私、霊能力者になっちゃいました 〜≒僕、妖狐になっちゃいました〜   作:SimonRIO

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第拾壱話 小次郎の本領発揮

 

現在、この場において電磁鬼の妖気を知っている者はヘビスチャンと私達2人だけしか居ない。

 

かつて奴から感じたあの妖気――ヘドロのように気持ち悪く、四方から見られているような感覚を探って入り組んだ街並みを椿と手分けして駆け抜ける。

 

よりにもよって、よくも探すのが面倒な場所に逃げ込んでくれたものだ。

 

「主殿、敵の気配はどうだ?」

 

「今集中してみてるよ!僅かだけどこっちから感じる!」

 

あちらこちらへと指さし、街の屋根やら街灯の上などを小次郎は正しくカラスのように私の指示で忠実に駆け巡る。

 

そして――

 

「あそこから一番感じる!一気に距離を詰めて、小次郎!」

 

「承知した!」

 

ゴミ捨て場から電磁鬼の妖気を感じとった私は小次郎に上から飛び降りて捕まえるよう命じる。

それと同時に運が良い事に椿も奴を見つけていたようで、コソコソと近寄ろうとしていたのを見つけた。

 

だが今の小次郎の着地によって、運悪く電磁鬼から勘づかれてしまい椿がいる方向の反対の道へ逃げ出してしまう。

 

「あっ!待て〜!!」

 

「あ、やっべ!ごめん椿!小次郎、すぐに後を!」

 

「任せておけ、主よ!」

 

再び駆け出す。学校で此方に一度見つかった事があるせいか、以前にも増して逃げ足が早くなっている気がする。

 

そして、また椿と分かれて挟み撃ちにしようと画策して進んだ小道の先で沢山の小鬼達と遭遇してしまった。

 

「あの感じ、電磁鬼に操られてるみたい!」

 

「どうやら目的の幻影妖怪のようだが・・・如何様にするか?」

 

私の答えは1つしかなかった。

 

「決まってるでしょ。倒さなきゃ先には進めない、だったら・・・倒して先に進むしかないね!小次郎!」

 

「いよいよ、私の本気の一部を見せる時が来たようだな!」

 

小次郎が私を降ろして刀を構える。前までに見た身体から力を抜いて放っていた居合のとは違う、今度は両手でしっかりと刀を構えて敵が踏み込むのを待ち受けている。

 

小鬼が小次郎へと飛びかかった、次の瞬間

 

「――飛剣、燕払いッ!!」

 

2度、振り下ろした一撃目と地面に着く直前で切り返して振り上げた二撃目が小鬼達をまとめて切り払った。切断された小鬼達の身体は悲鳴をあげると共に全て霧となって消滅していった。

 

「なんて速い2連撃・・・!」

 

「驚いたか、主よ?これが私の「燕」を追い求めた剣の道、今のは「燕の速さ」を真似た「飛剣・燕払い」という」

 

「なるほど〜・・・じゃない!早く電磁鬼を追わないと!」

 

「やれやれ!息をつく暇もなく走らせるとは随分と人使い、もとい使い魔使いが荒い主殿よの!」

 

そうしてまた小次郎に担がれて進んだ先には、白い妖狐の姿となって電磁鬼を追う椿が走っていた。一体彼女にどういった事情があったかは分からないが、話は後にして今は電磁鬼を捕まえる事を優先しよう。

 

「キィィィィッ!」

 

「そんな可愛い声出してもダメ!」

 

「ってか、いい加減往生せいやぁぁあ!!」

 

どんどんと電磁鬼との距離を詰めていった私達だが、ここでとある問題が発生する。

 

「ところで主殿。拙者剣は振るえても、走る敵を此方も走りながら仕留める術は何一つ心得ていないのだが」

 

「はぁ!?何今更になってそんな事言い出すの!!?椿はどうなの!」

 

「あっ、しまった!黒狐さんみたいに、動きを止める妖術を知らないよ!ど、どうしよう!?」

 

「なーんでこんな時に運に見放されるかな〜私達は!チクショウ!!」

 

そんな漫才みたいな事をやっていると、電磁鬼が振り向きざまに電磁波を私達へとぶつけてきた。

 

「うぉわぁっ!?椿、小次郎、大丈夫!?」

 

「私は元々実体の無い「使い魔」だからな、平気だ」

 

「わぁぁ!・・・って、あれ?ちょっとピリッとしただけで、何も起きないんだけど」

 

「キィッ!?キ、キィィィィ!」

 

今の電磁波を食らってもピンピンとしている私達に驚いた電磁鬼は今度はジグザグに走って逃げ出した。

 

「っていうか、今僕達を操ろうとしたでしょ!?」

 

「それが効かなくて驚いていたようだがな」

 

「なんだって?でも、全然効かなかったし・・・じゃない、まずは奴を捕まえないと!」

 

私達は電磁鬼を追いかけ続けながら、今の状況で奴をどうやって捕まえたら良いのかを相談する。

 

「このままじゃ、いい加減ラチがあかないよ」

 

「う〜ん・・・どこかに追い詰められたら良いんだけど。この街は多分試験用に作られた街だから、どういう形をしているかなんて僕には分からないよ」

 

「せめて投網の1つでもあれば話は早いのだがな、主殿よ」

 

そうやって悩んでいると、ふと頭の中へ直接語りかける声が聞こえてくる。

 

『椿様、綾様。そのまま次の路地を左に追い込んでください』

 

「ん?この声は・・・」

 

「えっ、ヘビスチャンさん?どこ!?」

 

『早く!左に追い込んでください』

 

「あ、ああ。分かったよ!」

 

「あっ、うん。分かった!」

 

私達は二手に分かれ、椿は右から私は左から電磁鬼へ回り込む。ジャンプして上から押さえつけようとするが――

 

「てぇぇい!!」

 

「キィッ!」

 

「ぐぼぁっ!!」

 

「ふぎゃっ!?あ、綾ちゃんごめん!」

 

完全に椿と飛びかかるタイミングを被らせてしまい、思いっきり椿の膝が私の顔面に入ってしまった。正直、かなり痛い。その蹴られた衝撃で呼び出していた小次郎の姿も消えてしまったようだ。

 

「キィッ!?」

 

だけど、そのおかげで電磁鬼は指定された通りの路地へと逃げ込んでいき、そこで地面から出現した蛇によって取り押さえられていた。

 

「ふぅ、何とかなりましたね。椿様、綾様」

 

「わぁ!いつの間に後ろに!?」

 

「さ、最後の最後で盛大にやらかしちゃったけどね・・・。あの蛇は?」

 

「あぁ、アレは私の身体の一部ですよ。あんな風に切り離しても、私の命令通りに動くので罠としては最適なのですよ」

 

それなら、私達がわざわざ飛びかかってまで捕まえようとする必要はなかったんじゃないか。そんな事を考えていると、再び巻物へ電磁鬼を封印したヘビスチャンが安堵した顔を浮かべた。

 

「やれやれ、危なかったです。椿様と綾様の感知がなければ、こんなに早くは捕まえられなかったですね――さて、第3の試験も残り僅かですね」

 

「・・・なんだって!?やっば!私まだ大して妖怪をやっつけてないよ!」

 

「あ〜!しまった!!ど、どうしよう・・・僕も何もやってないよ!」

 

すると狼狽える私達へヘビスチャンが不思議そうに首を傾げてきた。

 

「おや?椿様と綾様は、既に1体倒されていますよ。それとAランク手配書のこの電磁鬼と、互角に張り合っていましたからね。なんの問題もないですよ」

 

「ん?さっき小道で遭遇した奴の事かな」

 

「えっ?僕がいつ倒しましたか?・・・えっと、あれですか」

 

どうやら椿も追いかけている道中で妖怪を1体倒していたようで、彼女の事を心配していた私としては助かった。

 

「いやぁ、お2人ともBランク手配書を一撃とは思いませんでしたよ。それに椿様のそのお姿、美しいですね」

 

「・・・椿、その姿は一体どうしたのさ!?」

 

「へっ?また外見変わっています?」

 

私がヘビスチャンの一言で椿を見ると、彼女の姿は先程とは打って変わって身体の毛が真っ白い雪のような色へと変化していた事に気づいた。

 

「な、なんですかこれぇ!またぁ!?」

 

椿が建物のガラスに映った自身の姿を見て驚きの声をあげる。これまでの事を含めて、彼女には一体どんな力が秘められているのだろうか。私の中に謎ばかりが増えていく。

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