私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾参話 骨になってたら口裂け女じゃないだろ!?

 

――その日の放課後

 

私と椿はカナと雪の4人・・・どころか、何故か何処から聞きつけて来た湯口先輩の5人で、校舎の南側を見回りしていた。校長先生の話によると、そこにどうやら変な妖怪が入り込んだのだとか。

 

「それにしても、私が扱える"神妖の力"も椿のと同じように、詳しい能力も何も分からないのはウッカリしていたね」

 

「うん、僕も少しビックリしちゃったよ。とりあえずは暴走しないようにしていきたい所だけど、綾ちゃんの"神妖の力"も僕のと同じく、無意識で発動してしまっている可能性があると対策は厳しそうかな・・・」

 

「な〜んか面倒臭いな。一応は厄介な事になっていないから、見回りから帰ったらオジサンや狐2人に聞いてみよっか」

 

「そうだね、綾ちゃん」

 

そんな会話をしながら、私と椿は自信満々で先行するカナと雪の後に続いて、1つ1つ教室を念入りに確認して回っていく。

 

「そういえば、学校に侵入した妖怪さんは何処に居るんだろう?カナちゃん、何か目撃情報とか聞いていないですか?」

 

「う〜ん・・・それがね、椿ちゃん。校長先生が言うには"廊下を歩いていると突然現れる"そうだよ」

 

「何だそりゃ、お化けか何かみたいじゃないか?それなら俺の方が適任だ、椿も綾も任せとけ」

 

「あ〜、うん。とても先輩が頼りになるのは分かるんだけどさ・・・」

 

カナ達2人に負けじと先輩も自信満々に胸を張っているけど、装着した人はどんな命令にも従わないといけない"隷属の首輪"を付けてるせいで色々台無しだよ!ついでに、カナ達からは未だ警戒されてるようで多少距離を離されているし。

 

すると、そんなカナ達を安心させる為に、椿は少し悪戯っぽい笑みを浮かべながら先輩の首輪に繋がっている紐を引っ張って見せた。

 

「大丈夫だよ、カナちゃんに雪ちゃん。先輩にはシッカリと"隷属の首輪"をさせていますからね」

 

「そうそう。例え後ろから何かしてこようとも、100回ほど回ってワン!とか命令すれば対処出来るよ」

 

「それはマジで止めろ綾!クソ・・・綾も椿も、ヤバい方向に目覚めたんじゃないだろうな?」

 

「そんな訳ないですよ〜」

 

「うんうん、念の為だって念の為〜」

 

それでも、カナ達は不安そうな顔を浮かべる。

 

「そ、その人は椿ちゃんと綾ちゃんが居るから大丈夫だと思うけど・・・やっぱり、ね?」

 

「仲間が何をしてくるか、分からないのが怖い」

 

「あ〜・・・そっちか。この前の件で向こうとは完全に敵対しちゃった訳だし、そろそろ本気で襲ってきてもおかしくないもんな」

 

「でもさ、綾ちゃん。最近は滅幻宗が大人しいというか、それとも何かを企んでいるからか、全然動きを見せないよね」

 

「綾ちゃんも椿ちゃんも呑気過ぎるんだってば〜・・・って、えっ?ちょっと、あれ何!?」

 

すると、突然カナは立ち止まって前方を指差してビックリした表情になっていた。それに続いて、雪も同じように目をパチクリさせて、その場で立ち止まっている。

 

まぁ今は滅幻宗よりも、校長先生から受けた頼み事の方が大事だし――

 

「ちょい待て、何か居る?」

 

「確かに何か居るよね、綾ちゃん・・・何ですか、あれ?」

 

廊下の先の階段手前に、な〜んか白くて細い人っぽいのが立っている?いや、良く見たらアレは――

 

「カナ、アレって人体模型のガイコツじゃない?」

 

「見た感じ、支えが無いから白骨化した死体みたく見えるけど・・・」

 

「待って待って、なんでそんな物が此処にあるの?」

 

「普通、理科室にあると思う」

 

「確かに、2人の言う通りだ。理科室なら北校舎にあるハズだから、こんな所に人体模型があるのは変だな・・・」

 

そうして皆で頭を傾げていると、突然ガイコツは私達の方をグルンッ!と振り向いてゆっくり歩いて近づいて来た。しかも、それだけで怖いにも関わらず、ガイコツは更に物凄い事を喋ってきたのだ!

 

「ねぇ、私の身体って・・・綺麗?」

 

「キェァァァア!?喋ったァァァア!!」

 

「変な悲鳴上げてる場合じゃないよ、綾ちゃん!口裂け女さんみたいな台詞だか何だか分からないけど、すぐに逃げなきゃ!」

 

そう椿が言ったのと同時くらいに、なんとガイコツは徐々に歩くスピードが上がっていって、遂には走って私達の方へ向かってくる!

 

「ねぇ・・・!私の身体、綺麗〜?」

 

ハイ、これには皆で回れ右して猛ダッシュのガン逃げですよ!

 

「うわぁぁぁあ!!」

 

「ガイコツの奇行種だァァァア!!というか、骨になってたら口裂け女じゃないだろ!?」

 

「訳が分かんないけど、言ってる事が口裂け女さんに近いから逆に怖い〜!」

 

「口裂け女・・・の、白骨死体なの?」

 

「いや、意味が分からねぇぞソレ!」

 

でも流石に、これには誰もがビビるだろうな〜・・・って。

 

「いや先輩!なんで妖怪退治が本職の人なのに逃げてんだよ!?」

 

「あっ、しまった!!というか綾も椿も逃げているだろ!」

 

「いやいやいや!あんなものが出てくるなんて聞いてないんですけど!?フィクションと実物じゃ怖さが違うんだって〜!!」

 

「あ〜もう!それと僕はその場の流れですよ!!」

 

うわぁ、なぁにこれぇ?

確かに捕まったらヤバいのは間違いなさそうだけど、もはや見回りの意味が無くなってきてる気がするぞ。

 

「待って、皆!」

 

「何、カナ!?すぐに逃げないとヤバいだろ!」

 

「それはそうだけど、綾ちゃん!口裂け女ってさ、足が速くなかったっけ!?」

 

「へっ?」

 

あっ、な〜んか物凄く嫌な予感がしてきた。

これ横とか見たら絶対アカン奴じゃ――

 

「ねぇ?私の身体、綺麗〜?」

 

「「隣に居たぁぁあ!!」」

 

すっごく速いぞオイ!?

アレか?骨になってるから絶大な軽量化に成功して・・・じゃなくて!

 

とにかく何とか上手い事を答えて、この場を切り抜けないと!確か口裂け女は褒めたら不味かったハズだよな。

 

「え、えっと〜綺麗、綺麗ですよ!骨が白くシッカリしていて、綺麗だと思います〜!」

 

「カナそれ褒めてる違う多分!」

 

「というかカナちゃん!口裂け女の話、知ってますか!?」

 

なんという事をしてくれたのでしょう。

 

カナが褒めるような返答をしてしまったせいで、そのガイコツはゆっくり変形していって、口元は大きく裂けて身体の骨も禍々しいような形状になってしまっているではありませんか!

 

「ふふ、これでもぉ〜!?」

 

「何この劇的ビフォーアフター!?」

 

「ほらぁ、カナちゃんのバカ〜!!」

 

「2人共ごめんなさい〜!そこまでは知らなかったんだも〜ん!!」

 

ま、まぁ確かに・・・口裂け女自体が古い都市伝説だから、最近はマイナー気味で知らない人が居ても普通だよな。そもそも私が口裂け女について知ってたのも、授業をサボって図書室で怖い話系の本を読み漁っていた頃に知った話だったし。

 

「クソ!おい椿に綾、コイツは手配書にある奴か!?ある奴なら滅するぞ!」

 

「ちょっと待ってよ先輩!今調べてますって〜の!!」

 

「それよりも滅したら駄目ですからね先輩!!」

 

椿が先輩を制止している間にも、私はスマホで口裂けガイコツ女(暫定)の妖気を調べ終えた。そして分かったのは――

 

「よし!手配書も何も来ない所を見ると、コイツは悪い妖怪じゃないかも!」

 

「何だって?それじゃあ綾、どうやって止めるんだ!?」

 

「あ、え〜っと・・・ごめん、誰か口裂け女の弱点って何か知らない?」

 

「う〜ん、止める方法・・・」

 

「ポマード、べっこう飴。これ、有名な話だと思う。知らない香苗は役立たず」

 

「ちょっと雪、止めてよ!というか、今そんなの誰も持ってないでしょうが!」

 

そうだそうだ、雪の言葉で思い出したわ!

 

確かに口裂け女を撃退するには、この2つのどっちかがあれば良いんだった。でもカナの言う通り、誰も持ってないみたいだし困ったな・・・。

 

「というか口裂け女自体が今だとマイナーになってて、知ってる人が少なくなってるのが大問題だと思うんだけど!これ一体どうすんだよ!?」

 

「そうだよね、綾ちゃん・・・って、ちょっと待って?今、何て言ったの?」

 

「えっ?口裂け女自体がマイナーって」

 

「その後だよ!」

 

「知ってる人が少なくなってるって話?」

 

「うん、それだよ!もしかして・・・皆が話を知らないから怖がらなくなって、その姿を忘れ去られそうになっているから、身体の肉が無くなったんじゃ?」

 

すると、その椿の言葉に口裂けガイコツ女は即座に反応する。そればかりか、過剰反応しているように地団駄を踏んで暴れ出したのだ!

 

「えぇ、そうよ・・・そうよ!!皆は私の事なんて話題になんかしやしない!それどころか私にソックリな奴らが現れて、皆を怖がらせているのはおかしいわよ!どっちも長髪で白い服着て、ゆっくり這いつくばっているだけで何処が怖いのよ〜!!」

 

「わぁぁあ!それ以上は言ったらダメぇ!!」

 

「その特徴だと完全にアウトになるからぁ!!」

 

ついでに片方にはニャーと鳴く息子さんも居ってだな・・・って、私がアウトを踏みそうになってどうすんだよ!早い所コイツを宥めないと、下手に暴れられたら校舎がボロボロに――

 

「あ、ガラス割られた」

 

「ノォォォォオ!!」

 

「椿ちゃん、綾ちゃん!何とか止め――」

 

「妖異顕現、影の操!」

 

「ひぇ!?な、何よこれ〜!」

 

うん、とりあえず大事になる前に何とかなったね。というよりも、椿が一瞬で抑えてくれたから校舎への被害も最小限で済んだ感じだ。

 

それでも、口裂けガイコツ女は身を捩らせて拘束から逃れようとするので、私はわざとらしく氷の妖術で作った花を壁に投げ付けて、その威力を見せて脅しに使う。

 

「はいはい、もう大人しくしてください口裂け女さん。あんまり暴れると、これで凍らせて動けないようにするよ?」

 

「うん、折角被害を抑えたのに何て事してくれるんですか?あ〜や〜ちゃ〜ん?」

 

「大変申し訳ございませんでした」

 

椿の言う通り、完全に今のは少しやり過ぎましたわ。でも、それを見て口裂けガイコツ女は抵抗の意思を失って暴れるのを止めてくれた。

 

「はぁ・・・しょうがないわ。それで、私をどうするの?センターにでも引き渡すのかしら?」

 

「いえ、貴方は手配されていないのでセンターに相談はするけれど、捕まったりとかはしないと思いますよ。割ったガラスの弁償はあるかもしれないけど・・・ね?綾ちゃ〜ん?」

 

「うぐ、椿の笑顔が怖い・・・」

 

時代の流れに翻弄された口裂けガイコツ女の癇癪を宥めようとしたらコレだよ。しかもガラス1枚と比べたら、私が氷漬けにした教室の扉の方が被害デカいかもしれないし・・・今回は私も反省しないとね。

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