私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第肆拾陀話 変わる事のない唯1人の"貧しいサイズ"

 

――朝食後

 

私達は先程まで全力で鬼2人を"お仕置き"した事について顔を赤くして恥ずかしがりながら、まだ途中かもしれない零課の事情聴取が来るのを待っている。

 

これまでの話から分かった事は、美亜や美弥子に美瑠、そして彼女達の兄達は逮捕されたりしないのは確実なのだそうな。まぁ、とりあえずは一安心といった所である。

 

「それにしても2人共、良いボコりっぷりだったわね〜」

 

「言わないでよ、美亜ちゃん・・・」

 

「こっちだって美弥子ちゃんと美瑠ちゃんの寝る癖について知ってたら、あそこまでボッコボコにしなかったんだけどさ。本当、先に教えといてくれよ・・・」

 

「あ〜ら、普通は分からない?あんな子供が貴方達の想像した事をすると思う?」

 

「「ぐっ・・・」」

 

そ、そりゃあ美亜の言う通り、少し考えれば有り得ないとは思うけどさ?だって普段から"あの"鬼2人の性格を見ている身だから、まさかって思っちゃうじゃんか。

 

「それなのに2人共あんな反応しちゃって。もしかしてアンタ達、あの2人の事・・・」

 

「違〜う!それだけは絶対に違う!!」

 

「そうだそうだ!幾ら何でも、流石にそれは無いわ!!」

 

・・・な〜んて事を考えてたら、やっぱり美亜は美亜だったよ!

私達は鬼2人に"その気"すら無いってのに意地悪な奴だな!椿も全身の毛を逆立てて怒ってるよ!

 

「あら・・・それじゃあ、貴方達の好きなタイプって?」

 

何で今そんな事を――って、ここはちゃんと答えとかないと美亜から変な誤解をされたままになりそうだな。

 

「タイプ、ねぇ。一言じゃ言いにくいんだけど、なんというか・・・ちょっと頼りないけど誰にでも優しくて、それでいて芯はガッチリして強い奴だね。それでいて時には私のミスを指摘してくれて、良く暴走する私のストッパーになってくれると助かるかも。時に意地悪な面があっても私は全然OKかな。ついでに言うなら、私の胸のサイズとかあまり気にしないと・・・うん、そこは別にどうでもいいけどさ」

 

「ん〜、僕がタイプなの・・・は。やっぱり優しくて落ち着いていて、僕をしっかりと守ってくれる人かな。そして怒ってくれる時はシッカリと怒ってくれて、フラフラしちゃう僕を繋ぎ止めてくれる人・・・あっ、妖怪だね。後は、偶にヤンチャな部分を見せてくれると嬉しいな。それに男の人なんだし、ちょっとくらい変態でも・・・まぁ、良いかな〜」

 

私と椿はそれぞれ頭に浮かんだイメージで理想のタイプを言葉にしてみたが・・・ちょっと待って欲しい、何か心当たりが無いか?

 

『つ、椿よ。それは・・・』

 

『そのまんま俺達ではないか!オマケに、もし男だったなら綾も当て嵌るぞ!そして綾も、その感じだと完全に椿一筋ではないか!!』

 

「「えっ・・・?――あっ!!」」

 

気付いたら目の前で狐2人が非っ常〜に嬉しそうな表情でピョンピョンしようとしてたよ!

うっわ〜言われて見れば確かにマジだ!しかも私も椿も、好みのタイプは互いに当て嵌るし・・・待って、椿は今は女の子なんだよね?

 

あ〜ちくしょう!私が男だったら一瞬で惚れて「うん、大好きさ!」とか言えてるよ本当に!私を女に生み落とした神様のバカ〜!!

 

「あっ、やっ・・・ち、ちが――いや、違ってないけど!でも・・・というか抱きしめないでください!綾ちゃんまで一緒になってさ!」

 

「えっと、その・・・ごめん椿、つい!」

 

「つい、じゃな〜い!離してよ〜綾ちゃ〜ん!!」

 

「ふふ、ご馳走様〜」

 

「ちょっと、美亜ちゃん!!」

 

美亜にハメられたってのは分かるんだけど、それはそれ!これはこれだ!こうなったら、私の気が済むまで椿をギュ〜ってする事にするぞ〜!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――それから少しして

 

「す、すびばぜんでじだ・・・」

 

「綾ちゃんは"お話し"したから良いとして、美・亜・ちゃ〜ん・・・?」

 

「あら、案外早かったわね。それと綾も、ご愁傷さま〜」

 

「やっほ〜椿ちゃん、綾ちゃん!」

 

はい、あの後狐2人と一緒に椿を愛でていたら何故か湯口先輩も乱入してくるわ、結果的に椿が本気で怒って皆揃って正座の説教を受ける事になるわで滅茶苦茶になりました。

ちなみに「いつもいつも、そうやってじゃれていたら椿が迷惑だろう!」と乱入してきた割には湯口先輩もノリノリだったのは言うまでもない。

 

それで今は椿が私を引き摺りながら美亜の所へ文句をつけに来た訳なのだが、そこには美亜の他に里子も居て何かの紙を眺めていたようだった。

 

「美亜ちゃん、心の傷を癒す為に僕達をオモチャにするのは何か違う気がするんだけど?」

 

「あら、それはごめんなさい。今後は気を付けるわ」

 

「うんうん、そうしてこれから気を付けて――んんん?」

 

「何よ?」

 

私達の言葉に素直に謝罪する美亜を見て、椿は不思議そうにしながら彼女の額へ手を当てて目を丸くする。

 

「あれ?えっと、美亜ちゃん?ね、熱は無い?」

 

「そうね、熱は無いわね。何かそこまで心配されると逆に不安になってくるんだけど」

 

「あー、うん。何か美亜があんまりに・・・いや、やっぱり何でもないわ」

 

ここで再び"珍しく素直だ"なんて言ったら、また美亜が面倒臭い怒り方をしそうな気がするので止めておこう。うん、そうしよう。

 

「それよりも、椿に綾。翁から言われたけど、これ以上の細かな所は零課の方で調査をするしかないから、私達への聞き取りは一旦終了なんだってさ。そこで、ジッとしているのもアレだから里子に依頼書を持って来てもらっていたのよ」

 

「なるほどね、さっき見ていた紙はそれって訳か」

 

「ところで美亜ちゃん、任務に行くのは分かったけれど・・・ぼ、僕の尻尾を・・・」

 

くすぐったさそうにしている椿を気にする事なく、美亜は彼女の尻尾をサワサワしながら話を続ける。どうやら、あの感じだと無意識で手を伸ばしているようだ。

 

「あら?今回のはバイト係よ。ほら、前にもやった――コスプレ居酒屋のバイトよ」

 

「う・・・っ、珠恵さんの居酒屋・・・ですか。それなら気分転換に、うくっ・・・行っても良いね」

 

「そうそう。接客はまた2人に任せるとして、私はノンビリと裏方で作業しているわ。身体を動かしていないと、色々と考え込んじゃうしね」

 

「えっと、うん。そ、そうだよな」

 

無意識で触っているのでは、という疑念から未だに椿の尻尾を触っている美亜に注意をしずらい。

 

「はぁ〜やっぱり、椿の尻尾は触り心地が最高ね〜」

 

「って確信犯かよ!!」

 

私や椿が怒らないからって、全く・・・いやでも、それでも本気で怒らなくなった私も、相当椿以外の他人にも甘くなったのかもしれないけどさ。

 

それと里子、こっちも触って欲しい〜みたいに自分の尻尾をわざとらしくフリフリしても無駄だからな。美亜は完全に椿の尻尾に夢中みたいだし、私だって散々椿の尻尾を堪能したからスッキリしてるから触る気分じゃない。

 

「さて、それじゃあ準備をしたら行くわよ。それと、どうやら今回は3人で良いらしいから白狐と黒狐は置いていくわ」

 

『なぬ!?』

 

『まぁ、そんなにしょっちゅう妖怪が倒れる居酒屋なんて不安でしょうがないだろうからな。それはそれで良いんじゃないか?それに俺達も俺達で、亰嗟の事を調べなければならないだろ』

 

そんな美亜の発言に、いつの間にやら狐2人も部屋の扉で私達を見守るように立っていた。

というか、2人共そんな自覚があるんなら少しは自分の煩悩を抑える鍛錬でもしたら良いんじゃないだろうか?

 

『椿、大丈夫か?その居酒屋のバイト、客から口説かれたりしないのか?』

 

「うっわー、心配のあまりに完全に過保護になってるよ・・・」

 

これは指名制度の事は絶対言ったらいけない奴だね。この2人だと仕事でもないのに着いて来そうだもん。そしたら亰嗟を何とかしなきゃいけないってのに、変な事で余計なトラブルを招きそうだ。

 

「そうだ、椿。アンタ、大人に変化するのはあんまりやらないでしょ?」

 

「ぐっ・・・美亜ちゃんだって普段は変化していないでしょ?」

 

「あら、私は相手を魅了してから呪いをかけるのよ。まぁ、お母様の呪術を受け継いでいたら関係は無いんだけど、これでも練習はしているのよ」

 

「そっか、金華猫は相手を骨抜きにしてから呪いをかけるのが得意なんだったっけな。道理で、美亜の兄貴達も美弥子ちゃんや美瑠ちゃんも綺麗な顔をしている訳か〜」

 

「それよりも綾、アンタの方は大丈夫なの?確か、前にやった時は使い魔に妖術をかけてもらっていたハズだけど・・・」

 

「ん?あ〜、それなら多分何とかなりそうかな。何となくだけど、身体の中で"大人になる妖術"の感覚を覚えてる。同じようにして妖気を集中させれば、きっと前回と同じ感じになれると思うよ」

 

まぁ、要は"習うより慣れろ"という奴だ。それに何時までも失ってしまった小次郎に頼ってばっかりじゃあ、謎の女に奪われてしまった彼を助ける為の力にもなれないからね。

 

そして何時かは、絶対に小次郎の事を助け出してやるんだ。

 

「ほら、椿。あんなに綾もやる気なんだから、貴方もちゃんとやってみなさい」

 

「うぐぐ・・・やらなきゃ、駄目かな?」

 

「「上目遣いをしても駄目」」

 

椿も今後何があるか分からないんだから、これを大人の姿に化ける訓練だと思えば良いのに。そこまで何か嫌がるような理由ってあるのかな?

 

【あら、情けないわね。何なら、大人の姿になる時は私が表に出ましょうか?】

 

「もう、妲己さんは寝ていてください」

 

「あっ、それよ!大人の姿が嫌なら、妲己に代わったら?」

 

「サラッと言うけれど、絶対僕の身体で良からぬ事をしますよ?」

 

「「・・・」」

 

「はぁ・・・分かったよ、僕も大人の姿になります。でも、男子達はちょっと向こうに行ってて」

 

そして私と美亜の無言の圧力に椿も折れて、影の妖術で部屋の外から私達を覗いていた狐2人や湯口先輩を何処かへと運ばせる。うん、何時から覗いていたよ!?

 

ちなみに私達が大人の姿になった時用の服については、里子がニッコニコしながら両手に持って来ていたよ。椿は普段着ているミニスカな巫女服、私のは普段良く着るTシャツにジーパンの服装を大人のサイズで見繕った物だ。里子も毎度毎度、良く見つけてくるなぁ。

 

「「――妖異顕現」」

 

それはともかく、私達は妖術を発動して大人の姿へと変身する。実はここだけの話、この姿になるのは背が高くなったり胸も大きくなったりするので私は結構気に入っているのだ。

 

「おぉ、椿ちゃん!何だか色っぽい・・・」

 

「それは単に、僕の服がキツくなっているからですよ。里子ちゃん、破けちゃう前にそれ貸して」

 

「はいは〜い。綾ちゃんの方も美人さんになって・・・でも、あれ?何か前と比べて違和感があるような・・・?」

 

「えっ、何か失敗した――あぁぁ!?む、胸が真っ平らのまんまだぁ!!」

 

何とか膨らませられないかと妖気を込めたり何だりやってみるが、全然胸のサイズだけは変わる事のない唯1人の"貧しいサイズ"のままになってしまった!うぐぐ・・・一体何を間違えたんだろうか?

 

とにかく、服のサイズが合わなくなっているので私達は里子から大人サイズの服を受け取って着替えようとした時、もの凄〜く今聞こえたくない奴の声が聞こえてきてしまった。

 

「ええやん、ええやん!絶好のチャンスやろうが!」

 

「待てコラ!ふざけんな!」

 

そして、その怒号が聞こえてきた瞬間に部屋の扉がぶち破られて、狐2人と湯口先輩が浮遊丸を取り押さえながら中へ転がり込んで来てしまったのだ!

 

「ひっ・・・!」

 

「あ"っ・・・」

 

「あ〜ら、お約束」

 

「だねぇ〜」

 

もちろん着替えようとしていた私達は半裸姿だったので、突っ込んで来た彼らに見られた恥ずかしさで顔が赤くなっていく。

 

「あっ・・・椿に綾。いや、これは・・・その」

 

「えっと、うん・・・湯口先輩ドンマイな」

 

湯口先輩は私達の方を見ないようにして取り繕おうとしているけど、椿の怒りのオーラが向けられているので多分怒られるね。湯口先輩、これは本当にドンマイですわ。

 

そして、狐2人はというと――

 

「ほぉ、これは中々・・・」

 

『おぉ、椿。お前、良いセンスをしているな。綾も、王道では無いとはいえ男心をバッチリ理解している』

 

まぁガン見ですよね!2人がこんな感じになるのは知ってたよ、ちくしょう!!

 

というか私もオジサンと2人暮らししていたから、別に男の前で着替えるのは恥ずかしくなかったハズなのに、何かもの凄く恥ずかしくなって我慢出来ないんだけど!?アレか、苦手な奴にあられも無い姿を見られたからか!?

 

「「と・り・あ・え・ず――皆出て(行けぇ・行って)!!」」

 

「うぉっ!!ふ、2人共!?」

 

『待て椿よ、何でそんなに恥ずかしが――ぁぁあ!!』

 

『白狐・・・これは、大人しく吹き飛ばされるしかないな』

 

そして恥ずかしさが頂点に達した私達は、"神妖の力"で強化した風の妖術を発動して男子共皆を思いっきり吹き飛ばしたのであった。

 

全くもう・・・吹っ飛ばした先の山には確か小さい滝があったから、そこで頭を冷やしながら煩悩も洗い流してくると良い!!

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