私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾話 とんでもない乱入者

 

椿と私の試験が終わった後の試験の流れは、実に静かに淡々と進んでいった。

 

無理もないだろう。椿が巨大な黒炎を放ったかと思えば、私は「使い魔」を召喚したのだから。

 

美亜の空間を切り裂くような攻撃も私は見事なものだと感心したが、私達の出来が自分以上だった事に不満があったらしく去り際に一言――「あんた達の顔、覚えたからね」と、そう告げてきた。

 

そして、全員の妖気チェック試験が終わりヘビスチャンが声を張り上げる。

 

「さて、全員のチェックが終わりました!これより第3の試験に挑んでもらいます!」

 

「あれ?ここで誰か落選したりとか、そういうのはないんだ?」

 

椿がどこか不思議そうな顔をし、私が疑問符を言葉に浮かべると、ヘビスチャンが丁寧にもそれについて解説してくれた。

 

「あぁ、そういえば詳しく言ってませんでしたね。落としたりするのは第1の試験だけです。つまり第1の試験は、ライセンス保有者として相応しいかどうか――それを見る為の試験だったのです。そして、第2の試験からは落ちる事はありません。なぜなら第1の試験を突破した時点で、全員ライセンス獲得となりますので」

 

「えっ?そうだったの!?」

 

「こちとら、やたらと緊張して損した気分だよ〜もう!そしたら、次の試験は一体何を?」

 

「ここからの試験は能力を見せてもらい、その方の級を決定させてもらう。そういう流れになっております。・・・お分かりいただけましたか?」

 

ふと気づくと、皆は知ってて当然だったのか質問した私達へ視線が集中しているのを感じた。

別に今回の試験が初めてなんだから、変な目で見るのもおかしい話ではないのかと言いたい。

 

ヘビスチャンの解説に美亜が納得した様子を示した。

 

「ふ〜ん・・・第1の試験は聞いた通りだったけれど、今回第2の試験がお兄様から聞いていたのとは違っていたのよね。なるほど、制度を変える前にライセンスの取得試験を先に変える事にしたのね」

 

「えぇ、そうです。やはり、直接妖気を見ないといけないと――そうなったのです。前回までやっていた「どれだけ沢山の妖術を使えるか」というのは、妖気の強さを見る事が出来なかったのです」

 

まるでかくし芸大会か何かかと思う試験内容だ。これでは確かに、センター側がより妖気の強さが分かりやすい試験にするのも頷ける。

 

「さて、それでは第3の試験会場へ向かいましょうか」

 

ヘビスチャンが先導して私達受験者を案内する。

だが第1と第2の試験で私と椿が大立ち回りをしてしまったせいか、時々妖怪達の中から此方への視線が向けられるのを感じて少し気まずくなった。椿の方など苦手な妖怪から視線を向けられているので、恐怖で怯えているのではないかと思うほどだ。

 

ふと、おもむろに美亜が椿の尻尾を触った。

 

「そういえばあんた、尻尾と耳の色が戻ってるわね」

 

「わひゃっ!もぉ・・・尻尾いきなり触らないでくれる?」

 

「椿はただでさえ妖怪から見られてて緊張してるんだから、突然こういう事されると困るんだよね」

 

「ほんと、あなた達何者なの?強力な妖気を持ちながら、かたやぶっきらぼうでかたや臆病者でって・・・ちょっとムカつくんだけど」

 

「ひゃぅ!ご、ごめんなさい・・・謝るから、尻尾だけはやめてぇ!」

 

すると、そんな椿の振る舞いに機嫌を損ねたのか美亜はより強く尻尾を握る力を強めた。ついに椿は美亜から与えられ続ける感覚に耐えられなくなって、その場に立ち止まってしまう。

 

「おいおい・・・流石にいい加減にしとけよ?」

 

「うひぃぃ!や、やめて美亜ちゃん!」

 

「あ〜ら、誰が名前で呼んで良いって言ったの?それにあなたのその泣きそうな顔、そそるわねぇ」

 

「ったく・・・置いていくからね〜」

 

その後、私はチラチラと振り返りながら2人がちゃんと戻ってくるのを確認しヘビスチャンが居る扉の前へと集まった。どこか美亜がツヤツヤしているように見えるのは気のせいだろうか。椿も大分クタクタになっている気がする。

 

「随分と弄ばれたね、椿・・・」

 

「あ、あれ?足に力が入らない?」

 

「ふふふ、どうやら第3の試験は変わってないようね。良かったわ〜・・・あ〜ら、どうしたの?たったあれだけの事で腰が抜けちゃって?」

 

「はぁ。勘弁してくれよ、お前」

 

「うぎぎ・・・し、しまった!」

 

私がなんとか椿の身体を支えて立ち上がらせると、ヘビスチャンがルールの説明を行って大きな扉を開いた。

 

「第3の試験は既に始まっております。既に此方で捕らえているBランクまでの手配書の妖怪を、幻影としてこの先に出現させております。それを捕まえるのが第3の試験です。何体捕まえても構いません。――そして、参加者同士での妨害もありです!命まで取るような妨害なら、即刻失格となりますので注意してくださいね。では、スタート!!」

 

「うふふ、それじゃおっ先〜」

 

「あっ!おいこら待て!ほら行くよ椿!」

 

「うぐぐ・・・動け〜僕の足!へぶっ!」

 

無理に進もうとするせいで、私達はバランスを崩して下手な二人三脚で転んだ時のような状態になってしまう。ヘビスチャンがそれを見て励ましているのか、それとも呆れているのか分からない表情で声をかける。

 

「頑張ってくださいね、椿様に綾様」

 

そんな私達の横を、シャカシャカと何かが物凄い速さで通り抜けていった。

 

まるで以前見たような・・・確かアレは――

 

「って!おい、なんでアイツ此処に居るの!?」

 

「へっ!?こ、こいつって!」

 

「なっ、電磁鬼!何故こんな所に!?」

 

なんと目の前を通り過ぎていったのはあの、かつて学校の人間を操って椿に散々と好き勝手をしてくれたあの「電磁鬼」であった。

 

ヘビスチャンがすぐさま捕まえようと腕の蛇を放ったが、奴のスピードにはまるで通用せずケラケラと笑いながら扉の向こうへと走っていってしまう。

 

「くっ、不味い!あいつは妖怪すらも操る事が出来る強力な妖魔です。手配書こそAランクですが、その能力だけでいえば実質Sランクにも相当する。そんな奴が何故!このままでは皆さんが!」

 

「くっ・・・ヘビスチャンさん。だ、大丈夫。僕達が見つけますから!」

 

「ああ!なんとしてでも奴を捕まえる!」

 

覚悟を決めて私達が全力で立ち上がろうとすると、椿の身体からは清々しい何かの力が溢れ――私の傍にはいつの間にか小次郎の姿があった。

 

「こ、これなら・・・追える!綾ちゃん!」

 

「よし!小次郎、私を担いであの小さい奴を追いかけて!」

 

「ふっ・・・承知!」

 

ヘビスチャンが私達へ声をあげるよりも速く、椿が先頭となって120キロの高速を出しているかのような猛スピードで扉から先の街並みを駆け出した。私は小次郎の肩に担がれ、まるで米俵を背負ってるかのような状態で走られているから衝撃が腹に直接響いてきて結構キツい。

 

そうして、私達と電磁鬼の2回目となる戦いが幕を開けた。

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