私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐話 校長先生の違和感

 

――それから、待ち合わせ場所の公園にて

 

普段通りに公園へと降り立った私達は、カナがすぐに姿を見せない事を不思議に思って待ち合わせているであろう彼女を探す。

 

「あっれぇ、おかしいなぁ・・・いつもの場所に居ないんだけど」

 

「もしかしたらカナちゃん、先に行っちゃったのかな?」

 

「ねぇ2人共、あそこじゃない?」

 

そうして美亜が公園のトイレを指差すと――

 

「あっ、きゃっ!」

 

「ありゃ、そんな所に居たのかよカナ」

 

「でも、そんなすぐ陰に引っ込んじゃってどうしたの?」

 

「ご、ごめん椿ちゃんに綾ちゃん。ちょっと周りを見ててくれる?急いで着替えるから!」

 

「えっ?何していたんですか?」

 

そんな会話をしながら私達がカナの所へ近づいていくと、周辺の木に若干の焦げ跡が出来ているのを見つけた。

 

「あ〜、これはまさか・・・」

 

「カナちゃん、1人で特訓でもしてたの?」

 

「えっ!?いや、その・・・」

 

「木が少し焦げてると思ってたから、やっぱり。その体操服にも、焦げ跡がありますね」

 

「ちょっと椿ちゃん!見ないでよ〜!」

 

「何で?」

 

そうして椿は半目で上目遣いをしながら、中々白状してくれないカナへジリジリと迫る。こんなやり方とはいえ多分、椿も椿なりにカナの事を心配しているのだろう。

 

「ちょっと、椿ちゃん・・・だから、それは卑怯だって・・・綾ちゃんも何とかしてよ〜」

 

「ん?だったら正直に話したら良いんじゃない?」

 

「うぐぐ・・・分かった、分かったから!ちょっと力を制御出来なくて、炎の勢いが強くなり過ぎちゃったの。それで、ズボンまで少し焼けちゃって・・・」

 

どうやら大体は予想してた通りだったようだ。

それにしても私と椿のファンクラブの件といい、どうしてカナは私達に内緒で色々勝手にやろうとしてしまうんだろうか?私も椿も今や親友なんだから、相談さえしてくれれば一緒に考えたのに。

 

「カナちゃん、何で急にそんな事を?」

 

「一応黙っておくつもりだったけどさ、たまに1人で特訓みたいな事をやってるのは薄々気付いていたんだぞ」

 

「2人共、そんな理由は分かっているでしょ?もう私は、あの時みたいに暴走して2人に迷惑をかけたくないの。だから・・・私は、ちゃんと自分の力を扱えるようになりたいの!」

 

すると突然、私達へ割って入るかのように聞き覚えのある声が聞こえてくるーーと思っていたら

 

「その心意気、天晴れ!!」

 

「「って、八坂校長先生!!」」

 

滅茶苦茶ビックリしたわ!まさか校長先生が私達の間から瞬間移動したみたいに出てくるとは思わなかったわ!!

 

あまりにビックリして反射的に拳が飛びそうになったけど、校長先生が扇子を広げたのを見て呆れた笑いが出て脱力してしまったよ。なんというか、校長先生のマイペースぶりには恐れ入るね。

 

「辻中君。君の"想い"がそこまで本気なら、半妖の筆頭とも言うべきこの私が君の特訓を見てあげよう」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

その校長先生の言葉にカナは目を輝かせて食いついた。それにしても普段はおちゃらけているのに、こういう真面目な話の時にはシッカリしているのだから困った人だ・・・まだ狐2人とかみたく変態じゃないだけマシに見えるけど。

 

「さて・・・此処で立ち話も何だから、登校しながら話そうか。新学期の初日から遅刻しちゃうと、色々不味いだろう?」

 

「んっ?ちょっと待ってください?そういえば校長先生は始業式の準備とか、朝から色々と仕事があるんじゃないんですか?」

 

「大丈夫だ、教頭に全部投げてきた」

 

「「鬼(ですか・かよ)・・・」」

 

うわぁ、こりゃあ後で校長先生はとんでもない事になりそうですよ。というか、そこまで意気揚々と扇子を広げて堂々とされていたら、なんか逆に怒る気力すら無くなってくるし。

 

仕方ないので、このまま大人しく私達は着替えたカナと共に校長先生の話を聞きながら登校する事にした。

 

すると、なんと椿は当然かのように美亜から先輩の首輪に繋がるリードを受け取ろうとしていたのである!

 

「ちょ、ちょちょいちょいちょい椿!?」

 

「つ、椿ちゃん・・・駄目!貴方は"そっち"に目覚めたら駄目だよ!」

 

「えっ?」

 

すぐさま私とカナで椿が変な気を起こさないように注意をするが、一歩遅かったか椿は少しキョトンとした後に不敵な笑みを浮かべていた。

 

「行くよ、ポチ。ワンって言って着いて来てね」

 

「ワン!く、くそ!逆らえねぇ・・・止めろぉ椿〜!」

 

「ノォォォォォオオ!!」

 

なんという事になってしまったのでしょう。

ま、まさか椿は本当にヤバい方向へ目覚めてしまったんじゃないだろうか・・・?

 

「あらあら、椿ったら板に付いてきたわね〜」

 

「おい美亜!感心してないで、早く椿を何とかしてくれ〜!」

 

「何でよ、綾?別に良いじゃない」

 

「良かねぇわぁぁあ!!」

 

「あぁぁ・・・椿ちゃんが、悪い妖怪に染められていく!」

 

しかも誰もストッパーにならねぇ!

校長先生や美亜は絶対面白がってるだろうし、カナも何かガビーン!ってなってて頼りにならない!リードで引っ張られている湯口先輩に至っては・・・スイマセン、彼の為にも状況は詳しく言わないでおきます。ヒント?犬という言葉で察してください。

 

「ふ〜む、良い感じだね」

 

そんな事になっている時、ふと校長先生は意味深そうな口調で呟く。さっきまでのおちゃらけていた様子とは違う雰囲気を感じて振り返ってみると、なんというか校長先生は表面上だけ笑っているような感じで少しだけゾッとした。

 

すると椿も、そんな校長先生の様子を見たらしく「自分は一体何をしていたのだろうか」といった感じに、スーッと楽しそうだった雰囲気が落ち着いていく。

 

「ふむ、惜しい・・・」

 

何が惜しかったのだろうか、と問いかけようとした瞬間に私達は校長先生の持つ扇子へ注目する。

 

『女王気質』

 

これまた随分と変な扇子だ。

しかし、その私達の視線に気付いたのか校長先生はパチン!と強く音を鳴らして扇子を閉じる。

 

「・・・」

 

「「・・・」」

 

それから普段の笑顔を再び向けてきたが、私と椿は先程の校長先生の違和感に恐怖を感じて言葉が出てこない。

まさか、あの椿の変な状態は校長先生が起こしたとでもいうのだろうか・・・一体、何の為に?

 

「椿も綾も、大丈夫か?」

 

「あっ、先輩・・・大丈夫ですけど一応」

 

「僕も大丈夫です・・・それと、さっきはごめんなさい」

 

「いや、別に良い。それにしてもアイツは、とんだ道化師のようだな。2人共あんまり気を許すなよ」

 

「う、うん・・・ありがとうございます、先輩」

 

「はぁ・・・私は元から、あまり許してない気もしますけどね」

 

湯口先輩ですら怪しく感じた程だ。こうなると校長先生が言う、カナの特訓とやらも心配になってくる。

 

どうして私達に怪しまれるような事をしてきたのだろうか・・・意味が分からない。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――その後、学校にて

 

それから何にも無く無事に学校へ着いた私達を待っていたのは、先輩を首輪で繋いで連れて来た事によるクラスメイトからの質問責め祭りであった。

 

一応皆の質問へ答える前には、体育館の件で先輩を謝らせる事が出来たけども。

 

そんな椿の様子を見て、カナも美亜もようやく彼女が何かおかしくされていたという事に気付いたようだ。いや、今更過ぎだと思うよ。

 

しかも皆から先輩を奴隷にした〜だの、そういうプレイとして3人で仲良くやってるのか〜だのと色々聞かれていたのに、慌てて私が答えている隣で椿はずっと上の空だし。

 

それにしても・・・なんか旧校舎の方から感じる禍々しいというか気持ち悪い雰囲気が濃くなっているような気がする・・・なるほど、椿が上の空にもなる訳だね。

しかし色々と詳しそうな校長先生に聞いてみようにも、その本人は学校へ到着するなり姿を眩ませてしまってるから困った話だ。

 

「・・・や・・・の」

 

う〜む、こうなったら今回は私達で独自に旧校舎を調べるしかなさそうだ。龍花と朱雀も学校に到着してからは、私や椿と同じく旧校舎が気になるのかずっと険しい表情を浮かべて怪しんでいる。

 

「・・・っと、聞いて・・・の」

 

とはいえ、それが校長先生にバレたら今後重要な時に厄介な事になるかもしれない。敵・・・とは完全には多分まだ言いきれないが、それなら狐2人にでも相談して夜中にでも忍び――

 

「ねぇ、ちょっと綾!アンタまでボーっとして、聞いてるの!?早く、この人達を何とかして〜!!」

 

「「えっ?・・・あ」」

 

美亜の怒号で驚いて我に返ると、そこではなんと美亜が学校の生徒達にキャーキャーと黄色い声を上げられながらもみくちゃにされていたのであった。いやいや、相変わらず此処の皆はスキンシップというかコミュニケーション能力高ーなオイ!

 

・・・まぁ、今この疑問については下手に考え込むより、家に帰ってから狐2人に相談した方が良いかもね。

 

「あっ、皆。美亜ちゃんは尻尾が弱いから、あんまり触らないであげてね・・・」

 

とりあえず椿が、美亜の尻尾を触りまくっていた皆へ注意を入れる。美亜も手で口を塞いで涙目になっていた所を見るに、どうやらギリギリ変な声が出そうになっていたらしい。

 

やれやれ、これで――

 

「それじゃあ、椿ちゃんの尻尾を触らせて〜!」

 

「モフモフさせてぇ!」

 

「って、アッルルェェエ!?」

 

まさかの半分ほど人が椿に寄って来ちゃったよ!

 

「ちょ、駄目駄目!僕も尻尾弱いから駄目ぇ〜!!」

 

「と、とにかく戦略的撤退だ〜!!」

 

こんな所で椿までヘロヘロにされたらたまったもんじゃない!

 

すぐさま私達はグッタリする美亜を担ぎながら、カナ達へ視線で合図を送った後に全力疾走で自分のクラスまで逃げたのであった。

 

皆、尻尾への欲望がそこまであったなんて・・・恐るべし!

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