私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参拾壱話 先輩が心配・・・って、これはダジャレじゃないよ!?

 

――翌朝

 

夜遅くに椿と2度目の晩御飯&皆の手作り稲荷寿司を食べた事で満腹スッキリ全回復した私は、とりあえず椿や皆が心配しないように普段通り制服へ着替えて、元気な声で挨拶しようと大広間へ入る。椿は昨日の事を引きずっているのか、どこか落ち込んでいるような雰囲気だ。

 

「お〜はよ〜!って――ムギュ!?」

 

すると、入った瞬間に私も椿も全員から思いっきりハグをされてしまった。

 

「ムググ・・・カナちゃんに雪ちゃん、それに他の妖怪さん達も一旦離してくれませんか?その、昨日は心配かけてごめんなさい」

 

「プハ!き、昨日無茶しちゃった事は謝るからさ・・・」

 

「もう・・・本当にだよ、椿ちゃんも綾ちゃんも!特に椿ちゃんは思い詰めたら駄目、何かあったらすぐ私達に相談!綾ちゃんも、なりふり構わず自分を盾にするような事をしない!」

 

「カナちゃんは僕の保護者ですか?」

 

「良・い・?」

 

「「はい、分かりました」」

 

うっわ〜カナの圧が怖い。でも、カナもカナで真剣に私達の事を心配してくれているから、その真面目な顔を見てたら申し訳ない気分になって、これ以上は何にも言えないな。

 

『椿よ、お主なりに吹っ切れたのか?』

 

そして椿は白狐さんから心配されながらも、その膝の上にチョコンと座っていた。私も皆から解放されて、朝ご飯を食べる為に自分の座る所へ向かうと、その横で黒狐さんが不満げな顔をしている。

 

『おい、椿。だから何で白狐の方へ行くんだ!?』

 

理由は・・・言わなくても分かるね、うん。

でも、椿も自分が自然に白狐さんの膝へ座っちゃったからか、あれ?と言いたげな目で周りをキョロキョロとしていたよ。ヤダ何この子カワイイ。

 

『ふむ、その様子だとまだ吹っ切れていないようだな。まぁ無理はするな、椿。今回の事は少しずつ、自分の中で消化していくしかない』

 

「んっ、ありがとう白狐さん」

 

そう言って白狐さんは後ろから椿を優しく抱きしめる。黒狐さんは嫉妬の眼差しを白狐さんへ向けていたけど、今日は珍しく普段より早く怒りを収めたのか、優しげな表情になって椿の頭を撫で始めていたよ。お2人さん、ちょっと私にも撫でさせて欲しいんだけど?

 

ついでに、皆の視線も優しかったり心配してたりでなんというか・・・ホッコリした感じなのだ。だから、私も椿も普段の騒がしい食卓とは真逆で少し落ち着かない。

 

「あっ、そうだ。白狐さんと黒狐さんは、人や妖怪を殺した事はあるの?」

 

「ちょっ・・・椿?」

 

すると、椿は突然狐2人へ少し物騒な質問を聞いた。一瞬"いきなり何を聞いてるんだ"とも思ったけど、よくよく考えれば椿は少しでも自分の苦しみを理解出来る人が欲しかったのかもしれない。

 

『むっ?いきなりだな。だが、我々は守り神。何かを殺めた事は無いものでな。故に椿、お前の苦しみを分かってやれぬ・・・すまない』

 

「えっ?いや、そんな謝る事ありませんよ。でも、こんな人殺しをしようとした妖狐をお嫁にして、他の妖怪さん達から反対されない?」

 

『何だ、それも気にしていたのか?安心しろ、例え誰に何を言われようと俺はお前を嫁にするぞ、椿』

 

『フッ、それは我も同じだ』

 

なんか狐2人がアピールしだしたような気がしたので、私も負けじと椿へアピールする。

 

「それにもし2人が無理でも、私は傷物にされた件で椿に責任取ってもらおっかな〜って思ってるよ・・・な〜んちゃってね。とにかく、気にしなくて大丈夫大丈夫!」

 

「そっか、良かったで・・・あっ!」

 

そんな会話をしてたら、椿は皆がニヤニヤしながら私達を見ている事に気付いて、俯いて顔を真っ赤にしながら照れ隠しのように食事を再開してしまったよ。

 

「何恥ずかしがっているのよ、椿は。むしろちゃんとお嫁に行く気があったんだから、周りが喜ぶのは当然でしょ?それにしても、綾まで香苗や雪みたいな事を言い出すようになるなんてね〜本当、面白い物が見れたわ〜」

 

「そりゃあ当たり前だ。もう私は、椿へ向ける自分の気持ちに嘘はつかないって決めましたから」

 

小悪魔っぽい笑顔を浮かべる美亜がからかってくるので私もそう返しちゃったけど・・・スイマセン、実際は全然覚悟も何も決まってません!まだ恥ずかしくって「嫁に貰って!」なんてダイレクトアタックは仕掛けられないよ〜!

 

そんな自分の発言で墓穴を掘ってしまった事を心の中で後悔していると、今度は美亜の妹である美瑠がとんでもない事を言い出してきた。

 

「それじゃあ美瑠は、鬼丸のお嫁さんになる〜!」

 

「「ぶっ!!」」

 

美亜も美弥子も落ち着け、あまりの味噌汁の吹き出し方に絵面が色々危ない事になってるぞ。

 

「この悪鬼がぁ・・・!遂に、遂に美瑠に手を出したわねぇ!!」

 

「ま、待て!落ち着け2人共!爪を引っ込めろ!夜一緒に寝ているだけだ!!」

 

「それは手を出している事と同義じゃないですかぁ!!」

 

「意味が違ぇ――うぎゃあ!!」

 

あ、美亜と美弥子に思いっきりコンビプレーで顔面引っかかれてらぁ。これは完全に酒呑童子の失言がトドメになったよね、ドンマイ。

 

まぁ、何にせよ普段の騒がしい食卓が戻ってきたので私も椿もホッコリして心が落ち着いてきたよ。

 

「なんだ、椿も綾も。2人共、色々吹っ切れたのか?」

 

「あっ、湯口先輩。と、とりあえず私は色々吹っ切れた感じですね。主に椿関連とか」

 

「綾ちゃんは相変わらず過ぎですよ・・・僕は吹っ切れてないけど、皆が心配するからなるべく普段通りにしようとしているのに」

 

すると、そう椿が零した言葉にカナと雪が勢い良く食らいついてきた。

 

「椿ちゃ〜ん?そういう事を言われると、余計心配するんだけど〜?」

 

「でも、椿も綾も素直なのは良い。それなら、たっぷり心配して、慰めて、癒さないと」

 

「なるほど・・・それもそうね、雪」

 

「なんでや!?」

 

「これは、素直過ぎた・・・からなのかな?」

 

そこからカナは椿の尻尾を、雪は私のポニテを弄りにジリジリと迫ってきた。

 

すると、今度はスパーン!と襖を開ける音が響いて、楓が椿に飛び込んできた後で私にも飛び込んで来る。

 

「わ〜い!姉さん達がちゃんといる〜!椿姉さんも綾姉さんも、あれからシッカリ寝られたっすか!?特に特に綾姉さん、怪我は大丈夫でしたか!?」

 

「そんなのOKだOK!全然問題無しだよ、楓!」

 

「僕の方も心配かけてごめんね、楓ちゃん」

 

「いえ、自分の方こそ。周りの人達の事を考えずに、勝手に1人でやろうとしていたのが駄目だったっす」

 

私達はニッコリ微笑んで見せてから、心配そうに上目遣いで見てくる楓の頭を撫でた。

うん、幼い見た目だからなのもあるけど、ワンコっぽくてめちゃくちゃ可愛いわ。

 

「楓はあれから、ずっと自分自身を責めていたのよ?でも、椿ちゃんも綾ちゃんもそんな事を気にする訳ないって、そう言ってたんだけどね〜。やっぱり、本人から直接聞かないと納得出来なかったみたいね」

 

そんな事を考えていると、今度はヒョコリと楓の後ろから海音さんも顔を見せてくる。その様子だと楓に付き添ってくれていたみたいだ。なんというか楓が1人で暴走しがちな事を考えると、海音さんも色々苦労してそうだな〜と思うよ。

 

「とはいえ、こういうのは元を辿れば海音さんが楓を止めてなくちゃいけないと思うんだけど」

 

ため息をつきながら漏らした私のツッコミに、海音さんも苦笑いをしながら答える。

 

「痛い所突くわね、綾ちゃん・・・私は、良かれと思って背中を押したんだけどね・・・」

 

「それに、まだ楓ちゃんは幼体ですよ?普通なら、海音さんが年上のお姉さんらしく止めないといけないんじゃ――」

 

「自分のお姉さんは、椿姉さんと綾姉さんっす!」

 

「「あ〜・・・」」

 

なるほど、こりゃ海音さんじゃ止められないわな。私達が言いたかったのは、年長者の言う事は一応聞いとけって事だったんだけど・・・幼い楓には完全には意味を理解出来ていなさそうだ。

 

海音さんが「あらあら」といった様子で眉を細める。

 

「ふふ、忠告ありがとうね2人共。これからは気を付けるね。ところで・・・椿ちゃんも綾ちゃんも、その状態で良く耐えれるね?」

 

「あ〜、うん・・・なんというか、もう慣れました」

 

「うっ、くっ・・・こ、これくらい・・・っていうか皆、これだと僕が癒されないから、もうちょっと別な方法で・・・うぅ」

 

でも真剣な話をしていたのに、狐2人やカナ達は相変わらずベッタリだったけどね!そして気付いたら、いつの間にやらカナと楓も私の髪を弄ってきてたよ。なんか椿の尻尾並みに皆から弄られてる気がするぞ。

 

すると、そんな中で大広間の襖から先輩が朝食を取らないで廊下を歩いていくのが見えた。

 

「あれ?先輩、朝ご飯は?」

 

「あぁ、いらないぞ椿。すまんが、今日は学校へ行く前に、寄る所があるんだ」

 

「はぁ・・・」

 

微妙に先輩の行動が怪しく感じるけれど、思い出してみれば今も、椿の爺さんやセンターの妖怪さん達が常に監視している状態だ。

 

とりあえずは私達を裏切るような感じではないらしい。でも、こんな昨日の私達みたいに1人で何とかしようとしているのを見ると先輩が心配・・・って、コレはダジャレじゃないよ!?な〜に呑気な事考えてんだ、私は・・・。

 

「湯口さん、また朝食抜きですか?ちゃんと食べないと、学校で倒れちゃいますよ?」

 

「あぁ、すまん・・・」

 

そんな先輩の様子を見かねてか、ご飯を用意してくれていた里子も心配の言葉をかけるけれど、先輩は一言だけ言って足早に出発していってしまった。

 

「ふむ、どうも近頃は滅幻宗の動きが活発になっとるようじゃ。ここの所静かだったのが、何故か最近になって再び動き出しとると聞いた。あの靖とやらが気にしているのも、恐らくそれじゃろうな」

 

そう椿の爺さんは言いながら、自身の隣に座っている女の烏天狗さんから何か手紙のような物を受け取っていた。

なるほど、それなら先輩が憂鬱げなのも辻褄が合うね。ただまぁ、何にも私達に相談してくれない所は相変わらず困った感じなんだけれども。

 

「――って、いつまで触ってるつもりだよ!?」

 

「いい加減に止めてください、皆!!」

 

「あ〜!やっと、いつもの椿ちゃんと綾ちゃんだ〜」

 

「うんうん。やっぱり2人は、こうでないとね」

 

いやいや!いくら元気を出してもらいたいからって、それで私の髪や椿の尻尾をずっと弄ってるのは違うと思うぞ!

 

「だ〜もう、本当懲りないよな〜・・・っ!」

 

「どうしたの、綾ちゃん?まさか私、強く髪を引っ張り過ぎちゃった!?」

 

「いや、特にそんな感じじゃないけどさ・・・」

 

すると、ふと一瞬だけ心臓が締め付けられるような痛みを感じた。しかし、カナに心配されるより早く痛みは無くなっていた。

最近は疲れる事ばかりで昨日もあんな事があったから、まだ怪我が治りきってないのかな・・・?

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