私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参話 似たもの同士

 

えっと、うん・・・正直、皆の欲望を舐めてましたわ私達。

 

校門で逃げきれたと安心してた私達を待っていたのは、なんと始業式で体育館に集まっていた皆からの尻尾モフモフ祭りだったのだ!

 

お陰で私も途中から混乱しまくった挙句に椿の尻尾へと抱きついたりして滅茶苦茶になってしまったよ・・・そして教室へ戻った現在となっても、まだクラスの人から触られまくっている。ちなみに私も、さりげな〜くな感じで尻尾をまだ触ってたり。

 

「あ〜や〜ちゃ〜ん・・・体育館の時から、どれだけ長く触ってれば気が済むの?」

 

「うっ・・・ご、ごめんって。なんか触ってるだけで心が安らいでくるんだよ」

 

「もう、仕方ないなぁ・・・あっ、そういえばカナちゃん。雪ちゃんの事なんだけど、やっぱり学校に来なかったね」

 

「んっ・・・そうだね」

 

普段は私達の事ではライバル視していがみ合っているカナも、どうやら流石に今回は雪の事が心配のようだ。

 

すると、椿が"ある提案"をしてくる。

 

「綾ちゃん、カナちゃん。1つ考えたんだけどさ、学校が終わったら雪ちゃんの家に行ってみない?」

 

「ああ、私は賛成だよ。雪が学校に来ないってのは幾ら何でも心配だし、多分何かあったと思って間違いないよな」

 

「うん・・・そう、だよね。椿ちゃんと綾ちゃんの言う通り、とにかく今は少しでも動かないと何も分からないもんね」

 

「まぁ、まずは情報を集める事が1番かな」

 

「うん、そうだね。それでカナちゃん、学校に居る半妖の事を全員把握している人って誰か知ってる?」

 

ひとまず私達は尻尾へ集まっていた人達を何とか追い払って、俯いているカナへ小声で尋ねた。

 

「あの生徒会長なら・・・」

 

「「ごめん、それ以外で」」

 

「あはは、2人共早いね。でも、残念だけどアイツしか居ないよ。あんな変態な奴だけど、ちゃんとした情報だけは持っているんだよね」

 

「マジですかよ・・・最悪だ〜」

 

ぶっちゃけた話、私も椿も変態会長にあまり関わりたくないんだけど・・・でも、雪の詳しい事を知る為には仕方な――

 

「僕を呼んだかなぁ!?」

 

「ぎゃあ!!テレパシーでも持ってんのかよ!?」

 

「呼んでません、帰ってください」

 

まさかのご本人が呼んですらいないのに登場してきちゃったよ!こうなると逆に、何故か話を聞きたくなくなってきたんだけど。

 

「おやおや2人共、そんな態度で良いのかな?せっかく僕が、雪君の情報を持って来たというのに」

 

「「何(だって・ですって)!?」」

 

そう私達が大声で反応してしまったものだから、危うく皆に怪しい目で見られそうになってしまった。ちなみに、皆はそれからも美亜の尻尾を弄り倒していたのであった。

 

すると、変態会長は私達の耳元へ顔を近づけて小声で話しかけてくる。私達は少しビビって身を捩らせかけたけど。

 

「此処では何だから、後は生徒会室でね」

 

そう言って変態会長は、普通に何ともなかったように教室を後にしたのであった。あんな様子だと、どうやら普段は優等生として振舞ってるみたいだけど・・・雪の事を色々教えてくれる代わりに身体の垢を舐めさせろとか言われたらゾッとするね。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

とりあえず今日の学校は始業式だけで昼頃には下校となったので、私達はカナや美亜達に付き添ってもらって変態会長と約束していた生徒会室へとやって来る。

 

今回は牛元先輩が扉の前で待っていてくれたので、場所が分かりやすくて助かった。ついでに牛元先輩が生徒会室の扉を開けてくれたので、前回みたいなノーサンキューのお出迎えをされずに済んだ・・・けど。

 

「やぁ、槻本君に烏森君。調子はどうかな?」

 

「げ、校長先生」

 

「何で校長先生まで居るんですか・・・?」

 

まさか校長先生まで居た事に私達はビックリしてしまったよ。でも校長先生が居るお陰か、変態会長は何時になく真剣そうな顔で大人しくしているけれども。出来れば普段からそうしていて欲しいね。

 

「それは如月君の身に起こっている事、その情報元が私だからだよ」

 

すると、その校長先生の言葉にカナが落ち着かない様子で食いつく。

 

「雪の身に何が起きてるの!?」

 

「まぁ、そう熱くならないで落ち着くんだ辻中君。何せ、相手が相手だからね」

 

校長先生は慌てず騒がずにカナを宥め、軽いジェスチャーで私達に椅子へ座るように促してくる。

 

そんな校長先生の"大人な対応"を見ていると本当に良い校長先生だと思えるのだが、私は先程の校長先生が起こした謎の行動もあってかイマイチ信用し切れない感じがした。

 

――私は往来で喧嘩ばかりをしてきた為に、相手の眼差しから向こうが何を此方に対して思っているのか大体は想像出来るようになっている。

その殆どは私に喧嘩ふっかけてくる奴ばかりだから殺意とか敵意とかだったから分かりやすかったのだが、校長先生の眼差しからは・・・何も分からない。

 

分からない、というよりは"相手から明確な意思を読み取れない"と言った方が正しいのかもしれない。私達を騙そうとしてる訳でもなく、悪い事を企んでいる訳でもなく、むしろ私達に興味すら抱いていないような感じだ。

 

「君達が私を怪しむ事も想定内だよ。朝の時は少し事を急き過ぎた。"ある程度"までは上手くいっていると思っていたけどね。まぁ、とにかく気にしないでくれたまえ。ただ、今は私の言葉を信じなさい・・・如月君を助けたいのだろう?」

 

私がそんな事を考えつつ訝しんでいると校長先生はそれを察知したのか、ニヤッとわざとらしく口元を緩ませて何かの能力で耳元に囁き声を送ってきた。そして椿も少し驚いた表情をしていた事から、今の囁き声が聞こえていたらしい。

 

校長先生の手元には『秘密の交信』と書かれた扇子が開かれており、どうやら椿と私を除いて他の皆には聞こえないように声をかけてきたようだ。

 

そんな迂闊に返事も出来ない状況なので、仕方なく私達は促された通りに空いていた椅子へと腰掛ける。

 

「さて。皆落ち着いた所で、今如月君に起こっている事だけれども・・・牛元君、赤木君、皆に説明を」

 

「はい、かしこまりました」

 

「分かりました、八坂校長」

 

校長先生の言葉に、牛元先輩はまるで会社の秘書みたいな感じで手元にあるファイルから1枚の紙を取り出して私達へ渡してきた。そして、なんと変態会長も部屋の端っこにあったホワイトボードを引っ張ってきてスラスラと色んな事を書いていく。

 

ぶっちゃけ、今までのふざけてた雰囲気が嘘みたいな真面目っぷりで私達はビックリして目が丸くなっちゃってるよ!

 

「さてと・・・如月君の身に起きている事だが、手元の資料を見てくれ」

 

「は、はぁ・・・はい」

 

「この男が何よ?」

 

そうして資料に載っていた写真の男を見て、真っ先に美亜が不思議そうな声をあげる。私もまじまじと眺めてはみるが、どうにも見覚えがあるような無いような・・・?う〜ん、良く分からん。

 

すると、同じく写真を見た椿は再び驚きの顔を浮かべてきた。

 

「この人って、確か・・・今の京都市長の「如月 努(つとむ)」さんだ」

 

「えっ、如月?じゃあ、まさか雪って・・・?」

 

「そのまさかだよ。如月雪君の父親は、現在の京都市長なのさ」

 

「へぇぁっ!?」

 

あ〜そうか市長か!どうりで何処かで見たような顔だと思ってたわ!!っていうか、私からしたら雪が現市長の娘だったって事の方が驚きだよ!!

 

でも思い出した話だと確か、この市長は前の市長を悪どい手段で蹴落として成り上がったとかニュースになってた気がする。まぁ結局は決定的な証拠も何も見つからなかったから、事実無根の与太話としてアッサリ片付けられてしまったらしいけど。

 

「この市長の秘書さんに莫大な金を積んで、何か悪い事をしていないか尋ねてみたのさ。後々、それをネタにして揺さぶる為にね」

 

「サラッと怖い事やってんじゃねーですよ校長先生ちょっと」

 

「まぁまぁ、それは置いといて烏森君。話を戻すが、その人は此方が思っていた事とは違う情報を話してくれたよ。――実の娘を監禁して、性的な事をしているってね」

 

「はぁ!?かなりヤベー奴じゃね〜か!!」

 

「なっ!雪が!?」

 

思わずカナと一緒になって叫んでしまったけど、そんな中でも椿は驚きながらも校長先生へ理由を尋ねる。

 

「そんな・・・何で、雪ちゃんが?」

 

「市長の真の狙いは・・・君だよ、槻本君」

 

「えっ・・・」

 

そして校長先生は閉じた扇子を椿へ向けて話しを続ける。

 

「秘書さんが全部喋ってくれたよ。大金を目の前にしたら、その硬い口に油でも差したかのようにベラベラとね。市長の異常な性癖とか、何もかもさ」

 

「椿を狙うって事は、また亰嗟か滅幻宗の連中絡み・・・あれ?でも市長の異常な性癖とか言ってたし、それが何か関係してるんですか?」

 

「ははは、勘が鋭いね烏森君。市長は――"人外萌え"らしいんだ」

 

「「・・・」」

 

あ、えーと・・・うん。

その言葉だけで大体、私達には雪の身に何が起きてるのか予想がついてしまったわ。

 

多分、雪は変態な父親から椿を守る為に自分を身を犠牲にしてまで行動してたんだろう。そうして私や他の皆には何にも知らせないまま、自分1人で解決しようとしていたのかもしれない。

 

だけど相手が強い権力を持つ市長だから恐らくは失敗して、逆に椿を釣る為のエサにされてしまったと・・・なんだ、あれだけクールそうな性格してる割には案外、私と似たもの同士だったんだな。

 

「雪のバカ・・・」

 

「本当ですよ、カナちゃん。でも――」

 

「あぁ、全くだよ椿!とんだ友達想いだよ、アイツはさ!」

 

すると校長先生が『友情』と書かれた扇子を開きながら立ち上がって、私達へ挑戦するような眼差しを向けてくる。

 

「さぁ、どうするんだい?もしも助け出すなら私にも作戦はあるけど、失敗すれば君達の社会的立場は危うくなるよ?」

 

そして校長先生の後ろには、いつの間にやら色々な作戦が書かれたホワイトボードが移動して来ていた。

 

答えなんて、今更聞かれるまでもない話だ。

 

私は椿とカナに目配せをしてから3人で頷き、校長先生へと真正面に向き合った。

 

「そんなの決まってますよ、校長先生。私達は――」

 

「1人で突っ走ってバカやった雪を――」

 

「そんな全力で"想ってくれた"、僕達の友達を――」

 

「「「助けに行く!!」」」

 

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