私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第肆拾陸話 ロリコン犯罪変態鬼

 

美亜の家族・・・というか父親が起こした事件から数日経った。その間、私達は色々とセンターや零課からの取り調べ等をされてヘトヘトになっていた。

 

そして美亜も暫くは私達の部屋で泣きながら塞ぎ込んでしまっていたし、普段はアレコレとうるさい狐2人も何でなのか鬼2人を必死に追いかけていたりで、なんというか忙しない数日だった。

 

――それで、今朝も気付けば美亜は私と一緒になって椿の尻尾に抱きついて眠っていた訳で。

 

「あ〜や〜ちゃ〜ん?」

 

「うん、ごめん椿。頭じゃ分かってるつもりなんだけどさ、その・・・こう、良い抱き心地過ぎてね?」

 

「はぁ・・・綾ちゃんも綾ちゃんだけどさ。数日はしょうがないとはいえ、美亜ちゃんの方も流石にこんなに長くしおらしい状態だと調子がおかしくなっちゃうよ」

 

そんな会話を椿としながら起き上がって眠っている美亜の顔を見る。彼女の流した涙が窓から差し込んでいる朝日に照らされて、その端正な顔立ちもあってか同性なのに何故かドキドキとさせられてしまいそうだ。

 

「お〜い美亜〜・・・そろそろ椿が持たないから、いい加減に起きなよ〜」

 

「はみゅぅぅ・・・起きてよ美亜ちゃ〜ん」

 

「うにゅぅ・・・後もうちょっとだけ」

 

「そう言って、僕の尻尾をスリスリしないで!」

 

「だ〜もう!椿は女の子なんだから、そういうのは好きな男子にやれっての〜!」

 

何としてでも美亜を起こさなくてはと、椿は美亜の尻尾を引っ張ってみるが――

 

「は・・・にゃぁぁ・・・ん」

 

「色っぽい声を出さないで!」

 

「何で弱点の尻尾引っ張られてんのに起きないの!?」

 

「ちょっと、美亜ちゃん!」

 

「ふみゅ・・・うみゅぅぅ、もっと・・・」

 

「もっとじゃねぇ〜!!」

 

「美亜ちゃん、絶対わざと僕達をからかってるでしょう!」

 

うわぁ・・・こうなったら、もう私達には"この手"しかないかもね。最近は美亜と仲良くなってきたからか、見せる素振りで本気なのかふざけているのかが大体分かるようになってきているし。

 

「ん〜、すぅすぅ・・・」

 

「よーし、ちゃんと寝かせてやろうか――妖異顕現」

 

「そうですね、綾ちゃん。美亜ちゃんが寝たフリしてるなら――妖異顕現」

 

「わぁ〜!分かった分かった、ちゃんと起きるわよ2人共!全く、もう・・・」

 

やっとの事で美亜は椿の尻尾から離れてくれた。

それにしても意気消沈のフリをして私達をからかうとは、意外とメンタルは強いのかもしれないね。まさか実の両親が亡くなってから数日で立ち直るとは思ってなかったけど!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――それから、朝食前にて

 

朝食を食べるべく大広間へ向かう途中で、ふと美亜が空いているハズの部屋へと寄り道する。

そして彼女がその部屋の扉を開くと、なんとその部屋には美亜や美弥子達の兄である吾郎さんと弥太郎さんが居たのだ。

 

「あら、もう起きていたのね」

 

「おう、美亜。おはよう」

 

「おはよう〜美亜お姉ちゃん!」

 

「だから・・・はぁ、もう良いわ。って、何アホ面してんのよ2人共?」

 

「そりゃあビックリするよ!これって一体どういう事だよ!?」

 

「えっと・・・何時から居たんですか?」

 

確か、私が覚えている限りじゃ昨日の夕飯の時には居なかったと思うんだが。

 

「あぁ、知らせずにすまなかったな。昨日の夜遅くに着いたんだよ。ちょうど君達2人が風呂に入っている間だ。その時に美亜には事情を説明したけれど、君達はまだだったね」

 

「僕達は妖草の件には一切絡んでいなかったから、それで一応逮捕は無しになったんだよ。あれは父と美海がやった事だから」

 

「・・・それでも、その事を今まで黙認していた罪はあるよね?それは一体――」

 

確かに椿の言う通り、実行犯ではなかったからといって全てが許される話ではなさそうだ。

 

そんな事を考えつつ、私は椿と共に訝しげな眼差しを2人へと向けると、そこで美亜が具体的な理由を説明してくれた。

 

「そもそもね、椿に綾。この2人や美弥子が内部告発をしていたから、ああしてセンターが動いたのよ」

 

「ほーん、なるほどね。つまりは事件解決の貢献者って事で帳消しになったって感じか」

 

「そうなんですか、美亜ちゃん!僕、何か本当に大丈夫なのかなって心配しちゃいましたよ」

 

そう私達がホッと胸を撫で下ろすと、やれやれと言いたげな様子で吾郎さんが話を続ける。

 

「だけど、家が燃えちまったろ?だからセンターに住む場所を相談していたら、そこで鞍馬天狗の翁が声をかけてきてくれてね。美亜も此処に住んでいるという事だから、それで俺達も此処に住む事にしたんだよ」

 

「正確には、僕達が了承する前に引き摺られてだけどね〜」

 

弥太郎さんの呆れっぷりを見るに、なんとなく当時の状況が想像出来そうだ。きっと「気にするな、来い」とか言ってそうだ。

 

「あぁ、そうそう。美弥子と美瑠も此処に住む事になったのよね。あの子達も妖魔に操られていただけだったし、何だかんだで罪には問われなかったわ」

 

「美弥子ちゃんと美瑠ちゃんもですか?」

 

「マジか!?2人に何も無くて良かった〜・・・」

 

「綾ちゃんってさ、実は意外と年下の子には甘い所あるよね」

 

「確かに、椿の言う通りね。邪魔そうにしながらも、結局は楓の時も心配したりしてて――」

 

「おぅ、その話題は私が羞恥心で死にそうになるから止めようぜ!」

 

「「えぇ〜もったいない」」

 

椿も美亜も2人してニヤニヤするんじゃない!

全く・・・単に私は、ああいう心配させるような奴が放っておけないから色々やっているだけだというのにさ。

 

そうして大きくため息をついていると、ふと椿は何か思い出したように美亜の兄達へと質問をした。

 

「そういえば美瑠ちゃんの持っていた、あの妖魔が取り憑いていたぬいぐるみについてなんだけど・・・お父さんからもらったんだよね?どうやって、あのぬいぐるみを手に入れたんだろう?」

 

「「あっ・・・」」

 

「もう、美亜ちゃんも綾ちゃんもしっかりしてよね。あの子が自分で"お父さんからもらった"って言ってたじゃん」

 

「やっべえ、そういや色々ありすぎてスッカリ忘れてたわ。あんなモン、一体何処で――」

 

「――亰嗟からだよ」

 

「「えっ?」」

 

すると吾郎さんは私の言葉の途中で意外な出処を口にしてきたので、思わず私も椿も目を丸くして驚いてしまった。

 

「どうにも美瑠や美弥子の能力を見た亰嗟が"あれは使える"と判断したらしくてね。そこで"コレを使えば、あの子達を好きなように操れる"と、そう言いながら親父に渡していた所をコッソリと見ていたのさ」

 

「とことん胸糞悪い奴だな・・・ごめん、美亜達の父親でもあるってのに何かついイライラしちゃって」

 

「別に、気にしてないよ。昨日も言ったろ、あんな奴は僕達の父親じゃないって」

 

とはいえ、亰嗟がそれほどまでに事件の裏で怪しげな事を沢山やっている事は間違いなさそうだ。

 

それに連中が扱う妖具についても、何処で集めているかは未だ分からないにしろ、恐らくはロクでもない方法で手に入れているかもしれない。

しかも妖魔すらも捕まえているのか何なのかだし、妖怪の子供を攫っては金持ちへ売り飛ばそうとしてたり・・・うん、これ多分ヤクザとか麻薬組織なんかよりヤバい犯罪集団だわ!

 

なるほど、そりゃあ狐2人も亰嗟を牛耳るボスを探したりするのに、かつては組織に居た鬼2人を問い詰めようと躍起になっている訳だよ。

 

『おぉ椿に綾よ、ようやく起きたか』

 

「ん、誰かと思ったら白狐さんか。おはよう〜」

 

『早速なんだが、酒呑童子と星熊童子の奴も朝方に帰って来て部屋で今も寝ているらしい。今度こそ、とっ捕まえて亰嗟についての事情を聞きたいのだ。そこで、椿の影の妖術と綾の風の妖術で奴を縛ってくれんか?』

 

「ほいほーい、それならお易い御用だよ」

 

「あっ、分かりました。やっぱり酒呑童子さんも伊吹さんも、色々と怪しいですからね」

 

後ろからやって来た狐2人の頼みを私達は快く請け負う。

 

何か黒狐さんがウンザリした感じの顔をしていたけど、椿を見るなり嬉しそうな表情に戻っていた。あ〜・・・こりゃ多分昨日は一晩中追っかけてたかな?それでも椿の姿を見るだけで復活出来る所は、なんというか相変わらずだけど。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――それから少しして

 

美亜達の兄は朝食の為に大広間へ向かい、私達は鬼2人が寝ている部屋へと静かに向かう。

 

『良いか、アイツら相手にコソコソしていてもしょうがない。一気に部屋へ突入して捕獲するぞ』

 

「よっしゃ、突入だ突入だ〜」

 

「綾ちゃん、何か悪い妖怪を捕まえに来た時並みに活き活きしていませんか?」

 

『深く気にするな、椿よ。きっと綾も内心はアイツらに鬱憤を積もらせておったのだろう・・・』

 

椿も白狐さんも、そこで気まずそうに話しているのは聞こえているからね?

 

何はともあれ、そこから椿が黒狐さんの力を解放した瞬間に皆で一斉に部屋へと飛び込む。

 

『酒呑童子!星熊童子!今日こそ・・・はっ!?』

 

『ぬっ・・・!?』

 

「おう妖怪センターのカチコミじゃコラ・・・あっ!?」

 

すると、その部屋にはなんと鬼2人だけではなくそれぞれに引っ付くように一緒に眠っている美弥子と美瑠の姿があったのだ。

 

遅れて椿も部屋へと突入して来たが、そのヤバい絵面に一瞬キョトンとしてからサーっと顔から血の気が引いていく。

 

「えっ?美弥子ちゃん、に美瑠・・・ちゃん。まさか・・・」

 

そう、問題なのは捲れた布団から見える彼女達は――どういうわけか裸だったのである!

 

よくよく見たら鬼2人も上半身が裸で美瑠は酒呑童子のムキムキな身体に、美弥子は伊吹の少し小ぶりな胸に抱きついていて・・・うん、これギルティですわ〜はいギルティ!!

 

「妖異顕現、黒槌土壊!!」

 

「この変態共が!妖異顕現、稲妻雷霆蹴!!」

 

「「ゲフン!!」」

 

私達は腹ぺこな朝一番で出せる全力を使って、目の前のトンデモな変態鬼2人を叩き起こす。

 

「いってぇ!なんだなんだ!?」

 

「何だじゃありません!この・・・ロリコン犯罪変態鬼〜!」

 

「待ってくれ!どういう事だい!?落ち着いて話を――って、何で君達そんな格好で僕達の所に寝ているんだ!!」

 

『酒呑童子に星熊童子よ・・・流石にその子らはマズいだろう・・・』

 

『あぁ・・・流石にな』

 

うわぁ、見てみろ狐2人ですらドン引いてるよ。

さて、それよりも先ずはコイツらに熱〜いお灸を据えてやらないといかんね。

 

「ちょっと待て2人共!誤解だ、何もしてねぇ!」

 

「"5階"も"6階"もありますか!黒槌土壊!!」

 

「ぼ、僕も身に覚えが――」

 

「言い訳無用、その身に刻んで反省しやがれ!稲妻雷霆蹴!!」

 

「「待て(つってんだろう・って言ってるだろう)!!」」

 

鬼2人が屋敷の外へと逃げ出そうとしたので、私達は今後の世界中の女子の貞操を守るべく彼らをボコりに追いかけ回したのであった。

 

――なお、その1時間後くらいに美亜から美弥子と美瑠は裸で寝てしまう習慣がある事を知ったのは別な話である。

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