私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第壱章 ラノベみたく状況は簡単には受け入れらんねぇよ
第弐話 真の異変に気づいた日


 

『ハハハハ!まさか我らが見える者が他にも居たとはのう!お主、相当凄い力を持っているようじゃな!』

 

「出来れば欲しくなかったけどね、幽霊見える力なんて・・・」

 

『じゃから、我らは妖狐だと言うとるだろう?先も見たが、そうやって物事を決めつけるのは人間の悪い部分だと思うぞ。』

 

「ごめんね〜綾ちゃん・・・」

 

現状を分かりやすく説明すると、私が絶叫してすぐに向こうが気づいて草陰に隠れてアレコレ質問したりされたりしていました。

 

私が理解出来た事は、翼は「いつもの場所」に住む神様――この2人の妖狐「白狐」と「黒狐」の手によって妖狐になってしまったという事実だ。

 

「つかその姿じゃ絶対バレるって・・・」

 

「あ、それなら大丈夫らしいんだって。渡されたこの勾玉を持ってれば、普通の人に気付かれにくくなる結界で耳とか見えなくなるみたいで・・・」

 

『まあ、今のような想定外もあるがの。しかしかなり強力な結界が貼られているにも関わらず、我らの姿すら見通せるとはお主本当に何者じゃ?』

 

「だから全く知らないって。私は烏森綾っていうごくごく普通・・・じゃないけど中学2年生です〜」

 

私がため息をついている横で黒狐さんは着物の裾からスマートフォンを取り出して訝しげな表情でそれを見ていた。

 

「・・・って、スマホぉ!?ちょ、妖怪の世界にもスマホあんの?グローバル化ってこういう事なのか・・・世界は広いな〜ハハ♪」

 

「綾ちゃんシッカリして〜!」

 

『しかし、これは学校の中に居るようじゃな』

 

『よし、早速行くぞ。質が禍々しい、懸賞金が掛けられてるような奴かもしれぬな』

 

そそくさと白狐さんと黒狐さんが学校の方へといち早く向かっていったので、私と翼は急いで後を追いかけるのであった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

教室に入ると、今度は翼の机にまた女子の下着が置かれていた。私は翼がそれに手を出すよりも早くそれをロッカーへ片付けようとすると、突然女子達から悲鳴が上がった。

 

「きゃあああ!また翼くんが女子の下着を!!」

 

あー・・・今回はそんな感じですか、そうですか。

 

ほんっとにお前ら最低のクズだな!適当な事柄にそれっぽく付け足せば火種になるってのを何度もやって、いつか聞いた「生ゴミ」発言をお前らにぶつけてやりたい気分だよクソったれ!

 

「お前、仲良くしているゴリラ女のパンツまで盗むなんて、そんなに女装したいのかよギャハハハハ!」

 

「変態!すぐに教室から出ていって!」

 

「気持ち悪い〜やっぱり顔が女だからって調子乗ってんじゃないの?」

 

翼へ容赦なく心無い言葉が投げられ続ける。

 

・・・あーもうアッタマきた。退学とか何とか全然関係ないね。

 

ダァン!と私は下着の乗せられた翼の机を蹴っ飛ばしてキレた。スマン翼、後で机蹴ったのは謝る。

 

「っ!テメぇらふざけんのも大概に――」

 

するとそれとほぼ同時だっただろうか。翼へ殴りかかろうと拳を振り上げていた男子数名が何かに弾かれたように吹っ飛ばされクラス中の机をめちゃくちゃにした。

 

ハッとして振り返ると、白狐さんと黒狐さんが歯を剥き出し動物の威嚇のようにして皆へ鋭い眼差しを向けていた。

 

なんていうかコイツらは信用出来る味方だ、今ので直感した。

 

「いってえ!何しやがんだゴリラ女!骨折れた〜!」

 

「うっわ、また殴ったよ〜!やっぱり不良だな!」

 

「いくら仲良しな友達を守りたいからって人に暴力振るとか最低〜!」

 

まあ今全部私のせいになったみたいなんですけどね!だあもう腹括るしかねえ!大暴れしてやらぁ!

 

・・・と暴走しようとした直前に血相変えて慌てて担任が教室に駆け込んできて私の頬を引っぱたいた。

 

「貴様ら!なにやってくれているんだ!?」

 

「げ、担任。」

 

「げ、じゃない!とにかく翼と綾、2人ともこっちに来い!」

 

翼と一緒に腕を引っ掴まれて、教室から連れ出されてしまった。教室から出る直前に振り向くと、そこにはまるで画像編集のスタンプで押しまくったかのような、全く同じニヤニヤとしたクラスメイト達の笑みが見えた。

 

まるで誰かに操られているかのような。

 

私はその光景に、何処か現実離れした「何か」への恐怖を抱いた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

担任に引っ張られて、職員室で椅子に座らされた私と翼は担任からめちゃくちゃ自己中心的な怒号を浴びせられる。ってかビンタされた頬まだ痛い。

 

「お前ら!俺のクラスで暴力沙汰を起こすなと言っただろうが!全く、俺がそれらをなんとかしなくちゃいけなくなるんだぞ!」

 

「はーい、反省してまーす。」

 

「うぅ・・・」

 

クラスメイト達の様子もだったが、こうして改めて客観的に見てみると教師達も何かおかしい事に気づいた。

 

イジメにあっている子供を叱る頭はイカれてるって思っていたけど、担任の目の焦点が合ってないように見える。

そんな考え込む私を他所に翼が勇気を振り絞って反論する。

 

「でも、あの人達が――」

 

「先に手を出すのが悪いんだ!何をされたにしても、先に手を出した方が悪い事なんて知らないのか!?」

 

「ひ、っぐ・・・」

 

「少なくとも私は知りませーん」

 

「綾!貴様は黙ってろ!」

 

すると翼が椅子に座ったままで息苦しそうに呻き始めた。

ああ、これはよく知っている。激しいストレスに晒されたが故の動悸というやつだ。私も男子共に追っかけられてた頃にそれで何度も吐いた記憶があるよ。

 

ごめんね翼、私が癇癪持ちなばっかりに・・・

 

『おい、しっかりせんか!』

 

『気を保つんじゃ!』

 

白狐さんと黒狐さんが翼を心配する。しかし翼はいよいよ限界を迎え、グラリと大きく姿勢を崩してしまった。

 

辛うじて私が受け止めたから倒れなかったけど、それでも怒り続ける担任に半ば呆れながら保健室へ連れていくと伝えた。

 

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「う、う〜ん」

 

「大丈夫、翼?激しいストレスを感じたせいで頭がパニックを起こしたんだ、担任もなんであそこまで怒るかな〜・・・」

 

保健室のベッドで目覚めた翼に私は励ましの言葉をかけた。正直気休めにしかならないだろうが、何も喋らないよりかは安心させられるだろう。

 

「あ・・・暴力の件、絶対にお父さんに連絡されたよね。もう帰る事すら出来ないかも。・・・なんでこんな事に、うぅ」

 

「そうなったら責任とって私が面倒見るから!」

 

『これこれ!そう簡単に泣くでない!』

 

『そうじゃ、折角の可愛い顔が台無しじゃ』

 

「ちょっとお2人さん黙ってくれないかな?」

 

そもそも私は机蹴っ飛ばしただけなのに、白狐さんと黒狐さんが手を出した結果がご覧の有様だよ!もうちょい社会的なマナーを身につけて欲しいね全く!

 

「うぅ・・・元はと言えば綾ちゃん達が変に暴れるからだよ・・・」

 

「はい、すいませんでした」

 

『う、まさかあんな事になるとは思わんかったわい・・・』

 

『人間は相も変わらず、訳の分からん事をするのぅ』

 

白狐さんと黒狐さんと一緒に正座して翼に謝った。確かに頭に血が上りすぎたのは不味かったね、ホントごめん。

 

『それよりもお主。いい加減「お主」と呼ぶのも素っ気ないのだ。名前をまだ聞いておらんくてな』

 

「あ、そう言えばそうでしたね白狐さん。僕は槻本翼って名前だよ。」

 

え?翼まだコイツらに名前教えてなかったのか。私なんか夢で立ち塞がってきた真実の口もどき相手に名乗るばかりか、か〇はめ波もどきやっちまったぞ。

 

『翼か・・・男っぽい名前だのう』

 

「僕は男なんだから当然だよ」

 

『しかし、今は女の子じゃ。よし!我らが代わりに良い名を付けてやろう!』

 

oi misu ミス おい 紀伊店のか。今男の子だったから男の名前だったって言ってるだろうがお2人。

 

『うむ、よし。「つばさ」の一文字を変えるだけで良い名になったわ。・・・椿はどうじゃ?』

 

「1画足しただけじゃん、撤回しろ今すぐ」

 

『おぉ!白狐よ、お前もたまにはそんな知恵が働くのだな。てっきり頭まで筋肉で出来ておるかと思っておったわ』

 

『たまにはなどと、余計な事を。いつも働いておるであろう』

 

「あのさ、僕は男だってば・・・」

 

「ねぇ聞いてあげて?聞いて?つか話聞けよお前ら」

 

全く私の話には耳を貸さないまま、2人で勝手に話が盛り上がっていく。

 

『しかしのぅ、白狐よ。椿は縁起が悪いぞ?花が萎れずそのまま落ちる事から、首が落ちるイメージが持たれて人の名前では好まれん。他の名前にした方が良いのではないか?』

 

「なら翼のままでいいじゃん」

 

『ふん、確かに一般的にはその様なイメージだ。しかし我らからしてみれば、人間というのは非常にイメージへ拘ると思っての。黒狐よ、椿の花言葉を知っとるか?椿の全体的な花言葉は「控えめな優しさ」と「誇り」だ。椿の控えめな優しさは、我らの誇りだ!』

 

へぇ〜花言葉ね〜ロマン溢れるじゃ〜ん・・・

 

じゃねえよ!?本人の意思を尊重してあげて!?

 

『ほぉ、なるほど。それなら悪くは無いな、うむ!』

 

『よし、決まりだ!良いな椿?』

 

「待ってよ!僕は男の子なんだから、女の子の名前なんて――」

 

必死に拒絶する翼へ2人は更に信じられない発言をした。否、してくれやがった。

 

『いや、もうお主は我らの嫁だ。徐々に女子にしていってやる、口答えは無しじゃ』

 

『うむ、いい加減我の嫁になる覚悟を決めよ』

 

『黒狐よ!我の嫁だ!』

 

「別な意味で最低だコイツらァ!」

 

あーもう、翼が現実逃避して布団に潜っちゃったじゃん。どうしてくれんのコレ?積極的過ぎる男は嫌われるぞー?

 

『こら!また寝るんじゃない!』

 

『逃げてばかりでどうするんじゃ!』

 

「半分くらいはお前らのせいだよ!」

 

翼を叱る2人の脳天にカルテとか挟むバインダーでチョップをお見舞いしてやった。っていうか、幽霊みたいな存在の妖狐にも効くのね、ちょっと意外。

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