私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陸話 なんか色々エラい事になってしまった・・・!

 

――それから少しして

 

「くそ!私は嵌められたんだ!誰かが私を陥れる為に、化け物を使ってこんな事を!」

 

警官達に連行されてパトカーへ押し入れられそうになってるのに、まだ雪のクソ親父は往生際が悪そうな事を叫んでいる。

 

まぁ、来ている警官達は全員妖怪絡みの事件を担当する零課の人なので無意味なんだけどね。妖怪とかの情報は隠されて、結果的には市長が自分の娘を監禁したとかの罪で逮捕されるだけだ。

多分、こうなってしまったら流石の亰嗟も助け舟は出さないだろう。コイツから亰嗟の情報も得られれば良いんだけど、あんな変態で頭悪い所を見せられたら期待は薄そうかな。

 

兎にも角にも、今は私と椿で杉野さんや犬吠崎さんに、今回の件について事の次第を説明している。すると、停まっている1台のパトカーの方から

着物を着た見覚えのある人がやって来た。

 

あの肌の白さに絹糸みたいな白い髪をした人は、雪の母親である氷雨さんで間違いない。

 

「なっ・・・お前」

 

「貴方、もう観念してください。貴方の正体を見抜けなかった私も悪いけれど、妖怪の仕業にして自分は悪くないと言う貴方には、もう誰も着いていきませんよ」

 

氷雨さんは、そう言って大量の書類を懐から取り出して杉野さん達へと手渡した。

そして、それを受け取った犬吠崎さんが不思議そうな声をあげる。

 

「これは・・・?」

 

「この人の今までに行ってきた悪事の全てです。手がかりを掴むのに時間がかかりましたが、どうか宜しくお願いします」

 

なるほど、最近は氷雨さんを家で見ないと思っていたけど、裏で私達と同じように雪を助けようとしてくれていたのか。

 

「なっ、待て!お前・・・何故!?」

 

「何故?私、言いましたよね?かつて私の正体を知った時、"妖怪達を利用しようとするのなら、それなりの覚悟をしてください"って」

 

はへ〜・・・なんというか、かなりの修羅場です。

 

まぁ、何にせよ私達がこうして悪事を押さえたタイミングで、氷雨さんも"旦那の悪事を纏めた書類"という動かぬ証拠も突きつける事が出来たという事なんだろうね。

 

それから、氷雨さんは別のパトカーで警察に保護されようとしている雪の所へと向かっていく。

ちなみに私と椿は、犬吠崎さん達から亰嗟に対する調査の結果など色々と話をされているので雪の所へは行けない状況だ。

 

「雪、ごめんなさい・・・気付いていたからこそ、何としても貴方をあの父親から引き離そうと・・・」

 

「ううん、母さんこそ・・・あんなのと一緒に居たら・・・」

 

後は、そんな感じで母娘同士水入らずといった様子になっていた。多分どっちも互いの事を思いやっていたからこそ、これまで想いがすれ違ってしまっていたのかもしれないね。

 

そうして、私達が微笑ましげに雪と氷雨さんを眺めていると――

 

『椿よ、大丈夫か!?2人共あれ以上、変な事はされなかったか!?』

 

『綾や雪のような少女だけでなく、我が嫁にまで手を出すとは・・・あの男、よくも!!』

 

「だぁぁあ!やっぱり2人共そうなるんかい!ちょっとは落ち着けっての〜!!」

 

「綾ちゃんの言う通りです。だから待ってください、白狐さんも黒狐さんも。僕達は大丈夫ですから」

 

『だが!椿の胸をこうやって――!』

 

すると怒りで興奮したまま黒狐さんは、ウッカリ勢いで椿の胸を触ってしまったのであった!

 

「あっ・・・」

 

「おう、そこまでにしておこうな黒狐さん」

 

『す、すまん椿!つい興奮して・・・って、ん?』

 

「・・・」

 

えっ、ちょっと待って何か椿がキョトンとしちゃってるんだけど。普段なら悲鳴上げたり怒ったりしててもおかしくないハズ・・・

 

『椿よ、黒狐だけでは不公平だからな。我も・・・』

 

「いや、しれっと白狐さんも触るんじゃねぇやい。おーい、ちょっと〜椿〜大丈夫か?」

 

白狐さんにまで胸を触られたのに、それでも椿は何か考えているような顔で嫌そうな反応をしない。ちょ、ちょっと本当に大丈夫かな?

 

『黒狐よ。ここまで椿が無反応という事は、やはりまだ何か盛られている可能性があるな』

 

『そうだな、白狐。それなら今すぐに吸い出してやらねば!』

 

「わぁぁぁ!ま、待って待って白狐さん黒狐さん!僕戻った、戻りましたから!」

 

「本気でタンマ!タンマタンマだ2人共!なんで揃って椿にチューしようとすんのかなぁ!?」

 

『『悪い物を吸い出す為に決まっているだろう!』』

 

「落ち着けやゴラァ!鉄拳制裁!!」

 

『『ぎゃふん!』』

 

最早恒例行事みたく椿を狐2人の寵愛(意味深)から守っていると、新聞社やテレビ局へ情報を送っていたカナも私達の所へ合流して来るのが見えた。

そして、彼女は少し息を切らしながらも雪を抱きしめる。

 

「バカ雪!なんで一言も相談しなかったのよ!」

 

「馬鹿、は余計。相手は市長、下手に動いたら被害が広がるかもしれなかったの。だから・・・」

 

「だから何?あのね、私達はまだ子供なのよ!たった1人で、大人に敵う訳がないでしょう?」

 

「でも、椿と綾は・・・」

 

「あのね・・・椿ちゃんは60年も生きている妖狐だし、綾ちゃんも中学1年の時に暴力団壊滅させた事がある人なんだよ。なんで比べてるの?」

 

「うっ・・・そ、れは・・・」

 

うっわ〜懐かしい話ですわそれ。

カナの言う通り、確かに私は去年辺りに暴力団1つをボッコボコにした事があった気がするけど・・・きっかけは単に、道端で年寄りの人とぶつかったクセして、謝らずにキツく当たってた連中をボコした所だったと思うわ。

 

というか、カナと雪の話を聞いていると妙な親近感が湧いてきた。

 

「椿と綾と・・・一緒に、ずっと一緒にいたい。その為に強く、一緒に戦えるようになりたい」

 

そんなカナへ、雪は顔を赤くしながらハッキリと自分の"想い"を口にした。

 

多分、他の人には聞こえないように小声で話してたつもりなんだろうけどさ・・・あまりに緊張してるせいで、割と私や椿には丸聞こえだぞ。

 

「全く・・・そんなの、私だって同じだよ。でもね、最近気付いたの。椿ちゃんは妖狐、私達は半妖とはいえ人間に近いよね?それに綾ちゃんは妖気を操れるだけで、実際は多分普通の人間と変わらない。だったら、寿命は誰が最も長いのかな?」

 

「あっ・・・」

 

「雪。ずっと一緒は無理でも椿ちゃん達と過ごす時間だけは、いつも最高なものにしようよ。その為に、相談出来る事は何でも相談して。雪も居ないと、椿ちゃんや綾ちゃんと最高の時間が作れないでしょ?」

 

そっか・・・皆の中だと、私は1番寿命が短いんだもんね。でも椿の事だけじゃなく、こんな私の事まで気遣ってもらえていたのは何だか気恥しいというか、嬉しかったというか・・・心にジーンと来てしまいそうだ。

 

『おい、椿よ。どうした?』

 

『今度は綾も一緒に反応が・・・って、2人共泣いてる!?す、すまん!や、やはりやり過ぎたか?』

 

『全く・・・黒狐はいつもそうよ。やり過ぎてしまう』

 

『だったら止めろ!』

 

『嫌じゃ、嫌われとけ』

 

『貴様・・・!』

 

「って、ごめんごめん!私も椿も、ちょっと感傷に浸っちゃってたというかなんというか・・・とにかく喧嘩しないで〜!」

 

また狐2人が喧嘩しそうになっていたのを私が止めようとすると、そこへ椿が2人に近づいて行き――

 

「んっ、んっ・・・はい、これで喧嘩しないでね。それとこれでも僕は正気だよ、白狐さん黒狐さん。綾ちゃんも・・・んっ。一緒に雪ちゃんを助けてくれてありがとう」

 

「へっ・・・へぇ?」

 

なんか色々エラい事になってしまった・・・!

 

なんと椿は狐2人の頬へキスをしたかと思うと、そのまま続けて私の頬にもキスをしてきたのだった。それから犬吠崎さん達との話も終わって、椿は先を歩いて私や狐2人に振り返って笑顔を向けてくる。

これには流石の私も、隣で固まってしまっている狐2人と同じように驚いて立ち尽くしてしまったよ。

 

「雪ちゃん、カナちゃん!また明日、学校でね!」

 

そうして帰り道を行こうとする椿へ、雪とカナは困惑した様子を見せてくる。

 

「えっ、待って椿ちゃん!もうちょっと・・・」

 

「そう・・・です。まだ私、お礼を」

 

「それは、明日また学校でね。さっきのカナちゃん達の会話で、僕は色々胸がいっぱいになっちゃって」

 

「「聞いてたの!?」」

 

「・・・割とガッツリ聞こえてたけどね」

 

その言葉で雪もカナも顔を真っ赤にさせてしまうが、すぐさま凄い表情で私達の所へダッシュしてきた!

 

「えっ、ちょっと?どうしたんですか!?」

 

「ふ、2人共なんか顔が怖いんですけどぉ!?」

 

「私達にだけ言わせるなんてズルいよ!椿ちゃんも綾ちゃんも!」

 

「だから、ちゃんと2人も言って。私達の事、どう思っているか」

 

「なんでそんな流れになるんだよ!?」

 

そして今更だけど、雪は捕まってて体力落ちてるのにカナと同じくらいのスピードで走って来てたよな!?微妙にホラーだよ!!

 

「ちょっと、杉野さん!犬吠崎さんとか零課の他の誰でも良いけれど、雪ちゃんはちゃんと保護しておいてあげてよ〜!」

 

「というか誰もかれも皆、なんでホッコリした感じで笑顔な訳ぇ〜!?」

 

もうやだ、この人達・・・絶対、私達がこうなる事を見抜いててカナ達の話を聞こえないフリしてたでしょ!

 

「椿ちゃんも綾ちゃんも、早く言いなさ〜い!」

 

「うひゃぁあ!か、カナちゃん!?好き、好きですよ!」

 

「のわぁぁあ!わ、私も2人はとても良い親友だと思ってるよ〜!」

 

すると、今度は雪が私達へと詰め寄ってくる。

 

「それ、以上は!?」

 

「雪ちゃん!?それ以上って何ですか!?」

 

「そうね、この際だからハッキリさせましょう・・・椿ちゃん、綾ちゃん。雪と私、どっちが良いの!?」

 

「何でカナも雪も、狐2人みたいな事を言い出すんじゃあ〜!!」

 

もう何がなんやら分かんなくて滅茶苦茶だよ!

狐2人はずっとフリーズした状態だし、他の皆は微笑ましそうに眺めてるだけだし!

 

こんなの美亜か里子にでも見られたら、絶対面白い話のタネに・・・あっ、ヤベェ居たわ。

 

「あらあら、何やってるのよ椿も綾も。2人共、面白いわね〜」

 

「だねぇ〜美亜ちゃん」

 

「妖怪は人間みたく男女じゃないと駄目、なんて事は無いんだけどね〜里子」

 

「そうだねぇ〜綾ちゃんも、妖怪の恋愛観に早く慣れてくれれば良いけどね〜」

 

そうなると思ってましたよチクショウ!

っていうか美亜と里子は、いつの間にか恋愛とかそんな話をするまで仲が良くなっていたのかよ!?

 

「椿ちゃ〜ん!」

 

「綾〜」

 

「だぁぁあ!もう勘弁してくれぇ〜!!」

 

この後も私達はカナと雪に詰め寄られ過ぎて、ヘトヘトに疲れてしまうのであったとさ・・・トホホ。

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