私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

289 / 390
第拾玖話 態度も電気もピリピリしてる新センター長だな、コイツ

 

まさか、任務が終わって帰って来たら新センターの連中にカチコミされてるなんて想定外だったけど、それだけ向こうは行動に移すのが早いのなら納得・・・って、それじゃあやってる事も含めてヤクザと大差ないじゃん!穏便な話し合いも無く攻撃なんて、今どきの日本じゃ見る事すら無いぞ!

 

何にせよ、今は上の方で暴れてる敵さん連中を撤退させる事に集中しないとね。

 

「綾、椿・・・!2人共それ、まさか・・・また暴走を?」

 

「そんな身構えなくても大丈夫だよ、雪。今の私達は正気だからさ」

 

「とりあえずは1回だけ、この力を使えるような状態です。それを使って、襲って来ている相手を撤退させます」

 

地下から上がってきた私達の姿を見て、先に戻って新センターの奴らと戦っていた、雪や楓を含めた皆が驚愕の眼差しを向けてきた。

 

それにしても、雪も楓も精一杯戦ってくれていたみたいだね。アチコチに足元を凍り付かせる氷の妖術の罠が張ってあるのが見えるし、家の壁やら地面やらに刺さってるのは楓の手裏剣で間違いないよ。

 

ここまで皆が足止めを頑張ってくれたんだ。

後は私と椿の一撃で敵を――

 

「これはこれは・・・誰かと思えば、最重要捕獲対象である椿さんと綾さんではないですか」

 

と思った瞬間。

 

今度は敵側の方から見覚えの無い、紫色の派手なスーツにサングラスをしていて、ボハッ!と四方八方に逆立ってるツンツンな髪型じゃなかったら、某六本木のポポポ〜♪と歌いそうな人と同じファッションをした変な男が姿を現す。

 

「知らない顔だな。お前みたいな奴、私がボコしてきた不良共には居なかったと思うけど」

 

「綾ちゃん、冗談を言ってる場合じゃないよ。貴方、誰ですか?」

 

「私は、雷獣と申します。この度、新たな妖怪センターの長として就任致しました。以後、お見知り置きを・・・」

 

そして、その雷獣と名乗った妖怪は丁寧なお辞儀をしてくる。そう自己紹介してきたって事はつまり、奴が新しいセンター長と言ってるのも同然と受け取って良いんだよな。

 

センターが亰嗟と組んだりした事についてとか、あのね〇み先輩モドキには色々と聞きたい事が山ほどある――

 

「綾ちゃん、ネタ的に危ない事を考えるのは止めてね」

 

「口にも出てないのに、何で分かったのさ」

 

「まぁ、綾ちゃんとだって付き合いは長いですから・・・っと、雷獣さん。今、僕としては少し話し合いをしたいんですけれど」

 

私の脳内妄想へのツッコミを適当に、椿はキッと視線を鋭く雷獣を見据えて質問する。

 

「それは、出来ません。というより、そちらに"その意志"が無いように思われますが?」

 

まるでこっちが悪いと一方的に決めつけるかのような雷獣の言葉に、つい私は頭の中でカチンとくる。

 

「はぁ、勝手に第2のセンターを作った件か?それだったら、そっちが先に私達を潰そうとしてたのが悪いだろ」

 

「ちょっ、綾ちゃん!もう少し、穏便に――」

 

「ほぉ・・・なるほど。我々、新たなセンターの方針に貴方達は納得がいかないと?」

 

すると、今の押し付けがましい雷獣の言葉に椿も頭へきたらしく、ズイと私を押しのけて前に出てくる。

 

「僕も綾ちゃんも、この家に来たばかりで妖怪の世界のやり方は良く分かりません。だけど、言う通りにならないからって力づくで潰そうとするのは、僕達から言わせればやり過ぎですよ」

 

そう言って、椿は私以上に怒りを込めた眼差しを雷獣へと向けるが、雷獣は依然としてニヤニヤした態度を崩さない。

 

「ふむ、なるほど・・・良いでしょう。簡潔に言わせてもらいますと、もう貴方達の知るような古い考えは駄目なんですよ」

 

「はい?」

「はぁ?」

 

「今は全てデジタルの時代!データの時代!なのに、それを怠ったが為に敵の策略に気付けなかった!未だに紙の書類で報告?妖怪や妖魔の情報を纏めている?馬鹿か!だから出遅れるんだ!」

 

うっわー・・・面倒くせ〜な。態度も電気もピリピリしてる新センター長だな、コイツ。

 

でも、そんな事を考えている私とは裏腹に、椿の方は自分の爺さんを馬鹿にされたように感じたみたいで、ちょっとイラッとしたオーラが出てきているよ。

 

「あ〜、言いたい事は分かるけれど・・・それが、この家を潰す事に何の関係があるんですか?」

 

「ふん、察しの悪い連中だな。私は雷を操り、電気も自由自在だ。つまり、私が全ての情報をデータとして管理する事で、何もかも包み隠す事なく情報を管理出来るのだよ」

 

そう言った雷獣は、クイッとサングラスを指で押し上げると、今度は視線を椿の爺さんの方を睨みつけるように向けた。

 

「だがな・・・その作業中に見つけたんだよ。鞍馬天狗の翁と、そこの達磨百足が隠蔽していた情報――貴方達、白金の妖狐"椿"、そして烏森の遺し子"綾"!その情報と危険性をな!」

 

「えっ・・・!?」

 

いやいや、待て待て。椿の方は、前の妖怪センターの人達が悪い奴らから狙われないようにって、色々と隠してくれていたから分かるけれど・・・何で、そこで私の情報まで出てくるんだ?

センターが私の事を昔から知っていた?それに"烏森の遺し子"?

もう訳が分からなくなってきたぞ・・・。

 

「まさか、そんな理由で?僕や綾ちゃんの"この力"が他の妖怪さん達への脅威になるかもしれないからですか?」

 

「そうだ!それを隠すなんて、邪な事を考えている何よりの証拠じゃないのか?1人遺された烏森の人間まで使って・・・それは"悪"だろう?そんな危険な妖怪達の施設など、もう潰すべきなんだよ!」

 

私の中に疑問が一瞬で積み重なっていくのを他所に、椿はイライラしたまま雷獣へ噛み付くように問い掛けを続ける。

 

「それは・・・僕達の事を知って、僕達を知らない皆がパニックにならないようにする為です!それに、おじいちゃんと達磨百足さんが、貴方の言うような悪い事を考えるハズが無いでしょう!」

 

「情報を隠す事こそが悪!情報は全てさらけ出し、例えパニックが起こる事になろうとも誰もが知っているべきなんだ!危険な力、それを悪だと決められるようにさせる為にもな!」

 

だけど、今の雷獣の言葉で浮かんだ疑問は全て吹き飛ぶ。

 

コイツが言っているのは、ただの独りよがりな"正義の押し付け"だ。

それを無視して皆を混乱させるなんて・・・それこそ、やっている事は亰嗟や滅幻宗と同じじゃないか!

 

それに、その言葉は椿や私を信じてくれた狐2人や妖怪の皆、カナや雪のような半妖の人達に対する大きな侮蔑だ!

 

「さっきから黙ってりゃ、人の事を好き勝手言いやがって!天神招来――」

 

「これを見ても同じ事が言えるんですか!?天神招来――」

 

「「浄化威光(じょうかのいこう)!!」」

 

その事を証明する為に私と椿は"神妖の力"を解放して、それぞれの尻尾から浄化の力を持った強い光を発動する。

 

これは少しでも心に罪悪感のある人に対して、その良心へ訴えかけて悪の心を浄化させる効果がある光だ。

 

その光を見た雷獣は眩しそうに腕で目元を隠してなら、自分の身体に何も起こっていない事を確認すると自身の陣営へと振り返る。

 

「なっ、何だ?目を眩ますだけで、何て事も――」

 

「そうですか?何も起こっていないと思うのなら、周りを見てみてください」

 

「自分のやってる事が悪いと思ってる連中は皆、もう戦う手を止めているんだよ」

 

「何!?くっ・・・何をしているんだ、お前達!」

 

そう、雷獣の側についていた新センターの妖怪達の殆どは既に戦闘する事を止めて、椿や私へと申し訳なさそうな目を向けて膝まづいていたのだ。

 

ある程度は効果あるかな〜と思ってたけど・・・いや、まさか拝まれるような事になるとは予想外だったわ。

 

「ねぇ、雷獣さん。この状況を見て、それでも貴方は自分が正しいって思っているんですか?」

 

「さて、と・・・皆、良心の呵責があるなら"自分が思う悪い奴"を捕まえろ!」

 

「「「うぉぉぉおお!!」」」

 

その私の言葉に戦意喪失していた敵側の妖怪達は皆、雷獣と残った妖怪へと雄叫びを上げながら襲いかかっていく。

 

「えっ、ちょ・・・何やってんの、綾ちゃん!」

 

「ご、ごめん!こんなに言う通りに動くなんて思わなくて!」

 

すぐに私は命令を取り消そうとしたけれど、それより早く雷獣が雷を操って襲ってきた集団を痺れさせていたよ。そして、そのまま他の味方を置いて逃げようとするけど――

 

『よぅ、遅いな。お前の雷とやらは』

 

「な、何!?き、貴様ぁ!!」

 

雷獣の逃げた先には黒い雷を手に纏った黒狐さんが立ちはだかっていた。

すると、そこに椿の爺さんが中空から突然現れて、黒狐さんを制しながら雷獣へと説得の言葉を投げかける。

 

「雷獣よ。お前さんは、1つの事に囚われ過ぎておる。だから、先ずは広い目を持ってくれんかのぉ。椿も綾も悪い心を持つ者ではないし、その力に暴走の可能性があっても他の皆に危険が及ぶような事には絶対させん。それは、情報を隠した儂らが責任を持って強く決めた志しじゃ」

 

「くっ・・・!」

 

そんな爺さんの訴えを受けても、雷獣は何処か納得のいかない表情を浮かべる。しかし、すぐさま逃げの体勢を整えた事から、今の状況で我を通そうと暴れるような事はしないようだ。

 

「良いだろう・・・今回は負けを認めよう。しかし!必ず、お前達は後悔するからな!俺の考えに従っていればと、そう思う日が来る!そうなってからでは遅いのだ!ふはははは!!」

 

そして、負け台詞みたいな事を言って高笑いをした瞬間に雷獣は自身の身体そのものを雷へと変化させて、瞬発的ジグザグな動きで撤退していく。

それに続けて、我に返った敵側の妖怪達も慌てて爺さんの家から撤退していったのであった。

 

『椿、綾!大丈夫か!?』

 

「大丈夫・・・じゃないです」

 

「さ、流石にヘトヘトかな・・・」

 

すぐに飛んできた狐2人のお陰でぶっ倒れるような事は避けられたけど、妖気を激しく消耗したせいかめちゃくちゃお腹が空いちゃったよ。

 

『全く2人共、また無茶をしよって・・・』

 

「無茶じゃないです。いっぱい頑張っただけですから」

 

『それを無茶と言うんだ・・・まぁ、良い。良く頑張ったな、椿よ――っと、どうした綾?そんな難しい顔をして?』

 

「いや、うん・・・ちょっと、ね」

 

でも、今の私は椿が白狐さんにお姫様抱っこされている以上に、私は椿の爺さんと達磨百足さんが何故、私の事を知ってて更に隠していたのか気になって仕方なくなっていた。

 

修行中、オジサンから私の生まれが烏森って退魔師の一族だった所までは聞かされていたけれど、それと妖怪センターが隠していた事に何の関係があるんだろう・・・?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。