私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陀話 深まる滅幻宗の謎

 

筋肉兄弟を倒した・・・というか自滅を見届けた私達は、2人の鞄を漁ったりして何か寺院で使えそうな物が無いかを探す。

 

まぁ、スプレーとシップくらいしか無かったんですけどね!いやホント、この2人は筋肉の為だけに滅幻宗に入ってたんだな〜持ってる物まで潔すぎるわ!!

 

「やはり、ありましたね。札を使い、このような筋肉を付けていただけでした」

 

そして、玄葉さんは2人のアッー!っぽそうな所から何かを引っ剥がしたかと思うと、それを私達の所へと持ってくる。

 

「く、玄葉さん。それ、あの・・・こっちに近付けないでくれませんか?」

 

「分かっています。私も出来たら、こんな所なんか探りたくはなかったですよ。他を幾ら探しても見つからなかったとはいえ、何て所に付けているんですか!もう許せない、潰します!」

 

「えっ・・・それ、タマをって事――」

 

「それは言っちゃダメだから綾ちゃぁぁん!!それに玄葉さんも、それだけは止めてあげよ!?」

 

わら子が私のド直球な発言にツッコミを入れながら、筋肉兄弟を足蹴にする玄葉さんへ制止の言葉をかける。何処を足蹴にしていたのかについては・・・密に、密に。

 

すると、玄葉さんが札を取った後から筋肉兄弟の身体は風船がシューと萎んでいくような感じで、ムキムキだった筋肉が少なくなっていく。

 

「うわ、本当はこんな身体だったんだ・・・」

 

「身体だけはちゃんと鍛えて手に入れた物だと思ってたのに・・・残念だな」

 

そうして萎んでいった兄弟の姿は、なんと筋肉とは無縁と言わんばかりにヒョロヒョロのガリガリとなってしまっていたよ。

 

「さて?これが本来の身体なのか、それともこの札を使った反動なのか・・・それは分かりませんね」

 

そう言って玄葉さんは手に持っていた札を破り捨てて、ゴッ!と兄弟のアレな部分を強く蹴りつけていた。

 

その様子を見て椿は、青ざめた顔で自身の股間を押さえている。

 

「あの、椿ちゃん?何でそこを押さえてるの?」

 

「な、何となくです・・・」

 

「わら子、それは察してあげて?な?」

 

そりゃ椿だって元男だから、玄葉さんの行動が恐く見えるわな。それにしたっても兄弟が泡吹いて白目剥いちゃってるとか、どんだけ玄葉さんは強く蹴ったんですかね・・・?

 

「さっ、行きましょうか」

 

「「あっ、はい」」

 

ついでに本人は少し笑顔になっているし、椿どころか私まで恐くなってきたんですけど。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

それから私達は牢屋の階段を登って、再び玄葉さんを先頭に寺院の廊下を突き進んでいく。

 

滅幻宗の本拠地というから、どんなボロボロな寺院を使っていたのかと思ってたけど、襖まで見事な装飾が施されたりしている程にシッカリとした造りでビックリしたよ。

 

うん、コレどんだけ金かけたんでしょうね〜・・・。

 

「あの、玄葉さん。此処、本当に寺院なんですか?」

 

「おや、気付きましたか椿様?そうですね、寺院とは名ばかり。奴らの居住地として作り直されているので、もはや寺でもないですね」

 

「やっぱり、そうだよな。一部屋ずつ確認しているけど、本堂の辺りなのにソファやらテレビやらあるのは変だし」

 

「ちなみに此処は1階で、2階が寝室となっていて・・・」

 

「「ホテルか何か(ですか・かよ)?」」

 

ヤダ、何この劇的ビ〇ォーアフター。

 

っていうかここまで色々おかしいと、滅幻宗という組織自体がとても怪しくなってくるぞ。コイツら、本当は一体何を目的に動いている組織なんだ?

 

「あの、玄葉さん・・・良いですか?」

 

「何ですか?」

 

そう思っていると、おもむろに椿が玄葉さんへと質問する。

 

「牢屋で会った、あのお坊さん達が言っていた5人って・・・」

 

「あぁ、私はあの人達から5人の特徴を聞きました・・・とはいっても答えてくれたのは、その内の4人の風貌だけなのですが。もう1人は、顔を隠していて分からなかったようです。でも、その人物を4人は"奈田姫"と呼んでいたとの事です」

 

「"奈田姫"・・・って、ちょっと待って玄葉さん!」

 

「まさかそれって、この滅幻宗の総大将の?」

 

「えぇ、そうですね。そして他の4人も、霊から聞いた風貌からして幹部の玄空、栄空、閃空、峰空――この4人で間違いないです」

 

「「えっ・・・」」

 

いやいやいや!あのヒゲ坊さん達の話だと、寺院や組織が乗っ取られた時期を考えたら、椿が隠れていた時よりもずっともっと昔の話だったと思うんだけど!?

 

そうなると、あの4人はとんでもないジジババって事に・・・あっ、そういや筋肉兄弟は自身の身体を札で強化してた疑いがあるから、若返る効果のある札を使っててもおかしくないのか?

 

「椿様、綾様。この5人に関しては謎だらけです。調べても調べても、出てくる情報が少な過ぎます。更に言うと生年月日まで分からないばかりか、極めつけは全員戸籍も無いのです」

 

「「へっ!?」」

 

「で、でも・・・それなら湯口先輩を、どうやって学校に?色々とおかしいですよ」

 

「普通の生活もさせているし、玄空の戸籍が無かったら、そんなの難しくないか?」

 

「椿様に綾様、不可能ではない話です」

 

あー、うん。確かに玄葉さんの言う通り、やろうと思えばやれなくはないって事だろうけど・・・それでも、人間世界の法律をスリーアウトするくらいにはやらかしてる事になるよな。

 

「椿ちゃん、綾ちゃん。今は・・・」

 

「あぁ、ごめんごめん。そんな事を考えてる暇は無かったね、わら子。」

 

「そうでしたね、わら子ちゃん。僕達のやらなくちゃいけない事は、ちゃんと覚えています。敵の総大将、奈田姫の確認ですよね」

 

まぁ、深まる滅幻宗の謎については、全部が終わった後で幾らでも調べられるからね。それに狐2人だって椿の事を心配しているだろうし・・・。

 

「「あっ」」

 

私と椿は忘れていた事を思い出し、互いに顔を見合わせる。その様子に、わら子が不思議そうな表情で尋ねてきた。

 

「どうしたの、2人共?」

 

「スッカリ忘れてたわ、勾玉の事・・・」

 

「僕と綾ちゃん、白狐さんと黒狐さんに連絡が取れるんでした」

 

すぐさま、その事に気付いた私達は勾玉に声をかけてみる。

 

「白狐さん、黒狐さん、無事ですか?もしもし〜」

 

「お〜い、性欲お化けの狐さん達〜?」

 

「ちょ、何言っちゃってるの綾ちゃんは!?でも、普段ならすぐに反応するハズなのに・・・どうしたんでしょうか?」

 

「お2人共。この場所一帯にはどうやら、ジャミング効果のある札が貼られているようですね。私も龍花達と連絡を取れる妖具を持っているのですが、全く向こうと繋がらないのです」

 

玄葉さんは、そう言って私達に手のひらサイズな亀の置物っぽい物を見せてくる。なるほど、狐2人の方で何かあった訳じゃなかったんだ。

 

「ふふ、それにしても椿ちゃんは面白いね。ここまで一喜一憂するなんて、そんなに白狐さんと黒狐さんに連絡が取りたかったの?」

 

「えっ、いや違っ・・・向こうが無事かなって、それを確認したかっただけで・・・声が聞きたかったんじゃないです」

 

「私、そこまで言ってないよ?」

 

「また自爆してるし、椿は〜・・・」

 

「あぅ・・・」

 

うん、狐2人の方が大切だって感じで少しジェラシー湧いちゃったけど、椿が顔を真っ赤にして悶えてる所が見れたのでコレはコレで良いかも。

 

「3人共、何度も言いますが・・・此処は敵陣ですからね」

 

「「「すいません・・・」」」

 

しまった、話が脱線し過ぎちゃったな。

 

とりあえず気を引き締め直して、私達は私達で自分に出来る事を片付けていかないと。

それに、さっき確認したら先輩は牢屋に入れられていなかったし、もしかしたら父親と名乗る不審者こと玄空の所に捕まっているのかもしれない。

 

もし先輩の救出を諦めなきゃいけなくなったとしても、私は先輩の無事を祈らずにはいられなかった。

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