私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第玖話 わら子のライセンスランクにビックリだよ!

 

――翌朝

 

昨日は色々ヤバい事だらけで疲れてしまった私と椿は、流されるように夕飯を食べて風呂に入り〜ので布団に入ってスヤァ・・・と寝た。

 

ぶっちゃけると、私達かなり油断してましたわね。

 

なんと目を覚ましたら私と椿が同じ布団で寝てたばかりか、カナと雪まで一緒の布団で寝ていたのだ!

 

「え、えぇ〜?昨日は家に帰らなかったのかよ、コイツら・・・」

 

「な、なんで2人が・・・?」

 

私達が困惑していると、開いている扉の向こうから夏美さんが顔を覗かせて朝の挨拶をしてくる。

 

「あら椿、綾。2人共おはよう」

 

「あっ、おはようございます〜椿のお姉さん」

 

「夏美お姉ちゃん、どうしてカナちゃんと雪ちゃんの2人が此処に居るの?」

 

「アンタ達、ボ〜ッとしていたからね。その2人も、これからは此処に住む事になったのよ」

 

「は、はぁ・・・」

 

考えてみれば、確かに雪の母親の氷雨さんは此処に住み込みで働いている訳だし、クソ市長の関係者・・・つまり執事やら秘書やらも全員捕まってしまったので、誰も居なくなった家に雪が1人で住む理由も無い。

 

とはいえ、カナまで私達と同じ所に住む理由は――うん、大体予想はついてるけどさ。絶対、私や椿と一緒に居たいからだろうね。

 

「ほら2人共、遅刻する前に起きなさいよ〜」

 

そう夏美さんは言い残して、朝食を食べに下の階へと降りて行った。

 

とりあえず、私達も2人を起こして朝食を――と思っていたのだが、やっぱりというか前回同様に私はカナに、椿は雪に引っ付かれて動けない。

ちなみに狐2人はというと、姿が見えない所からして私達に気を遣って昨日は別な部屋で寝ていたようだ。

 

それにしても、多分カナも雪も起きているような昨日がするんだけど。

 

「カナ、雪・・・どうせ、2人共とっくに起きてんだろ」

 

「寝たフリは止めて、朝ご飯食べに行きますよ」

 

私と椿は力ずくで2人から抜け出して、そのまま足を引っ張ってカナと雪を布団から引きずり出した。

 

「いたたた!分かった、分かったよ〜!起きてるから綾ちゃん、私起きてますよ〜!」

 

「ぬぬぬ・・・最近の2人、スキンシップを上手く回避する」

 

「いや、そりゃ何回もされたら対策だってするわ!」

 

私が大きなため息をついていると、それでも引っ付こうとする雪を抑えながら椿がカナへ質問する。

 

「ところでさ、なんでカナちゃんまで此処で住む事に?」

 

「いや〜雪が住むなら私も住みたいな〜って思って。中学生の1人暮らしなんて、実際かなり寂しいんだよ?」

 

「あぁ・・・そういえば、そうだっけな」

 

どうやらカナもカナで、母親とはほとんど絶縁状態なようだ。とはいえ、流石にあんな出来事があったのだから仕方のない話かもしれないけど。

 

そんな事を考えていると、今度は扉の向こうに湯口先輩が現れた。

 

「おっ、椿に綾。ようやく起きたのか――って、なんだその状況は・・・」

 

「あっ湯口先輩、おはようございます。これはちょっと、2人が悪ふざけし過ぎたので・・・」

 

「おはよう、湯口先輩。それと2人にくっつかれて、私も椿も寝汗が酷いんで先にシャワー浴びてから行きますね」

 

「そうか、分かった。それにしても大変だな、椿も。こんな可愛い3人と一緒に居て、男としての精神が戻ったりしないのか?」

 

あ〜、そういえば椿は男の子として育ってきたんだったっけ。女の子で妖狐の姿が"本来の椿"だと言われてから、なんか自然に椿を同性として見ていたから半分忘れかかっていたよ。

 

でも、私は椿になら全然・・・って、何ちょっと変な事考えてるんだ私。

 

「先輩。確かに僕にはまだ"翼だった頃の記憶"があるし、男だったっていう"想い"は残っているよ。でも僕は僕だし、今の姿が嫌って訳じゃないからね。いつかは、この男だった時の"想い"も薄くなっていくと思うよ」

 

「椿・・・」

 

「そうか・・・まぁ、お前が後悔しないなら良いけどな。とりあえず、2人共遅刻はすんなよ」

 

そう言って先輩は手を振りながら部屋を後にしていった。鞄を持っていたから、先輩は多分今までのように学校へ通えているのだろうとは思うのだが・・・私はそれ以上に椿が"私の知っている椿"じゃなくなっていくのでは、という不安を感じてしまった。

 

「さっ、さっ!椿ちゃんも綾ちゃんも!早くシャワー浴びないと、学校に遅刻しちゃうよ!」

 

「椿、私が身体を洗ってあげる」

 

「あ〜!雪ずるい!昨日寝た時は雪が椿ちゃんと一緒に寝たんだから、シャワーは私がするの!」

 

「変な事で喧嘩すんなって2人共〜!!」

 

「あ、あはは・・・流石に僕、身体は自分で洗おうかな・・・」

 

とはいえ皆いつも通りだから、そんな細かい事で落ち込んでる暇すら与えてくれないんですけどね!

は、謀ったなカナも雪も!それで私と椿で別々に引っ付いてたのかよ!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――シャワーを浴び終えて

 

私達は制服に着替えて、カナと雪の猛烈なスキンシップを回避しながら朝食を食べに廊下を早歩きで進む。

 

そして、大広間の襖を開けた瞬間――

 

「お願い翁!行かせてください!」

 

「いかん!流石にそれだけは駄目じゃ!!」

 

わら子の大声に続いて椿の祖父の怒号が飛んできて、私はその勢いに圧倒されて棒立ちしてしまう。椿に至ってはビックリし過ぎたのか、咄嗟に私達の後ろへ隠れてしまった。

 

すると、そこへ更に4つ子の龍花も加わってくる。

 

「お願いします翁、座敷様は私達が守ります。だから、是非とも!」

 

「いくら龍花達4人が着いて行くとはいえ、今回は危険過ぎる!」

 

お、おぅおぅ・・・これは一体全体どういう事なんだ?

 

まさか、わら子が椿の祖父と大声で言い合いをする程なんて、椿の祖父が大切に残していた和菓子でも食べてしまったんだろうか?

 

うん、多分きっと絶対そんな訳は無いですよね。

 

『むっ?おぉ椿に綾よ、ようやく来たか』

 

『翁、2人が怖がっている。少し声を抑えてくれ』

 

「ぬぅ?なんじゃ、椿も綾も。お前さん達は、まだ儂の怒号に慣れんのか」

 

「い、いきなりの事だったんでビックリしただけですよ・・・」

 

この人の前じゃ、流石に誰よりも怒った時の雰囲気が1番怖いって言えません。というか、多分考えてもいけない気がするくらいに怖いです。

 

そんな事を考えていると――

 

「えっ?椿ちゃん?」

 

「あっ・・・そんな」

 

「ありゃ、白狐さんの方へ行っちゃったか」

 

いつの間にやら、椿はソソクサ〜と食卓に着いていた白狐さんの後ろへと隠れていたのだ。なんというか、付き合いは私の方が長いだけにちょっと悔しい。

 

『つ、椿よ。なんだか、2ヶ月前を思い出すのだが?』

 

「む〜・・・そういや、もうそんなに経ってたっけか」

 

「ごめん、綾ちゃん。なんか白狐さんの後ろの方が落ち着くんだよ。だから、そこまでむつけた顔しないで〜」

 

「はぁ、仕方ないなぁ。白狐さん、今回は私の負けですよ〜」

 

『やけに引くのが潔いな、綾・・・って、サラッと俺は省かれている気がするんだが!?』

 

あ、やっべ黒狐さんも忘れてたわハハハ。

 

そして、椿をめぐって狐2人と変な漫才っぽい事をやっている内も、わら子と椿の祖父は話を続けている。

 

「翁、お願いします。これは私がどうしてもやらなくちゃいけない事で、あの時に私が中途半端に終わらせたから・・・だから今になって、そんな事になったんです」

 

「しかし、じゃな・・・」

 

それにしても、わら子は何故あんな必死な様子で椿の祖父へ強情を張っているんだろうか?

普段なら、椿の祖父に怒鳴られただけで怯えて隠れてしまうというのに・・・今は絶対に引かないといった強い眼差しをしている。

 

そんな彼女の後ろでは、守護をしている4つ子も強い決意の表情を浮かべていた。

 

「「「「お願いします、翁。座敷様は、命に代えてでも我々が守ります!」」」」

 

相変わらずというか、流石は4つ子だけあって息がピッタリだ。とはいえ、椿の祖父が止めるような事なのに、まさか4つ子がわら子の側に付いているのは不思議な話だ。

 

すると、ふと私達は椿の祖父の手元に置かれている紙を見つけた。それが今回の事に関係しているんじゃないかと遠目で見ようとしてみるが、私達より早く美亜は内容を確認していた。

 

「ふ〜ん、依頼書のようね。Sランクなんて文字が見えたけれど、座敷わらしのあの子には無理でしょうね」

 

『そこは問題無かろう。座敷わらしはSランクの任務を受けられる、我らより上の一級ライセンスを持っておるからな』

 

「へぇ〜、そうなのか・・・って、えぇぇええ!?」

 

「んぐっ!?ぐっ・・・!はぁ、はぁ・・・嘘でしょ、わら子ちゃんが!?」

 

しれっと白狐さんから衝撃発言が出たんですけど!?当然というか私も椿も、わら子のライセンスランクにビックリだよ!!

 

っていうか、椿は朝ごはん食べてる途中だったから危うく大惨事になりかけたし。妖怪食だと不用意にビックリした時とか、口の中で暴れたりするから大変なのだ。

 

「そ、それよりも!わら子がSランクを受けられるっていうなら、なんで椿の爺さんは止めたりするんだ?」

 

「はぁ・・・そんな事は単純じゃ、綾。分かっとるのか、わらしよ?以前、お主でも相手にならんかった程の強敵なんじゃぞ。わらし、お前さんが引き篭るようになったのも、その時の恐怖からじゃろうが」

 

「そっか、そういえば昔わら子ちゃんは"人柱となった人が妖怪"になった、橋鬼(びょうき)に連れ去られた事があったんだ。それで、その時に受けた依頼が達成されずにそのまま・・・という訳ですか」

 

なるほど、椿のお陰で凄く納得出来ました。

うーむ、そりゃあ放っておく事は出来ないよな。だけど、まさかSランクのライセンスを持っているわら子でも敵わない相手だったなんてね。

 

「お願いします、今度は・・・今度こそは」

 

「確かに、わらしの力でしかアレは鎮められんだろう。しかしじゃ!1度失敗して命の危険に遭った者を、またノコノコと送り出せる訳が無かろう!他にも、お前さん程では無いにしろ実力のある座敷わらしはおる。任せるとまでは言わんが、そいつらが何とかしてくれよう」

 

参ったな・・・私としては、わら子が自分で何とかしたいと言ってるんだし、彼女の意思を尊重してあげて欲しい所だけど・・・でも敵が強いって言ってたしなぁ、どうすりゃ良いんだ?

 

すると、龍花は何故か私達へ視線を送りながら反論するように一言。

 

「それならば翁、私達以外にも応援を付ければ宜しいのではないでしょうか?」

 

「むぅ・・・椿に綾か。いや、白狐と黒狐も付くというのなら・・・」

 

「・・・」

 

「・・・マジか」

 

ですよね、やっぱり。

 

なんか毎度毎度、ヤバい任務に巻き込まれているような気がしてならないよ。これ、そろそろ何処かの神社とかでお祓いしてもらった方が・・・あ、そういやオジサンが居たわ。一応あの人も神社で働いてる訳なんだし。

 

そして椿も、不安げな眼差しで私や狐2人を見つめてくるが――

 

「ごめん椿ちゃん、綾ちゃん!お願い!」

 

「・・・うん、仕方ないですね。わら子ちゃんは僕の、大切な大切な最初の友達だからね。困った時は、お互い様だよ」

 

「椿がそう言うなら、私だって一肌脱ぐしかないよね!どれだけ強いんだか知らないけど、わら子も椿も安心してドッシリ構えとけ!」

 

椿の大切な友達は私にとっても大切な人だ!

それに、幼い姿のわら子から上目遣いで頼まれたら何だって断れやしないもん。

 

えっ、美弥子の時も似た感じだった?さ、さぁ何の事だか・・・私はロリコンじゃないですも〜ん!

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