私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

254 / 390
第伍話 筋肉は裏切らない・・・って、それは無理あんだろ

 

目の前でポージングを決めまくる筋肉モリモリマッチョマン兄弟の雰囲気に圧倒されて、私達は一瞬思考がフリーズしてしまっていたよ。

 

「おぉ、兄者!見事な三角筋!」

 

「ふふ、まだだ!まだ足りん!」

 

しかも、本人達は更に筋肉を求めるときたもんだから、見せられてる私達からしたら目に毒・・・どころか目に粉プロテインをブチ込まれてるような感じなんですけど。

 

それに私達の妖術どころか、椿の神術すら効いていなかった様子だし・・・どうすんだコレ。

 

「そうだ、戦力よ。筋肉の量を増やすには、筋肉を酷使すれば良い。それには・・・」

 

「運動が1番・・・なるほど!戦闘もまた然り!」

 

とか何とか思ってたら、筋肉兄弟こっち見てきたんですが。あんな戦う気満々な目をされていたら、コッソリ逃げようにも逃げられなさそうですな。

 

「という訳だ。玄葉、貴様はスパム・・・いや、スパイという事で良いな?」

 

「はぁ・・・何とか逃げられる方法を考えていましたが、どうやら無理そうですね。申し訳ありません、椿様に綾様。私の不手際で、お2人が無駄に体力を浪費させる事になってしまって・・・」

 

「いえ、これは仕方ない事だと思います」

 

「まぁ、薄々こうなるような気はしてたよ」

 

ギュピ、ギュピ・・・と聞こえてきそうな歩き方で近づいてくる筋肉兄弟に、玄葉さんは大きくため息をつきながら言ってくる。

あんな奴らと戦いたくないって気持ち、心中お察しします。

 

「あっ・・・戦闘になったら、私は何も・・・補助くらいしか出来ないよ」

 

「わら子ちゃん、それで十分ですよ」

 

「とりあえず、私達の後ろに下がってて」

 

私と椿で陽動をかけて、玄葉さんを中心にした作戦で――

 

「さぁ、お前達にも」

「我らが筋肉愛を!!」

 

「って、マジかよ!いつの間に両サイドに――」

 

「そんな、思ったより動きが早いです!」

 

「「筋肉抱擁(マッスル・ハグ)!!」」

 

「「うぎゃぁぁあ!!」」

 

あっぶねぇ!危うく、筋肉兄弟の見るからにヤバそうなクロスボンバーもどきを食らいそうになったわ!!私も椿も咄嗟に上へ下へと避けたから何とかなったけど・・・あんな技、別な意味でも食らったら大変な事になりそうだぞ。

 

「はぁ、はぁ・・・こ、こわい」

 

「あ、悪夢かよ・・・」

 

しかも、その技を出した後で筋肉兄弟は抱き合ったまま、互いの腕をスリスリさすっている。

えっ、コレ放送事故じゃないよな・・・?

 

「おぉ、戦力!何という筋肉。しかし、少し細いな・・・肉が足りん」

 

「兄者も素晴らしい!しかし、少し太い・・・肉を取り過ぎですよ」

 

そう言いながら腕をさすり合っている姿に、私達は背筋がゾッとしてしまった。

 

「ひぃぃい!!オカマだ、ニューハーフだぁ!」

 

「アッー!!ホイホイチャーハン?うせやろ、せやかて工藤!?」

 

「あ、綾様落ち着いて!!それに椿様もアレは違います!アレはゲイと呼ばれるものです!」

 

「どっちみちガチムチパンツレスリングじゃね〜か玄葉さん!!」

 

すると、そんな取り乱す私達へ筋肉兄弟が再度ポージングをしながら怒ってくる。

 

「むっ?何を言うか!我らはそんなものではない!」

 

「そうだ!筋肉を愛して止まないだけだ!」

 

「女性もそうだ。ヒョロヒョロよりも、筋肉のある男性に惹かれるもの!個として強いという証明だからだ!」

 

お、おう・・・その持論、何となく分かるような気はするけど、それを口に出したら椿に「なんで余計な事言うの!」って怒られそうだから黙っておくよ。

 

「う〜ん、僕はもうちょっと細い方が・・・はっ!?」

 

「椿・・・」

 

「いや、違いますからね綾ちゃん!僕の好みはどうでも良いんです!」

 

なんて思ってたら椿の方が口を滑らせてました。

あ〜ほら・・・筋肉兄弟の弟が笑顔で、兄の肩を叩いて誇らしげにしてんじゃん。絶対アレ勘違い起こしてるわ。

 

「いや、あの・・・細いって、そっちの弟さんみたいな筋肉の付き方じゃなくて・・・その、細マッチョというか何と言うか――」

 

「「あぁ、白狐さんや黒狐さんみたいな?」」

 

「そうそう・・・じゃなくて!わら子ちゃんも綾ちゃんも、少しお口にチャックしててください!」

 

え〜別に良いじゃん、減るもんじゃないし。

私怒ってないよ?あの狐2人の方が好き〜みたいな反応された程度でヤキモチ焼く訳ないじゃん・・・ふっふっふ。

 

だけど、それを聞いた筋肉兄弟は何故か顔に青筋が出るレベルで怒ってました。

 

「細マッチョ・・・?あんな・・・あんなもの、見てくれを気にしただけの、あんなものは・・・マッチョなんかでは、断じてな〜い!!」

 

「その通〜り!!兄者や俺のような太さならまだしも、体型を気にしたあんな姿・・・真のマッチョに非ず!!」

 

うんわぁ、コレ完全にどうすんの。意図せずして椿が地雷ワード踏み抜いた感じになっちゃったよ。

 

そんな怒りもあってか、筋肉兄弟は再び私達に向かって両腕を広げて突進してくる。

 

「そんな細マッチョが好きとかいう奴も、我らは絶対に許さん!!」

 

「そうだ兄者!コイツらも、真のマッチョ好きに変えてやる!!」

 

「うわ〜ん!目的が変わってるよ〜!」

 

「ぎゃぁあ!私は何も言ってないのに〜!」

 

すると、私達が逃げようとした瞬間に筋肉兄弟は目の前で見えない壁にぶつかったような反応をして足を止める。

 

「あっ、ありがとう玄葉さん!」

 

「くっ・・・これ以上、椿様と綾様に不快な思いをさせるな!」

 

「不快?何処がだ?」

 

「そうだ・・・これだけ筋肉を愛している者は、他にはそう居ない。寧ろ、潔く快いではないか!」

 

「心意気じゃなくてルックスの問題だっつ〜の!――って、嘘だろ!?凄い反発力を持つ玄葉さんの盾を押しているなんて!!」

 

筋肉は裏切らない・・・って、それは無理あんだろ!ヤダもうこの人達・・・「みやぶる」とか「こころのめ」とか習得してたりしないよな?

 

「く、くそ・・・駄目です。2枚重ねでも押されるなんて・・・さ、3枚に・・・」

 

「助太刀するよ、玄葉さん!妖異顕現、稲妻雷霆蹴!!」

 

「隙ありです!妖異顕現、黒槌土塊!!」

 

「ぬぐっ・・・!」

「うぉ!」

 

兎にも角にも私達は玄葉さんをフォローすべく、それぞれで物理系の妖術を発動して玄葉さんの盾を後ろから押して、筋肉兄弟のパワーに対抗して押し返す。

 

「あ、ありがとうございます・・・椿様、綾様」

 

「いや、でも・・・玄葉さんでも苦戦する程だし、僕達程度の力じゃ・・・」

 

「アレで2、3歩下がっただけとか、どこまで鍛えりゃ化け物並みのパワーが出せるんだよ、ホント」

 

参ったな・・・これじゃ普通に妖術で戦っても、向こうのパワー相手じゃ簡単に打ち負けてしまうよ。凍華は妖気を更に強くして使う最後の手段として取っておくとしても、こんな風が微妙にしか入らない地下だと緊急祭繰龍はマトモな威力が期待出来ないし――う〜ん、やっぱりアレしか無いか。

 

「妖異顕現、稲妻雷霆蹴・・・術式吸収、更に術式吸収・・・まだまだ!」

 

「こうなるよね、うん――妖異顕現、黒槌土塊。術式吸収・・・術式吸収・・・吸収」

 

「ちょっ・・・椿様に綾様!?それは・・・」

 

そう、私と椿で術式吸収によって物理系妖術を強化、それを最大の威力でぶつけてみる策だ。

 

「ほぉ・・・これは、どういう仕組みだ?」

 

「兄者、よく分からないが・・・この見えるエネルギーの大きさ、1トンはありそうだぞ?」

 

まぁ、私も椿も相当の妖気を使って力を増大させているから、多分それくらいはあるかもね。

だけど、この筋肉兄弟を倒すには仕方ない!

 

「椿様!綾様!私も貴方達の後ろから、盾で押して加勢します!少しは加速するハズです!」

 

「よっし!頼みますよ!」

「はい!お願いします!」

 

私と椿は互いに顔を見合わせてから足を踏ん張り、受け止める気満々の筋肉兄弟へと視線を向け直す。

 

「面白い!小娘2人がこのような力技をしてくるとは思わなかったわ!良いだろう、受けて立とう!」

 

「兄者、その通りだ!我らに回避など有り得ん!さぁ、来るが良い!!」

 

「なら、こっちも全力全開で蹴っ飛ばしてやる!」

「それだったら、盛大に吹き飛んでください!」

 

「玄武の盾よ、2人を加速して押し出せ!」

 

そして玄葉さんの盾を後ろに受けながら、私は兄の方に、椿は弟の方に発動した妖術をぶつける!

 

「妖異顕現――黒槌土塊《極大》!!」

「妖異顕現――稲妻雷霆蹴《極裁》!!」

 

「「ぬぅん!!くっ!うぉぉぉおお!!」」

 

筋肉兄弟も私達の妖術を全力で受け止め、必死に押し返そうと両腕を突き出してきた。

 

そこで、椿がハンマーへ変化させた尻尾に力を込めていくのと同じように、私は更に妖気を込めて足へ纏わせている雷を激しくしていくけど、兄の方も弟の方もビクともせずに耐えている。

 

「うぐぐぐ・・・!!」

「ぬぐぐぐ・・・!!」

 

「椿様!綾様!もっと力を込めてください!」

 

「やってます!!」

「やってるっつ〜の!!」

 

「相手は人間です!幾ら凄まじい力とはいえ、必ず限界はあるハズ・・・!」

 

「それは・・・」

「分かってるけどぉ・・・!」

 

それどころか、逆に押し返されているような感覚がしてきて私達はスタミナを消費していくばかりだ。

 

「「ぬぅん!!」」

 

「きゃわ!?」

「どわぁ!?」

 

「なっ・・・椿様!綾様!」

 

その内に私達のスタミナが先に切れてしまい、筋肉兄弟のパワーで弾かれて玄葉さんの方に飛ばされてしまったよ。

 

物理系の妖術を全力で使った正面突破すら負けてしまうなんて・・・益々ピンチになっちゃったんじゃないか、私達!?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。