私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第参拾弍話 全力で皆を守らないと!

 

朝食を食べ終えた私達は学校へ向かう為に心機一転し、普段と同じようにレイちゃんの上に乗って出発する。今回はカナ達だけじゃなく、椿の義姉である夏美さんも一緒だ。

 

「あぁ、そうそう椿に綾。杉野さんからね、椿が今回やった事に関しては状況が状況なのもあって特例として扱われるから、罪には問われないってさ」

 

「あっ、うん・・・それは聞きました。でも、それで僕の罪の意識が消える訳ではないけどね・・・」

 

「ま〜だ椿は昨日の事引きずってんのかい。私は白狐さんのお陰でピンピンしてんだから、そこまで自分を責める程気にすんなっての」

 

「綾ちゃんは気楽過ぎだよ・・・」

 

「あ、それと2人共。杉野さんからコレも」

 

私が落ち込みそうになる椿を慰めていると、おもむろに夏美さんはスマホの画面を見せてきた。

 

そこに写っていたのは・・・

 

『むしろ俺を捕まえてくれ、ご主人達!!いざという時に主人の傍に居て、フォローすら出来ない不甲斐ないペットを――』

 

「妖異顕現、影の操。からの削除です」

 

「ちょっと〜!!何してんのよ椿〜!」

 

えっと、うん。これは椿が正しいと思うわ。

そう言いたいのを心に留めながらも、私は椿の妖術の便利さが羨ましいな〜と思った。

 

何せ私の妖術で応用出来た物といえば、風の妖術で氷の妖術を使って生み出した氷の塊を削り、お手軽なかき氷に加工出来たくらいなのだ。

ちなみにコレ、まだ雪には教えていなかったりする・・・というか、教えたら絶対に激辛かき氷の改良を手伝わされそうだから教えたくない。

 

そんな事を考えていると、私達の後ろから興味深そうな声が聞こえてくる。

 

「ふ〜ん・・・貴方達は、いつもそうやって騒いで登校しているのね」

 

「いやいや、僕達から騒いでいるんじゃないですよ」

 

ため息をつきながら椿が答えたけど、よくよく考えたら普段のメンバーは隣を飛んでいる訳で、今は私達の後ろには誰もいないハズだ。

 

それに気付いた私と椿はビックリして、すぐさま後ろを振り返った。

 

「「えっ、誰!?」」

 

「うわっ!ビックリした・・・いきなり振り向かないでよ〜」

 

振り返った先に居たのは、確か朝ご飯の時に椿の爺さんへ何かを報告していた烏天狗の女性だ。

その人は女子大学生のようにしか見えない服装なので、背中にある黒い翼が無かったら烏天狗とは分からない姿をしている。

 

ついでに言うなら、艶があるロングストレートな黒髪で若干つり目、しかも身体のスタイルも良くて"年上の頼れるお姉さん"といった雰囲気だ。ちなみに、似た雰囲気の人には零課の犬吠崎さんもいるけど、快活そうな犬吠崎さんとは別な感じのお姉さんっぽさを感じるよ。

 

「えっと・・・黒江さん。こうして追いかけてきたって事は、僕達に用があるんですか?」

 

「あら、自己紹介したかしら?・・・あぁ、あの時の会話が聞こえていたのね」

 

「はへ〜、黒江さんって名前なんだ」

 

「綾ちゃん、君は一応女の子なんだから鼻の下伸ばさないの」

 

ビシ、と椿から軽くチョップされてしまった私を見ながら、黒江さんは私達の隣へ移動して話を続ける。

 

「いえ、ね。翁には報告したけれど、念の為に貴方達にも言っておこうと思ってね」

 

すると、椿が黒江さんが飛ぶ姿に見とれていたからか、キーホルダーに化けている狐2人やカナと雪から妙な嫉妬の視線を感じた。

いや、何しょうもない事で嫉妬してんの皆さん・・・。

 

「ふふ、やっぱり可愛いわね〜2人共。どちらも私の初恋の人と一緒だわ。性別は違うけれど、それぞれどことなく似ているわね〜」

 

「はぁ、本当すいませんね。ほら、全員ムッとしないの」

 

「「『『むむむ・・・』』」」

 

「あっ、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったのよ?」

 

何か変な方向に話が脱線しそうなので、私は嫉妬してる皆を宥めつつ本題へと入る。

 

「ところで、椿の爺さんに報告した事って何なんですか?」

 

「そうそう、翁に報告した事なんだけれど・・・滅幻宗の妖怪狩りが、以前にも増して激化しているようなの。だから貴方達も気を付けてね。半妖だろうと妖怪に味方する人間だろうと容赦しないようだし、現に被害者も出ていると聞いているわ」

 

その黒江さんの言葉に椿は驚愕の表情を浮かべた。

 

「えっ!そんな・・・でも、なんで今になって?」

 

「さぁね、それは知らないわ。そこの所はセンターの妖怪達が全力で調べているから、貴方達は自分の身を守る事に専念して。それじゃ――」

 

そして、黒江さんはそのまま私達から離れて飛び去ってしまった。でも、これで先輩の今朝の行動については私でも大体理解出来た。

 

「はぁ、やっぱり先輩は・・・」

 

『まぁ、そういう事だろうな。だからアイツは椿達に顔向け出来ず、かといって放置も出来ないから1人で何とかしようとしているのだな』

 

「そうだとしても一緒です、黒狐さん。僕や椿ちゃんにあれだけの事を言っておいて、先輩自身は全然じゃないですか。こうなったら罰として、おじいちゃんの説法をタップリと聞かせてあげないといけませんね」

 

「あはは・・・椿ちゃん、ほどほどにしといてあげてね?」

 

カナも雪も苦笑いする中で、ようやく学校へ到着した私達だったが――そこで見えてきたのは、予想だにしていなかった状況だった!

 

「「「学校が襲撃されてる!!!」」」

 

「「また(かよ・ですか)!?」」

 

乗り降りする場所の公園近くから見えたのは、なんと大量の坊さん連中が学校周辺を取り囲んでいる光景だったのだ。

 

これにはカナ達が同時に声を上げただけじゃなく、私と椿も同時にビックリしてしまったよ。

 

「"煙の無い所に火は立たぬ"っては言うけどさ・・・まさか、話してて出てくるなんて思わなかったんだけど!」

 

『落ち着け綾!それを言うなら"火の無い所に煙は立たぬ"だ!しかし、今回は前の時の比じゃない数だぞ!』

 

「だ〜もう!それくらい見て分かるっての、黒狐さん!」

 

『椿に綾よ、急げ!正体を隠している場合ではない!アイツらは所構わず爆破させておる、これでは一般人にも被害が出るぞ!』

 

「そんな、白狐さん・・・レイちゃん、急いで!」

 

「ムキュゥ!!」

 

このままだと絶対に不味い・・・そう思った私達は一先ずレイちゃんへ指示を出して、私と椿と狐2人で先行して学校の様子を確認しに行く。

 

しかし、そうして学校へ到着した瞬間に北校舎が大きな音を立てて爆発を起こした。

 

「えっ・・・嘘」

 

『くっ、不味い!あの4人も居る!』

 

『ちっ!さっきのは、その内の1人がやったのか!一体何が目的だ!』

 

「どう考えたって、学校にいる半妖の人達に決まってるでしょ!好き勝手される前に急ぐよ!!」

 

校門前まで到着して、すぐに私達はレイちゃんから飛び降りて皆が集まっているグラウンドへと突っ走っていく。

 

それにしても、まさか幹部の4人までもが来ているとはね・・・そうなると多分、今回の目的は椿と私を釣り出す為の罠かもしれないな。

私から小次郎を奪ったクソ女も来る可能性もあって危険かもしれないけど、それでも私は全力で皆を守らないと!あとついでで悪さが出来ないくらいに滅幻宗もボッコボコにしてやる!

 

「ん?なっ!あの4体は!?」

 

「まさか!」

 

「やっと来たか、3妖狐に霊能力者め!だが、ここから先へは行か――」

 

「うるせぇな!!」

「どいて!!」

『邪魔じゃ!』

『退けぇ!!』

 

「なぶぅ!?」

「げふっ・・・」

「つ、つよ・・・」

 

なんか変な奴を3人程ぶっ飛ばした気がするけど、何の手応えも無かったし多分気のせいだな!

 

とりあえず爆破された北校舎に誰も居なけりゃ良いんだけど、学校の人全員がグラウンドに居るなら誰も犠牲になってないハズだ。それなら、一先ずはグラウンドの皆を守るのが先決だ!

 

「皆!無事ですか!?」

 

「誰も怪我はしてないよな!?」

 

そう椿と私は叫びながらグラウンドへ駆けつけ、すぐさま周辺を見渡して確認する。すると、校門側のグラウンド入口に見覚えのある4人の姿を見つけた。

 

「ほぉ、ようやく来たか・・・1番厄介な奴らがな」

 

険しい顔を浮かべながらも、どこか嬉しそうな声色を上げた玄空――

 

「やぁ。今度こそ、ちゃんとしっかり遊んであげるよ」

 

無邪気そうに見えて、その実はドス黒いものを感じさせる笑みを浮かべる閃空――

 

「ふふふふ、凄く必死になっちゃって。妖狐や妖気を持つ人間の癖に、そんなに人を傷つけられるのが嫌?」

 

向こうの方が妖怪なのではないかという程に、邪悪でいやらしげに笑う峰空――

 

「そちらには何回か邪魔をされていますからね。この際、今までの分をまとめて返してあげましょうか」

 

細い目を閉じているにも関わらず、穏やかそうな見た目とは真逆に私達へ恐ろしい程の殺気を放ってくる栄空――

 

そいつらが揃って来たという事は、どうやら学校の皆は捕まってグラウンドに集めさせられていたらしい。グラウンドに集まっている皆の一人一人、足元に呪符みたいな物を巻き付けられているのが何よりの証拠だ。

 

でも、その捕まっている人達の中には先生達や校長先生の姿がない。

 

「あぁ、椿ちゃん・・・綾ちゃん・・・!先生達がぁ!」

 

先生達の姿を探そうとすると、クラスメイトの1人が泣きそうな表情で私達に声をかけてきた。

 

「ちょっと落ち着いて、どうしたの?」

 

「先生達や校長先生に、何かあったのか!?」

 

その私の質問に答えたのは閃空だった。

 

「はは!先生達を探しているのかい?先生達は、生徒達とは別な所に捕らえているから安心しなよ〜」

 

「「別な所?」」

 

私と椿は閃空を睨みつけながら質問する。閃空はその私達の様子を全く意に介さず、ケラケラ笑いながら"ある場所"を指差した。

 

「そうそう。あそこだね〜って、ごっめ〜ん。先生達がうるさいから、黙らす為に爆破したんだった」

 

閃空が指差したのはなんと、先程爆発した北校舎だったのだ。言葉の後ろの方は憎しみが篭ってきており、奴の底知れぬ悪意をも感じる。

 

「爆破、した・・・?一般の先生達、を?そして、あの校長先生・・・も?嘘、でしょう・・・」

 

「椿、しっかりして!あんっの、野郎・・・!!」

 

そんな閃空の言葉を聞いた椿が過呼吸のように息が浅くなってフラッと倒れそうになり、すぐさま私は椿の身体を支えて再び閃空を睨みつけた。

 

狐2人も椿を心配して声をかけてくる。

 

『椿よ、落ち着け。また暴走するぞ』

 

『それに、お前には我らや綾も皆も居る。もう、1人ではないだろう?』

 

そして、その言葉に続いて私達の後ろからも頼もしい声が聞こえてきた。

 

「校長先生が・・・!よくも・・・私の恩人に手をかけてくれたわね!もう貴方達はお坊さんでも何でもない、ただの殺人鬼よ!」

 

後ろからカナ達が怒りを露わにして4人を睨みつける。どうやら今の閃空の発言を聞いていたようだけど、目を見ると完全に怒りに身を任せている訳じゃなく、冷静に状況を把握出来ているみたいだ。

 

「椿、綾。半妖の人達の救出は、任せて」

 

雪もカナ同様に怒り心頭ではあるが、自分の力量を分かっているからか皆を救出してくれようとしている。

 

「さ〜て、このお馬鹿さん達は何をどうして呪ってやろうかしら。軽い呪いじゃ駄目ね、一生後悔する程のキッツイ呪いをかけてあげるわ!」

 

そして美亜は1番頼りげのあるセリフを言ってくれて嬉しいんだけど、あまり大口叩いて敵から狙われたりしたら厄介だぞ。

 

「とりあえず、皆が堪忍袋の緒ブチ切れモードだと良くないね。誰かが何とかまとめないと、敵の策に引っ掛けられるかも」

 

『椿に綾よ、3人の指揮は任せるぞ』

 

『そうだな。お前達2人の方が、あの3人の事を良く知っているからな』

 

「やっぱりですか・・・」

 

「ですよねチックショウ!」

 

まぁ薄々予想はしていたけれどもね!

一々めんどくさがっていても仕方ないし、こうなったら出来る限りで頑張ってみるとしますか!

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