私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第伍話 椿に向けられる矢印が皆ラブになってる気がするんだけど!

 

私と椿がノックアウトした妖魔は、それから白狐さんが巻物で封印してくれた事で事なきを得た。

因みに、アレはまだ私と椿のライセンスじゃ勝手に捕まえたら駄目なのだとか・・・面倒臭い制度してるな〜。

 

『しかし、椿よ。その妖具、香苗が使っていた物では?』

 

「うん、カナちゃんから託されたんだ」

 

『そうか・・・それなら、もう立ち直ったのか?』

 

「寂しいのは寂しいよ。でも、カナちゃんは何時までも落ち込んでいる僕を見たくはないだろうからね。それにカナちゃんの魂は、ちゃんと此処にあるから」

 

心配する狐2人へ、椿は腕に嵌めた火車輪を優しく撫でて見せた。そして、クルリと私に振り返ってくる。

 

「きっと綾ちゃんも、それは同じ気持ちだよね?」

 

「うん、私も椿と同じだよ。雪から励まされただけじゃない、カナも炎のようになって私を励ましに来てくれたからね。だから、もう私は前に進む事を止めたりなんてしないよ」

 

そう言って、私も椿の笑顔に負けないくらいの笑みを作って見せる。

 

『ふむ・・・なるほどな。しかし、本当にあの子は半妖だったのか?魂の欠片を妖具に込めるなど、普通は出来んぞ』

 

「そうだよね、白狐さん。だけど、それがカナが椿に持っていた"想い"の起こした"奇跡"なんじゃないかな」

 

「うっ・・・僕も綾ちゃんと同じ考えだったから、ちょっと恥ずかしくなってきちゃったよ。そ、それより酒呑童子さん達がまだ来ていないですよ?」

 

「まーた寄り道して酒でも・・・うん?酒呑童子さん、"達"?」

 

椿の気になる言葉に、ふと私は不思議に思いつつ後ろを振り返ると・・・そこには案の定ベロンベロンに酔っ払っている酒呑童子と、同じくベロンベロンな様子の若い女性を、小さな女の子が必死に引っ張ってきているのが見えた。

 

「あ〜もう、ほら着いたよ!お母さん、酒呑童子さん!」

 

う、うーん?感じる妖気からして、あの親子は酒呑童子の知り合い?もしくは、椿が修行先で出会った妖怪さんか?

 

「あっ、酒呑童子さん!それに、菜々子ちゃんと山姥さんも!」

 

「お〜う!椿、ご苦労さん。そんで、愛しの恋人とチュッチュは出来たの――」

 

「「天誅!!」」

 

「かはぁ!?」

 

おぅ、小さい子がいる目の前でチュッチュだの何だの言うの止めろ!

 

尻尾ハンマーした椿と一緒になって、稲妻雷霆蹴を腹にブチ込まれただけマシだと思えっつ〜の、酔っ払いロリコン変態鬼め。

 

『つ、椿に綾よ・・・2人共、妖術を発動するのが早くなっていないか?』

 

『ま、待て。こ、これは・・・俺達も、油断出来ないぞ。過度なスキンシップは控えるか・・・』

 

『いや黒狐、それでは綾に・・・うぐぐ』

 

おぉう?なんでか狐2人まで、今の私と椿が一瞬で妖術を発動したのを見てビビっちゃってるぞ?

 

普通なら"妖異顕現"を発動前に言わないと、妖気が安定しなくて不発どころか暴発する可能性があるらしい。因みに、その最も良い例が毎回格好付けて失敗してる楓だったり・・・。

 

でも、私も椿と同じく猛特訓の成果として"神妖の妖気"を安定させられるようになり、そのオマケ的に簡単な発動方式の妖術なら今みたく一瞬で使えるようになったのだ!

 

「ふふ〜ん・・・白狐さん黒狐さん、どうですか?これが僕の、特訓の成果です」

 

「ふっふっふ!今までみたく椿を取ろうとしても、そう簡単にはいかないからね?」

 

狐2人がビックリしている所を見ると、私も"してやったぜ"って気持ちになってテンションが上がってきそうだよ。それに、椿と同じくらい強くなってきているという実感も湧いて最高の気分だ。

 

これなら、もっと皆の役に立てる・・・!

 

『うむ、良く頑張ったな。椿よ』

 

『それでこそ、俺の自慢の嫁だ』

 

『黒狐よ、我のだと言っておるだろうが』

 

って、あれ?おーい、狐のお2人さ〜ん?私、私も頑張ったよ〜?ちょっとは褒めても良いんじゃないかな〜?

ま、いっか。全くもう、2人して相変わらず椿大好き過ぎなんだから・・・。

 

「ふぎゅっ!?えっ、ちょっと?く、苦しいです〜」

 

な〜んて思ってたら、椿が白狐さんと黒狐さんに挟まれるように抱っこされてたんですが。賀茂様が見ている前だっつ〜のに何やってんだ。

 

『しかし、あんまり無茶な頑張りはよせ。ほら、手なんかカサカサではないか。傷も良く見たら、幾つか・・・』

 

『むぅ・・・肉付きが良くなっているが、少し筋肉もついているのか?』

 

そして、2人の椿に対する過保護っぷりが物凄い件について。どれだけ白狐さんも黒狐さんも会いたかったんだか、こんなに細かい事まで心配して〜。

 

「ふやっ!?ちょっと白狐さん!指舐めないで!何しているんですか!?」

 

『何って?消毒に決まっとろ――おっとぉ!?』

 

「ほぉう・・・言って5分と経たない内にコレか〜。私を差し置いて2人で椿を独占すんな〜!!」

 

『『「あ、綾(ちゃん)!?」』』

 

こっちが何も言わなきゃイチャイチャイチャイチャって!私だって、狐2人みたく椿とイチャイチャしたいんじゃ〜!

 

「へぇ〜その3人が椿お姉ちゃんの彼氏さん?こんなイケメンな人達をゲットするなんて、凄〜い!」

 

「菜々子ちゃん!?」

 

えっ、私も椿の彼氏扱いされてるの?よっしゃ、やった〜!・・・じゃなくて、スッカリ酒呑童子と一緒に来ていた親子の事を忘れてたわ。

 

「そういや椿、この子と向こうの女の人は?」

 

「あっ、酒呑童子さんの隠れ家近くにある、小さな集落に住んでいた山姥の娘さんです」

 

「菜々子です。宜しくお願いします、皆さん。まだ、生まれて9年しか経っていないけれど、これからお世話になります」

 

椿がそう言うと、菜々子と呼ばれた女の子はペコリと私達にお辞儀をしてくる。

なんというか、9歳にしては随分シッカリしてる子だな・・・それだけ、母親の山姥さんの教育が良いのかもしれないね。良い事だ、良い事だ。

 

『何だ、椿。また妹分を作ったのか?』

 

「"また"とか言わないでください、黒狐さん。楓ちゃんもそうだけど、勝手に懐かれるんです。でも楓ちゃんって、よくよく考えると綾ちゃんの方に懐いていない?」

 

「あ〜そういえば、確かに・・・椿が半年も家に居なかったのもあるんじゃない?私は、別に嫌な気分じゃないけど」

 

「ふふ、僕も同じだよ」

 

そうして椿や狐2人と和気あいあいに笑い合っていると、賀茂様がコホンと少し大きな咳払いをしてくる。

 

「さて、そろそろお主らは帰るのかの?ならば椿と綾よ、少し此方へ来い」

 

「あっ、はい」

「は、はい・・・」

 

何なんだろうか、一体?私達、実は知らない内に賀茂様にヤバい事やらかして――ました。うん、思いっきり放置して和気あいあいとしてたわ。

何時いきなり怒鳴られるのかとドキドキして、冷や汗が出てきちゃうな・・・。

 

「お主ら、神刀と神甲を持っているだろう?1度、出してくれんか?」

 

「え?・・・はい」

「まぁ・・・コレです」

 

と思ってたら、賀茂様は意外な事を言ってきた。

御剱と麒麟甲は確か、両方とも椿と私で別々な所で別な神様から貰った代物だし、何をするつもりなんだろう・・・?

 

そんな事を考えながら私達がそれを出したもんだから、賀茂様も苦笑いしちゃっていたよ。

 

「2人共、そんなに心配せずとも大丈夫じゃ。少し、その神刀と神甲に私の加護を与えるだけじゃ。無駄な心配はせずとも、ちゃんとその辺りは考えておる。それにだ、他の神が作った物に手を加えた所で、その神が怒ったりなどはせん」

 

「「そ、そうなんですか・・・」」

 

神様って、案外私達の思っているより心が広いんだな〜・・・むしろ、私達と同じ尺度で測っちゃった事が恥ずかしく思えてくるぞ。

 

それはさておき、私も自分の麒麟甲を椿と同じように賀茂様へ横にして差し出した。

 

「うむ、どちらも良い武器じゃな。それに両方とも、まだ未完成の状態じゃの。お主らの力を、ただ安定させとるだけのようじゃ。面白いのぉ、私が最初の1人か。ふふ・・・」

 

「へっ?未完成って、どういう意味ですか?」

 

「あぁ綾、この武器はな・・・お主らが、お主ら自身の"神妖の妖気"を操れるようになれば、その真の姿を現す。なに、私は少しだけ武器の性能を底上げしたものだと考えてくれれば良い」

 

そして、そう言った賀茂様が御剱と麒麟甲に手をかざして何かの呪文みたいな言葉を唱えると、賀茂様の手から淡い光が出て、私達の武器を包み込む。

 

どうやら、あの光が賀茂様の加護らしい。

 

「よし、終わったぞ。ほれ、2人共」

 

「わわっ、と・・・あ、ありがとうございます!」

「あっ、ありがとうございます」

 

「私を助けてくれた礼だ。それに・・・だな。その・・・いつでも遊びに来ても良いぞ、椿。今度はゆっくりと話をしよう」

 

「うん、分かりました。また機会があれば、綾ちゃんと一緒に遊びに来ますね」

 

「う、うむ!しかし、白狐と黒狐が嫁にしたがるのも良く分かる。私も、このような嫁が欲しいのぅ」

 

おや、賀茂様の様子が・・・?

いやいや、まだ椿にホの字があると決まった訳じゃないでしょうし、きっと大丈夫大丈夫。

 

「ほれ、旦那達を待たしとるぞ椿。私はいつでも、この神社の本殿におるからな。待っとるぞ」

 

その賀茂様の言葉に椿は顔を赤らめて恥ずかしがっているけど、そこから更に衝撃的な言葉がすっ飛んで来る。

 

「ふふ、真っ赤になって可愛いものだ。あの2人に愛想を尽かしたら、いつでも私の所に来い」

 

「ぶっ!?」

 

やっぱりか☆

 

おのれ〜椿に向けられる矢印が皆ラブに向いてる気がするんだけど!どうしてこうも、アチコチで私の恋のライバルばかり増えるかな〜!?

 

「へっ?えっ・・・いや、それはどういう・・・」

 

「ほれ、早よう行かんか。皆、待ちくたびれとるぞ」

 

あっ、でも賀茂様の反応からすると結構奥手っぽい。それに椿も狐2人や私の顔をチラチラ見ながら恥ずかしがっているし――なんて思ってたら、あの子いきなり白狐さんの土手っ腹に突っ込んでいったわ〜。

 

『ぐほぉ!ど、どうした椿よ!?』

 

「い、良いから!皆、早く帰りますよ!」

 

あらヤダ大胆、椿ったら。こんなに色んな人から愛情ラブを向けられていると綾ちゃん、ちょっと嫉妬しちゃいそうですわ。

 

うぅ〜・・・もっと私も狐2人みたく大胆にアプローチしなきゃ駄目なのかな?

 

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