私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾陸話 チームのリーダーは・・・うん、こりゃ決まりですわ

 

その日の内に爺さんから半分いきなり気味にチーム結成となっちゃった私達は、とりあえず風呂に入りながら今後の連携とかをどうするかを話し合う事になったよ。

 

そうして脱衣場の襖を開くと――

 

「ぎゃぁぁあ!!なんやコレ!蔦が、蔦がぁ〜!!」

 

うん、こんな所で何やってんだ浮遊丸は・・・なんて言うと思ったか!

 

封印された牢に閉じ込められるくらい変態行為やらかしてるのに、何でこんな執念だけで覗きをしようと出て来れるんだよ!

 

「コイツ、もう完全に封印しといた方が良いんじゃないか?」

 

「そうだね、綾ちゃん。もしくは・・・浮遊丸さん。今度覗きをしたら、私が滅しますよ」

 

「は、はひ〜・・・」

 

「うんうん、分かればよろしい」

 

今回ばかりはという事で、椿と私は少し"神妖の力"を解放した姿になって、この変態妖怪に釘を刺しておく。むしろ本当に1本くらい刺そうかって気もしたけど・・・今日の私は淑女的だ、運が良かったな。

 

すると、そんな私と椿の姿を見たからか、皆はビックリした表情をしている。

 

「椿ちゃん、綾ちゃん・・・その状態、大丈夫なの?」

 

「ん?あっ、ごめんごめん。大丈夫だよ、里子ちゃん」

 

「あの変態妖怪を脅す為だけに力を解放しちゃって、余計な心配させちゃったね」

 

そう言って"神妖の力"を抑えて元通りになった私達の所へ、今度は髪を洗い終えた美亜がやって来た。

 

「まぁ、2人にはそれだけ強くなって貰わないとね。そうじゃなきゃ、私とチームを組む資格なんて無いわよ」

 

「・・・美亜だって、嬉しいくせに」

 

「あら、雪。何か言ったかしら?」

 

うっわぁ、バチバチと湯船で視線の火花を散らさないでもらえませんか、2人共?

 

それから私達も身体を洗い終えて湯船に浸かると、雪と火花を散らしていた美亜がこっちに振り向いた。

 

「ふぅ・・・で、椿。どうするのよ?」

 

「どうするって、何をですか?」

 

「チームで動くのなら、それを纏められるリーダーが必要でしょ?」

 

「あっ、そういう事でしたか」

 

「なるほど、そっちか〜。てっきり私は、美亜がチームで動くのは嫌だとか言うもんだと思ってたけど・・・って、皆は何で驚いてるのさ?」

 

まさか皆、チームのリーダーを決めずに行動するつもりだったのか?

 

そりゃあ、今決める事じゃない話かもしれないのは確かだけど、これからは集団で動くようになるんだよ。そうなると、結局は状況を分析して的確に他の人へ指示を出せる役割、すなわちリーダーが必要になってくるぞ。

 

個別でバラバラに行動していたら、それこそ連携が取れなくて危険になる可能性は高いんだ。

 

「それで、チームのリーダーは・・・うん、こりゃ決まりですわ」

 

「え?えっ?何で皆、僕の方を見ているんですか?」

 

「す、すいません。自分、椿姉さんがやるもんだと思っていました」

 

「あっ、私も」

 

「同じく」

 

「私は当然、椿ちゃんのペットだから従順に言う事を聞くだけです!」

 

「ちょっ・・・皆そう思っていたの!?そ、それなら綾ちゃんは?」

 

「いや、私も椿がリーダーやるのには大賛成だけど」

 

「スンナリ受け入れないでよ〜!」

 

そんなビックリされましてもねぇ・・・楓は幼い上に腕も未熟だし、雪も修行で強くなったとはいえ半妖だから下手に無茶はさせられないし、わら子は私や椿よりライセンスが上だけど「危ない事をさせるな」って守護の4つ子から猛反対されそうだし。

 

スタンドプレーが多い私なんか、多分1番リーダーには向いてないと思うわ。どう考えたって、ついつい先走って1人で突っ込んで暴れそうな感じになりそうだもん。

 

そうなると、後は椿か美亜がリーダーに向いている訳なんだけど・・・そこで美亜が少しむくれた様子で反論してきた。

 

「ふん、アンタら分かってないわね。こんな風に尻尾を掴まれて悶える子、リーダーなんか出来るの!?」

 

「んっ・・・!///」

 

挑発気味に美亜は、左手で椿の尻尾をギュッと掴んだけれど、椿は少しくすぐったさそうな顔をしながらも我慢する。

 

「あ、あら?」

 

「ふ・・・ふふ〜ん。流石にそんな弱点、残しておく訳が無いでしょう?それに、美亜ちゃんの方だって尻尾は弱いクセに〜!」

 

すると、椿はそのまま美亜の尻尾を掴んで反撃していたよ。その顔が少し可愛いと思った事は口には出さないでおこうっと。雪や里子と同じように変な方向へLOVEが向いちゃいそうだし。

 

「んにっ!?ふ、ふ〜んだ!わ、私だって自分の弱点くらい克服してるわよ!」

 

でも、美亜も美亜で耐える訓練をしていたのか、強めに尻尾を握られているのに結構余裕ありそうな表情をしているな・・・な〜んて思ってたら、わら子まで椿の尻尾を触り始めちゃったぞ。

 

「やっぱり椿ちゃんの尻尾って、どの妖狐さんよりもフワフワで、しかも水気も弾いていて凄い・・・久しぶりに触ったけれど、私は椿ちゃんの尻尾が1番だな〜」

 

「く、くぅ・・・そ、そんな事な、い!はぅぅ・・・」

 

「あ〜ら椿、どうしたの?やっぱりアンタ、その弱点は克服出来ていないんじゃないかしら?」

 

「というか、美亜ちゃんばっかりズルいです!綾ちゃん!それに楓ちゃん、里子ちゃん!美亜ちゃんの尻尾を弄ってあげてください!」

 

「あっはい、あらほらさっさー」

 

「了解っす!椿姉さん!」

「は〜い!椿ちゃんの言う事なら喜んで〜!」

 

「えっ?ちょっとアンタ達――ふにゃあ!?や、止めなさいよ、こらぁ!!」

 

でもまぁ、触っても2人共減るもんじゃないし尻尾くらいは触って良いと思うけどな〜。

とはいえ、これだと3対2で椿と美亜の尻尾我慢比べは人数的にどっこいどっこいじゃない――かと思いきや、今度は雪も椿の尻尾へ向かっているぞ。

 

「私は、椿の尻尾が良い。椿の方に一票って事で、触らせて」

 

「そういうのでリーダーを決めているんじゃないです!あうっ!?待って、わら子ちゃん雪ちゃん・・・その弄り方は駄目――ひゃんっ!」

 

おおぅ・・・わら子も雪も椿の尻尾の触り方が何となくイヤラシイんですけど?手で輪っかを作って上下にサスサスというか、それは一部の人を興奮させてしまいそうな動きなんですが?

 

「ふ、ふふ・・・どうしたのよ、椿。悶えているんじゃないの?」

 

「ん〜羨ましいっす!やっぱり自分も、椿姉さんの尻尾を触りたいっす!椿姉さんの尻尾に一票〜!」

 

「だから、そういうのじゃな〜い!って、里子ちゃんまで何時の間に僕の方へ!?」

 

「えへへへへ〜言う事を聞いたご褒美〜」

 

そしてシレッと楓も里子も裏切るんじゃない!

 

うぅ〜ん、こうなったら私も一緒に椿の尻尾を・・・はい、スイマセンでした。

めちゃくちゃ怒ってる目で私の方を睨まないで椿!

ちょっとでも裏切ろうと思っただけなのに何でこう、椿に心を読まれたみたいな反応されるかな〜?

 

「ふっふっふ、この程度で悶えるような子をリーダーには出来ないでしょ?そうなると、やっぱり私の方が――」

 

「んぅ、くっ・・・そ、それを言うなら却って、僕の方に皆が行くくらい、僕の尻尾が魅力的だと思うけど?はぁ、はぁ・・・だったら人望の厚い方が、くぅ・・・リーダーに、向いているんじゃないですか――きゃぅ!?」

 

「も、悶えながら、何言ってんのよ?皆、その子より私の方が頼りにな――」

 

「あの〜すいません、椿さんや美亜さんや。私以外、多分誰も聞いてないです」

 

2人共、尻尾を触られる事に我慢してばかりで気付いてないようだけど、皆めちゃくちゃ椿の尻尾に夢中なんですわ。

 

「はぁ、はぁ・・・椿ちゃんの尻尾、フサフサ〜」

 

「椿・・・今日こそは、一緒に寝よう?」

 

「はぁ〜何だか椿ちゃんの尻尾って、触っていると落ち着くんだよね〜」

 

「そういえば自分、椿姉さんの尻尾を初めて触るっすけど・・・か、感激っす〜こんなに触り心地が良いなんて・・・ぐすっ」

 

里子はアカン物でもキメてしまったようなトリップ状態みたくなっているわ、雪も雪で完全に椿の尻尾を抱き枕にしようとしているわ、わら子も自分が座敷童子なのを忘れているかのように幸せそうな顔をしているわ・・・楓に至っちゃ、あまりに感激し過ぎで涙を流し始めちゃったぞオイ。

 

「ちょっと!む、無視しないでよ・・・私の方が、私の方が・・・うぅ」

 

そんな皆の夢中ぶりに、それでも美亜は半泣きで猛抗議をしているよ。それを見て椿は更に慌てて皆を引きはがそうとするけど――

 

「ちょっと、皆・・・!流石に美亜ちゃんを無視するのは――ひぐっ!?」

 

「はぁ、はぁ、フサフサ尻尾〜♪」

「このまま尻尾を抱いて、椿ちゃんの温もりに包まれて寝たいなぁ・・・」

「確かに、眠くなってくる・・・」

「椿姉さんの尻尾、最高っす〜」

 

「うわぁ誰も聞いちゃいねぇ!!」

 

というか今思い出したけれど、確か椿が自分の事を知りたいからって一緒に妖狐について調べていた時、妖狐の種類によっては美しい尻尾を使って魅了するのも居たとか居なかったとか見たような気がするぞ。

 

もし、その妖狐の力が椿にもあるんだとしたら・・・

 

「椿、皆が尻尾に夢中になっているのってさ・・・まさか、修行で魅了する力も上がってたりするんじゃ?」

 

「えっ?それじゃあ・・・あわわわ!!今更、大変な事に気付いちゃった〜!皆、僕の尻尾から手を離して――というか、綾ちゃんも尻尾を掴まないでってば!!」

 

「へっ?うわぁ!い、いつの間に私まで触ってたぁ!?」

 

おいコレ想像以上にヤバいぞ!ずっと椿の近くに居てアレコレ耐性が付いてると思ってた私ですら、こうして無意識に触ってるなんて・・・恐ろしや、椿の尻尾の魅力。

 

「ぐす・・・私を無視しないでって言ってるでしょ!ズルいわよ・・・もう!椿の尻尾は私のよ〜!!」

 

「あ〜!!呪術の得意な美亜ちゃんまでぇ!」

 

「アレは私の物だ・・・私だけの物だ!椿の尻尾は渡さんっ!!」

 

「あ〜もう!お願いだから、皆離れてくださ〜い!!」

 

――結局その後、私達は皆して椿の尻尾争奪戦で熱中&風呂の熱気で逆上せてしまい、様子を見に来た氷雨さんに助けだされてから全員で説教を受ける事になってしまいましたとさ、チャンチャン。

 

・・・じゃないよ、もう!作戦会議も何もしてないし!


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