私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾話 カナとの模擬戦、そして――

 

あの山で起こった事態の結果は、滅幻宗による策略と、山獅子が自身を強化する為に村人達の亡霊を利用した事が原因の事件だという事になった。

 

センターの調査によると、山神様は山獅子に、本物の橋鬼は滅幻宗によって殺されたのだとか。

 

山獅子が私達への依頼とか色々な事を知っていたのも、山神様の脳を食べた事で知識や情報を取り込んだかららしい。そして、更に私達の妖気を取り込むべく廃村の亡霊を山伏の力で呼び出して襲わせようとしていたのが、センターで結論付けられた事件の全容だ。

 

ちなみに――滅幻宗が封印を解こうとしていたという、お堂の内部にあった何かの扉は既に解放されてしまっていた事から、どうやら山獅子のドタバタの最中に持ち去られてしまったらしい。

 

そのアレコレを聞いている中で、わら子は何処か納得のいかない様子であったが、それでも今回の件が自身の以前の失敗によるものではないと判明して少し安心していたようだ。

 

・・・とはいえ、あれだけ訳が分からない程ゴタゴタした事件だったのに、それを見事に解決したという事で私達に振り込まれた報酬金はとんでもない額になっていた。多分パッと見でも6桁は超えてた気がする。

 

それからに関しては、そんな大きな事件を解決した私達への更なる褒美なのか、休暇の如くセンターから私や椿への依頼が来なくなって、いきなり暇になってしまっていた。いや、学校の勉強もしなくちゃだから暇って言うほど暇じゃないんだけどね。

 

なので、とりあえず今は学校の皆を守る為にパトロールとかしていて、狐2人も暇を潰す名目も兼ねて亰嗟の動きを探っているのであった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

閑話休題。

 

――それから数週間後

 

そんな暇な日常が続いていたある時、私と椿はカナに呼ばれて・・・というより引っ張られて屋上へやって来ていた。そして屋上に辿り着くと、そこには雪も一緒に居たのだ。

 

それにしても、呼ばれれば椿は勿論だけど別に私だって約束をすっぽかしたりはしないんだから、無理に引っ張っていく事は無かったと思う。

 

「うぅぅぅ・・・カナちゃん、早く尻尾を離してください。こ、これ以上は〜」

 

「ん〜もうちょっと〜」

 

「絶対わざと引っ張り続けてるよね!?というか、そう私の髪も引っ張らないで欲しいんだけど・・・」

 

「やっぱり椿ちゃんの尻尾も、綾ちゃんの束ねた髪も両方最高の触り心地だよ〜」

 

ふふ、話を聞いてくれません。

そろそろポニテの根っこ部分も引っ張られ過ぎて痛くなってきたんだけど。カナは滅茶苦茶触ってくるけど、髪は乙女の何とやらって言うよね普通。

 

「香苗、ズルい。私も椿と綾を触りたい」

 

「待てい、雪までノリノリで参加しようとするなし」

 

「それよりも、カナちゃん。何か用があって、僕と綾ちゃんを連れて来たんだよね?」

 

何とか尻尾をカナの手から引き抜いた椿は、そのまま本題について質問する。ちなみに私は自在には動かせない髪の毛という事もあって、依然としてカナにサワサワされまくっている状況だ。

 

すると、カナは少し残念そうな顔をしながらも、ハッと思い出したように答える。

 

「あっ、そうそう!私、校長先生に特訓を見てもらっているんだけどね。その成果を2人に見てもらおうと思ってたんだ〜!」

 

「へぇ〜、特訓か・・・」

 

そういえば、今カナは八坂校長先生から修行を受けていたんだったか。私からすると、校長先生は心の奥底に何かを隠していそうな上、なんというか少し怪しい雰囲気も感じるから不安なんだけど。とはいえ、カナは純粋に"私達の力になりたい"って想いで特訓しているし、校長先生の事だって信用しているみたいだから口を出しずらい。

 

そして、校長先生は半妖の人達へ親身になって接してくれている人でもあるから、簡単に怪しむってのも少し悪いかもな・・・とりあえず、今は様子見という事にしよう。椿も特に何にも言わないようだし。

 

「お〜い?椿ちゃ〜ん、綾ちゃ〜ん?2人共、聞いてる?」

 

「ひゃぅ!耳引っ張らないで!?」

 

「いででで!ご、ごめんってカナ!!だから、ポニテを引っ張らないでよ〜」

 

そんな私達の上の空っぷりに、カナは少しむくれて腕を組んでいた。

 

「もう・・・最近2人共、考え事してるの多くない?」

 

「うっ、ごめんなさい。ちょっと僕としては、色々とあり過ぎていっぱいいっぱいなんです」

 

「私も滅幻宗の事だったり、亰嗟の事だったり・・・そしてオジサンの隠してる事とか気になって仕方ないんだよね」

 

「そうか。しかし、そんな2人を助ける為に香苗という少女も頑張っているんだろう?綾も椿も、少しは自分の周りへ意識を向けるべきだ」

 

「そっか、そうだよねオジサン・・・はい?あれれのれ??」

 

「んっ・・・そうですね、分かりました――って、あれ?あ、綾ちゃんのオジサン!?」

 

なんで普通にカナや雪に馴染んでるように立っているの!?呼んだら出てきた〜みたいな感じでビックリしたわ!!

 

「いつの間に来てたのオジサン!?というか、どうやって此処に!?」

 

「いや、単に一反木綿に乗せてもらって上空から――」

 

「OKオジサン、大体分かった」

 

凄く聞いて自分がアホらしいって思ったわ。そりゃオジサンも妖怪の世界の人なんだから、割と無茶出来る所は無茶してるよね。

 

「まぁ、今回は俺の件もあって此処へやって来た訳だ。ひとまず綾、椿――香苗と組み手をしてくれないか?」

 

「「えっ?」」

 

「実は私の提案で"椿ちゃんと綾ちゃんが勝ったら、綾ちゃんのオジサンの秘密を教えてもらう"という条件で、そのついでで2人に特訓の成果も見てもらおうって事になったの。とりあえず椿ちゃんも綾ちゃんも、2人が得意な力で戦って大丈夫だよ!」

 

な、なんかカナが自信満々ってレベルじゃないくらいに張り切ってるな。でもオジサンの秘密まで賭けられているんだったら、一肌脱いでくれたカナの為にも相手してあげるべきだろう。そのカナの提案も、どうやらオジサンは了承してくれているようだし。

 

「おし!それなら――妖異変化、鴉鳩!」

 

「それじゃあ僕も、白狐さんの力でいくよ!」

 

「うん!2人共、全力で来〜い!」

 

私は儀礼衣装へと変身し、椿も白狐さんの力を解放させる。カナも昼ご飯は食べているから妖気は問題ないだろうけど、半妖だから余り強い力は・・・なんて思っていたら、驚くべきものを目の当たりにしたよ。

 

「よし、ゆっくりゆっくり・・・ふぅ!」

 

なんとカナは深呼吸したと同時に妖気を徐々に高めていって、身体に炎を纏わせ爪や歯も少し鋭く伸びていったのだ。

 

「えっ、待ってカナちゃん?何それ!?」

 

「お、女の子なのに凄くイケメンに見えたんだけど一瞬!」

 

特に歯は犬歯が伸びて八重歯みたくなっているので、なんというかヤンチャなカナのイメージが強くなって格好良くも見える。

 

「あっ、そうだ!もし私が勝ったら、椿ちゃんも綾ちゃんもキスさせてね〜!」

 

「えっ!?」

 

「はぁ!?」

 

そのカナの言葉にビックリする間もなく、カナは一瞬で私と椿の目の前へ飛んで来て、此方の腕を掴もうと手を伸ばしてくる。

ギリギリの所で避けられたので私も椿も掴まえられずに済んだけど、不意打ちとはいえ今のスピードは予想外過ぎたよ!

 

「むむ・・・やっぱりやるね、2人共。今のでこれだと、キスはそう簡単には頂けないかな〜」

 

「いや、流石に女の子同士でキスはちょっとオーバーラブだろ!」

 

「ツッコむ所はそこじゃないよ綾ちゃん!?それより、カナちゃんの方がビックリです。何なの、その姿は・・・?」

 

「えへへ、お父さんの"炎狼の力"を暴走しないで使えるようになったんだよ!この、新しい妖具のお陰でもあるけどね!」

 

するとカナは少し誇らしげに、付けるタイプの魔法・・・ゲフンゲフン、犬耳のカチューシャと犬の尻尾みたいなアクセサリーを見せてきた。戦闘前じゃ付けてなかったように見えるけど、いつの間にか装着してたみたいだ。

 

それにしても、ワン子なキャラは里子が居るから見慣れているっちゃ見慣れた感じがするな。それでも"従順ワン子枠"な里子と"お転婆ワン子枠"なカナで、それぞれ別々な可愛らしさがあると思うけどね。

 

「でも、別に驚く程じゃ・・・」

 

「そうだよね、そうだよね〜・・・犬耳といえば里子ちゃんが居るから、今更だよね」

 

「いやいや、椿。そこは大した問題じゃない。それにカナ、新たなワン子枠が増えたという新鮮さがミソだと私は思うよ!」

 

「いきなり変な事を口走らないでください、綾ちゃん!あっ、でも僕も綾ちゃん程じゃないけれど、八重歯が可愛い女の子って感じのカナちゃんも好きだよ?」

 

「本当に!?ありがと〜!!」

 

「うわっ、あぶな!?そう言いつつ私を捕まえようとすんじゃねぇ!!」

 

「別に良いじゃん、綾ちゃん!それに椿ちゃんも、私が好きならキスさせてよ〜!」

 

「ちょっ、駄目駄目!そんな事したら、白狐さんと黒狐さんが怒っちゃうよ!?」

 

待って椿、ちょっと論点が違う気がするんですけどそれは。

 

そしてカナも、どれだけ私や椿にキスしたいのか分からないけど、某ワ〇ワ〇パニックのワニみたくシュバシュバ手を伸ばしまくってくるから避けるのがキツい!しかも私達のツッコミを受けても、何故か嬉しそうな表情になってきているし!

 

「まぁまぁ、私は2人の愛人でも良いから〜」

 

「「良くない!」」

 

「愛人、その手があった・・・!」

 

「ちょぉい!?雪もカナの言葉で変な方向に覚醒しない!」

 

「カナちゃんも雪ちゃんも、なんか目が危ないから落ち着いて!?」

 

ヤダもうこの2人。それにカナのスケベ心満載な動きには、私だけでなく白狐さんの力を解放しているハズの椿も苦戦しているようだ。

 

「やっぱり、私はこっちの妖具の方が良いかな」

 

そんな事を考えていると、私達を捕まえようとする手の合間に自分の腕に付けていた小さな火車輪を大きく展開して、そこからリングバトンのように右手を持ち直して私達へ向けて投げてきた!

 

「捕獲は結構得意なんだよね〜それ、"捕縛輪"!」

 

「うわっ!よっ・・・と!甘いねカナちゃん。今の攻撃は凄いけれど、僕もそこそこ――うひゃあ!?」

 

「どわぁ!ほ、炎をロープみたくして輪っかを繋いでんのかよ!」

 

避けたと思っていた捕縛輪がまさかの急ターンで戻ってきてしまい、それによって隙が出来てしまった私達はアッサリと更にUターンしてきた捕縛輪で捕まえられてしまった。

 

輪から炎が出ていなくて火傷も何も無かったけど、カナの発想力に追いつけなかった私自身はまだまだ未熟だなと痛感する。もし敵との戦闘だったなら、あの油断は非常に危険だ。

 

「あ〜畜生、煮るなり焼くなり好きにしろ〜!」

 

「・・・」

 

「それじゃあ私の勝ちという事で、椿ちゃんと綾ちゃんの唇、いっただきま〜す!」

 

すると、カナがキスをしようとした瞬間に"捕まっていた椿"の身体は地面の影と一体になって消えてしまったのだ。

 

「えっ?嘘、いつの間に!?」

 

「香苗がいじけてる間」

 

「正解です、雪ちゃん。そして綾ちゃんも・・・よし、これで動けるよ」

 

「ごめんごめん!助かったよ椿!」

 

そう、これこそが椿の新しい影の妖術だったのだ。元はと言えば、ちょくちょく椿と自分の妖術について相談したり意見の交換をしたりしていた時に、私が影を変化させられるなら分身として使えるんじゃないかと提案した事だったんだけど・・・まさか、ここまで再現度が高い分身になっているとは思っていなかったよ。実際、カナのキスから助け出されるまで気付けなかったし。

 

「えっ?あれ?ど、どういう事なの?椿ちゃんが消えたと思ったら、別な所から現れるなんて」

 

「それじゃあ、カナちゃんにも種明かしするね。妖異顕現、影の傀儡人」

 

そして椿は再び妖術を発動して、立体化させた自身の影をソックリそのままの姿でカナや雪の前に作り出して見せた。

 

「うっそ〜!髪の色も、声も体型も、何もかも一緒〜!?」

 

「影だからって言えば納得出来るだろうけど・・・カナ、流石に細かく椿を見過ぎじゃないの?」

 

「でも悔しいのは悔しいの〜!でもやっぱり2人に妖術を使われたら、まだまだ敵わないかもね〜」

 

「いやいや、それでも私よりはカナの方が凄かったと思うよ・・・現に妖術を使う余裕すら出来なかったし」

 

「そうだね、綾ちゃん。きっとカナちゃんは強くなれますよ」

 

それから椿が隠れていた高所から降りて、影の妖術を解除して普段の姿へと戻る。私も、カナが元の姿へ戻った後に変身を解除して一息ついた。妖気の減りからして、私達もカナも今日はここら辺が限界みたいだ。

 

「3人共、良い戦いだったぞ。さて・・・カナとの約束通り、俺の秘密について話そうか」

 

そう言って、オジサンは満足そうに腕を組んでゆっくりと頷く。そういえば、元はと言えばオジサンの秘密を賭けての模擬戦だったんだっけ。でも、オジサンが私にまで隠している事は一体何なんだろう――って、滅幻宗の連中を知ってたりとか色々あったね、ウン。

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