私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

233 / 390
第弐拾肆話 口から砂糖吐きそうですわよ私

――その後

 

椿は自分の祖父へ電話してセンターに連絡を取ってもらおうとした。しかし、そこで椿の祖父から"その程度ならセンターに連れて行かなくても大丈夫だから、とりあえず家へ連れて来い"と言う、少し予想外な事になったので私達は口裂け女もとい"口裂けガイコツ女"を連れて家へと帰って来たのだった。

 

ちなみに当の本人はというと・・・

 

「へぇ、此処で怖がらせる為の特訓が出来るのね。ありがたいわ。何としてでも返り咲いてやる、アイツらなんかに負けるか!」

 

「わ〜お、凄いやる気なんですけど」

 

まだ修行出来るって決まった訳じゃないのに、この気合いの入りよう。よっぽど貞〇とか伽椰〇にジェラシー妬いてたんだなって見て分かるよ。

 

しかし、ガイコツである為に大きな口をニヤけさせていても、怖い物が苦手な椿ですら平然としてしまっている。

 

「う〜ん、でも・・・その白骨化した姿じゃ、インパクトが・・・」

 

「だよねぇ、椿・・・」

 

「何か言ったぁ!?」

 

「わぁ!怖い姿にならないでくださ〜い!」

 

「何にも!何にも言ってないですわぞ!!」

 

ヤダこの人、超地獄耳なんですけど。

ボソッと椿と呟いただけなのに聞き取れるとか、実はデビルイヤーの持ち主でしたとか言われても違和感無いぞ。

 

そんな事を考えていながら靴を脱いでいると、私達の後ろから狐2人が帰って来た。

 

『これ、玄関先で何を騒いどるんじゃ?』

 

『おぉ、椿と綾も今帰ったのか』

 

「あっ、白狐さんも黒狐さんも帰って来て・・・ムグ!」

 

「早速おかえりのハグするなし。あと私にも椿をハグさせてよ〜」

 

ついでに言うなら、カナも雪も居る前で椿の後ろからハグするとか、2人共に相当恋愛系のメンタルが強いと見た。

 

「ハァ・・・見せつけてくれちゃって。私も、こんな姿じゃなければ彼氏・・・ううん、旦那が出来ていたハズ。それなのに・・・」

 

そんな中、椿へ抱きつく狐2人を見た口裂けガイコツ女は、あからさまなジェラシーが篭ったため息をついてくる。

 

まさか色んな人に"私、綺麗?"と聞きまくっていたのは、怖がらせる事と同時に自分の好きなタイプを探す事も理由にあったりしたのだろうか?そうだとしたら、なんというか妖怪として逞しく生きてるな〜・・・。

 

すると、狐2人も口裂けガイコツ女の存在に気付いたようだ。

 

『むむ?この奇っ怪な妖怪は誰じゃ?』

 

『待て、白狐。この妖気、何処かで感じた事が無いか?』

 

『なぬ?一体何処でじゃ?』

 

『う〜む、ちょっと忘れたな』

 

ふ、2人でも思い出せない程に影が薄くなっているだなんて・・・というか、ま〜た何か口裂けガイコツ女が怒りそうな予感が。

 

「あぁぁぁあ!!どうせ私なんて、私なんてぇ!!」

 

「口裂け女さんストップ、ストップ!セリフが地獄な兄弟の兄みたくなってるって〜!!」

 

『うぉ!何故暴れ出すんだ!?』

 

「はぁ、多分黒狐さんのせいです」

 

『俺か!?俺のせいなのか椿!?』

 

黒狐さんは何が何だか分からないといった様子で、口裂けガイコツ女が腕を振り回しているのを避けている。でも、女性って意外とちょっとした一言でも結構傷付いたりするからね?いや同じ女性なのに色々フリーダムな私が言えた義理じゃないのも確かなんだけどさ!

 

勿論、椿も黒狐さんのデリカシーの無さに呆れている。

 

「白骨化した口裂け女さんに対して、その言葉は傷を抉るだけですよ?」

 

『何?口裂け女か!?どうりで感じた事がある妖気だと思った。昔は至る所で群れていたから、センターの妖怪が総動員で一斉に捕まえた事があるが、まさか逃げ延びている奴がいたとはな。その後もちょくちょく出没していた噂は聞いていたが、そんな噂も何時しか出てこなくなっていったな』

 

「えぇ・・・?なんか大変な人生を歩んでたんだね、口裂け女さんって」

 

こういう話を聞いてしまうと、なんというか口裂けガイコツ女がひたすら時代や周りに翻弄されまくってて少し可哀想に思えてきたよ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

――それから、しばらくして

 

何とか口裂けガイコツ女を宥めた私達は、天狗モードな椿の祖父と里子に出迎えられた。

 

「お帰り〜椿ちゃ〜ん、綾ちゃ〜ん。その方が、夕方に話をしていた新入りの妖怪さん?」

 

「あっ、そうです里子ちゃん」

 

「口裂けガイ・・・コホン、口裂け"白骨"女さんです」

 

「ちょっと、どういう紹介よ!というより、シレッとガイコツって呼ぼうとしてたでしょう!?」

 

「サァ?ナンノコトカナー?」

 

ま、まぁ椿と口裂け白骨女にギリギリ聞こえないくらいのコソコソ話で相談して決めた事だし。

とはいえ当て字としてはカッコ良いけど、私は呼びやすさから普通に口裂けガイコツ女の方が良いと思うけどな〜・・・でも、さっきの本人の反応からしたらアウトだったようだから仕方ないや。

 

「ふむ、呼び名など何でも良いだろう。来い、先ずは皆に紹介せねばならん」

 

「あっ・・・は、はい!」

 

すると何故か、口裂け白骨女は途端にしおらしくなって、椿の祖父の声にペコと頭を下げていた。

急にどうして態度を・・・なんて思っていたら、がしゃどくろが椿の祖父の後ろから覗き込んでいて、口裂け白骨女は椿の祖父ではなくそっちの方を見ている。

 

あっ、これってまさか・・・アレ?

ミツメア〜ウト〜スナ〜オ二〜オシャ〜ベリ〜デキ〜ナ〜イ〜♪って後ろで流れてるようなピンクな雰囲気?

 

「おぉ・・・なんて、綺麗な骨をした方なんだ・・・」

 

「はっ・・・あっ!そ、そんな・・・こ、これでもぉ!?」

 

うん、何なんだろうねコレ。

バレッバレな照れ隠しで、がしゃどくろに口裂け白骨女が巨大化して威嚇してるんですけど。

ベタに甘々な展開過ぎて、口から砂糖吐きそうですわよ私。

 

「おぉ、なんと素晴らしい!その姿の方がより魅力的だ!立派な骨質に理想の骨格、しかも禍々しくて人を怖がらせる最高の魅力を持っている!本当に素晴らしいぞ!!」

 

「「えぇ〜!?」」

 

おい誰かこの空気何とかしてくれ!私も椿も明後日の方向へ進み続ける骨同士の恋愛ドラマに着いて行けなくなっちゃったよ!

 

「あ、貴方の方こそ・・・とっても太くて立派で、素敵ですよ・・・ほほほ」

 

「うん、骨がね・・・」

 

「椿ちゃん?ボソッと何を呟いてるの?」

 

「これは酷い」

 

口裂け白骨女のギリギリ過ぎるラインな発言へ、ツッコミを入れる椿にカナがキョトンと首を傾げていた。うん、気持ちは分かるけど察して。

 

そして狐2人は"そう恥ずかしがらなくても、此方にはお見通しだ"と言わんばかりに椿の肩へ手を置くな。椿から尻尾を立てられて滅茶苦茶威嚇されてるじゃんかよ。

 

「よし、それじゃあ皆に紹介しよう。俺の彼女・・・いや、嫁として!」

 

「いやぁ〜ん!気が早いわよぉ、あ・な・た♡」

 

「ほぉ、これはめでたい。ベストカップル、いやベストパートナーじゃな!」

 

「「・・・( ゚д゚)ポカーン」」

 

おーい、口裂け白骨女さん?もう完全に人を怖がらせる特訓はどうでも良くなってる感じですよね〜?でも彼氏か旦那が欲しいって言ってたから、ある意味では華麗なゴールインしたって喜ぶべきなのかな・・・まぁ椿の祖父までノリノリで訳分かんないから、もうどうにでもな〜れ☆

 

「椿ちゃん、綾ちゃん。結局、妖怪も人も恋愛観は変わらないんだね」

 

「うん、香苗の言う通り。同じように、愛情がある」

 

「そ、そうですね・・・何も変わらない感じがするよ」

 

そう椿がカナと雪へ答える後ろで湯口先輩は呆然としているので、とりあえず私も大丈夫かどうかという意味も込めて聞いてみる。

 

「あの〜先輩?ち、ちゃんと分かってるよね?」

 

「あ、あぁ・・・そうだな、綾。少し異様だが・・・まぁ、人と変わらんな。だが、1つ気になる事がある」

 

私の質問に答えた瞬間、先輩は真面目そうな表情になった。なんだろう・・・まさか、滅幻宗の教えとやらをまだ信じてたりはしないよね?

 

そんな事を思う内にも、私達と先輩の間の空気は徐々に張り詰めていく。狐2人も気配を察知してか、椿の横で先輩へ睨みを効かせ始めた。

 

「こんな事を聞くのは不味いかもしれない。だが、聞かないと気になったままでしょうがないんだ」

 

「な、何ですか?」

 

「正直に話して大丈夫だよ、先輩?」

 

「椿!綾!あの骨の奴らもそうだが――妖怪って、どうやって子作りするんだ!?」

 

・・・ん?んんん?

 

「どうしても気になってしょうがないんだ!性器が無い奴らも居るだろう?そもそもの話、妖怪には霊体みたいな奴だって居る。どうやって子孫を残しているんだぁ!?」

 

「そんな事を気にしてたんかい先輩!っていうか、性器とか何とか皆の前で良く恥ずかしげも無く言えたね!?」

 

「長寿の妖怪は繁殖なんてしないし、自然的に発生する妖怪も居ますから!」

 

「椿も椿で何マジメに答えちゃってるのぉ!?」

 

甘々空間が終息しそうだと思ったらコレだよ!張り詰めてた空気何処行ったオイ、これじゃ漫才の舞台みたいな空気じゃないですか〜!!

 

すると、狐2人は椿を優しく後ろから抱きしめながら、何処かニヤニヤした様子で首を横に振ってくる。

 

『しかし、実はそうでもないぞ椿。中には我らのように、繁殖行為で子を残す者も少なくない』

 

『それに変化で人間に化ければ、繁殖も可能という事だ』

 

「なるほど。という事は、半妖はそうして化けた妖怪と人間が一緒になって生まれるのか。だが未だに半妖が迫害されているんなら、妖怪達に制限をした方が・・・」

 

「じゃから、規約や制限は幾らでもあるし破れば即人間界には居られなくなるわい」

 

椿の祖父と先輩がそんな会話をする横じゃ、がしゃどくろに嫁が出来たって家の中が騒がしくなってカナも雪も向こうへ行っちゃったし・・・雪崩みたく事態が転がりまくってる気がするんだけど。

 

『だから、靖。結局お前に椿をやる訳にはいかない、という訳だ。お前と結ばれたら、半妖の狐娘が生まれてしまうわ』

 

『おぉ、それはいかん。妖狐は純血であるべきだと我も思っているからな』

 

「私は椿と同性だからカウントされないってか?つ〜か、なんで変な所で喧嘩の火種を作ろうとするかね2人共?」

 

そうして完全に滅茶苦茶になってしまった空気の中、椿も呆れてしまって一足先にその場を離れたそうな声をあげた。

 

「あの、綾ちゃん?僕、ちょっと疲れたから休みたいんだけど・・・部屋まで運んでくれる?綾ちゃんも疲れてるのに悪いんだけど、白狐さんか黒狐さんに頼むのは、ちょっと・・・」

 

「あー、うん。別に大丈夫だよ」

 

しかし、そう私が答えた瞬間に狐2人は目を見開いてバッと振り返り、そこからすぐさま互いに喧嘩を始めてしまった。

 

『手を離せ黒狐よ!このままでは綾に椿が!』

 

『断る!そもそも同じ女同士なら、子供は出来ないからな!おい、靖も俺に協力しろ!後で交代で椿をおんぶにだっこで運ばせてやる!』

 

「よし来た、任せろ!」

 

『ぬぅ!?お主ら結託しおったか!だが・・・負けん!』

 

はい、予想の斜め方向に酷い事になりました。

これだと"三人寄れば文殊の知恵"じゃなくて"三人寄れば災いの元"になっちゃってると思うぞ。

 

ちなみに、その後は結局3人も乱入してきて椿を代わる代わる抱きしめるという、訳の分からない結果で落ち着いてしまったのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。