見ながら、私は「あちゃ〜」と苦笑いを浮かべた。
そう・・・今の私の姿は、頭の上から真っ白いシーツを被っただけの、所謂「5歳児が全力でお化けをやってみた」な格好なのだ。まぁ、その理由は皆にもまだ明かせないけれど。
「それでえっと・・・うん、私の格好は2段構えって予定だからね。1段階目で油断させといて、2段階目でめちゃくちゃビビらせる!な感じ」
「はぁ〜・・・よ〜手が込んでますな〜。中を透視して覗こうにも、自分の目じゃ貧相な身体しか――」
「サラッと私の裸を覗くんじゃねぇ」
「ギャァァァァ!!」
浮遊丸の目玉に鋭い拳をお見舞いしてから、脱線しかけた話を戻して作戦会議の続きへと移った。
「そんで、ろくろ首さんは――」
「ふむふむ、自分はそしたら――」
「良いね良いね、じゃあ校内の雰囲気をより怖くする為に――」
といった具合で、ポンポン皆でアイデアを出しては即採用という「お化け屋敷の怖そうな所を全部乗せ作戦」が夜になるまでにまとまったのであった。
ふっふっふ・・・怖がらせるのが楽しみだぜ〜!
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――夜になって、肝試しの途中
「う〜ん、おっかしいなぁ〜・・・なんで予定と違う展開になってんだろ?」
・・・作戦が上手くいくと思っていた手前、早くも浮遊丸とろくろ首が先導する椿に見つかってダメ出しをされたという連絡が入ってきた。
一応、初めに来ている5人組は怖がっている報告もあるにはあるのだが・・・それもダメ出ししている椿が怖いといった感じらしい。
「とはいえ、今から作戦の練り直しなんか間に合う訳ないしな〜・・・仕方ない、私の第一陣――派手にやらせてもらいますか!」
緑や赤のセロハンで色付けした電球の明かりから隠れるようにしつつ、私は隠れていた教室から出る。
そして、ユラリ・・・ユラリ・・・と大きな動きでわざとらしく揺れながら、ゆっくりと前方から肝試しチームに近寄る。
しかし――
「えっ、何やっているんですか綾ちゃん?」
「ふぇ!?わ、わわわワタシ綾ジャナイヨ、皆と遊びたいだけの孤独なゴーストダヨ?」
「6点です、100点中の。全く、本気で怖がらせたいんなら別な方法があったよね?」
1段階目でも結構怖いと思っていたのだが、呆れたような椿の反応からしてダメダメだったらしい。
私はいよいよ中に2段構えをしているのも忘れて、その場から脱兎の如く撤退してしまうのであった。
「う、くぅ・・・覚えてろよ〜!ぴぇぇぇん!!」
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――お化け屋敷、妖怪達の休憩スペースとしている屋上付近の階段踊り場にて
「あらら・・・綾ちゃん、それは残念だったわね」
「じ、自分なんかスタートしてすぐにバレて石をぶつけられましたっせ・・・ビビらせるついでに、女子の身体透視出来ると思っとったのになぁ〜」
「それは普通にアウトだよ!ったく・・・まだまだ、まだまだだ!私達にはまだ沢山の怖がらせポイントが――」
『すまん、綾ちゃん!こちらぬりかべだ、やっぱり椿ちゃんに見つかってダメ出しされちゃったよ・・・』
「ぬぅん・・・」
「そ、そこまで落ち込まなくても〜」
いやいや、いやいやいやいや!
えっ?椿なんかヤバくない?お化け屋敷で仕掛け人側やってるのに、お化け役の人に堂々とダメ出し出来る子でしたっけ?
なんというか、椿が別な意味で怖い・・・皆が怖がらせるタイミングについては生徒会の人と相談して、椿が通り過ぎた後でっていう最高のタイミングのハズなのに・・・今の所、お化け屋敷としては負けている感じがするよ〜!
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――その一方で、椿側の肝試しチーム
「もう・・・皆は本気で怖がらせる気があるのかな。綾ちゃんに至っては、完全にただのコスプレイヤーっぽい人になっちゃってるし・・・」
僕はやっと一組目の肝試しチームが特定の場所にお札を貼ってゴールするのを見送りながらも、お化け屋敷について皆が残念過ぎる状況なのを嘆いています。
言い方こそ結構キツく言っちゃってはいるんですが、これでも僕としてはとても優しく言っているつもりなんですよ?それに、もし僕が怖がらせ担当に移動する時になった事を考えて、ダメ出しした人達の改善するべきポイントについても色々と作戦を立てています。
例えば、ろくろ首さんは定番な着物姿のお化けの格好じゃなくて、テレビから這い出てくるような長髪の白い服のお化けみたいな格好の方が場所の雰囲気に合うと思う。
また別な例えなら、ぬりかべさんは目立つ顎を何とかしてもっと違和感の無い壁に擬態するとかすれば怖いかも、と思ってたりもします。そうだ、防火扉とか結構ちょうど良いかもしれませんね。
でも、何故か僕の頭には綾ちゃんの"5歳児お化けスタイル"が浮かんで離れないのです。
「綾ちゃんがアレで終わりだとは思えないし、何だか嫌な予感がするな〜・・・」
とりあえず綾ちゃんが何を考えているにせよ、僕は僕なりにお化け屋敷の出来をチェックしながら案内するだけです。
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――再び戻って、綾側の脅かしチームでは
なんか違う感じに怖がって終わってしまった一組目の肝試しチームでの出来事に、私達脅かしチームは一旦休憩スペースで作戦の練り直しを開始した。
「それにしても、綾姉さん・・・あの3人、大丈夫っすかね?」
「ま、まぁ・・・しばらく休ませてれば復活するでしょ」
ちなみに、物理的ショックや精神的ショックで立ち直れなくなってしまった浮遊丸やろくろ首、ぬりかべは回復の為に待機させている状況である。
一応の助っ人として酒呑童子共々引っ張ってきた、小説家の伊吹がいつものように作品のネタ用のメモを取りながら質問をしてくる。
「それで綾、これからはどうするつもりだい?」
「ん〜とりあえず、皆それぞれの持ち場はそのままに、各々で予定してた怖がらせ方をアレンジしてみるって作戦にするかな。名付けて、"ありきたりなんてツマランよ"作戦!」
「おぉ、流石は綾姉さん!一度倒れただけじゃ早々へこたれない信念、尊敬するっす〜!」
「はっはっは、そう褒めるな褒めるな楓〜」
私の高笑いにつられる形で楓が拍手を送ってくれた。そして、鬼2人はというと――
「ぐがぁ〜・・・zzz」
「やれやれ、僕達もそろそろちゃんと動かないといけなさそうだ。寝ている酒呑は適当に置いておけば小道具の代わりにはなるだろうし」
「そっちの方も頼みますよ〜伊吹さん!」
「さて、綾の言う"2段階目"は何時になるかな・・・」
「大体4組目って辺りかな、生徒会の人達のチームと合流する感じだね」
伊吹にそう返して、私は乗っていた机から降りてひと伸びした。
さあ、ここからが本番本番!