私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾玖話 あ〜ん!罰ゲームの事スッカリ忘れてた〜!!

 

あれから、レイちゃんに呼び出された職人達の亡霊も無事に橋を完成させて、廃村の人達と共に成仏していった。そして、廃村自体や完成した橋も亡霊達の"想い"から生まれた存在だった為か、彼らが成仏した後には、蛍のように大量の光の粒となって消えてしまったのだ。

 

なんというか、少しの間だけ穏やかな夢を見ていたような気分で、その光景を皆としばらく眺めていた。

 

そして今は、此処へ来た時と同じように空を飛んで帰っている途中だ。

 

「は〜、お腹空いた・・・」

 

「そうだね、綾ちゃん。もうクタクタでペコペコですよ・・・」

 

「椿ちゃんも綾ちゃんも、お疲れ様。帰ったら里子ちゃんが沢山お夕飯を用意してくれていると思うから、楽しみだね〜」

 

「わぁお、それはありがたいね〜」

 

「僕も楽しみだな〜」

 

疲れきった私と椿はレイちゃんの背中に寝そべった状態で、後ろを飛ぶ雲操童に乗るわら子と話す。里子の作ってくれる美味しい夕飯の事を考えると、もう少しだけ休まずに頑張ろうって気持ちが湧いてくるから不思議なものだ。

 

すると今度は、後ろの雲操童から龍花さんが話しかけてくる。

 

「あっ、そういえば椿様に綾様。今の内に、座敷様と私達の事で少し・・・」

 

「何ですか?もしかして、わら子ちゃんとの事?」

 

「えぇ、椿様は私達に"座敷様の事が好き"だと仰いましたが、正しく言うならば少し違うのです」

 

「んあ?それって龍花さん、どういう事?」

 

「はい、綾様。"好き"というよりかは、私達を育ててくれた者への"恩返し"や"使命"、そんな"想い"の方が強いですね」

 

「えっと、"恩返し"ですか?」

 

その龍花さんの答えになっているのかなっていないのかアヤフヤな言葉に、私も椿も良く分からなくて思わず首を傾げてしまう。

 

う〜ん?椿の祖父の話じゃ確か4つ子の人達って、京都の四神に育てられたって言ってたよな?

なのに、わら子を守る事を"恩返し"になるって言ってるのは色々矛盾してて、何で4人がそう思ってるのか理解出来ないんだけど・・・だって第三者から見たら、わら子と4つ子は上司と部下みたいな関係じゃないの?

 

すると、そんな私の考えを読んだのか、龍花さんは私達に分かりやすく理由を説明してくれた。

 

「実は、この座敷様は――京都の四神が生み出した"特別な座敷わらし"なのです」

 

「なるほど〜そりゃ・・・って、ホワァァァァッツ!?」

 

「えっ!わら子ちゃんって、そんな凄い生まれだったんですか!?」

 

ちょい待てい!そんな重大情報は初めて知ったわ!!

 

わら子本人が自分の事については、椿との過去――というか遊んだ事についてしか話さなかったし、誰も何も言わなかったから「座敷わらしだからって、そこまで有名って訳じゃないのかも」と特に気にしてはいなかったんだけど・・・まさか意外な所で4人との繋がりが出てくるとは思わなかったよ。

 

「・・・私は別に、何も特別じゃないのに」

 

その龍花さんの言葉を聞いて、わら子は何処か浮かない様子を見せていた。この反応から見るに、どうやら彼女は自身の出生を良いとは思っていないのかもしれないね。

 

でも私からしたら、そんな生まれがどうとかって話は全然重要な事じゃないと思うんだけどさ。

 

なので、とりあえずちょ〜っとイタズラのつもりで4人にカマをかけてみる。

 

「ふ〜ん。そんな風にわら子の事を見てるって言うならさ、わら子には大した感情を持ってないって事なんじゃないの?」

 

「いや、そういう事では・・・」

 

「嫌いなんだ?」

 

「いえ・・・それは、絶対に違います」

 

「じゃあ、それは"好き"って事なんじゃない?私だったら、そういうのは好きか嫌いかの二択しか無いと思うし」

 

そう私が追求すると、4人は驚いた顔をして互いに顔を見合わせて納得したような表情を浮かべた。

 

「あぁ、これが――"好き"という事なんですか」

 

「えっ?ちょっと・・・龍花さん、虎羽さん?それに朱雀さんと玄葉さん・・・ち、近いですよ――ふぎゅっ!?」

 

それから、わら子は"好き"って事を理解した4人に抱きつかれて顔を真っ赤にしていたよ。そんな4人の行動からすれば、わら子はやっぱり4人に愛されているんだね〜。

 

「つ、椿ちゃんに綾ちゃん・・・助けてぇ〜」

 

「わら子ちゃんが愛されてるようで良かった〜」

 

「そうだね〜椿〜」

 

「ちょっと2人共!?」

 

なるほどなるほど〜美亜が私達の事を弄ってくる時の気持ちが何となく理解出来たような気がするよ。ワタフタしてる状況を見てるだけでも楽しいのと、本人の反応に対する面白さが半々になっててハマってしまいそうだね。

 

「うぎゅぅ・・・椿ちゃんが"昔の椿ちゃん"になってるし、綾ちゃんも何か変な感じだよ〜」

 

『よし、黒狐よ。椿を戻すか』

 

『おう、分かった』

 

「待て、お前達2人だけにやらせるか!」

 

すると、なんと狐2人に湯口先輩までもが我先にとレイちゃんへと乗っかって来てしまったのだ!いやいやいや、流石に私と椿含めて5人はレイちゃんでも重くて落ちちゃ――わなかったわ、スゲェ〜・・・平然と飛んでるよ。

 

「ムキュッ、ムキュゥ!」

 

「わぁ〜!待って待って!白狐さんも黒狐さんも抱きついてこないでぇ!レイちゃんも、そんなに頑張らなくて良いからぁ!」

 

「ふふ、椿ちゃんも愛されてるねぇ〜」

 

「ちょ!さっきは悪かったって、わら子・・・あわわわ、落ちる落ちる!このままだと私が3人に押されて落ちる〜!!」

 

とりあえず、この後は皆いつも通りなテンションで無事に帰宅出来たのであったとさ。私は終始レイちゃんから落ちそうになってたから大変だったけど。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

家に帰って来た私と椿を待っていたのは、3人に続く更なる"刺客達"であった。

 

「「た、だいま〜・・・」」

 

「あっ、おかえり〜椿ちゃん、綾ちゃん!良かった〜ちゃんと依頼、達成出来たんだね」

 

「カナちゃん、お迎えありがとう。でも依頼の方は・・・んっと、微妙な所です」

 

「なんというか、ちょっとヤバかった感じかな〜たはは・・・」

 

なんせ今回の依頼、結果だけ見れば依頼した人物が殺されてしまっているので、完全に大成功という訳ではないのだ。

 

とりあえず、そんな重い事実を勘づかれないよう私と椿は普段通りに振る舞いつつ、過ごしやすい格好に着替えようと自室へ向かお――うとすると雪と美亜、それから里子と美弥子に前後を取り囲まれてしまった。

 

あ、やっべぇ凄い嫌な予感する。

 

「椿と綾、忘れてない?」

 

「ナ、ナンノコトカナーユキチャン?」

 

「ぼ、僕達、何か忘れてましたか?」

 

「う〜ん、2人共怪しいわね〜・・・里子、美弥子、少し椿と綾を押さえてて」

 

「は〜い!椿ちゃん、ちょっと動かないでね〜」

 

「し、失礼しますね、綾さん!」

 

あ〜ん!罰ゲームの事スッカリ忘れてた〜!!しかも、よりにもよって雪と美亜に勘づかれたし!

 

椿には美亜と雪が、私には美弥子とカナがジリジリと迫って来てるけど、まだ何とか説得出来そうか!?

 

「あーもう、ちゃんと覚えてるって!怪我だろ、怪我!1つやらかしたら1回弄られるって言ってたアレ!」

 

「そうそう、怪我の事だよね?それなら僕達はちゃんと分かっています。大丈夫、僕も綾ちゃんも怪我1つしていませんよ」

 

「怪しい」

 

「なんか綾さん、やけに慌ててるように見えます・・・」

 

うぐ、雪と美弥子が鋭い。

ま、まぁ私も椿も両手を広げてバタバタとさせてまで"怪我してませんよアピール"なんてしてたら、まず怪しまれるよね〜・・・ヤバい、どんどん墓穴掘ってるかも。

 

「まぁまぁ皆、落ち着こうよ。とりあえずは2人共お疲れ様って事で、優しく労わなきゃいけないでしょ?こうやって頭をナデナデでもして・・・って、あれ?どうして椿ちゃんも綾ちゃんも避けるの!?」

 

「えっ、あ・・・これは、その?」

 

あかん!頭にタンコブあるからって、つい反射的に避けてしまったぞ!

 

こ、これはどう言い訳したら・・・な〜んて思っていたら、そこで椿がフォローを入れてくれた。

 

「あっ、あのね、カナちゃん。幾ら何でも、頭ナデナデはもう・・・僕も綾ちゃんも子供じゃないんだしさ?」

 

「お、おうとも!つ、つつ・・・椿の言う通りだよ、流石に恥ずかしいって」

 

「それにしては2人共、物凄いスピードで避けたよね?」

 

はい、駄目みたいですねコレ・・・というか、ニコニコしてるカナが普段以上に怖く感じるんですけど。しかも、本気で怒ってる時の椿の笑顔とは別な意味で怖いぞ。

 

「ん?あっだだだだ!!」

 

「ひぅ!!ゆ、雪ちゃん?」

 

すると、背後から突然誰かにピンポイントでタンコブを触られたので、ウッカリ私達は声を上げてしまった。振り返ってみると私の方には美亜が、椿の方には雪が後ろに立っていたのだ。

 

「あっ・・・いや、これは〜・・・ですね?」

 

「えっと、その〜・・・はい、すいませんでした」

 

私達はすぐに何とか取り繕おうとしたけど、皆のニンマリとした笑顔のオーラに圧倒されて何も言う事が出来ませんでした。

 

「椿はコブ1つに擦り傷2つ。頭は大きいコブと小さいコブ、そして擦り傷が5つ・・・フフ」

 

「えっ、雪ちゃんが笑って・・・というより、擦り傷って何処に・・・あっ」

 

「うわ、谷から落とされた時とかか。よくよく考えたら、黒狐さんが私も助けてくれてたら無かった傷もあったような感じじゃん」

 

おのれ黒狐さん、妖気で防御力を上げていなかったらあわや大惨事だったぞ。まぁ今更怒っても、「後悔"後"に立たず」で何にもならないと思うんだけどね。

 

「綾ちゃん、多分その後悔のことわざ間違えてるよ・・・"後悔先に立たず"だと思うし」

 

「こんな時でも頭の中を予想しないでよ、椿・・・」

 

「はいはい、椿ちゃんも綾ちゃんも先ずは消毒消毒〜♪」

 

そして、里子がいつの間にか持って来ていた救急箱で、上機嫌ながらもテキパキと私達の手当てをしていってくれた。

 

「ありがとう、里子ちゃん。皆、遅くなってごめんね」

 

「そうそう、もう晩御飯の時間だもんな。それなら先に食べちゃおっか!」

 

でも、皆から弄られる口実が取られてしまったとはいえ、これから晩御飯な訳だし何とか誤魔化せそうかな?

 

そんな事を考えて私は椿と一緒に口裏を合わせようとするけど――

 

「あででで!ポ、ポニテを引っ張んなよカナ!」

 

「キャウン!雪ちゃんも、尻尾引っ張らないで〜!」

 

「椿も綾も、誤魔化さない。怪我1つにつき、1回弄るから」

 

「あ、あの雪ちゃん・・・?僕の思っている怪我は、打ち身で目立つ痣が出来たり、痛々しい程に血が出ている事を言うんだけど・・・ダメ?」

 

「ダメ、椿。2人共、言い訳無用だから」

 

「「そ、そうですか・・・」」

 

「観念しなさい、2人共。とにかく、1人3回弄られる事ね」

 

「待てや!?何か多くないか――って、そういや"1つの怪我で1回"って言ってただけだから、皆1人につきって話かよ!ちくしょ〜やられた!!」

 

あぅん、酷い!これ詐欺に近いレベルで騙してるよ!!

 

「待って待って!僕、お腹空いたから先に晩御飯を――」

 

「あら、良いわよ椿。それでも、皆で食べさせるけれどね〜」

 

「お〜良いね美亜ちゃん、それ!私、普段強気な綾ちゃんにアーンしてあげたいな〜」

 

「うん、名案。それなら私は椿にアーンする」

 

「ぎゃああ!何て事言ってくれやがんだ美亜〜!?」

 

お陰でカナも雪もハイテンションでノリノリになっちゃったじゃんかよ!

なんとなく予想はしてたけど、まさか2人がここまで、私達に友達以上な愛情を向けてくるとは思ってなかったし!

 

『まぁ・・・諦めろ、椿も綾も。我も含め、全員から可愛がられるが良い。よく自身を蔑ろにする、お主ら2人には丁度良い罰じゃ』

 

そして、あの白狐さんですら少し引いてるよ。

それにしても自分自身を蔑ろにした罰、か・・・まぁ、なんというか流れからして逃げられる状況じゃないだろうし、ここは大人しく受け入れるしかないかもね。

 

それでも、椿に対する狐2人からの寵愛は可能な限り防がせてもらうけども!R-18な展開なんて許さん!せめてR-15で我慢しろっての!

 

「はぁ・・・あんなに嬉しそうなわら子ちゃん、初めてだよ」

 

「心做しか、帰りに4人を焚き付けた仕返しにも見えるけどね・・・」

 

こういうのって"因果応報"と言うんだったっけか?私自身が理解出来るように言うならアレだね、自分がされて嫌な事は他人にやっちゃいけないってやつ。

 

うん、身をもって反省します。

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