私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第弐拾伍話 私に母親(ただしオカマ)が出来た件について

 

あの後、亰嗟の自称ナンバー2の1人である丘魔阿を捕まえて、舞妓さん人形も"浄化の力"で無力化して連れ帰った私達を見て、家の妖怪さん達どころか狐2人もビックリしていたよ。

 

それから舞妓さん人形は、ヘビスチャンさんが引き取って何処かへ持って行っていました。多分、何処かでお焚き上げとかして完全に浄化するんだと思う・・・霊狐のレイちゃんがムキュムキュと舞妓さん人形が持って行かれるまで周囲をグルグルしてたくらいだし。

 

「ふ〜む。まさか、椿達がここまでやってのけるとはの・・・」

 

「本当よぉ・・・私も意外だわぁ」

 

「捕まっているというのに、随分と余裕そうな態度だな」

 

「あら、何時ぞやのゴテゴテな良い男も一緒なのねぇ〜嬉しいわぁ」

 

それで今は椿の爺さんや狐2人にオジサン、そして私達のチームで捕まえた丘魔阿を尋問する所だ。

何故かオジサンを見て興奮してる丘魔阿に、椿が余計な事しないようにって相手の背中を御剱でツンツンしているよ。

 

そういや、だいぶ前に雪オススメのかき氷屋で遭遇した時、零課の人達と一緒に現れたオジサンの姿を見て少しウットリしてたっけな、このオカマは。

 

「ちょっと〜完敗したんだから何もしないわよぉ」

 

「それじゃあ聞くけど、貴方は本当に亰嗟のナンバー2なんですか?」

 

「そうよぉ。半妖と人間のメンバーの中で、だけどね〜」

 

そして、椿の真剣な質問に対しても正直に答えてるのか嘘をついてるのか分からない、おちゃらけた態度を崩さない。まぁ、この状況で嘘をついているとは思えないけどね。

というか、丘魔阿の言っている事が正しいなら他にも亰嗟に協力している妖怪達は沢山居て、より強い妖怪がそれぞれナンバー2を自称してるって事になるよな。

 

「ふむ・・・ならば、亰嗟の真の狙いは何じゃ?今の所、段階的な事しか分かっとらんからな。人間界と妖界を反転させる、それだけじゃなかろう!」

 

「そいつに聞いても無駄だぜ。ただ下っ端を束ねているだけの半妖だからな」

 

そう椿の爺さんが言った途端、今度は部屋の襖が勢い良く開いて酒呑童子が入ってきた。

だけど、元はと言えば亰嗟を作ったのも酒呑童子本人なので、皆は怪しむ様子で睨んでいるよ・・・特に狐2人とオジサンが、ね。

 

「酒呑童子さん・・・」

 

「おぉっと、怖い目で俺を睨むなや。俺はな、亰嗟を創設した当時にゃ世界を反転させようなんて事は考えていなかった。ただ、人間社会から追いやられる半妖達の立場を見直させてやろうしたのと、拠り所になれる場所を作ってやろうと暴れていただけだ。今は、まぁ・・・これでも改心してんだ。というか、その辺りは聞いてんだろ?」

 

「・・・そうですね。とりあえず、今は信じてあげます」

 

『椿!しかしコイツは――』

 

「そう突っ張り続けるのもどうかと思うよ、白狐さん。私から見ても、今の酒呑童子は嘘ついてる目をしてないし」

 

私と椿で皆に酒呑童子への警戒を緩めるように言うと、その部屋に入ってきた酒呑童子の姿を見た丘魔阿が興味深そうな表情を浮かべる。

 

「あらあら、酒呑童子さんね。貴方の事は茨木童子から聞いているわ。敵でもあり、師でもあるってね。ただし、出会ったらすぐに逃げろ・・・とも言われていたわ」

 

「なるほど、良い判断だな。だが、今お前は逃げられない。さて・・・丘と言ったな。お前はアイツから、ロクな情報を渡されてねぇだろう?」

 

「えぇ、そうよぉ〜。前にこの子達に教えた事、あれが私達の知っている全てなのよ」

 

その丘魔阿の言葉を聞いて、私と椿は肩を落として落胆する。

 

私と椿の妖気を用いて行おうとしている人間界と妖界の反転計画・・・丘魔阿は本当にそれの一部しか知らされていなかったなんて。

 

これじゃあ、今回捕まえた事には何の意味も――

 

「あ〜その反転させる妖具なんだが、反転鏡は奴らが持っている物に間違いは無い。だが、お前ら安心しろ。そいつを起動する為の扉の鍵は俺が持っているんだよ」

 

と思ったけど、意外な重大情報が瓢箪の酒を飲み始めた酒呑童子から語られちゃったわ。これには椿も私もギョッと目を丸くしてしまったよ。

 

確かに、それなら亰嗟が大きな行動をしてこなかった事にも納得だけど、よりにもよって捕まえた敵の幹部の前で言ったらアカンと思うんですよ。

 

『おいおい、そんな事は早く言えよ。それで酒呑童子、その鍵とやらは肌身離さず持っているんだろうな?』

 

「ぷはぁ・・・いんや、悪い黒狐。鍵は今、前の妖怪センターの地下にある、重要資料を保管してる個別倉庫の1つの中だ」

 

――なんて思ってたらコレだよ!

 

ただでさえ敵の目の前で重大情報をポロリしてるだけでも大問題だっつ〜のに、その重要アイテムが実質敵地の奥深くに仕舞われてますなんて言ったら、そりゃ皆して"はぁ?"って感じで黙るわ!!

 

なんせ、今の妖怪センターは新しいセンター長こと雷獣の方針で亰嗟と手を組んでる訳だからなぁ!

きっと亰嗟の連中も出入り自由になってるだろうよ!

 

「んぁ?――あっ、いっけねぇ!!その為にあの野郎、新しい妖怪センターと!」

 

「「「「「馬鹿野郎!!」」」」」

 

当然ながら皆で大激怒ですよ!この大戦犯め!!

 

あ〜もう、こうなると何で亰嗟が妖怪センターと手を組んだのか、その目的が簡単に予想つくわ。

センターに協力するフリして、実際は地下の個別倉庫から鍵を回収したいだけだろコレ。

 

「あらら〜・・・そうだったのね〜。私達はただ、いつも通りに活動しろと言われていたし、そんな重要な事なんて――わひっ!?」

 

「笑ってんじゃねぇよ。テメェには、俺達がセンターに侵入する為の手助けをしてもらおうか」

 

だからって、酒呑童子さんや。アンタ自分のミスを他人に八つ当たりするのはどうかと思うよ?

思いっきり丘魔阿さんの顔の頬を掠めてても煙が出るレベルで殴るなんてさ。

 

「い、嫌よ!そんな事したら私、組織に殺されちゃうじゃない!」

 

「それじゃあ、今死ぬか?」

 

「ひぃぃい!!」

 

「待て、酒呑童子。そこまで奴を脅す必要は無い」

 

すると、そこでオジサンが焼け石に氷水を掛けるような、ピシャリとした低く冷淡とした声で再び殴ろうとする酒呑童子を止めた。

 

「その丘魔阿という"女"も、所詮はただの下っ端。組織から良いように使われているだけの手駒だ。お前にあそこまで脅されて、その後で此方を裏切るとは考えられん程に怖気付くくらいだしな。それならば、より俺達の方で有用に活用出来るよう奴にも最大限の配慮するべきだと思うが?」

 

「ちっ・・・仕方ねぇな。好きにしろ、大地」

 

そして2人して丘魔阿の方へ向き直ると、向こうは観念したかのように必死の様子で首を縦に振りまくっていたよ。

 

「わ、分かったわ・・・分かったけれど、センターに入れるまでよ!そこから先は無理だからね!」

 

「話が早くて助かる。その見返りとしては少な過ぎるかもしれないが、組織に戻る以外ならば1つだけ此方も要望には答えよう。捕虜としての生活環境を良くして欲しいとか、此処のセンターで雑用をやらせて欲しい、といった程度ぐらいだがな」

 

「ったく、大地の野郎は相変わらずかよ。とりあえず、鍵が保管されている場所までは膨大な数の呪術によるトラップや警報を仕掛けているから、そう簡単には突破出来ないだろう。だが、あれから半年と時間が経ち過ぎちまっているから、もう突破されてるかもな・・・ちくしょう!俺とした事が!」

 

丘魔阿の前に屈んで優しい声色で話しかけるオジサンに対して、酒呑童子は酷く後悔した様子で瓢箪を地面に叩きつける。

まぁ、そこまで後悔しているんなら皆の酒呑童子のイメージも少しは改善されて――

 

「ちくしょう、俺が・・・俺が、全国期間限定"匠のツマミ"フェアに目を眩ませてなけりゃあ!46都道府県、その全てでご当地素材をふんだんに使っているからフェア毎に取り扱ってるツマミが違う上に、その全てが同じくご当地出身の一流料理人が手がけるツマミだ。そんな、酒飲みには堪らな過ぎるイベントさえ無ければ!!」

 

すまん、前言撤回だわ。

 

オジサンの事を相変わらずだとか言ってたけど、相変わらずなのは酒呑童子さんもじゃねぇか!

椿の爺さんからも狐2人、それにオジサンからも冷たい視線を向けられて当然だよ、コレは!

 

「酒呑童子、お主という奴は・・・!」

 

「んぁ?お前らどうし――いや、待て待て待て!無言で殺気を放ちながら来るなぁ!」

 

『黙れ酔っ払い!コレは没収じゃ!』

 

「止めろテメェら!そ、それは貴重な一品物だぞ!止めろ、こらぁ!!」

 

『問答無用!自業自得の罰だと思え!!』

 

「天誅!!」

 

そんで3人から囲まれてボコボコにしばかれてるんだから馬鹿みたいな話だよ、本当。これを機に、少しは性根も良くなってくれれば良いのにね。

 

「貴方達も大変ねぇ・・・」

 

「別に、貴方程じゃないです。それよりも、僕達に対する要望は何かありますか?」

 

「まぁねぇ〜」

 

すると、そう質問した椿へ丘魔阿は酒呑童子のやらかし発言以上にとんでもない事を口にしてくる。

 

「無理にとは言わないけれど、もし良ければゴテゴテした彼・・・大地さんと言ったかしら?その人と同棲させて欲しいのよね〜」

 

「――ぶっ!?」

 

「うん?そんな事で良いならば、俺は別に構わんぞ」

 

「ちょっ、オジサァァァン!?」

 

しかもオジサンも何アッサリ同意しちゃってるのぉぉお!

 

あ〜もう・・・丘魔阿もOKさせると思ってなかったのか、驚いた表情を浮かべた後に物凄くヤバそうな笑顔になっちゃってるし。

 

「あらぁ〜・・・良かったわ。貴方達が強くなって、もう私じゃ全然手も出せないわ。そんな中で捕まって、戦いの楽しみも冷めちゃったのよね。だから、これからは女として好きな男に尽くすっていうのも悪くないと思ったのよ〜」

 

「つ、つつつ、椿〜!嫌だよ私〜!オカマが義理のお母さんになるなんて!」

 

「でも、綾ちゃんのオジサンは了承してくれているんだし、僕は特に問題無いと思いますよ?」

 

「嘘だぁぁぁあ〜!!」

 

狐2人も酒呑童子を天井に吊るして火に炙ろうとしながらニヤニヤしてんじゃねぇ!

 

「ふふ、ありがとう〜大地さん。これで心置き無く、貴方達に協力出来るわ。元より亰嗟には固執する理由も無いし、2度も負けたとなれば戻ったとしても殺されるのがオチでしょうし。だ・か・ら、これからは私の事を"お母さん"と呼んでちょうだいね〜綾ちゃん」

 

「断っ固、お断りじゃあ!!」

 

とりあえず、丘魔阿が簡単に私達へ協力してくれる事になったのは本当に良かった良かった。

 

――ただし、"私に母親(ただしオカマ)が出来た件について"な事になっちまったけどなぁ!!

 

本当これからの私の青春ライフ、どうなっちゃうんだろ・・・。

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