私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾弐話 再三となる閃空との戦い

 

椿の術式吸収からの解放で敵のレーザーを跳ね返したらエラい事になってしまい、私と椿は慌てて街の状況を確認する。

 

「うげっ、なんつー破壊力なんだよ・・・」

 

「わぁ・・・隕石が堕ちたみたい・・・」

 

屋上から見下ろした先には巨大なクレーターが出来上がってしまっていて、あそこに街があったかすら怪しい程だ。それに、あの爆発じゃ妖魔どころか他の妖怪達も巻き込んじゃったんじゃ・・・。

 

「椿様も綾様も、そこまで心配しなくとも大丈夫です。あの辺りには妖魔が固まっていて、他の妖怪は誰1人として近づけずにいました。住人の避難も完了していますし、恐らく誰も殺してはいないと思いますよ。ただ、今の攻撃による衝撃で周辺の妖怪達が怪我をした可能性はありますがね」

 

「「どっちにしても、ごめんなさい・・・」」

 

妖魔については、ロボットとかみたく自分の意思を失って、必ず人間や妖怪の命を脅かす程の危険がある為にセンターから殺害許可が出ていたのは知っている。

 

そんな奴らでも、私は無闇に命を奪う事を躊躇っていたせいで、自分が殺されかけたり大切な人を喪う事になってしまった。

 

それでも、どんな敵が相手でも少しは救おうとする椿の助けであり続けたい。

そこで割り切ってしまうようになれば、きっと私は取り返しのつかない"何か"をしてしまいそうな気がしたのだ。

 

ふと、そんな事を考え込んでしまったものの、私は椿と共に4つ子が居た部屋へ戻る。

 

「椿様、綾様!大丈夫ですか!?先程の衝撃で、怪我をしてはいませんか!?それに、その綾様の姿は・・・」

 

「大丈夫ですよ、玄葉さん。ただ、ちょっとやり過ぎちゃいました」

 

「うん、私も大丈夫だよ。この新しい儀礼衣装"悲愴天・玄武"の防御力のお陰で、何処も怪我していません。とりあえず、これで狙撃される心配は無くなったかな」

 

部屋に入るなり、白狐さんの治癒で回復した玄葉さんがゆっくり立ち上がって私達の方へ歩いてきた。でも、朱雀さんがさっき何があったのかを玄葉さんに説明すると、龍花さんが少し怒った様子で私達の方を見てくる。

 

「なるほど・・・ですが、椿様に綾様。強くなられたのは良いですが、少しは戦略の事も考えましょうか」

 

うぐ、そんな怒りながら呆れなくても。

敵は一掃した訳なんだし、此処に攻め込まれる心配は無いと思う――

 

「良いですか、すぐに戦闘準備をしてください。敵が総力を結集させ、此処に突撃してきます!」

 

「はぁ!?何でだよ龍花さん!何か私達、見つかるような事やらかし・・・あっ」

 

「綾様、やっと気付きましたか?それと椿様も、気付いているのなら目を逸らさないでください」

 

「き、気付いていないよ。うん、ボクナニモキヅイテイナイデスヨ」

 

あんな極太レーザーを派手に防御しながら吸収して跳ね返してたら、そりゃあ敵側からも私達の居所はバレバレになりますよね。

 

その事に気付いてしまった私はアバババ・・・と目を泳がせまくってしまい、椿も見た目が完全に気付いた事を隠してる風に口笛を吹き出してしまっているよ。

 

「わざとらしく口笛も吹かない!椿様も綾様も、あの悪鬼共からは強くなる事しか修行されていないんですか!?せめて、そのおつむも少しは賢くしておいてもらえれば完璧でしたのにね〜!」

 

「いべべべ!ほっへひっはんはいへ〜!(ほっぺ引っ張んないで〜!)」

「いふぁい、いふぁい!ふかはん、ほへんなはい!(痛い、痛い!龍花さん、ごめんなさい!)」

 

2人して龍花さんに頬を抓られてしまっていると、さっきの1つ目妖怪が再び慌てた様子で部屋に飛び込んで来る。

 

「敵だ〜!!妖魔が、大量の妖魔が迫ってきた!!」

 

「嘘!?もうかよ!!あ〜でも、周りに結構いたような気もするし・・・やるしかないね!」

 

「うん、綾ちゃん!龍花さん、これも僕達が対応するので、このマンションの守りはお願いします!」

 

『椿に綾、待て。流石にお前ら2人だけではマズい』

 

そう心配する黒狐さんの声に、椿は大丈夫だと自信を込めた表情で頷いてから、そのまま白い勾玉を使って白狐さんに連絡を取り始めた。

 

「白狐さん、今外に居るんですか?そっちの状況は?」

 

『椿か?いや、少しマズいな。他の妖怪達と共に戦っているが、いかんせん数が多くてな。我はまだ、怪我をした者の治癒をせねばならぬ。すまんが、龍花達に言って――』

 

「大丈夫です。そっちの敵の対処は、僕と綾ちゃんが請け負います」

 

『なっ、椿!?いかん!それで先程のような事にっては、また怪我人が出るわ!』

 

だけど案の定というか、椿は白狐さんからお叱りの言葉を貰ってしまう。それなのに、なんでか椿は少し嬉しそうな表情をしながら、白狐さんへ優しい声で返事を返した。

 

「ありがとう、白狐さん。僕の事、ちゃんと怒ってくれて。でも、今度は大丈夫です。綾ちゃんの新しい力もあるし、しっかりと次の事を考えていますよ」

 

『ぬっ・・・しかし』

 

すると、そう言って椿は白狐さんとの通話を一旦切り、マンションの外へ出ながら巾着袋から御剱を取り出す。

 

「えっ・・・椿、何を・・・?」

 

『椿!せめて、我か黒狐のどちらかを・・・』

 

マンションの目の前に溢れる妖魔の群れへ進んでいく椿を見て、私も白狐さんも心配で緊張感が頂点に達する。

 

「綾ちゃん、白狐さん、大丈夫です。僕は・・・"私"はもう、あの時とは違いますから」

 

でも、その瞬間――椿が御剱に"神妖の力"を込めて、あの長い金髪に姿を変えたのだ。

 

『なぬ!?つ、椿・・・その姿は!』

 

『うぉ!椿、その長髪の金髪は・・・まさか、"神妖の力"を全開にしたのか!?』

 

「そんな、椿・・・それは危ないって!」

 

私と狐2人は不安の声をあげるけれど、椿はクルッと振り返って何事もないような朗らかな笑みを浮かべて見せた。

 

「白狐さんも黒狐さんも、そして綾ちゃんも心配しないでください。私はもう、ただ"負なる者"を滅ぼすだけの、危ない存在じゃないですよ」

 

『なっ!?』

『ぬ、ぬぅ・・・しかし』

 

「つ、椿?今のそれは暴走、してないんだよね?」

 

「はい、そうです。それと白狐さん黒狐さん・・・2人共ちょっと、だらしなく口を開けすぎです」

 

椿はそう言うけどさ・・・そりゃ、私だって狐2人と同じくらいにはアングリしてる状態だぞ。

だけど、その口調と"神妖の力"が安定しているのに、こうして私達の事を案じてくれている所を見ると、どうやら椿は上手い事自分の力を制御出来るようになっているみたいだね。

 

「さて・・・この状態。以前にも増して力が強くなり、とても安定しています。それに何より、気分が良いです――それっ」

 

そして椿がそう言った後に御剱を前方に振るうと、それだけでマンションの前へ集まってきていた妖魔達だけを全て一掃してしまったよ。

 

『なっ・・・あ・・・』

 

『つ、椿。それも、修行の成果か?』

 

それを見た狐2人や龍花さん達、街の妖怪達は皆一様に目を丸くして呆然とする。

椿は、そんな皆の反応に首を傾げてキョトンとしながらも、上手くいったような表情をしながら私の方を向いた。

 

「椿・・・今のは?」

 

「どうかな、皆?これなら、何とかなると思いませんか?」

 

その椿の言葉に一瞬言葉を失いかけた時、龍花さんが彼女の上の方を指差して叫んだ。

 

「いや、椿様!う、上を!!」

 

「椿、危ない!妖異顕現、緊急祭繰龍【巻盾】!!」

 

「ん〜?おっと!ありがとう、綾ちゃん!」

 

その途端に飛んできた斬撃の影を見た私は、即座に風の妖術で作った盾を展開して、上からの奇襲から椿を守って前に出る。

 

すると、今度は私達の前に影が円形に固まって、そこから見覚えのある――いや、忘れる事すらない妖魔人の1人が姿を現した。

 

「まさか、お前が直々に出てくるとは思ってなかったよ――閃空!」

 

「ふん、当然だ!僕達のトップ、亜里砂様が狙っている妖狐、そして妖気を扱える人間。そいつら2人がすぐ近くにやって来たとなれば、速攻で捕まえに行くに決まってるだろう!」

 

そして、閃空は私達に人差し指を突き出してくる。

 

「2人して半年間も雲隠れしやがって・・・だ〜けど〜、やぁ〜っと出て来てくれたな〜!さぁ、とっとと捕まえてやるぞ!!」

 

閃空は、そのまま自分の影から例の球体を呼び出して飛び乗った。でも、奴の妖気は前の時から全くと言って良い程に変わっていない。

 

自分の力に余程自信があるのか、それとも――

 

「ただ籠もってた訳ないだろ!私達が何をしていたのか、すぐ教えてやるよ!!」

 

「さぁ、負なる者。私が滅してあげましょう!」

 

私と椿は各々に閃空へと武器を構えた。

 

向こうは速攻で捕まえるだ何だと言っているけれど、今の妖気で私は"油断しなければ勝てる"と確信した。

 

再三となる閃空との戦い・・・今度こそ、ここでケリをつけてやる。

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