私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第陀話 めちゃくちゃ妖怪センターがヤバい事になってるんですけど!?

 

椿が里子に引きずられるのを見ながら皆と一緒に大広間へ入った私は、そこから里子と一緒に皆の料理を並べて昼飯の準備を整える。

 

因みに椿の首へ掛けられた首輪は、彼女が"何でもする"的な懇願をして何とか外してもらっていたよ。でも、里子相手に"何でも"は色んな意味で危ないと思うけどな〜・・・美亜に下僕なセリフを言わされたり、果てには土下座した私がツッコめる義理じゃないけどさ。

 

なんて考えていたら、大広間へ何時復活したのかレイちゃんも飛び込んで来て私と椿の顔へ交互にダイブするように引っ付いてくる。

 

「キュゥゥ!!」

 

「わぶっ!?レ、レイちゃん勢い良すぎ!!」

 

「うぐ・・・レイちゃん、無事で良かったけど!前が見えませんよ〜!」

 

さっきレイちゃんの気配がしたから無事だとは思っていたけど、まさかここまで元気になってるなんてね。

だけど、何故かレイちゃんの身体は私達と出会った直後の時くらいまで小さくなってしまっていた。

 

『全く、そいつはご主人達の大切なものを必死で守っとるようじゃな。我らが意識を取り戻せたのも、その霊狐のお陰じゃ』

 

「「えっ?レイちゃんが・・・?」」

 

『あぁ、そいつの方が先に起きていたらしくてな。必死に周りの妖怪霊から霊気と妖気を同時に集めて、俺と白狐に注いでくれていたようだ』

 

「そうだったんですか・・・」

「そっか、レイちゃんが頑張ってくれたんだ・・・」

 

それを狐2人から聞いた私と椿は、レイちゃんの頭を優しく沢山撫でてあげる。すると、レイちゃんはそれに凄く喜んで更に私達の顔をペロペロと舐めてくる。

 

「うぷっ・・・くすぐったいよ」

「みぶぶ、もう・・・レイちゃんったら」

 

「さて・・・椿に綾よ。帰って早々で悪いが、お前さん達には現状で説明せねばならん事がある」

 

「「えっ、何ですか?」」

 

椿の爺さんの言葉に、私と椿はレイちゃんを撫でながら顔を向けると――

 

「椿様、綾様。それは、私の方から説明致します」

 

「うわっ・・・って。その執事服を着た蛇、もしかして!」

「えっと、セバスチャンさん?」

 

「ヘビスチャンです」

 

そう言って私の肩の後ろからスルリと出てきたヘビスチャンさんは、一瞬で小さな蛇の姿から見た事のある執事服の姿に変身した。

それにしても、この人に会うのが久しぶりだから、私も椿もウッカリ名前を間違えちゃったよ・・・。

 

「それで、どうしてヘビスチャンさんが此処に?」

 

「ヘビスチャンで宜しいですよ、綾様。実は非常に言い難い事なのですが・・・妖怪センターの内部改革が行われ、昔から居た我々全員が解雇となってしまったのです」

 

「えっ・・・!」

「はぁ!?」

 

おい?おいおいおいおい?それって、まさかセンターが襲われたから、戦力が低いと亰嗟に甘く見られてると感じて一気に見直す事にした感じか!?それにしては昔からの人員すら全員解雇なんて、色々ヤバい事になりそうなんだけど・・・主に仕事の引き継ぎとか。

 

「ヘビスチャンさん、待ってください。妖怪センターが新しくなったって事?それだと、今までに溜まっていた仕事はどうなっているんですか?」

 

「椿様、その辺りはセンター長だった達磨百足さんが、センター総入れ替えの期限に間に合うよう急ピッチで全て片付けたようです」

 

「わお、マジですか。それなら、ライセンスとかの方は大丈夫そうだね。もう1回取り直しになったら面倒そうだもん」

 

だけど、その言葉の直後にヘビスチャンさんは、私達へ申し訳無さそうな顔を浮かべてくる。

 

「ですが、そのセンター長も今は別な方に替えられてしまい、達磨百足様も最後の引き継ぎ作業が終わったと同時に・・・」

 

「うわぁ・・・嘘だろ」

 

「それじゃあ、達磨百足さんは今どこに?」

 

それを聞いた椿が不安そうな表情になると、彼女の爺さんが"心配するな"と言わんばかりに腕を組んで頷いた。

 

「此処に居候しとる。奴程の手腕を路頭に迷わせる訳にもいかんし、何より儂の友人じゃ。しかし、本来なら10数人も必要になるだけの重労働を1人でこなしたからか、今は全ての腕が筋肉痛で動かせなくなった上、職を失ったショックから部屋に引きこもっとるわ」

 

「それは・・・ソッとしておいた方が良さそうですね」

 

ホッと椿が安堵の息を洩らすけど、矢継ぎ早に今度は白狐さんが困った様子で話し始める。

 

『そして・・・もう一つ問題なのが、我と黒狐のライセンスの事じゃ』

 

「へっ?そっちの狐2人にも?」

 

『そうだ、綾。俺達は分類上、特定の場所を離れる事が出来ない守り神だ。一応は妖怪としても見られる事もあるが、基本的には神社で人々を見守る存在。そこを翁と達磨百足が特別配慮等をしてくれて、ライセンスを取れたんだが・・・』

 

『だが、今回新しく就任したセンター長は"そういうの"が嫌いらしくてな。"制度は制度、規律は規律"と、かなり厳しくしてくる奴らしい。お陰で、我らのライセンスが剥奪されたのだ』

 

すると、狐2人の言葉に椿はビックリした顔になる。いやホント、私も椿も次から次に心臓が持たないような話題を、こんな勢い良く連発しないで欲しいんですが。

 

「え~!?でも、ちょっと待って下さい!それじゃあ、今回の妖魔退治は何で行っていたんですか? ライセンスが無かったら、任務なんて出来ないでしょう?」

 

「それがの・・・どうも、新しい妖怪センターの評判が良くなくてな。今までは、お互いに利があって悪事では無い事ならば、内々で済ませていた事を、それすら駄目と言いだしとる。あれも駄目、これも駄目。そんな風にがんじがらめにされては、妖怪達も自由に動けん」

 

「なるほど、よ〜く分かりましたよ椿の爺さん」

 

結構寛大な、この人でもめちゃくちゃデカいため息ついてるもん。そりゃ、新妖怪センターがどんな面倒な感じになっているか大体予想がつくってモンですよ。

 

「更には、"任務を受けていない状態で妖怪退治をするな"と言う、新しいルールまでも設けたのじゃ。つまり、目の前で悪さをする妖怪を見つけて退治をしても、任務を受けていない状態では罰則を受けさせられるんじゃ」

 

「「はい〜!?」」

 

いやいやいやいや!それは流石にヤバいって!!

そんな何時何処で起こるか分からない妖怪の事件を任務受けてなきゃ駄目だとか、一昔前の警察じゃね〜んですから・・・ホント、訳分からんぞ。

 

「それでな・・・その依頼や任務の受け取りもセンターが厳しく審査し始め、それが通るのに時間がかかりまくっとる。そこで、急を要する依頼や任務等は全部こっちに回って来とるんじゃぁあ!!」

 

そう言った椿の爺さんは後ろの襖を開け、半ばヤケクソ気味に大量の書類で出来たエベレストを大広間へドカッと出してきた。

 

「あの・・・なんでこっちに?」

 

「それは此方の方がスピーディーですし、実績も申し分ない。何より、前のセンターで働いていた職員も全て、此方に居候させて貰っております。それを・・・何処からか嗅ぎつけて来たんでしょうね。多くの方から泣きながら頼まれたら、断れませんよ。おかげで一級ライセンス持ちの妖怪達は此方からの依頼殺到で、てんてこ舞いのてんやわんやです」

 

笑顔が引きつってる椿の言葉に、ヘビスチャンさんが困り果てた様子で首を横に振ってくる。

 

うん、何となく嫌な予感はシテタンダヨ。

 

そんな一級ライセンス持ちの人達でも捌けないレベルに、依頼も積もり積もってしまうくらい頼りにされてるのは良かったけど・・・コレ、新しい妖怪センターの連中から目を付けられたら大変な事になりそうだぞ。

それに、何か皆さん隠してますよね?

 

「椿の爺さん。それ、新しい妖怪センターが良しとは思わないでしょう?それに1つツッコませてもらうけど、皆は何を警戒しているの?」

 

「そういえば、確かに・・・さっき、おじいちゃんは僕がウッカリ屋根を切った時に『亰嗟の襲撃か!?』って、そう言っていたよね」

 

「う・・・うむ。その・・・ここからが最悪の事態なのじゃが・・・」

 

あっ、椿の爺さんが物凄く気まずそうな顔してる。こういう時って大体、絶対ロクでもない事になってるパターンだ。

 

「新しいセンターのあまりの評判の悪さに、新任のセンター長が組織力を高めようと"ある組織"と手を組んだのじゃ」

 

「まさか・・・」

 

「さよう、亰嗟じゃ」

 

「はぁぁぁああ!?」

 

ハイ、見事的中ってモンじゃ済まないくらいに最悪なパターンだったわ!!というか、私と椿が知らない間にめちゃくちゃ妖怪センターがヤバい事になってるんですけど!?

 

「じゃあ、皆が警戒しているのって・・・」

 

椿も頭をクラっとさせながら大きなため息をつく。うん、その気持ちは凄〜く分かる。私がドン引きしたシャウトしちゃったレベルだもん。

 

「そうじゃ、椿。奴らは我々を反乱因子とし、その亰嗟と協力して此処を潰しにかかっとるんじゃ」

 

「えっ。そうなると、私が提案した美亜の呪術トラップは・・・まさか」

 

「すまんな、綾。お前さんには"妖魔へ対するセキュリティ"と言っておったが、実際は連中に対する物だったんじゃよ」

 

なるほど、そういう事でしたか。

何にせよ敵が増えた事に変わりはないんだし、これからは何をどうすれば良いのか混乱してきちゃいそうだよ。

 

「皆~!堅苦しい話はここまでにして、お昼ご飯にしよう~!もう準備出来たよ!」

 

「むっ、そうじゃな。ひとまず重い話はここまでにして、椿が帰ってきた祝いでもするかの」

 

「「「「お~!!」」」」

 

なーんて考えていたら、いつの間にか皆が私と椿の周りに集まっていたよ。

 

「えっ、いきなり何だ?」

 

「何?どうしたんですか!?」

 

そして、皆の期待するような眼差しが向けられたかと思うと――

 

「期待しているぞ、椿!綾!」

 

「2人共、修行の成果をしっかりと見せて頂戴ね」

 

「私達も頑張るけれど。椿ちゃんも綾ちゃんも、頼りにしているからね!」

 

なんと、皆で一斉に私達を褒めてきたのだ!

な、なんだなんだ?そんな皆でワッとくるなんて、私と椿がどれだけ好きなんだ!?

 

「へっへっ~!どうや、凄いやろう!?コレが妖狐の椿、霊能力者の綾・・・その2人の新たな力って訳や!いやぁ、鳥肌たったで!」

 

と思っていたら、浮遊丸が私達の上賀茂神社での戦いを、プロジェクターよろしく壁に映し出していたからだったみたいだね。

いやぁ、相変わらず気付かない内に見事な戦闘シーンを撮れてます事・・・。

 

「さぁ、そしてこれが~メインディッシュや!  修行中の椿ちゃんの、癒やしの水浴びーーべぼろぁあ!!」

 

うん、知ってた☆

 

最近は私が隠し撮りされたりしないせいで、コイツのスケベ根性がとんでもないのをスッカリ忘れてたわ!

 

それにしても・・・うわぁ、椿の拳が怖いよ。1発で浮遊丸が全身ごと壁にめり込んじゃってるぞ。

 

「あそこにまで来ていたんですか!おじいちゃん、シッカリ捕まえていて下さいよ!」

 

「いや・・・す、済まぬ・・・いつ脱走しとったのか。こやつ、その辺りのスキルまで上がっとる・・・いっそ封じるか」

 

「でも、何か勿体なかったな〜・・・」

 

「綾ちゃん――何・か・言・い・ま・し・た・?」

 

「いえ!何も!!」

 

アカン。この子、めちゃくちゃラッキースケベに対する精神耐性も強くなってる。今後は私も下手な事を言ったら浮遊丸みたいにブッ飛ばされるのかな・・・こういう話をポツリと呟くのとか止めとこ。

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